特許ウォッチ

公開番号2025002256
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023102306
出願日2023-06-22
発明の名称ひげ持ち、ひげ持ち付きひげゼンマイ、その製造方法、テンプ、および、時計
出願人セイコーエプソン株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類G04B 17/32 20060101AFI20241226BHJP(時計)
要約【課題】製造効率に優れ、接着剤の脱落を防止し得るひげ持ちを提供すること。
【解決手段】ひげ持ちは、円柱状をなした支持部と、前記支持部の上に設けられ、ひげゼンマイを入れて固定するためのスリット部を有するひげ受け部と、を含み、前記ひげ受け部は、前記円柱の中心を通る中心線を中心にした円錐台状をなしており、前記支持部と前記ひげ受け部との間には、外周にくびれを形成する溝が設けられており、前記スリット部は、前記円錐台状の前記ひげ受け部における上面から底面に向けて形成された切り欠き部であり、前記溝の一部にまで入り込んでいる。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項１】
円柱状をなした支持部と、
前記支持部の上に設けられ、ひげゼンマイを入れて固定するためのスリット部を有するひげ受け部と、を含み、
前記ひげ受け部は、前記円柱の中心を通る中心線を中心にした円錐台状をなしており、
前記支持部と前記ひげ受け部との間には、外周にくびれを形成する溝が設けられており、
前記スリット部は、前記円錐台状の前記ひげ受け部における上面から底面に向けて形成された切り欠き部であり、前記溝の一部にまで入り込んでいる、
ひげ持ち。
続きを表示（約 1,100 文字）【請求項２】
前記溝は、前記中心線と平行で、前記溝の底部となる第１面と、
前記第１面と交差し、前記ひげ受け部側に位置する第２面と、
前記第１面と交差し、前記支持部側に位置する第３面と、を含み、
前記第３面は、前記支持部の上面に平行、または、前記中心線の下側に傾いている、
請求項１に記載のひげ持ち。
【請求項３】
前記スリット部の底面は、前記溝の前記第３面よりも上に位置する、
請求項２に記載のひげ持ち。
【請求項４】
前記溝は、前記円柱の外周に沿って一周している、
請求項１に記載のひげ持ち。
【請求項５】
前記溝は、前記スリット部の底面を含む第１溝と、
前記第１溝よりも上に位置し、前記スリット部により分割された第２溝と、の２本である、
請求項３に記載のひげ持ち。
【請求項６】
前記溝は、前記円柱の外周に沿って、らせん状に少なくとも一周している、
請求項１に記載のひげ持ち。
【請求項７】
ひげゼンマイの端部をひげ持ちに接着剤で接合したひげ持ち付きひげゼンマイであって、
前記ひげ持ちには、前記ひげゼンマイの端部を入れて固定するためのスリット部と、外周に形成された溝と、が設けられており、
前記スリット部は、前記溝の一部にまで入り込んでおり、
前記接着剤は、前記スリット部、および、前記溝まで含めて存在している、
ひげ持ち付きひげゼンマイ。
【請求項８】
請求項７に記載のひげ持ち付きひげゼンマイと、
受け部材に回転自在に支持されたテン真と、
前記テン真に固定されたテン輪と、
前記テン真に固定されたひげ玉と、を有する、
テンプ。
【請求項９】
請求項８に記載の前記テンプと、
前記テンプを有するムーブメントと、を備えた、
時計。
【請求項１０】
ひげゼンマイの端部を入れて固定するためのスリット部と、外周に形成された溝とを備えたひげ持ちを準備する工程と、
前記スリット部に前記ひげゼンマイの端部を入れた状態で、前記スリット部の内部に接着剤を充填する工程と、
前記接着剤を硬化させる硬化工程と、を含み、
前記接着剤の充填工程では、前記接着剤が前記溝にも入り込むように充填し、
前記硬化工程では、前記接着剤が前記溝に存在した状態で硬化させる、
ひげ持ち付きひげゼンマイの製造方法。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ひげ持ち、ひげ持ち付きひげゼンマイ、その製造方法、テンプ、および、当該テンプを備えた時計に関する。
続きを表示（約 1,600 文字）【背景技術】
【０００２】
機械式時計は、調速機構にひげゼンマイを用いている。うずまき状のバネからなるひげゼンマイで運針精度を保つという性質上、ひげゼンマイの端部をひげ持ちに接着固定した後に、ひげゼンマイに直接触れて調整する場合がある。この際、固定強度が不足しているとひげゼンマイがひげ持ちから外れる懸念があった。このため、ひげゼンマイの端部をひげ持ちに強固に接着する技術が提案されている。
【０００３】
例えば、特許文献１には、ひげ持ちのひげゼンマイの端部がセットされるスリット部において、スリット部の側壁に貫通穴を開け、スリット部内部に接着剤を充填することにより、当該接着剤が貫通穴にも充填される構成としている（例えば、図１Ｃ）。これにより、接着剤が硬化すると、貫通穴内の接着剤が係止部となり、接着剤がスリット部から脱落することを防止していた。また、貫通穴に替えて、スリット部の側壁の下部に、切欠き部を形成することでも良いとしている（例えば、図２Ｄ）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２０１９－２００１９９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１のひげ持ちでは、構造が複雑で加工工数が多いという課題があった。詳しくは、円柱状をなしたひげ持ちは円周方向の加工が基本となるが、直線状のスリット部の加工は別加工となり、スリット部の側壁への穴開けは、さらに別加工となるため、加工工数が多く、製造効率が良くなかった。
つまり、製造効率に優れ、接着剤の脱落を防止し得るひげ持ちが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本願の一態様に係るひげ持ちは、円柱状をなした支持部と、前記支持部の上に設けられ、ひげゼンマイを入れて固定するためのスリット部を有するひげ受け部と、を含み、前記ひげ受け部は、前記円柱の中心を通る中心線を中心にした円錐台状をなしており、前記支持部と前記ひげ受け部との間には、外周にくびれを形成する溝が設けられており、前記スリット部は、前記円錐台状の前記ひげ受け部における上面から底面に向けて形成された切り欠き部であり、前記溝の一部にまで入り込んでいる。
【０００７】
本願の一態様に係るひげ持ち付きひげゼンマイは、ひげゼンマイの端部をひげ持ちに接着剤で接合したひげ持ち付きひげゼンマイであって、前記ひげ持ちには、前記ひげゼンマイの端部を入れて固定するためのスリット部と、外周に形成された溝と、が設けられており、前記スリット部は、前記溝の一部にまで入り込んでおり、前記接着剤は、前記スリット部、および、前記溝まで含めて存在している。
【０００８】
本願の一態様に係るひげ持ち付きひげゼンマイの製造方法は、ひげゼンマイの端部を入れて固定するためのスリット部と、外周に形成された溝とを備えたひげ持ちを準備する工程と、前記スリット部に前記ひげゼンマイの端部を入れた状態で、前記スリット部の内部に接着剤を充填する工程と、前記接着剤を硬化させる硬化工程と、を含み、前記接着剤の充填工程では、前記接着剤が前記溝にも入り込むように充填し、前記硬化工程では、前記接着剤が前記溝に存在した状態で硬化させる。
【０００９】
本願の一態様に係るテンプは、上記のひげ持ち付きひげゼンマイと、受け部材に回転自在に支持されたテン真と、前記テン真に固定されたテン輪と、前記テン真に固定されたひげ玉と、を有する。
【００１０】
本願の一態様に係る時計は、上記テンプと、前記テンプを有するムーブメントと、を備える。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許