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公開番号
2025007645
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-17
出願番号
2023109183
出願日
2023-07-03
発明の名称
微粉炭燃焼ボイラで複数種の固体燃料を混焼する際のボイラ炉内のクリンカ付着成長の抑制方法
出願人
東ソー株式会社
代理人
主分類
F23C
1/00 20060101AFI20250109BHJP(燃焼装置;燃焼方法)
要約
【課題】 バイオマス固体燃料のように従来の石炭とは灰性状が大きく異なる固体燃料を混焼させた場合を想定し、微粉炭燃焼ボイラ内のクリンカ付着の状況を確認しながら、ボイラを停止させずに的確な対応をすることでボイラの安定稼働を維持継続させる方法を提供する。
【解決手段】 微粉炭燃焼ボイラで複数種の固体燃料を燃焼させる際に、当該ボイラの炉底部から排出されたクリンカの結晶状態を分析して当該クリンカの付着成長性を評価した上で、混焼する固体燃料の種類と配合比を調整する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
微粉炭燃焼ボイラで複数種の固体燃料を燃焼させる際に、当該ボイラの炉底部から排出されたクリンカの結晶状態を分析して当該クリンカの付着成長性を評価した上で、混焼する固体燃料の種類と配合比を調整する、ボイラ炉内のクリンカ付着成長の抑制方法。
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【請求項2】
微粉炭燃焼ボイラ炉の底部から排出されたクリンカが、当該ボイラ炉の内壁から剥離して落下したものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微粉炭燃焼ボイラ炉底部から排出されたクリンカが、外的衝撃を与えて当該ボイラ炉の内壁から剥離させ、当該ボイラの炉底部に落下させたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出されたクリンカを2θ=15~50°の領域でXRD測定した際に得られた回折パターンにおいて、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の面積を非晶質の量とし、ハロー領域よりも上側で検出される回折ピークの面積の総和を結晶質の量としたときに、非晶質の量と結晶質の量の和に対する非晶質の量の比を当該クリンカの非晶質の割合とすることで当該クリンカの付着成長性を評価することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出されるクリンカの複数のサンプルを用い、2θ=15~50°の領域でXRD測定した際に得られたそれぞれの回折パターンにおいて、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の面積を非晶質の量とし、ハロー領域よりも上側で検出される回折ピークの面積の総和を結晶質の量としたときの非晶質の量と結晶質の量の和に対する非晶質の量の割合Yと、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の2θ=25°の高さXの関係から事前に一次近似式を得ておき、微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出された直近のボトムアッシュクリンカのXRD測定した際に得られた回折パターンにおいて、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の2θ=25°の高さから当該一次近似式により算出した値を当該直近のクリンカの非晶質の割合とすることで当該クリンカの付着成長性を評価することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出されたクリンカ中の非晶質の割合が50%を超えるように混焼する固体燃料の種類と配合比を調整することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出されたクリンカに含まれるSiO
2
の量と当該クリンカ中のクリストバライトの量を対比し、当該クリンカに含まれるSiO
2
の内クリストバライトに変化した割合が概ね10%を超えないように、混焼する固体燃料の種類と配合比を調整することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出されたクリンカを2θ=15~50°の領域でXRD測定した際に得られた回折パターンにおいて、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の面積を非晶質の量とし、ハロー領域よりも上側で検出される回折ピークの面積の総和を結晶質の量とし、当該結晶質に含まれるクリストバライトの存在割合をRIR法により算出し、当該存在割合に結晶質の量を乗じてクリストバライトの量とし、非晶質の量と結晶質の量の和に対するクリストバライトの量を当該ボトムアッシュクリンカ中のクリストバライトの割合とすることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出されるクリンカの複数のサンプルを用い、2θ=15~50°の領域でXRD測定した際に得られたそれぞれの回折パターンにおいて、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の面積を非晶質の量とし、ハロー領域よりも上側で検出される回折ピークの面積の総和を結晶質の量としたときの非晶質の量と結晶質の量の和に対する非晶質の量の割合Yと、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の2θ=25°の高さXとの関係から事前に一次近似式を得ておき、微粉炭燃焼ボイラの炉底部から排出された直近のクリンカのXRD測定した際に得られた回折パターンにおいて、2θ=15°と2θ=50°のベースポイントを結んだ直線より上側のハロー領域の2θ=25°の高さから当該一次近似式により算出した値を当該直近のボトムアッシュクリンカの非晶質の割合とし、さらにハロー領域よりも上側で検出される回折ピークの面積の総和を結晶質の量とし、当該結晶質に含まれるクリストバライトの存在割合をRIR法により算出し、当該存在割合に結晶質の量を乗じてクリストバライトの量とし、非晶質の量と結晶質の量の和に対するクリストバライトの量を当該ボトムアッシュクリンカ中のクリストバライトの割合とすることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
