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公開番号2025009122
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023111898
出願日2023-07-07
発明の名称水晶振動片及び水晶発振器
出願人日本電波工業株式会社
代理人
主分類H03H 9/19 20060101AFI20250110BHJP(基本電子回路)
要約【課題】ATカットの水晶振動片であって、水晶のZ′軸方向両端に独特の傾斜面を持つ水晶振動片であっても、周波数可変量の低減を抑制できる新規な構造を有した水晶振動片及びこれ用いた水晶発振器を提供すること。
【解決手段】水晶振動片10は、ATカットの水晶片11と、この水晶片の表裏面に設けた励振用電極13とを備える。水晶片の表裏面各々は、水晶のX軸及びZ′軸で規定されるX-Z′面に平行な主面部11aと、主面部の前記Z′軸に沿う一方側の端で角度θ1を以って主面部に連続している第1傾斜面11bと、を含む。励振用電極は、水晶片の、表裏面各々の主面部が対向する対向領域11aa上のみに、設けてある。θ1は、θ1=3±2度の角度である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水晶振動片であって、
ATカットの水晶片と、前記水晶片の表裏面に設けた励振用電極とを備え、
前記表裏面各々は、水晶のX軸及びZ′軸で規定されるX-Z′面に平行な主面部と、前記主面部の前記Z′軸に沿う一方側の端で角度θ1を以って前記主面部に連続している第1傾斜面と、を含み、
前記励振用電極は、前記水晶片の、前記表裏面各々の前記主面部が対向する対向領域上のみに、設けてあることを特徴する水晶振動片。ただし、前記Z′軸は、水晶の結晶軸であるZ軸に対しATカットの切断角度に由来して規定される軸であり、前記θ1は、前記主面部に平行かつ前記Z′方向に沿った線を基準線と定義したときこの基準線と、前記第1傾斜面との成す角度であり、θ1=3±2度の角度である。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記励振用電極は、水晶のX軸に沿う寸法が、前記Z′方向に沿う寸法より大きいものであることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項3】
前記励振用電極は、水晶のX軸に沿う方向が長軸となった楕円形状のものであることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項4】
前記第1傾斜面の前記基準線に投影した寸法をZ1、前記対向領域の前記Z′方向に沿う寸法をZ2と定義したとき、Z1/Z2が0.30~0.45であることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項5】
前記水晶片は、前記第1傾斜面に接続していてその反対側で前記主面部に対し内角θ2=43±2度をもって接続している第2傾斜面を備えることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項6】
前記水晶片は、当該水晶片の前記Z′方向の中心点Oを通り前記X軸に平行な回転軸を回転中心とした際に点対称の形状のものであることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項7】
前記水晶振動片は、前記励振用電極を備えた領域を含む振動部と、この振動部に対し水晶のX軸方向の一端で接続していて前記振動部よりも厚い厚さの支持部を備え、かつ、前記振動部及び前記支持部が一体形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項8】
前記水晶振動片は、前記励振用電極を備えた領域を含む振動部と、この振動部に対し水晶のX軸方向の一端で接続していて前記振動部よりも厚い厚さの支持部を備え、かつ、前記振動部及び前記支持部が一体形成されたものであり、前記振動部と前記支持部との間に、前記振動部から前記支持部に向かうにしたがい厚さが増加している中間部を備えるものであることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項9】
前記水晶振動片は、前記励振用電極を備えた領域を含む振動部と、この振動部に対し水晶のX軸方向の一端で接続していて前記振動部よりも厚い厚さの支持部を備え、かつ、前記振動部及び前記支持部が一体形成されたものであり、
前記振動部と前記支持部との間に、前記振動部から前記支持部に向かうにしたがい厚さが増加している中間部を備え、
前記中間部は前記振動部から前記支持部に向かう傾斜面を有し、前記傾斜面の前記Z′軸との成す内角をθ3と定義したとき、θ3=32±2度であることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の水晶振動片と、前記水晶振動片を実装する容器と、前記水晶振動片の発振回路とを備えたことを特徴とする水晶発振器。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数可変量の低減を抑制できる水晶振動片及びこれ用いた水晶発振器に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
情報通信における通信量の増大に対応するため、通信速度のさらなる高速化が必須である。従って、情報通信の基準信号源である水晶振動片及びこれを用いた水晶発振器に対しても、高周波化が望まれている。
