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公開番号2024176941
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095837
出願日2023-06-09
発明の名称天然型クロロフィルを含む抽出液の製造方法
出願人学校法人甲南学園,大倉工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C07D 487/22 20060101AFI20241212BHJP(有機化学)
要約【課題】本発明の課題は、天然型クロロフィルを含む抽出液を簡便な操作で製造する方法を提供することである。
【解決手段】一般式(1)で示される化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物体又は藻類を抽出処理する工程を含む、クロロフィルを含む抽出液の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
一般式(1)で示される化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物体又は藻類を抽出処理する工程を含む、クロロフィルを含む抽出液の製造方法。
TIFF
2024176941000010.tif
29
121
[一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
は、それぞれ同一又は異なるアルキル基を示し、且つR
1
、R
2
、及びR
3
のアルキル基の合計炭素数が3~15であり、R
4
は、炭素数1~5のアルキレン基であり、Q
-
は、基-COO
-
又は基-SO
3
-
である。]
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
が、炭素数4又は5のアルキル基であり、且つR
4
が炭素数1~3のアルキレン基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記水溶液中の一般式(1)で示される化合物の濃度が0.3~10.0Mである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
一般式(1)で示される化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物部位又は藻類を抽出処理することにより得られる、クロロフィルを含む抽出液。
TIFF
2024176941000011.tif
29
121
[一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
は、それぞれ同一又は異なるアルキル基を示し、且つR
1
、R
2
、及びR
3
のアルキル基の合計炭素数が3~15であり、R
4
は、炭素数1~5のアルキレン基であり、Q
-
は、基-COO
-
又は基-SO
3
-
である。]
【請求項5】
一般式(1)で示される化合物を含む水溶液からなる、植物部位又は藻類からクロロフィルを抽出するための抽出溶媒。
TIFF
2024176941000012.tif
29
121
[一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
は、それぞれ同一又は異なるアルキル基を示し、且つR
1
、R
2
、及びR
3
のアルキル基の合計炭素数が3~15であり、R
4
は、炭素数1~5のアルキレン基であり、Q
-
は、基-COO
-
又は基-SO
3
-
である。]
【請求項6】
固形状のクロロフィルの製造方法であって、
請求項1に記載のクロロフィルを含む抽出液を水で希釈することによりクロロフィルの沈殿を生じさせる工程、及び
前記沈殿を回収する工程を含む、前記製造方法。
【請求項7】
抽出液を水で希釈することにより、前記抽出液に含まれる一般式(1)で示される化合物の濃度を1.3M以下にする、請求項6に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、天然型クロロフィルを含む抽出液を簡便な操作で製造する方法、及び固形状の天然型クロロフィルを簡便な操作で製造する方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
クロロフィルは、植物の葉や藻類等に含まれる緑色の色素であり、葉緑素とも称されている。クロロフィルには、アンチエイジング、コレステロール値の低下、抗アレルギー作用、新陳代謝促進、ダイエット効果、肌荒れ改善、脱臭作用、腸内環境改善、体内の有害ミネラル排出、造血促進、がん予防等の効果が知られており、食品、化粧品、医薬品等の素材として注目されている。
【0003】
クロロフィルは、人工型と天然型に大別される。人工型クロロフィルは、中心金属を銅や鉄に置き換えてアルカリや酸等を用いて抽出及び精製するため、製造は容易であるが、抽出及び精製の過程で本来あるべき側鎖の切断等が生じており、クロロフィルが本来有する機能が減弱又は喪失している。一方、天然型クロロフィルは、自然界に存在する構造を維持しているため、人工型クロロフィルに比べて機能性の点で優れているが、抽出及び精製に高度な技術を要するため、工業的な生産が困難であり、流通量が少ない。
【0004】
そこで、従来、天然型クロロフィルを効率的に抽出する技術について、種々検討されている。例えば、特許文献1では、クロレラに80~100%エタノールを処理し、クロロフィルaを抽出した後に、得られた抽出液にジオキサンを添加し、クロロフィルaの沈殿を誘導することにより、クロロフィルaを効率的に製造できることが記載されている。しかしながら、特許文献1の手法では、高濃度のエタノールを用い、しかもクロロフィルの回収にはジオキサンの使用が必要であり、環境に配慮した技術とはいえない点で欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2010―509207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天然型クロロフィルを含む抽出液を簡便な操作で製造する方法を提供することを課題とする。また、本発明は、固形状の天然型クロロフィルを簡便な操作で製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、特定の構造の化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物体又は藻類を抽出処理することにより、天然型クロロフィルを効率的に抽出できることを見出した。更に、本発明者は、前記手法で得られた抽出液を水で希釈することにより天然型クロロフィルが沈殿し、固形状の天然型クロロフィルとして簡便に回収できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 一般式(1)で示される化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物体又は藻類を抽出処理する工程を含む、クロロフィルを含む抽出液の製造方法。
