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公開番号2024121604
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028793
出願日2023-02-27
発明の名称過酸化水素製造用触媒およびその利用
出願人国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類B01J 31/02 20060101AFI20240830BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】光化学反応による過酸化水素の製造に利用できる触媒を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る過酸化水素製造用触媒は、アントラキノン化合物と、シクロデキストリン化合物と、を含んでいる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アントラキノン化合物と、
シクロデキストリン化合物と、
を含んでいる、過酸化水素製造用触媒。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
上記アントラキノン化合物と上記シクロデキストリン化合物とは、複合体を形成している、
請求項1に記載の過酸化水素製造用触媒。
【請求項3】
上記アントラキノン化合物は、下記式Iまたは式IIで表される化合物である、
請求項1に記載の過酸化水素製造用触媒:
JPEG
2024121604000006.jpg
64
156
式中、Rは、水素、C1~8アルキル基または電子求引性基から選択される。
【請求項4】
上記シクロデキストリン化合物は、β-シクロデキストリン骨格またはγ-シクロデキストリン骨格を有している、
請求項1に記載の過酸化水素製造用触媒。
【請求項5】
下記の工程を有する過酸化水素の製造方法:
工程1:請求項1~4のいずれか1項に記載の過酸化水素製造用触媒と、を含んでいる反応系に光を照射して、アントラヒドロキノン化合物を生成させる工程;
工程2:酸素と、アントラヒドロキノン化合物と、シクロデキストリン化合物と、を反応させて、過酸化水素を得る工程。
【請求項6】
上記工程1において、反応系に酸素が含まれている、
請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
シクロデキストリン化合物の存在下においてアントラセミキノン化合物に光を照射する工程を有する、
アントラセミキノン化合物をアントラヒドロキノン化合物に還元する方法。
【請求項8】
上記アントラセミキノン化合物と上記シクロデキストリン化合物とは、複合体を形成している、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記アントラセミキノン化合物は、下記式Iaまたは式IIaで表される化合物である、
請求項7に記載の方法:
JPEG
2024121604000007.jpg
63
155
式中、Rは、水素、C1~8アルキル基または電子求引性基から選択される。
【請求項10】
上記シクロデキストリン化合物は、β-シクロデキストリン骨格またはγ-シクロデキストリン骨格を有している、
請求項7に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素製造用触媒およびその利用に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
過酸化水素は、工業上欠かすことのできない重要な化学物質である。その用途は、酸化、漂白、消毒などの基本的なプロセスの他に、ロケット推進剤の燃料などにも利用されている。現在一般的な過酸化水素の製造方法は、アントラキノン法と称される(非特許文献1および図12を参照)。このプロセスでは、アントラヒドロキノン(AQH

)からアントラキノン(AQ)への酸化反応に伴い、酸素分子に水素を付加して、過酸化水素を得る。反応に伴い生じるアントラキノンは、水素分子およびパラジウム触媒を利用して、アントラヒドロキノンに再生させる。
【0003】
アントラヒドロキノンの再生には、いくつかの短所がある。第一に、高温・高圧のプロセスであるため、安全性や操作性に改善の余地がある。第二に、反応系中で水素および酸素が混合されることになるため、爆発の危険性が伴う。第三に、レアメタルであるパラジウムを使用するので、コストが高くなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
日下部良「過酸化水素の製造と性質,取り扱い」『紙パ技協誌』第52巻第5号、608~615ページ、1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来技術の短所を克服するため、本発明者らは、光化学反応を利用した過酸化水素の製造方法の研究に取組んできた。ところが、アントラキノンからアントラヒドロキノンへと還元される途中の中間体であるアントラセミキノンは、不安定な化合物であった。そのため、光照射をしただけでは、アントラセミキノンからアントラヒドロキノンへの還元反応が進まず、高収率で過酸化水素を得ることができなかった。
