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公開番号2024107865
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-09
出願番号2023012026
出願日2023-01-30
発明の名称成形用樹脂組成物及びその製造方法
出願人国立大学法人大阪大学,アピ株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 101/00 20060101AFI20240802BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】ソフトカプセル製剤の製造において利用されなかったソフトカプセル皮膜材料を有効に再利用する手段を提供することを課題とする。更に、ソフトカプセル皮膜材料を成分とする樹脂組成物からなり、実用充分な機械強度を有する樹脂成形物を提供することを課題とする。好ましくは、ソフトカプセル皮膜材料を成分とする、生分解性を有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ゼラチン及びグリセリンを含有するソフトカプセル皮膜材料と、熱可塑性樹脂と、を含む、成形用樹脂組成物を提供する。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
ゼラチン及びグリセリンを含有するソフトカプセル皮膜材料と、熱可塑性樹脂と、を含む、成形用樹脂組成物。
続きを表示(約 580 文字)【請求項2】
前記熱可塑性樹脂と前記ゼラチンとを相溶化する相溶化剤をさらに含む、請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である、請求項1又は2に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂である、請求項3に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項5】
前記相溶化剤が酸変性ポリオレフィンである、請求項2に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である、請求項1又は2に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂がポリ乳酸及び/又はポリブチレンサクシネートである、請求項6に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項8】
前記ソフトカプセル皮膜材料は、ソフトカプセル皮膜材料の乾燥物である、請求項1又は2に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項9】
前記成形用樹脂組成物は溶融混練樹脂である、請求項1又は2に記載の成形用樹脂組成物。
【請求項10】
前記ゼラチンとグリセリンの合計含有量は、前記成形用樹脂組成物に対して、60質量%以下である、請求項1又は2に記載の成形用樹脂組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用樹脂組成物及びその製造方法、より具体的には、ソフトカプセル皮膜材料を含む成形用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
ソフトカプセル製剤は、ゼラチンと可塑剤であるグリセリンとを含むソフトカプセル皮膜、及びソフトカプセル皮膜の内部に封入された薬液など、を有する製剤である。ソフトカプセル製剤はロータリー法により製造されることが多く;ロータリー法とは、一対の円筒形の金型の間に、ソフトカプセル皮膜となる2枚のゼラチン含有シートを重ねるように挟み込み、2枚のシートの間に薬液などを注入し、金型での圧切・圧着を同時に行う方法であり、「打抜き法」ともいう(特許文献1参照)。
【0003】
ロータリー法でソフトカプセル製剤を製造すると、ゼラチン含有シートの多くが利用されず、結果として、ソフトカプセル皮膜材料を廃棄することが多い。このように廃棄されることになるソフトカプセル皮膜材料を再利用する技術がいくつか提案されている(特許文献2,3)。例えば、特許文献2には、ソフトカプセル皮膜材料に栄養剤などを添加しておき、カプセル製剤として利用されなかったソフトカプセル皮膜材料を栄養剤などとして利用することが提案されている。特許文献3には、カプセル製剤として利用されなかったソフトカプセル皮膜材料を溶媒に溶解させ精製することで、材料に含まれる成分(ゼラチンや可塑剤など)を回収することが提案されている。
【0004】
また、ゼラチンや可塑剤(グリセリンなど)と他の樹脂とを含む樹脂組成物もいくつか提案されている(特許文献4~9)。特許文献4には、粉末ゼラチンをポリエチレンなどの充填剤とともに押出成形したゼラチン粒物質が提案されている。特許文献5には、ポリオレフィン又はポリオレフィン共重合体とゼラチンやグリセリンなどを含む組成物によりつくられた生分解性容器が提案され、ゼラチンやグリセリンによりポリエチレンやポリプロピレンの生分解性が向上することが記載されている。特許文献6及び7には、ポリ乳酸及びゼラチンを含有する生分解性樹脂組成物が提案され、当該組成物においてゼラチンによりポリ乳酸がプロティナーゼK等の酵素の作用を受けてポリ乳酸の分解が迅速になる可能性を指摘している。また、特許文献8には、ポリ乳酸などの生分解性ポリマーと、ゼラチンなどのバイオ分子とともに、生分解性ポリマーの前駆体(重合前のモノマー)を含む樹脂組成物を、生分解性の接着剤として利用することが提案されている。さらに、特許文献9には、発泡性ポリ乳酸からなる粒状物にゼラチンなどでコーティングした発泡成形体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平01-038019号
