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公開番号
2024144687
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2024126512,2022155179
出願日
2024-08-02,2014-01-17
発明の名称
時計ムーブメントのための部品
出願人
オメガ・エス アー
代理人
個人
,
個人
主分類
G04B
17/06 20060101AFI20241003BHJP(時計)
要約
【課題】 磁場に対する感受性を制限し、並びに耐磨耗性及び耐衝撃性の要求に適合する
硬度を達成する枢動ピンを提供する。
【解決手段】 各端部にホゾ3を含む金属製枢動ピンに関し、金属は、ピンの磁場に対す
る感受性を制限するためにオーステナイト系鋼、オーステナイト系コバルト合金又はオー
ステナイト系ニッケル合金であること、及び2つのホゾのうちの一方の少なくとも外側表
面5は、1つ又は複数のホゾ3を硬化するために、ピンの残りの部分に対して所定の深さ
まで硬化されることを特徴とする。
【選択図】 図2
特許請求の範囲
【請求項1】
時計ムーブメントのための金属製枢動ピンであって、
前記枢動ピンは、端部の少なくとも一方に少なくとも1つのホゾを含み、
前記金属は、前記枢動ピンの磁場に対する感受性を制限するために、オーステナイト系
鋼、オーステナイト系コバルト合金又はオーステナイト系ニッケル合金であること、及び
前記少なくとも1つのホゾ(3)の少なくとも外側表面(5)は、前記枢動ピンの中心
部に対して所定の深さまで、炭素及び/または窒素の格子間原子を介することによって窒
化クロム及び/又は炭化クロムを形成することなく硬化される硬化層を含むことを特徴と
する、枢動ピン。
続きを表示(約 750 文字)
【請求項2】
時計ムーブメントのための金属製枢動ピンを製造する方法であって、以下のステップ:
a)磁場に対する感受性を制限するために、オーステナイト系鋼、オーステナイト系コ
バルト合金又はオーステナイト系ニッケル合金の基材から、前記枢動ピンの少なくとも1
つの端部に少なくとも1つのホゾ(3)を含む前記枢動ピンを形成するステップ;
b)前記ホゾ(3)を硬化するために、前記少なくとも1つのホゾ(3)の少なくとも
外側表面において所定の深さまで炭素及び/または窒素原子を格子間位置に拡散させるこ
とによって窒化クロム及び/又は炭化クロムの形成が無視できる硬化層を形成するステッ
プ
を含む方法。
【請求項3】
時計ムーブメントのための金属製枢動ピンを製造する方法であって、以下のステップ:
a)磁場に対する感受性を制限するために、少なくとも16.5%のCr及び10%の
Niを含むオーステナイト系クロム-ニッケルステンレス鋼、少なくとも39%のコバル
トを含むオーステナイト系コバルト鋼、少なくとも33%のニッケルを含むオーステナイ
ト系ニッケル鋼を含む群から選択された金属の基材から、前記枢動ピンの少なくとも1つ
の端部に少なくとも1つのホゾ(3)を含む前記枢動ピンを形成するステップ;
b)前記ホゾ(3)を硬化するために、前記少なくとも1つのホゾ(3)の少なくとも
外側表面において所定の深さまで原子を格子間位置に拡散させることによって窒化クロム
及び/又は炭化クロムの形成による耐腐食性の影響を低減する硬化層を形成するステップ
を含む方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は時計ムーブメントのための部品に関し、具体的には機械式時計ムーブメントの
ための非磁性枢動ピンに関し、更に具体的には非磁性天真、アンクル真及び脱進機ピニオ
ンに関する。
続きを表示(約 2,000 文字)
【背景技術】
【0002】
時計用枢動ピンの製造は、様々な作用表面(肩部、突出部分、ホゾ等)を画定するため
に、硬化性の棒鋼に棒材旋削加工を実施することと、続いて棒材を旋削したピンを、ピン
の硬度を改善するための少なくとも1回の焼入れ作業及び粗度を改善するための1回又は