【0006】
本発明の一態様は、光化学反応による過酸化水素の製造に利用できる触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明には、以下の態様が含まれている。
<1>
アントラキノン化合物と、
シクロデキストリン化合物と、
を含んでいる、過酸化水素製造用触媒。
<2>
上記アントラキノン化合物と上記シクロデキストリン化合物とは、複合体を形成している、
<1>に記載の過酸化水素製造用触媒。
<3>
上記アントラキノン化合物は、下記式Iまたは式IIで表される化合物である、
<1>または<2>に記載の過酸化水素製造用触媒:
JPEG
2024121604000002.jpg
64
156
式中、Rは、水素、C1~8アルキル基または電子求引性基から選択される。
<4>
上記シクロデキストリン化合物は、β-シクロデキストリン骨格またはγ-シクロデキストリン骨格を有している、
<1>~<3>のいずれかに記載の過酸化水素製造用触媒。
<5>
下記の工程を有する過酸化水素の製造方法:
工程1:<1>~<4>のいずれかに記載の過酸化水素製造用触媒と、を含んでいる反応系に光を照射して、アントラヒドロキノン化合物を生成させる工程;
工程2:酸素と、アントラヒドロキノン化合物と、シクロデキストリン化合物と、を反応させて、過酸化水素を得る工程。
<6>
上記工程1において、反応系に酸素が含まれている、
<5>に記載の製造方法。
<7>
シクロデキストリン化合物の存在下においてアントラセミキノン化合物に光を照射する工程を有する、
アントラセミキノン化合物をアントラヒドロキノン化合物に還元する方法。
<8>
上記アントラセミキノン化合物と上記シクロデキストリン化合物とは、複合体を形成している、
<7>に記載の方法。
<9>
上記アントラセミキノン化合物は、下記式Iaまたは式IIaで表される化合物である、
<7>または<8>に記載の方法:
JPEG
2024121604000003.jpg
63
156
式中、Rは、水素、C1~8アルキル基または電子求引性基から選択される。
<10>
上記シクロデキストリン化合物は、β-シクロデキストリン骨格またはγ-シクロデキストリン骨格を有している、
<7>~<9>のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、光化学反応による過酸化水素の製造に利用できる触媒が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一態様に係る過酸化水素の製造方法の概要図である。
実施例1の結果を表す図である。アントラキノンスルホン酸がβ-シクロデキストリンに包接されていることを示唆する。
実施例2の結果を表す図である。β-シクロデキストリンの存在下において、アントラキノンスルホン酸がアントラヒドロキノンスルホン酸へと光還元されることを示唆する。
実施例3の結果を表す図である。β-シクロデキストリンの存在下において生じたアントラヒドロキノンスルホン酸が、アントラキノンスルホン酸へと再び酸化されることを示唆する。
実施例4の結果を表す図である。アントラヒドロキノンスルホン酸がアントラキノンスルホン酸へと酸化されるときに、過酸化水素が生成することを示唆する。
実施例5の結果を表す図である。アントラキノンスルホン酸のアントラヒドロキノンスルホン酸への還元に関与するプロトンが、水に由来することを示唆する。
実施例6の結果を表す図である。アントラキノンスルホン酸のアントラヒドロキノンスルホン酸への還元に関与する電子が、水に由来することを示唆する。
実施例7の結果を表す図である。γ-シクロデキストリンの存在下においても、アントラキノンスルホン酸からアントラヒドロキノンスルホン酸への光還元が進行することを示唆する。
β-シクロデキストリンまたはγ-シクロデキストリンと、アントラキノンスルホン酸とにより形成される複合体の予想構造を表す図である。
実施例7の結果を表す図である。β-シクロデキストリンの存在下において、アントラキノンホスホン酸からアントラヒドロキノンホスホン酸への光還元が進行することを示唆する。
実施例7の結果を表す図である。β-シクロデキストリンの存在下において生じたアントラヒドロキノンホスホン酸が、アントラキノンホスホン酸へと再び酸化されることを示唆する。
従来のアントラキノン法による過酸化水素の製造方法の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、以下に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する各構成に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に示した範囲で種々に変更できる。本発明の技術的範囲は、本明細書に開示されている複数の技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態または実施例にも及ぶ。このとき、複数の技術的手段は、複数の実施形態または実施例にわたって開示されていてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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