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公開番号2025006565
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-17
出願番号2023107444
出願日2023-06-29
発明の名称四塩化チタンの製造方法及び、スポンジチタンの製造方法
出願人東邦チタニウム株式会社
代理人アクシス国際弁理士法人
主分類C01G 23/02 20060101AFI20250109BHJP(無機化学)
要約【課題】粗四塩化チタンガスと接触させる粗四塩化チタン液の冷却装置を、比較的長い期間にわたって良好に使用することができる四塩化チタンの製造方法及び、スポンジチタンの製造方法を提供する。
【解決手段】この発明の四塩化チタンの製造方法は、塩化炉で生成する粗四塩化チタンガスから、四塩化チタンを製造する方法であって、塩化炉で生成した粗四塩化チタンガスを、冷却用の粗四塩化チタン液と接触させて凝縮し、粗四塩化チタン液を得る凝縮工程と、前記凝縮工程で得られた前記粗四塩化チタン液から一部の粗四塩化チタン液を分離し、当該一部の粗四塩化チタン液を、前記凝縮工程での前記冷却用の粗四塩化チタン液として用いるに先立ち、冷却装置で冷却する冷却工程とを含み、前記冷却工程にて、前記冷却装置の使用開始時点と前記使用開始時点から全使用期間の50%の期間が経過した時点との間の期間に、前記冷却装置の使用終了時点から全使用期間の50%の期間遡った時点と前記使用終了時点との間の期間よりも、前記冷却装置への冷媒の供給量を少なくし、及び/又は、前記冷却装置に供給する冷媒の温度を高くするというものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
塩化炉で生成する粗四塩化チタンガスから、四塩化チタンを製造する方法であって、
塩化炉で生成した粗四塩化チタンガスを、冷却用の粗四塩化チタン液と接触させて凝縮し、粗四塩化チタン液を得る凝縮工程と、
前記凝縮工程で得られた前記粗四塩化チタン液から一部の粗四塩化チタン液を分離し、当該一部の粗四塩化チタン液を、前記凝縮工程での前記冷却用の粗四塩化チタン液として用いるに先立ち、冷却装置で冷却する冷却工程と
を含み、
前記冷却工程にて、前記冷却装置の使用開始時点と前記使用開始時点から全使用期間の50%の期間が経過した時点との間の期間に、前記冷却装置の使用終了時点から全使用期間の50%の期間遡った時点と前記使用終了時点との間の期間よりも、前記冷却装置への冷媒の供給量を少なくし、及び/又は、前記冷却装置に供給する冷媒の温度を高くする、四塩化チタンの製造方法。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記冷却工程にて、前記冷却装置での冷却後の粗四塩化チタン液の温度を60℃~80℃の範囲内に維持する、請求項1に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項3】
前記冷却工程にて、前記冷却装置の使用開始時点と前記使用開始時点から全使用期間の50%の期間が経過した時点との間の期間に、前記冷却装置での冷却後の粗四塩化チタン液の温度を60℃~80℃の範囲内に維持する、請求項1に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項4】
前記冷却工程で、前記冷却装置への冷媒の供給量を10L/min~5000L/minの範囲内で調整する、請求項1に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項5】
前記冷却工程で、前記冷媒の温度を-10℃~40℃の範囲内で調整する、請求項1に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項6】
前記一部の粗四塩化チタン液を冷却せずに前記冷却装置に送り、前記冷却工程にて前記冷却装置により冷却する、請求項1に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項7】
前記凝縮工程で得られた前記粗四塩化チタン液の温度が、90℃以下である、請求項2に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項8】
前記凝縮工程で得られた前記粗四塩化チタン液から分離した残部の粗四塩化チタン液に対し、蒸留を行う蒸留工程を含む、請求項1に記載の四塩化チタンの製造方法。
【請求項9】
スポンジチタンを製造する方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の四塩化チタンの製造方法で製造した四塩化チタンを用いる、スポンジチタンの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、塩化炉で生成する粗四塩化チタンガスから、四塩化チタンを製造する方法、及び、その四塩化チタンを用いて、スポンジチタンを製造する方法に関するものである。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
スポンジチタンは工業的に、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元するクロール法により広く製造されている。スポンジチタンの原料とする四塩化チタンを得るには、塩化炉にてチタン鉱石をコークスとともに加熱しながら、そこに塩素ガスを供給し、チタン鉱石中の酸化チタンを塩素と反応させることが行われる。
【0003】
塩化炉では、チタン鉱石やコークス等に由来する多数の不純物が含まれる粗四塩化チタンガスが生成する。塩化炉から排出された粗四塩化チタンガスは、凝縮装置にて冷却用の粗四塩化チタン液を吹きかけること等によって当該粗四塩化チタン液と接触させ、沸点以下の温度に冷却して凝縮させ、粗四塩化チタン液とする場合がある。