TIFF
2024176941000001.tif
29
121
[一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
は、それぞれ同一又は異なるアルキル基を示し、且つR
1
、R
2
、及びR
3
のアルキル基の合計炭素数が3~15であり、R
4
は、炭素数1~5のアルキレン基であり、Q
-
は、基-COO
-
又は基-SO
3
-
である。]
項2. 前記一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
が、炭素数4又は5のアルキル基であり、且つR
4
が炭素数1~3のアルキレン基である、項1に記載の製造方法。
項3. 前記水溶液中の一般式(1)で示される化合物の濃度が0.3~10.0Mである、項1又は2に記載の製造方法。
項4. 一般式(1)で示される化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物部位又は藻類を抽出処理することにより得られる、クロロフィルを含む抽出液。
TIFF
2024176941000002.tif
29
121
[一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
は、それぞれ同一又は異なるアルキル基を示し、且つR
1
、R
2
、及びR
3
のアルキル基の合計炭素数が3~15であり、R
4
は、炭素数1~5のアルキレン基であり、Q
-
は、基-COO
-
又は基-SO
3
-
である。]
項5. 一般式(1)で示されるカルボキシベタインを含む水溶液からなる、植物部位又は藻類からクロロフィルを抽出するための抽出溶媒。
TIFF
2024176941000003.tif
29
121
[一般式(1)において、R
1
、R
2
、及びR
3
は、それぞれ同一又は異なるアルキル基を示し、且つR
1
、R
2
、及びR
3
のアルキル基の合計炭素数が3~15であり、R
4
は、炭素数1~5のアルキレン基であり、Q
-
は、基-COO
-
又は基-SO
3
-
である。]
項6. 固形状のクロロフィルの製造方法であって、
項1に記載のクロロフィルを含む抽出液を水で希釈することによりクロロフィルの沈殿を生じさせる工程、及び
前記沈殿を回収する工程を含む、前記製造方法。
項7. 抽出液を水で希釈することにより、前記抽出液に含まれる一般式(1)で示される化合物の濃度を1.3M以下にする、項6に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一般式(1)で示される化合物を含む水溶液を抽出溶媒として使用し、クロロフィルを含む植物体又は藻類を抽出処理することにより、クロロフィルを効率的に抽出することができる。更に、前記抽出溶媒を使用して得られた抽出液を水で希釈することによりクロロフィルの沈殿を生じさせることができるので、固形状のクロロフィルを簡便な操作で回収することができる。本発明のクロロフィルを含む抽出液の製造方法は、エタノール等を使用せずとも難水溶性のクロロフィルを抽出及び回収できることから環境負荷の小さいクロロフィルの抽出技術と言える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
2.0Mのカルボキシベタイン5(一般式(1)においてR
1
~R
3
が直鎖状ペンチル基、R
4
がメチレン基、且つQ
-
が基-COO
-
である化合物である化合物)水溶液を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルを抽出した抽出液のUVスペクトルである。図1において、縦軸の吸光度は、実測された吸光度の値に、測定に供した抽出液の希釈倍率をかけた値である。
0~2.4Mのカルボキシベタイン5水溶液を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
0~2.0Mのカルボキシベタイン4水溶液を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
カルボキシベタイン5水溶液を用いて、4~80℃でモリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
カルボキシベタイン5水溶液を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を10分~3時間行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
カルボキシベタイン5水溶液300μLを用いて、モリンガの葉の乾燥粉末1~40mgからクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
エタノール、アセトン、酢酸エチル、又はカルボキシベタイン5を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
2.0Mのカルボキシベタイン5水溶液を用いてモリンガの葉の乾燥粉末から抽出された抽出液を蒸留水で1.5~50倍に希釈し、生成した沈殿物量を測定した結果である。
2.0Mのカルボキシベタイン4(一般式(1)においてR
1
~R
3
がn-ブチル基、R
4
がメチレン基、且つQ
-
が基-COO
-
である化合物)水溶液を用いてモリンガの葉の乾燥粉末から抽出された抽出液を蒸留水で1.5~12.5倍に希釈し、生成した沈殿物量を測定した結果である。
2.0Mのカルボキシベタイン5水溶液を用いてモリンガの葉の乾燥粉末から抽出された抽出液を蒸留水で4倍に希釈して1~26時間静置した後に、生成した沈殿物量を測定した結果である。
2.0Mのカルボキシベタイン5水溶液を用いてクロレラの乾燥粉末から抽出された抽出液を蒸留水で1.5~12.5倍に希釈し、生成した沈殿物量を測定した結果である。
0~2.0Mのスルホベタイン4(一般式(1)において、R
1
~R
3
がn-ブチル基、R
4
がプロピレン基、且つQ
-
が基-SO
3
-
である化合物)水溶液を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
0~2.0Mのスルホベタイン5(一般式(1)において、R
1
~R
3
が直鎖状ペンチル基、R
4
がプロピレン基、且つQ
-
が基-SO
3
-
である化合物)水溶液を用いて、モリンガの葉の乾燥粉末からクロロフィルの抽出処理を行い、抽出液に含まれるクロロフィル由来の665nmの吸光度を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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