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公開番号
2024178406
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-24
出願番号
2024166625,2021516328
出願日
2024-09-25,2020-04-27
発明の名称
熱電変換素子及び熱電変換装置
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人ドライト国際特許事務所
主分類
H10N
15/20 20230101AFI20241217BHJP()
要約
【課題】安価で無毒な材料からなる熱電変換素子及び熱電変換装置を提供する。
【解決手段】熱電変換素子は、組成式がFe
3
Xで表され、Xが典型元素若しくは遷移元素であるストイキオメトリックな組成の第1物質(Fe
3
Alなど)、第1物質からFeとXとの組成比がずれたオフ・ストイキオメトリックな組成の第2物質、第1物質のFeサイトの一部若しくは第2物質のFeサイトの一部をX以外の典型金属元素若しくは遷移元素で置換した第3物質、組成式がFe
3
M1
1-x
M2
x
(0<x<1)で表され、M1及びM2が互いに異なる典型元素である第4物質、又は第1物質のFeサイトの一部をX以外の遷移元素で置換し、Xのサイトの一部をX以外の典型金属元素で置換した第5物質からなる。第1物質、第2物質、第3物質、第4物質及び第5物質は異常ネルンスト効果を示す。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
組成式がFe
3
Xで表され、前記Xが典型元素若しくは遷移元素であるストイキオメトリックな組成の第1物質、
前記第1物質からFeと前記Xとの組成比がずれたオフ・ストイキオメトリックな組成の第2物質、
前記第1物質のFeサイトの一部若しくは前記第2物質のFeサイトの一部を前記X以外の典型金属元素若しくは遷移元素で置換した第3物質、
組成式がFe
3
M1
1-x
M2
x
(0<x<1)で表され、前記M1及び前記M2が互いに異なる典型元素である第4物質、又は
前記第1物質のFeサイトの一部を前記X以外の遷移元素で置換し、前記Xのサイトの一部を前記X以外の典型金属元素で置換した第5物質からなり、
前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質、前記第4物質及び前記第5物質は、異常ネルンスト効果を示す、熱電変換素子。
続きを表示(約 850 文字)
【請求項2】
前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質、前記第4物質又は前記第5物質は、ネルンスト係数が、室温を含む所定の温度範囲において一定である、請求項1に記載の熱電変換素子。
【請求項3】
前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質、前記第4物質又は前記第5物質は単結晶体である、請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
【請求項4】
前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質、前記第4物質又は前記第5物質は多結晶体である、請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
【請求項5】
前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質、前記第4物質又は前記第5物質はアモルファスである、請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
【請求項6】
前記Xは、Al、Ga、Ge、Sn、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Sc、Ni、Mn、又はCoである、請求項1~5の何れか1項に記載の熱電変換素子。
【請求項7】
厚さが10μm以下の薄膜である、請求項1~6の何れか1項に記載の熱電変換素子。
【請求項8】
基板と、
前記基板の上に設けられ、複数の熱電変換素子を有する発電体と、を備え、
前記複数の熱電変換素子の各々は、一方向に延在した形状をなし、且つ請求項1~7のいずれか1項に記載の熱電変換素子と同一の物質からなり、
前記複数の熱電変換素子は、前記一方向と垂直な方向に並列に配置され、電気的に直列に接続されている、熱電変換装置。
【請求項9】
前記複数の熱電変換素子は、蛇行状に配列されている、請求項8に記載の熱電変換装置。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱電変換素子と、
中空部材と、を備え、
前記熱電変換素子は、シート状の構造又は線材であり、前記中空部材の外表面を覆うように設けられている、熱電変換装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換素子、及び熱電変換素子を備えた熱電変換装置に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
物質に温度勾配を与えると電圧が発生する熱電機構として、ゼーベック効果(Seebeck effect)が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ゼーベック効果を用いた熱電機構において、室温以上で使用可能な材料は、ビスマス、テルル又は鉛等を主原料とするものであり、毒性が高いため、実用には向かない上に、機械的に脆弱で振動に弱く耐久性がない。また、ゼーベック効果では、温度勾配と同じ方向に電圧が生じることから、熱源表面から垂直方向にp型モジュールとn型モジュールとを交互に設けた立体的で複雑な構造に作製する必要があるため、製造コストが高い。また、このような立体的な素子を大面積に展開することは困難である。
【0003】
同じく、温度勾配によって電圧を発生させる熱電機構として、異常ネルンスト効果(Anomalous Nernst effect)が知られている。異常ネルンスト効果とは、磁性体に熱流を流して温度差が生じたときに、磁化方向と温度勾配の双方に直交する方向に電圧が生じる現象である。近年になって、電子構造のトポロジーを利用することにより、ネルンスト係数がこれまで知られていた値(0.1μV/K)よりもはるかに増大することがわかってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2016/181777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまで、異常ネルンスト効果を示す様々な磁性材料が開発されてきたものの、比較的高価な金属が使われているため、コスト高になるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、安価で無毒な材料からなる熱電変換素子及び熱電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る熱電変換素子は、組成式がFe
3
Xで表され、Xが典型元素若しくは遷移元素であるストイキオメトリックな組成の第1物質、第1物質からFeと前記Xとの組成比がずれたオフ・ストイキオメトリックな組成の第2物質、第1物質のFeサイトの一部若しくは第2物質のFeサイトの一部を前記X以外の典型金属元素若しくは遷移元素で置換した第3物質、組成式がFe
3
M1
1-x
M2
x
(0<x<1)で表され、M1及びM2が互いに異なる典型元素である第4物質、又は第1物質のFeサイトの一部をX以外の遷移元素で置換し、Xのサイトの一部をX以外の典型金属元素で置換した第5物質からなる。第1物質、第2物質、第3物質、第4物質及び第5物質は、異常ネルンスト効果を示す。
【0008】
本発明の一実施形態に係る熱電変換装置は、基板と、前記基板の上に設けられ、複数の熱電変換素子を有する発電体と、を備える。複数の熱電変換素子の各々は、一方向に延在した形状をなし、且つ上記の第1物質、第2物質、第3物質、第4物質又は第5物質からなる。複数の熱電変換素子は、前記一方向と垂直な方向に並列に配置され、電気的に直列に接続されている。
【0009】
本発明の他の実施形態に係る熱電変換装置は、上記の熱電変換素子と中空部材とを備える。熱電変換素子は、シート状の構造又は線材であり、中空部材の外表面を覆うように設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安価で無毒な物質から熱電変換素子によって、異常ネルンスト効果を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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