【0004】
上記のように粗四塩化チタンガスが凝縮して得られた粗四塩化チタン液は、その一部を、上記の冷却用の粗四塩化チタン液として用いるために分離し、熱交換器等の冷却装置で粗四塩化チタンガスの冷却に適した温度に冷却される。一方、粗四塩化チタン液の残部に対しては、四塩化チタン及び各不純物の沸点の差異を利用して分離・濃縮する蒸留や、蒸留を繰り返す精留を行うことにより、不純物の含有量が低減された液体状の四塩化チタン(精製四塩化チタン)が得られる。
【0005】
粗四塩化チタン液を粗四塩化チタンガスと接触させる前に冷却することに関し、特許文献1には、「流動炉で酸化チタン含有鉱石およびコークスを塩素ガスと反応させて粗TiCl
4
ガスを得て、このガスを粗TiCl
4
ガス冷却工程で冷却し、冷却された粗TiCl
4
ガスを凝縮装置で液化して粗TiCl
4
液とし、この粗TiCl
4
液を精製するTiCl
4
の製造方法において、粗TiCl
4
ガスの凝縮装置での液化を、凝縮装置で液化されて抜き出された粗TiCl
4
液を粗TiCl
4
液冷却器に導入して冷却し、冷却された粗TiCl
4
液を凝縮装置へ戻して粗TiCl
4
ガスに接触させることにより行い、かつ、粗TiCl
4
液冷却器に導入される粗TiCl
4
液の温度を85℃以下とすることを特徴とするTiCl
4
の製造方法」が提案されている。この特許文献1には、「TiCl
4
液に溶解するNbCl
5
とFeCl
3
の量は、TiCl
4
液の温度の上昇に伴い、二次関数的に急激に増加する。したがって、熱交換器に導入される粗TiCl
4
液の温度をあらかじめ低下させておけば、熱交換器内に持ち込まれる粗TiCl
4
液のNbCl
5
、FeCl
3
の濃度を大きく低下させ、これら塩化物の伝熱板表面への付着速度を大幅に低下させることができる。粗TiCl
4
液の温度の低下に伴い析出するNbCl
5
、FeCl
3
は、熱交換器に導入される前に沈降分離することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2009-46337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された方法では、「粗TiCl
4
液冷却器に導入される粗TiCl
4
液の温度を85℃以下とする」ため、「粗TiCl
4
液冷却器」への導入前の「ストレージタンク」等での事前の冷却が必要になる。その場合、事前の冷却で「ストレージタンク」の冷却機構の冷却面に不純物が析出して蓄積し、「粗TiCl
4
液冷却器」と同様に冷却能力が低下することから、「粗TiCl
4
液冷却器」や「ストレージタンク」に設置された冷却機構等の冷却装置の使用可能期間が短くなるという問題の根本的な解決には至っていない。
【0008】
この発明の目的は、粗四塩化チタンガスと接触させる粗四塩化チタン液の冷却装置を、比較的長い期間にわたって良好に使用することができる四塩化チタンの製造方法及び、スポンジチタンの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
四塩化チタンの製造設備の操業の間は、特許文献1にも記載されているように、粗四塩化チタン液の冷却装置の冷却能力が、その内部への不純物の析出ないし付着により次第に低下し得る。このような冷却能力の低下は、冷却装置の使用開始後の当該冷却の初期に冷却装置内で粗四塩化チタンが過剰に冷却された場合に特に顕著になることが新たにわかった。初期の過剰な冷却によって不純物が析出しやすくなり、この析出物が冷却装置の流路内壁に付着することにより冷却能力が急激に低下するためである。その結果、冷却装置の使用可能期間が大幅に短くなる。これに対し、発明者は、冷却装置での冷却の初期から末期の間に冷却装置の設定を変更し、初期に粗四塩化チタン液が冷却されすぎないようにすることにより、冷却装置の長寿命化を実現できることを見出した。
【0010】
この発明の四塩化チタンの製造方法は、塩化炉で生成する粗四塩化チタンガスから、四塩化チタンを製造する方法であって、塩化炉で生成した粗四塩化チタンガスを、冷却用の粗四塩化チタン液と接触させて凝縮し、粗四塩化チタン液を得る凝縮工程と、前記凝縮工程で得られた前記粗四塩化チタン液から一部の粗四塩化チタン液を分離し、当該一部の粗四塩化チタン液を、前記凝縮工程での前記冷却用の粗四塩化チタン液として用いるに先立ち、冷却装置で冷却する冷却工程とを含み、前記冷却工程にて、前記冷却装置の使用開始時点と前記使用開始時点から全使用期間の50%の期間が経過した時点との間の期間(以下、「使用開始側の50%の期間」ともいう。)に、前記冷却装置の使用終了時点から全使用期間の50%の期間遡った時点と前記使用終了時点との間の期間(以下、「使用終了側の50%の期間」ともいう。)よりも、前記冷却装置への冷媒の供給量を少なくし、及び/又は、前記冷却装置に供給する冷媒の温度を高くするというものである。上記の「使用開始時点」とは、凝縮工程で得られた粗四塩化チタン液から分離した一部の粗四塩化チタン液の、冷却装置への供給を開始した時点のことをいう。また、上記の「使用終了時点」とは、操業を停止して冷却装置のメンテナンス又は新品への交換を行う時点のことをいう。ここでは、使用開始側の50%の期間、及び、使用終了側の50%の期間のそれぞれの期間における冷却装置への冷媒の供給量の平均値、及び/又は、冷却装置に供給する冷媒の温度の平均値を算出し、使用開始側の50%の期間と使用終了側の50%の期間でのそれらの平均値の大小関係を確認する。冷媒の供給量や冷媒の温度の測定間隔は、その測定に使用する機器によるが、たとえば1秒程度とある程度短い間隔であれば十分高い精度の平均値を算出することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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