厚み滑りモードで振動する水晶振動片の高周波を図るためには、振動部の厚さを益々薄くする必要がある。しかし、振動部の厚さを薄くした場合、圧電振動片を支持する支持部からの振動部への応力等の影響が問題になる。
【0003】
これを回避するため、例えば特許文献1に、薄片で構成される振動部と、振動部の外周の一辺に沿って前記振動部の厚みより厚みが厚い支持部と、を一体形成した、いわゆる一辺額縁構造を持つ水晶振動片が開示されている(特許文献1の請求項1、図1、段落2等)。この水晶振動片では、支持部の厚さを発振周波数と関係なく任意の厚さにできるため、支持部の厚みで容器の変形の応力に対抗でき、発振周波数の変動を防止できる(特許文献1の段落33)。特許文献1では、機械的加工法で一辺額縁構造を実現している(特許文献1の段落21,22、図2等)。近年ではフォトリソグラフィ技術によって上記構造を実現できる。
一方、水晶発振器の1種として電圧制御型の水晶発振器がある(例えば特許文献2)。この種の水晶発振器では、水晶振動片の両端に接続されるコンデンサの一方又は双方をバリキャップダイオード等の電圧により容量が変わる容量素子とし、この容量を可変することで水晶発振器の周波数を可変している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001-144578号公報
特開平8-46427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周波数可変量は、周知の通り、水晶振動片の直列容量C1と並列容量C0との比で定義される容量比C0/C1が小さい方が、大きくできる。電圧制御型の水晶発振器の場合、周波数可変量が大きい方が周波数調整幅を広くできるので、水晶振動片の容量比は、小さい方が好ましい。
一方、厚み滑りモードで振動する水晶振動片の場合、高周波用になればなるほど、厚みは薄くなるので、並列容量C0は大きくなる。然も、フォトリソグラフィ技術によって製造される水晶振動片の中には、後述する実施形態の項で説明するように、容量比以外の他の特性を確保するため、具体的にはZ′方向の不要振動の影響を低減するため、水晶振動片のZ′軸に沿った端で端に向かうにしたがい厚みが薄くなる傾斜面を持つ構造、いわゆるテーパー形状の構造を持つものがある。このようなテーパー形状の構造を持つ水晶振動片の場合、テーパー形状の構造及び励振用電極の配置の影響によって並列容量C0がさらに大きくなるので、容量比C0/C1をさらに大きくしてしまうという問題が生じる。
この出願は、上記の点に鑑みなされたものであり、従ってこの出願の目的は、ATカットの水晶振動片であって、水晶のZ′軸方向両端に独特の傾斜面を持つ水晶振動片であっても、周波数可変量の低減を抑制できる新規な構造を有した水晶振動片及びこれ用いた水晶発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成を図るため、この出願の第1発明である水晶振動片は、ATカットの水晶片と、この水晶片の表裏面に設けた励振用電極とを備え、
前記表裏面各々は、水晶のX軸及びZ′軸で規定されるX-Z′面に平行な主面部と、この主面部の前記Z′軸に沿う一方側の端で角度θ1を以ってこの主面部に連続している第1傾斜面と、を含み、
前記励振用電極は、前記水晶片の、表裏面各々の前記主面部が対向する対向領域上のみに、設けてあることを特徴する。ただし、前記Z′軸は、水晶の結晶軸であるZ軸に対しATカットの切断角度に由来して規定される軸であり、前記θ1は、前記主面部に平行かつ前記Z′方向に沿った線を基準線と定義したとき、この基準線と前記第1傾斜面との成す角度であり、θ1=3±2度の角度である。
【0007】
この出願の第2発明である水晶発振器によれば、上記の第1発明の水晶振動片と、この水晶振動片を実装する容器と、この水晶振動片の発振回路とを備えたことを特徴とする。この第2発明を実施するに当たり、前記水晶発振器は電圧可変型のものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明の水晶振動片によれば、Z′方向の両端を、第1傾斜面を含む所定形状としてあるため、そうで無い場合に比べ、不要振動を低減し易い。また、励振用電極を、水晶振動片の表裏面の、前記主面部が対向する領域上のみに、設けてあるため、そうで無い場合に比べ並列容量を小さくできるので、容量比を小さくできる。これらのことから、不要振動に起因する特性劣化を軽減でき、かつ、周波数可変量の低下を抑制できる新規な構造の水晶振動片及び水晶発振器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施形態の水晶振動片10を説明するための図である。
図2は、本発明の水晶振動片の変形例を説明するための図である。
図3は、実施形態の水晶発振器20を説明するための図である。
図4は、実施形態の水晶振動片10の製法例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの出願の各発明の実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこれらの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の説明で述べる形状、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、各発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
(【0011】以降は省略されています)

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