複数回の焼戻し作業を含む熱処理に供することとからなる。熱処理作業の後にはピンのホ
ゾの圧延作業が続き、この圧延作業はホゾを所望の寸法に研磨することからなる。圧延作
業により、ホゾの硬度及び粗度も改善される。圧延作業は極めて困難であり、低硬度即ち
600HV未満の硬度を有する材料では達成不可能でさえあることに留意されたい。
【0003】
機械式時計ムーブメントにおいて従来使用される枢動ピン、例えば天真は、棒材旋削可
能な鋼種から作製され、これらは一般に被削性を改善するために硫化鉛及び硫化マンガン
を含むマルテンサイト系炭素鋼である。このような用途には、20APと呼ばれるこのタ
イプの公知の鋼が典型的に用いられる。
【0004】
このタイプの材料は、機械加工が容易であるという利点、特に棒材旋削に適していると
いう利点を有し、焼入れ及び焼戻し後に、時計の枢動ピンを作製するのに極めて有利であ
る優れた機械的性質を有する。これらの鋼は特に、熱処理後に優れた耐摩耗性及び硬度を
有する。典型的には、20AP鋼製のピンのホゾの硬度は、熱処理及び圧延後に700H
Vを超え得る。
【0005】
このタイプの材料は上で説明した時計への応用のための十分な機械的性質を提供するが
、この材料は磁性であり、特に強磁性材料製のヒゲゼンマイと協働する天真を作製するた
めにこの材料を使用すると、磁場にさらされた後で腕時計の動作が中断され得るという欠
点を有する。この現象は当業者にはよく知られており、例えば非特許文献1に記載されて
いる。これらのマルテンサイト系鋼は腐食に対しても繊細であることにも留意すべきであ
る。
【0006】
非磁性、即ち常磁性又は反磁性又は反強磁性であるという特性を有するオーステナイト
系ステンレス鋼を用いて、このような欠点を克服するための試みがなされてきた。しかし
ながら、これらオーステナイト系ステンレス鋼は結晶構造を有し、これは、オーステナイ
ト系ステンレス鋼が硬化できないか、又は時計の枢動ピンを作製するために必要な要件に
適合する硬度ひいては耐摩耗性を達成できないことを意味する。これら鋼の硬度を増大さ
せる1つの手段は冷間加工であるが、この硬化作業では500HV超の硬度を達成できな
い。従って、摩擦による摩耗に対する高い耐性を必要とする部品及び変形のリスクが殆ど
ないか又は変形のリスクが全くないホゾのために、このタイプの鋼を使用することには依
然として制限がある。
【0007】
このような欠点を克服することを目的とした別のアプローチは、ダイヤモンド様炭素(
DLC)等の材料の硬化層を枢動ピンに蒸着することからなる。しかしながら、硬化層の
層間剥離の有意なリスクが観察され、結果として腕時計ムーブメント内を移動して時計の
動作を中断し得るデブリの形成が観察されたため、これは不十分である。
【0008】
オーステナイト系ステンレス鋼の欠点を克服するために、更に別のアプローチ、即ち窒
化、浸炭又は浸炭窒化による枢動ピンの表面硬化が考案されている。しかしながらこれら
の処理では、窒素及び/又は炭素が鋼中のクロムと反応し、窒化クロム及び/又は炭化ク
ロムが形成されることにより、クロムマトリクスの局所的な消耗が生じるため、耐腐食性
が有意に低下することが知られており、これが望ましい時計への応用を困難にしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
Bulletin Annuel Suisse de Chromometrie 第1巻、52~74ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、磁場に対する感受性を制限し、並びに時計産業において必須である耐
摩耗性及び耐衝撃性の要求に適合する改善された硬度を達成することができる枢動ピンを
提案することにより、上述の欠点の全部又は一部を克服することである。
(【0011】以降は省略されています)
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