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公開番号
2024175362
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-18
出願番号
2023093088
出願日
2023-06-06
発明の名称
繊維シート及びその製造方法
出願人
国立大学法人 東京大学
,
第一工業製薬株式会社
代理人
弁理士法人蔦田特許事務所
主分類
D21H
11/20 20060101AFI20241211BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約
【課題】紙などの繊維シートの強度を向上する。
【解決手段】実施形態に係る繊維シートは、下記(A)~(C)の条件を満たすセルロース繊維を含み、繊維シートに含まれる全セルロース繊維の内、(A)~(C)を満たすセルロース繊維の割合が50質量%以上である。
(A)アニオン性官能基を有し、その少なくとも一部が塩型である
(B)数平均繊維幅が1μm以上
(C)セルロース繊維濃度0.2質量%の20℃に調整された水懸濁液を目開き60μmのフィルターを用いてろ過した際に、ろ液中のセルロース繊維の含有量が0.06質量%以下
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記の(A)~(C)の条件を満たすセルロース繊維を含む繊維シートであって、当該繊維シートに含まれる全セルロース繊維の内、前記(A)~(C)の条件を満たすセルロース繊維の割合が50質量%以上である、繊維シート。
(A)アニオン性官能基を有し、その少なくとも一部が塩型である
(B)数平均繊維幅が1μm以上
(C)セルロース繊維濃度0.2質量%の20℃に調整された水懸濁液を目開き60μmのフィルターを用いてろ過した際に、ろ液中のセルロース繊維の含有量が0.06質量%以下
続きを表示(約 670 文字)
【請求項2】
波長600nmの全光透過率が70%以上である、請求項1に記載の繊維シート。
【請求項3】
引張強度が100MPa以上である、請求項1に記載の繊維シート。
【請求項4】
前記セルロース繊維のアニオン性官能基の量が1.5~2.5mmol/gである、請求項1に記載の繊維シート。
【請求項5】
前記セルロース繊維のアニオン性官能基がカルボキシ基である、請求項1に記載の繊維シート。
【請求項6】
前記セルロース繊維は繊維表面に外部フィブリル化した毛羽を持つ、請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維シート。
【請求項7】
アニオン性官能基を有するセルロース繊維が水に懸濁した懸濁液を調製する工程、
前記懸濁液のpHを5.0以上に調整する工程、及び、
pH5.0以上の前記懸濁液をろ過してシート化する工程、を含み、
pH5.0以上の条件で前記セルロース繊維を叩解する工程を含まない、繊維シートの製造方法。
【請求項8】
アニオン性官能基を有するセルロース繊維が水に懸濁した懸濁液を調製する工程、
pH5.0未満の条件で前記セルロース繊維を叩解する工程、
叩解後に前記懸濁液のpHを5.0以上に調整する工程、及び、
pH5.0以上の前記懸濁液をろ過してシート化する工程、を含み、
pH5.0以上の条件で前記セルロース繊維を叩解する工程を含まない、繊維シートの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維シート及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)
【背景技術】
【0002】
繊維シート、例えば紙は、一般に、パルプを叩解し、叩解したパルプを含む紙料を抄紙することにより製造される。かかる抄紙工程において、乾燥時にパルプ間結合が生じ、繊維間に空隙ができる。この空隙の存在により紙は強度が低く、また空隙での光の散乱により紙は白くなる。
【0003】
紙の強度等の物理的特性を向上するために、セルロース繊維を微細化したセルロースナノファイバーを紙に添加することが知られている。しかしながら、セルロースナノファイバーは製造コストが高いなどの問題がある。そのため、セルロースナノファイバーよりも解繊の程度の低いフィブリル化された化学変性セルロース繊維を用いることが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1及び2には、平均繊維幅が500nm以上であるフィブリル化された化学変性セルロース繊維であって、化学変性としてカルボキシ基が導入されたものが開示されている。しかしながら、特許文献1,2に記載の化学変性セルロース繊維は、例えば製紙用添加剤として用いられるものであり、当該化学変性セルロース繊維を主たるセルロース繊維として用いて繊維シートを作製することは開示されていない。
【0005】
一方、特許文献3には、原料パルプにTEMPO酸化パルプを化学変性パルプとして添加して混合パルプを調製し、該混合パルプを叩解して抄紙すること、及び該叩解によりTEMPO酸化パルプが微細化することが記載されている。特許文献3には原料パルプと化学変性パルプの混合率は特に限定されないと記載されているが、具体例としては化学変性パルプを極少量添加した例しか記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2020/195671号
国際公開第2021/054274号
国際公開第2019/189615号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、アニオン変性セルロース繊維を主たるセルロース繊維として用いた強度に優れる繊維シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
[1] 下記の(A)~(C)の条件を満たすセルロース繊維を含む繊維シートであって、当該繊維シートに含まれる全セルロース繊維の内、前記(A)~(C)の条件を満たすセルロース繊維の割合が50質量%以上である、繊維シート。
(A)アニオン性官能基を有し、その少なくとも一部が塩型である
(B)数平均繊維幅が1μm以上
(C)セルロース繊維濃度0.2質量%の20℃に調整された水懸濁液を目開き60μmのフィルターを用いてろ過した際に、ろ液中のセルロース繊維の含有量が0.06質量%以下
[2] 波長600nmの全光透過率が70%以上である、[1]に記載の繊維シート。
[3] 引張強度が100MPa以上である、[1]又は[2]に記載の繊維シート
[4] 前記セルロース繊維のアニオン性官能基の量が1.5~2.5mmol/gである、[1]~[3]のいずれか1項に記載の繊維シート。
[5] 前記セルロース繊維のアニオン性官能基がカルボキシ基である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の繊維シート。
[6] 前記セルロース繊維は繊維表面に外部フィブリル化した毛羽を持つ、[1]~[5]のいずれか1項に記載の繊維シート。
【0009】
[7] アニオン性官能基を有するセルロース繊維が水に懸濁した懸濁液を調製する工程、
前記懸濁液のpHを5.0以上に調整する工程、及び、
pH5.0以上の前記懸濁液をろ過してシート化する工程、を含み、
pH5.0以上の条件で前記セルロース繊維を叩解する工程を含まない、紙の製造方法。
[8] アニオン性官能基を有するセルロース繊維が水に懸濁した懸濁液を調製する工程、
pH5.0未満の条件で前記セルロース繊維を叩解する工程、
叩解後に前記懸濁液のpHを5.0以上に調整する工程、及び、
pH5.0以上の前記懸濁液をろ過してシート化する工程、を含み、
pH5.0以上の条件で前記セルロース繊維を叩解する工程を含まない、紙の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態であると、アニオン変性セルロース繊維を主たるセルロース繊維として用いた強度に優れる繊維シート、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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