特開2006-262772号
特表2002-529289号
特公平6-62780号
特開平5-43747号
特開2004-149581号
特開2004-18681号
特開2009―144137号
特表2010―525099号
特開平5-254029号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ソフトカプセル製剤の製造において利用されなかったソフトカプセル皮膜材料を有効に再利用する手段を提供することを課題とする。また、熱可塑性樹脂に水溶性ゲルやグリセリンを配合した成形体は、強度性能が低下する傾向にあり(特許文献10)、一般的に実用性が乏しい傾向があるところ、本発明は、ソフトカプセル皮膜材料を成分とする樹脂組成物からなり、実用充分な機械強度を有する樹脂成形物を提供することを課題とする。更に、好ましくは、本発明は、ソフトカプセル皮膜材料を成分とする、生分解性を有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、以下に示す成形用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
[1]ゼラチン及びグリセリンを含有するソフトカプセル皮膜材料と、熱可塑性樹脂と、を含む、成形用樹脂組成物。
[2]前記熱可塑性樹脂と前記ゼラチンとを相溶化する相溶化剤をさらに含む、前記[1]に記載の成形用樹脂組成物。
[3]前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である、前記[1]又は[2]に記載の成形用樹脂組成物。
[4]前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂である、[3]に記載の成形用樹脂組成物。
[5]前記相溶化剤が酸変性ポリオレフィンである、前記[2]~[4]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[6]前記熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[7]前記熱可塑性樹脂がポリ乳酸及び/又はポリブチレンサクシネートである、[1]~[6]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[8]前記ソフトカプセル皮膜材料は、ソフトカプセル皮膜材料の乾燥物である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[9]前記成形用樹脂組成物は溶融混練樹脂である、前記[1]~[8]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[10]前記ゼラチンとグリセリンの合計含有量は、前記成形用樹脂組成物に対して、60質量%以下である、前記[1]~[9]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[11]前記ソフトカプセル皮膜材料における前記グリセリンの含有量は、前記ゼラチンの含有量に対して10~100質量%である、前記[1]~[10]のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
[12]ゼラチン及びグリセリンを含有するソフトカプセル皮膜材料と、熱可塑性樹脂と、を含む、成形用樹脂組成物の製造方法であって:前記ソフトカプセル皮膜材料と前記熱可塑性樹脂との混合物を得る工程と;前記混合物を、前記熱可塑性樹脂が溶融する温度にまで加温し、混錬する工程と;を含む製造方法。
【0008】
さらに本発明は、以下に示す成形用樹脂組成物を調製するためのマスターバッチに関する。
[13]前記[1]~[11]のいずれかの成形用樹脂組成物を調製するためのマスターバッチであって、前記ソフトカプセル皮膜材料と前記熱可塑性樹脂の一部とを含む、マスターバッチ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ソフトカプセル皮膜材料を再利用することで、実用充分な機械強度を有する樹脂成形物が提供できるため、従来、利用されずに廃棄されていたソフトカプセル皮膜材料を有効に再利用することができる。また、更に好ましくは、ソフトカプセル皮膜材料を再利用することで、生分解性の高い成形用樹脂組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1、参考例1及びポリプロピレンから得られた樹脂試験片の引張試験の結果を示すグラフである。
実施例1及び参考例1から得られた樹脂試験片のSEM写真である。
実施例1及び参考例1から得られた樹脂試験片の表面濡れ性の試験結果を示す図である。
実施例2及び比較例1から得られた樹脂試験片の引張試験の結果を示すグラフである。
実施例2及び比較例1から得られた樹脂試験片のSEM写真である。
実施例3~5及びポリ乳酸から得られた樹脂試験片の引張試験の結果を示すグラフである。
実施例3~5から得られた樹脂試験片のSEM写真である。
実施例4、実施例6及び実施例7から得られた樹脂試験片の引張試験の結果を示すグラフである。
実施例4、実施例6及び実施例7から得られた樹脂試験片を温水処理した後のSEM写真である。
実施例8及び9並びに比較例2及び3から得られた樹脂試験片の引張試験の結果を示すグラフである。
実施例における引張試験のために作成した樹脂試験片の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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