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公開番号2024162148
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023077425
出願日2023-05-09
発明の名称プレキャスト床版の接合構造およびプレキャスト床版の接合方法
出願人清水建設株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類E04B 5/02 20060101AFI20241114BHJP(建築物)
要約【課題】労力の軽減および費用の削減を図ることができるとともに、プレキャスト床版と現場打コンクリートとの肌分かれを防止できるプレキャスト床版の接合構造およびプレキャスト床版の接合方法を提供する。
【解決手段】床版コンクリート部3から突出する鉄筋突出部42,42と、鉄筋突出部42,42を連結する連結部材5と、床版コンクリート部3,3の間に充填されて鉄筋突出部42,42および連結部材5を埋設する充填材6と、を有し、鉄筋突出部42は、少なくとも一方の端部421が床版コンクリート部3に接続され、中間部422が鉄筋突出部42の長さ方向の両端部421,421よりも床版コンクリート部3と離れる側に位置するとともに、床版コンクリート部3と離れる側に張り出すように湾曲し、連結部材5は、一方の前記プレキャスト床版1の鉄筋突出部42と、他方のプレキャスト床版1の鉄筋突出部42と、に掛け渡されている。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
互いに接合されるプレキャスト床版それぞれの床版コンクリート部から突出する鉄筋突出部と、
互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記鉄筋突出部を連結する連結部材と、
互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記床版コンクリート部の間に充填されて前記鉄筋突出部および前記連結部材を埋設する充填材と、を有し、
前記鉄筋突出部は、
長さ方向の少なくとも一方の端部が前記床版コンクリート部に接続され、
長さ方向の中間部が前記鉄筋突出部の長さ方向の両端部よりも前記床版コンクリート部と離れる側に位置するとともに、前記床版コンクリート部と離れる側に張り出すように湾曲し、
前記連結部材は、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、他方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、に掛け渡されているプレキャスト床版の接合構造。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記鉄筋突出部は、長さ方向の両端部が前記床版コンクリート部に接続され、
前記鉄筋突出部と前記床版コンクリート部との間には、連結用孔部が形成され、
前記連結部材は、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部と、他方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部と、に掛け渡されている請求項1に記載のプレキャスト床版の接合構造。
【請求項3】
前記連結部材は、
間隔をあけて平行に配置される一対の直線部と、前記一対の直線部それぞれの一方の端部同士を接続する接続部と、を有するU字形に形成され、前記U字形が下方に開口する姿勢に配置され、
前記一対の直線部のうちの一方の直線部が、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部に上方から挿入され、
前記一対の直線部のうちの他方の直線部が、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの他方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部に上方から挿入され、
前記接続部が、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記鉄筋突出部と接触している請求項2に記載のプレキャスト床版の接合構造。
【請求項4】
互いに接合されるプレキャスト床版を設置するプレキャスト床版設置工程と、
前記プレキャスト床版を接合する接合工程と、を有し、
前記プレキャスト床版は、床版コンクリート部から突出する鉄筋突出部を有し、
前記鉄筋突出部は、
長さ方向の少なくとも一方の端部が前記床版コンクリート部に接続され、
長さ方向の中間部が前記鉄筋突出部の長さ方向の両端部よりも前記床版コンクリート部と離れる側に位置するとともに、前記床版コンクリート部と離れる側に張り出すように湾曲し、
前記プレキャスト床版設置工程では、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記床版コンクリート部を前記プレキャスト床版が接合される方向に間隔をあけて配置し、前記鉄筋突出部を前記プレキャスト床版が接合される方向に配列し、
前記接合工程は、
互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記鉄筋突出部を連結部材で連結する鉄筋突出部連結工程と、
互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記床版コンクリート部の間に充填材を充填する充填材充填工程と、を有し、
前記鉄筋突出部連結工程では、前記連結部材を、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、他方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、に掛け渡し、
前記充填材充填工程では、前記鉄筋突出部および前記連結部材を前記充填材で埋設するプレキャスト床版の接合方法。
【請求項5】
前記鉄筋突出部は、長さ方向の両端部が前記床版コンクリート部に接続され、
前記鉄筋突出部と前記床版コンクリート部との間には、連結用孔部が形成され、
前記鉄筋突出部連結工程では、前記連結部材を、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部と、他方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部と、に掛け渡す請求項4に記載のプレキャスト床版の接合方法。
【請求項6】
前記連結部材は、間隔をあけて平行に配置される一対の直線部と、前記一対の直線部それぞれの一方の端部同士を接続する接続部と、を有するU字形に形成され、
前記鉄筋突出部連結工程では、前記連結部材を下方に開口する姿勢にして、
