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公開番号
2024175107
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-17
出願番号
2024162329,2020016592
出願日
2024-09-19,2020-02-03
発明の名称
腸上皮様細胞及びその作製方法
出願人
国立大学法人大阪大学
,
北海道公立大学法人 札幌医科大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/071 20100101AFI20241210BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】薬物動態の評価に適用可能な、薬物代謝酵素や薬物トランスポーターが発現する優れた腸上皮様細胞を提供する。より詳しくは、入手が困難な初代培養のヒト腸上皮細胞により近い性質を有する腸上皮様細胞及びその作製方法を提供する。
【解決手段】オルガノイド由来細胞を単層培養することによる。得られた単層膜を解析した結果、小腸上皮細胞が有する薬物代謝酵素(各CYP)や薬物トランスポーター(PEPT1、MDR1)等が発現し、タイトジャンクション機能も有する優れた腸上皮様細胞を得た。上記により、薬物動態評価及び/又は薬物毒性評価のために利用可能な腸上皮様細胞を効率良く作製できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の工程を含む、腸上皮様細胞の作製方法:
1)腸管オルガノイドを単一細胞に分離する工程;
2)単一細胞に分離した腸管オルガノイド由来細胞を、培養基材1 cm
2
あたり5.0×10
5
~5.0×10
6
個の細胞播種密度となるように培養基材に播種し、腸管オルガノイド由来細胞を37±1℃、5%CO
2
条件下で培養し、単層膜を作製する工程。
続きを表示(約 800 文字)
【請求項2】
前記2)の単層膜を作製する工程
が、腸管オルガノイド由来細胞の播種後2~14日間培養
する工程である、
請求項1に記載の
腸上皮様細胞の作製方法。
【請求項3】
前記2)の単層膜を作製する工程が、腸管オルガノイド由来細胞の播種後3~7日間培養する工程である、請求項1に記載の腸上皮様細胞の作製方法。
【請求項4】
腸管オルガノイドが小腸由来の腸管オルガノイドである、請求項1に記載の腸上皮様細胞の作製方法。
【請求項5】
小腸由来腸管オルガノイドが十二指腸、空腸又は回腸由来の腸管オルガノイドである、請求項4に記載の腸上皮様細胞の作製方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法で作製された腸上皮様細胞。
【請求項7】
以下の1)及び/または2)のいずれかの特徴を含む請求項6に記載の腸上皮様細胞:
1)薬物代謝酵素遺伝子の発現が、播種開始時のオルガノイド由来細胞に比べて少なくとも10倍以上発現している;
2)薬物排出トランスポーター遺伝子の発現が、播種開始時のオルガノイド由来細胞に比べて少なくとも5倍以上発現している
。
【請求項8】
薬物代謝酵素遺伝子がCYP3A4遺伝子である、請求項
7
に記載の腸上皮様細胞。
【請求項9】
薬物排出トランスポーター遺伝子がMDR1遺伝子である、請求項
7
に記載の腸上皮様細胞。
【請求項10】
さらに、腸上皮様細胞の経上皮膜抵抗値(TEER)が100~1500Ω・cm
2
であることを特徴とする、請求項
7
に記載の腸上皮様細胞。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸管オルガノイド由来の腸上皮様細胞であって、薬物代謝酵素や薬物トランスポーターを発現し、タイトジャンクション機能を有する腸上皮様細胞に関する。さらに腸管オルガノイド由来の腸上皮様細胞の作製方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
経口投与された薬物は最初に小腸において吸収・代謝・排泄を受ける。この吸収・代謝・排泄等の薬物動態には、PEPT1(Peptide transporter 1)などの吸収トランスポーター、CYP3A4(Cytochrome P450 family 3 subfamily A member 4)などの薬物代謝酵素、 P-gp(P糖タンパク質、P-glycoprotein)、BCRP(Breast cancer resistance protein)などの排出トランスポーターが大きな役割を担っている。P-gpをコードする遺伝子をMDR1(ABCB1)といい、BCRPをコードする遺伝子をABCG2という。P-gpは分子量約18万のリン酸化タンパク質であり、細胞膜上に存在して細胞毒性を有する化合物などの細胞外排出を行う。薬物動態をin vitroで評価することは、安全な医薬品を効果的に開発するために重要である。
【0003】
初代培養のヒト腸上皮細胞を入手することは困難であり、また得られた細胞も個体差による性状の違いが問題であった。さらに得られた細胞について、長期に渡って機能を維持しつつ培養することも困難であった。現状のin vitro腸管薬物動態試験には、ラット等の小動物由来腸管組織を用いた腸管反転法や、人工脂質膜を用いた試験、Caco-2細胞をはじめとする細胞株を用いた評価系などが汎用されている。しかしながら、これらの評価系にはヒトとの種差があること、薬物トランスポーターや薬物代謝酵素の発現量が低いこと、癌細胞株特有の遺伝的変異が蓄積していることなどの問題点がある。これらの理由により小腸における薬物代謝・透過性に関し、安定的に試験可能な優れた細胞の入手が困難であった。
【0004】
多能性幹細胞由来の小腸上皮様細胞について報告がある。非特許文献1には世界で初めてヒト多能性幹細胞から小腸様組織を作製したことが報告されている。非特許文献2にはヒト多能性幹細胞から長期間自己複製可能な小腸幹細胞を作製できることが報告されている。非特許文献3にはマウス・ヒト多能性幹細胞から小腸系列の細胞への分化誘導を、GSK-3 Inhibitor IX であるBIO(6-Bromoindirubin-3'-oxime )、γ-secretase inhibitorであるDAPT(N-[(3,5-Difluorophenyl)acetyl]-L-alanyl-2-phenyl]glycine-1,1-dimethylethyl ester)等を用いることで促進できることが報告されている。非特許文献4にはヒト多能性幹細胞から小腸上皮様細胞への分化誘導の試みが報告されている。そして、多能性幹細胞由来の薬物代謝酵素や薬物トランスポーターが発現する優れた小腸上皮様細胞、及び次世代遺伝子治療用ベクターシステムを用いた多能性幹細胞から小腸上皮様細胞への選択的な分化誘導方法について開示がある(特許文献1)。