固体燃料が石炭および/またはバイオマス固体燃料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は石炭火力発電所における微粉炭燃焼ボイラで複数種の固体燃料を混焼する方法に関するものであり、CO
2
削減に有効な再生可能エネルギーの一つであるバイオマス固体燃料や、産地が異なる石炭など品質が異なる多種多様な固体燃料を微粉炭燃焼ボイラで燃焼させる際に、炉壁へのクリンカの付着成長を抑制して安定的かつ継続的な運転を実現することで、既存の石炭火力発電所における微粉炭燃焼ボイラでのバイオマス固体燃料の使用率を高め、石炭の使用を抑制することで、CO
2
排出削減を推進する方法を提供するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、大気中のCO
2
濃度増大に伴う地球温暖化が顕在化しており、大気中のCO
2
濃度を増大させる化石燃料の使用削減が課題となっている。特に石炭火力発電はCO
2
の排出量が多い石炭を使用するため、CO
2
の排出抑制対策が必要な発電方式であり、石炭を微粉化して燃焼させる従来型の亜臨界圧又は超臨界圧発電(発電効率38%程度)に対し、先進的超々臨界圧発電(発電効率46%程度)や石炭ガス化複合発電(発電効率46%程度)、石炭ガス化燃料電池複合化発電(発電効率55%程度)等の発電効率を高める先進技術を導入してCO
2
排出を抑制する火力発電が実用化されている。
【0003】
一方、従来型の亜臨界圧又は超臨界圧発電における微粉炭燃焼ボイラは、例えば、化学企業の自家発電設備の場合には、化学プロセスに必要な熱と電力の両方を同時に効率よく供給することにより、火力発電所ボイラとしてのエネルギー効率は50%を超える。主要燃料の石炭を部分的にでもバイオマス固体燃料のようなCO
2
削減に有効な固体燃料に切り替えその使用率を高めることができれば、高度な先進技術が採用された高価な設備を導入せずにCO
2
排出を抑制することができる。ただし、バイオマス固体燃料は石炭と大きく異なる性状を有するため、単純に石炭から切り替えるには課題が多い。
【0004】
従来型の石炭火力発電に多用されている微粉炭燃焼ボイラは、一般的にバーナー、火炉、伝熱管及び煙突を主に備え、空気と共に吹き込まれた固体燃料をバーナーにより火炉で燃焼し、この火炉内に多数配設された伝熱管(蒸発器管)により熱交換を行い、この熱交換により蒸発器管に供給される給水が加熱及び加圧され、蒸気が発生する。また、燃焼により発生した燃焼ガスは前記煙突から排出される。
【0005】
このような微粉炭燃焼ボイラでは、固体燃料として、効率よく燃焼させるために粉砕して微粉化した石炭を使用するが、バイオマス固体燃料として一般的である木質バイオマスや植物系バイオマス、例えば、建築廃材やホワイトペレットと呼ばれる植物繊維質が多く含まれるものを使用すると、そのままでは粉砕性が悪いため石炭との大量混焼には限界がある。そこで、木質バイオマスを酸素が乏しい環境下で熱処理することで植物繊維質を部分的に分解して粉砕性を向上させた半炭化品やブラックペレットと呼ばれるバイオマス固体燃料が石炭の代替燃料として微粉炭燃焼ボイラに使用されつつある。
【0006】
微粉炭燃焼ボイラは、燃料に含まれる灰分の一部が炉壁や蒸発器管の表面に付着するとクリンカと呼ばれる固着物が成長する。クリンカが付着成長するとボイラとしての効率が低下するだけでなく、大きく成長したクリンカが一度に大量に落下して、炉底部のシール水が一気に蒸発し、炉内圧力が急上昇する等のインターロックが作動するトラブルが発生しやすくなる。
【0007】
石炭は産地の違いで灰分の量や特性が異なるため、使用する石炭によってボイラの炉壁や蒸発器管の表面に付着するクリンカの状態が変化し、使いやすい石炭と使いにくい石炭が存在することが知られている。また、バイオマス燃料は灰分の量や特性が石炭と大きく異なり、炉壁や蒸発器管の表面への付着特性が更に変化することが知られている。そこで、灰分の付着を予測評価したり、灰分の付着を防止するボイラの運転方法が種々提案されている。
【0008】
特開2004-361368号公報では、石炭を予め灰化して石炭灰を得、この石炭灰をボイラの燃焼温度範囲における複数点温度で焼結することにより各加熱温度での焼結灰を得、得られた各焼結灰の重量を測定してラトラ試験機の円筒型金網内に入れ、金網を一定の回転速度で一定の回転数だけ回転させることにより焼結灰から分離した粒子を金網の目を通して除去した後、金網内に残った焼結灰の重量を測定し、試験前の焼結灰の重量で試験後の焼結灰の重量を割った比から膠着度を測定し、測定した灰の膠着度から実ボイラにおける伝熱管への灰の付着を予測評価する方法が提案されている。
【0009】
また、特開2017-190908号公報では、固体燃料中の灰分含有率及び灰分中のムライトの含有率から複数種類の固体燃料の混合割合を決定するボイラの運転方法が提案されている。
【0010】
これらいずれの方法も、固体燃料を予め分析してその結果をもとに複数種の固定燃料の混合比率を決定する方法であるが、これらの方法で運用した場合でも、実際にはボイラ内のクリンカ付着を完全に防止することはできず、燃料品質や炉内燃焼状況のバラツキや変動から燃料配合を同じにしてもボイラ内クリンカ付着状況が変化し、ボイラ内クリンカ付着成長に伴うトラブル発生の危険性は排除することはできなかった。そして、ボイラ内で付着クリンカが成長する兆候がある場合には、クリンカ付着が軽微なうちに当該クリンカに外的衝撃を加えて剥離させたり、燃料配合を調整したりすることが避けられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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