前記一対の直線部のうちの一方の直線部を互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部に上方から挿入し、
前記一対の直線部のうちの他方の直線部を互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの他方の前記プレキャスト床版の前記連結用孔部に上方から挿入し、
前記接続部を互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記鉄筋突出部と接触させる請求項5に記載のプレキャスト床版の接合方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャスト床版の接合構造およびプレキャスト床版の接合方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
プレキャスト床版同士の接合部を現場打ちコンクリート打設で施工する場合、接合するプレキャスト床版それぞれから鉄筋の先端部を突出させ、これらの鉄筋を溶接接合したり、機械式継手で接合したりする方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2019-2251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄筋を溶接接合する場合、火気を使用するため火災対策を行う必要があり労力がかかる。鉄筋を機械式継手で接合する場合、機械式継手が高額なため、費用がかかる。また、溶接接合や機械式継手の接合は、特殊な技量が必要なため、人員の確保が必要となる。プレキャスト床版の運搬や施工の際に、プレキャスト床版から突出する鉄筋が作業者や物と接触しないように対策する必要があり労力がかかる。
【0005】
近年、半導体や精密機器などを生産する生産施設では、微振動の発生を防止できるように高剛性穴あきプレキャスト床版が採用する事例が増加している。高剛性穴あきプレキャスト床版を採用する場合、従来工法の施工も可能であるが、昨今の逼迫する労務事情や、生産事業をすぐ開始したいという生産施設特有の状況を鑑みて、梁などの主たる構造骨組は鉄骨造で計画し、床に高剛性穴あきプレキャスト床版を採用している。
【0006】
鉄骨造の梁組は高剛性架構であるため、高剛性穴あきプレキャスト床版も高剛性とする必要がある。このため、高剛性穴あきプレキャスト床版は、板厚が厚く(一般に250mm以上)支持スパンが小さい場合が多い。このような場合、高剛性穴あきプレキャスト床版同士の接合には、接合強度よりも高剛性穴あきプレキャスト床版間で微振動を伝達できるように、高剛性穴あきプレキャスト床版と現場打ちコンクリートとが密着し肌分かれを防止できることが望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、労力の軽減および費用の削減を図ることができるとともに、プレキャスト床版と現場打コンクリートとの肌分かれを防止できるプレキャスト床版の接合構造およびプレキャスト床版の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るプレキャスト床版の接合構造は、互いに接合されるプレキャスト床版それぞれの床版コンクリート部から突出する鉄筋突出部と、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記鉄筋突出部を連結する連結部材と、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記床版コンクリート部の間に充填されて前記鉄筋突出部および前記連結部材を埋設する充填材と、を有し、前記鉄筋突出部は、長さ方向の少なくとも一方の端部が前記床版コンクリート部に接続され、長さ方向の中間部が前記鉄筋突出部の長さ方向の両端部よりも前記床版コンクリート部と離れる側に位置するとともに、前記床版コンクリート部と離れる側に張り出すように湾曲し、前記連結部材は、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、他方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、に掛け渡されている。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るプレキャスト床版の接合方法は、互いに接合されるプレキャスト床版を設置するプレキャスト床版設置工程と、前記プレキャスト床版を接合する接合工程と、を有し、前記プレキャスト床版は、床版コンクリート部から突出する鉄筋突出部を有し、前記鉄筋突出部は、長さ方向の少なくとも一方の端部が前記床版コンクリート部に接続され、長さ方向の中間部が前記鉄筋突出部の長さ方向の両端部よりも前記床版コンクリート部と離れる側に位置するとともに、前記床版コンクリート部と離れる側に張り出すように湾曲し、前記プレキャスト床版設置工程では、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記床版コンクリート部を前記プレキャスト床版が接合される方向に間隔をあけて配置し、前記鉄筋突出部を前記プレキャスト床版が接合される方向に配列し、前記接合工程は、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記鉄筋突出部を連結部材で連結する鉄筋突出部連結工程と、互いに接合される前記プレキャスト床版それぞれの前記床版コンクリート部の間に充填材を充填する充填材充填工程と、を有し、前記鉄筋突出部連結工程では、前記連結部材を、互いに接合される前記プレキャスト床版のうちの一方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、他方の前記プレキャスト床版の前記鉄筋突出部と、に掛け渡し、前記充填材充填工程では、前記鉄筋突出部および前記連結部材を前記充填材で埋設する。
【0010】
本発明では、プレキャスト床版の鉄筋突出部を連結部材で連結することにより、プレキャスト床版が接合された後も、鉄筋突出部同士が接合され、充填材と床版コンクリート部との密着性が向上し肌分かれを防止できる。その結果、プレキャスト床版間で微振動を伝達できる。
プレキャスト床版の鉄筋同士を連結部材で連結するため、鉄筋同士を溶接する場合の火災対策が不要となるとともに、火災のリスクを低減できる。また、鉄筋同士を溶接接合や機械式継手で接合する場合と比べて、特殊な技量を必要としないため、人手不足を解消できるとともに、工費削減を図ることができる。また、プレキャスト床版から突出する鉄筋突出部は、湾曲しているため、直線状に突出している場合と比べて運搬や施工の際の安全性を高めることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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