【0005】
腸管上皮細胞に含まれるLGR5(Leucine-rich repeat-containing G-protein coupled receptor 5)陽性幹細胞をマトリゲル
TM
(Matrigel
TM
)中に包埋し、ニッチ因子と呼ばれる複数の液性因子を培地中に加えて培養し、作製した腸管オルガノイドについて報告がある。腸管オルガノイドは腸管上皮様の機能と構造を有した三次元培養体であり、長期に渡る継代維持が可能である。ヒト生検組織由来腸管オルガノイドの作製は非特許文献5に報告されている。また、腸管オルガノイドを分散させて単一細胞を調製し、当該単一細胞を細胞外マトリクス上で単層培養する方法について報告がある(特許文献2、非特許文献6)。しかしながら、特許文献2に示す細胞はヒト下痢症ウイルスの感染・増殖用の細胞であり、非特許文献6に示す細胞は腸内細菌(Klebsiella pneumoniae)の大腸のバリア機能に及ぼす影響を確認するための細胞であり、いずれも薬物動態評価のために使用する細胞ではなく、薬物代謝酵素や薬物トランスポーターの発現については一切言及されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Nature, 2011 Feb 3;470(7332):105-9
Stem Cell Reports, 2014 Jun 3;2(6):838-52
Stem Cells, 2013 Jun;31(6):1086-96
Drug Metab Pharmacokinet, 2014;29(1):44-51
Gastroenterology, 2011;141(5):1762-72
Nature Microbiology, 2019 March; Vol.4: 492-503
【特許文献】
【0007】
国際公開WO2016/147975号公報
国際公開WO2018/038042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
腸管オルガノイドは、継代維持が可能であり腸管上皮の機能を有する優れた細胞である。しかしながら腸管オルガノイドは、Cラミニン(主成分)、IV型コラーゲン、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、エンタクチン/ニドゲン及び種々の成長因子を含むECMタンパク質が豊富なEngelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫から抽出した可溶化基底膜等を含むマトリクス中で三次元立体構造を形成し、こうした構造は薬物動態試験には不向きと考えられる。薬物動態の評価に適用可能な、薬物代謝酵素や薬物トランスポーターが発現する優れた腸上皮様細胞を提供することを課題とする。より詳しくは、入手が困難な初代培養のヒト腸上皮細胞により近い性質を有する腸上皮様細胞及びその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を達成するために検討を重ねた結果、腸管オルガノイドを単層培養した。得られた細胞を解析した結果、薬物代謝酵素や薬物トランスポーターが発現する優れた腸上皮様細胞を得る事に成功し、本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明は、以下よりなる。
1.
以下の工程を含む、腸上皮様細胞の作製方法:
1)腸管オルガノイドを単一細胞に分離する工程;
2)単一細胞に分離した腸管オルガノイド由来細胞を、培養基材1 cm
2
あたり5.0×10
5
~5.0×10
6
個の細胞播種密度となるように培養基材に播種し、腸管オルガノイド由来細胞を37±1℃、5%CO
2
条件下で培養し、単層膜を作製する工程。
2.
前記2)の単層膜を作製する工程
が、腸管オルガノイド由来細胞の播種後2~14日間培養
する工程である、前項1
に記載の
腸上皮様細胞の作製方法。
3.
前記2)の単層膜を作製する工程が、腸管オルガノイド由来細胞の播種後3~7日間培養する工程である、前項1に記載の腸上皮様細胞の作製方法。
4.
腸管オルガノイドが小腸由来の腸管オルガノイドである、前項1に記載の腸上皮様細胞の作製方法。
5.
小腸由来腸管オルガノイドが十二指腸、空腸又は回腸由来の腸管オルガノイドである、前項4に記載の腸上皮様細胞の作製方法。
6.
前項1に記載の方法で作製された腸上皮様細胞。
7.
以下の1)及び/または2)のいずれかの特徴を含む前項6に記載の腸上皮様細胞:
1)薬物代謝酵素遺伝子の発現が、播種開始時のオルガノイド由来細胞に比べて少なくとも10倍以上発現している;
2)薬物排出トランスポーター遺伝子の発現が、播種開始時のオルガノイド由来細胞に比べて少なくとも5倍以上発現している
。
8
.薬物代謝酵素遺伝子がCYP3A4遺伝子である、前項
7
に記載の腸上皮様細胞。
9
.薬物排出トランスポーター遺伝子がMDR1遺伝子である、前項
7
に記載の腸上皮様細胞。
10
.さらに、腸上皮様細胞の経上皮膜抵抗値(TEER)が100~1500Ω・cm
2
であることを特徴とする、前項
7
に記載の腸上皮様細胞。
11
.腸管オルガノイドが小腸由来の腸管オルガノイドである、前項
6
に記載の腸上皮様細胞。
12
.小腸由来腸管オルガノイドが十二指腸、空腸又は回腸由来の腸管オルガノイドである、前項
6
に記載の腸上皮様細胞。
13
.前項
6
に記載の腸上皮様細胞の、薬物動態評価及び/又は薬物毒性評価のための使用方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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