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公開番号2024126404
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023034762
出願日2023-03-07
発明の名称タンパク質を蛍光標識する方法
出願人国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類C07K 1/13 20060101AFI20240912BHJP(有機化学)
要約【課題】光褪色の影響を抑制した、タンパク質を蛍光標識する方法を提供する。
【解決手段】タンパク質を蛍光標識する方法であって、標識対象であるタンパク質には標識用タグが結合されており、前記標識用タグが結合されたタンパク質とプローブまたはその塩とを反応させることにより、前記標識用タグと前記プローブが解離定数0.1~100μMの強度で結合して前記タンパク質を蛍光標識することを含む方法であり、前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)またはOBP変異体であり、前記プローブは、下記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩である、タンパク質を蛍光標識する方法。
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【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
タンパク質を蛍光標識する方法であって、
標識対象であるタンパク質には標識用タグが結合されており、
前記標識用タグが結合されたタンパク質とプローブまたはその塩とを反応させることにより、前記標識用タグと前記プローブが解離定数0.1~100μMの強度で結合して前記タンパク質を蛍光標識することを含む方法であり、
前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)またはOBP変異体であり、
前記プローブは、下記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩である、タンパク質を蛍光標識する方法。
TIFF
2024126404000049.tif
30
170
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であり、
TIFF
2024126404000050.tif
79
170
(なお、式中、*は結合位置を表す)

1
は、-NR
2

3
、-CH
2
COOHまたは
TIFF
2024126404000051.tif
12
170
であり(R
2
およびR
3
は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
続きを表示(約 2,600 文字)【請求項2】
前記OBPまたはOBP変異体のアミノ酸配列が、
1)配列表の配列番号40~42で表されるアミノ酸配列、
2)配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列において、第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合するアミノ酸配列である、及び
3)上記1)または2)のアミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列の1~数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合するアミノ酸配列からなる群から選択される一つである、請求項1記載のタンパク質を蛍光標識する方法。
【請求項3】
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を得ることが、
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得ること、
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現可能なプラスミドもしくはベクターを得ること、
細胞内で前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現させること、または、発現した前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を単離することを含む、
請求項1に記載のタンパク質を蛍光標識する方法。
【請求項4】
式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩を含む、請求項1~3のいずれかの方法に用いるための組成物。
TIFF
2024126404000052.tif
30
170
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)または(iv)であり、
TIFF
2024126404000053.tif
78
170
(なお、式中、*は結合位置を表す)

1
は、-NR
2

3
、-CH
2
COOHまたは
TIFF
2024126404000054.tif
12
170
であり(R
2
およびR
3
は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物と、プラスミドまたはベクターとを含むタンパク質の蛍光標識方法用キットであって、
前記プラスミドまたはベクターは、標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現させるためのプラスミド又はベクターであり、
前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)もしくはOBP変異体であり、
前記プラスミドまたはベクターは、
1)標識対象であるタンパク質を発現させるための塩基配列、および
2-1)配列表の配列番号6、配列番号22または配列番号32で表される塩基配列、
2-2)配列表の配列番号39で表される塩基配列において、第1番目から第45番目の塩基が欠失した塩基配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合する塩基配列であるか、または
2-3)上記1)または2)の塩基配列のいずれかの塩基配列の1~数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合する塩基配列
を含むプラスミドまたはベクターであるキット。
TIFF
2024126404000055.tif
30
170
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)または(iv)であり、
TIFF
2024126404000056.tif
79
170
(なお、式中、*は結合位置を表す)

1
は、-NR
2

3
、-CH
2
COOHまたは
TIFF
2024126404000057.tif
12
170
であり(R
2
およびR
3
は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【請求項6】
式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩。
TIFF
2024126404000058.tif
32
170
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であり、
TIFF
2024126404000059.tif
80
170
(なお、式中、*は結合位置を表す)

1
は、-NR
2

3
、-CH
2
COOHまたは
TIFF
2024126404000060.tif
12
170
であり(R
2
およびR
3
は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を蛍光標識する方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
タンパク質の蛍光標識法は細胞イメージングなどの実験と組み合わせ、タンパク質の局在、発現、動態を観察するために有用なツールである。とりわけ、近年は個々のタンパク質の挙動を直接観察できる1分子イメージングや、細胞内の微細構造を明らかにする超解像イメージングといった顕微鏡技術の進歩と組み合わせさらに広がりを見せている。
【0003】
従来のタンパク質の蛍光標識法として、緑色蛍光タンパク質(GFP)に代表される蛍光タンパク質を用いた方法(非特許文献1)が広く用いられている。これは遺伝子工学的手法を使い、見たいタンパク質と融合遺伝子を作って発現させることで蛍光標識するものである。また、化学合成された蛍光色素を反応性のアミノ酸残基、あるいはタグタンパク質を介して共有結合によって標識する手法(非特許文献2、非特許文献3)も知られている。しかしながら、1分子・超解像イメージングに使う顕微鏡においては高輝度のレーザー光照射を用いるため、これらの標識法において、イメージング中の光褪色が近年の課題となっている。光褪色は蛍光色素が励起後、酸素等の分子と反応して光らない物質へと変換されることで起こるとされており、高輝度のレーザー照射下では蛍光タンパク質では数秒、蛍光色素でも数分のうちに褪色が起こる。上記の標識法は見たいタンパク質に対して不可逆的に標識するため、一度褪色した色素からは蛍光シグナルを得ることはできない。
【0004】
近年、非共有結合を使った標識法はいくつかのグループから報告されている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
例えば、PDB:5J74の標識化合物として以下の化合物が報告されている(非特許文献3)。この標識化合物は、Kdが38nMであり、タンパク質と結合した標識化合物の入れ替わりの速度が遅いという欠点がある。
【0006】
TIFF
2024126404000001.tif
44
170
【0007】
また、PDB:7AVBの標識化合物として以下の化合物が報告されている(非特許文献4)。この標識化合物がKdが130nMであるが、標識化合物の光安定性が低いという欠点がある。
【0008】
TIFF
2024126404000002.tif
24
170
【0009】
すなわち、イメージング中の光褪色の影響を抑制する方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
R.Y. Tsien, Annu. Rev. Biochem., 1998, 67, 509.
G.V. Los, et al. ACS Chem. Biol. 2008, 3, 373
A. Keppler, et al. Nat. Biotechnol. 2003, 21, 86.
C. Szent-Gyorgyi et al. Nat. Biotechnol., 2008, 26, 235.
M.-A. Plamont et al. PNAS., 2015, 113, 497.
N.G. Bozhanova, et al. Chem. Sci. 2017, 8, 7138.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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