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公開番号2024161633
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2021157054
出願日2021-09-27
発明の名称酵素を用いたペプチドライゲーション
出願人国立大学法人北海道大学
代理人個人,個人
主分類C07K 1/02 20060101AFI20241113BHJP(有機化学)
要約【課題】ペプチド合成のための新たな酵素ツール、および新たなペプチド修飾技術を提供する。
【解決手段】ペニシリン結合タンパク質型チオエステラーゼ(PBP-type TE)を触媒として用いて、ドナーペプチド基質(ドナー基質)のC末端とアクセプターペプチド基質(アクセプター基質)のN末端の間にアミド結合を生じさせることを特徴とする、ライゲーションされたペプチドの製造方法、ならびにPBP-type TEを触媒として用いて、修飾基を含むドナー基質のC末端とアクセプター基質のN末端の間にアミド結合を生じさせることを特徴とする、修飾されたペプチドの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ペニシリン結合タンパク質型チオエステラーゼ(PBP-type TE)を触媒として用いて、ドナーペプチド基質(ドナー基質)のC末端とアクセプターペプチド基質(アクセプター基質)のN末端との間にアミド結合を生じさせることを特徴とする、ライゲーションされたペプチドの製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
PBP-type TEが、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素であるか、あるいはその変異体酵素であり、変異体酵素が、下記アミノ酸配列のいずれか:
(a)配列番号:2に示すアミノ酸配列に対して38%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
(b)配列番号:2に示すアミノ酸配列において、数個または数十個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、または
(c)配列番号:1に示す塩基配列に相補的な塩基配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によってコードされるアミノ酸配列
を有し、かつ配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素と同等またはそれ以上のペプチドライゲーション活性を有するものである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ドナー基質のC末端側から2番目の残基およびC末端残基が、それぞれ、カチオン性アミノ酸および疎水性D-アミノ酸であり、C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基が活性化されているものである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基の活性化が、チオエステル型の脱離基を付与することにより行われる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
PBP-type TEを触媒として用いて、修飾基を含むドナー基質のC末端とアクセプター基質のN末端との間にアミド結合を生じさせることを特徴とする、修飾されたペプチドの製造方法。
【請求項6】
PBP-type TEが、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素であるか、あるいはその変異体酵素であり、変異体酵素が、下記アミノ酸配列のいずれか:
(a)配列番号:2に示すアミノ酸配列に対して38%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
(b)配列番号:2に示すアミノ酸配列において、数個または数十個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、または
(c)配列番号:1に示す塩基配列に相補的な塩基配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によってコードされるアミノ酸配列
を有し、かつ配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素と同等またはそれ以上のペプチドライゲーション活性を有するものである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ドナー基質のC末端側から2番目の残基およびC末端残基が、それぞれ、カチオン性アミノ酸および疎水性D-アミノ酸であり、C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基が活性化されているものである、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基の活性化が、チオエステル型の脱離基を付与することにより行われる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
PBP-type TEを含む、ペプチドライゲーション用キット。
【請求項10】
PBP-type TEを含む、修飾されたペプチドを作成するためのキット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素によるペプチドの製造およびペプチドの修飾に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
ペプチド(本明細書においてはオリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質も含む)は生命活動を支える根幹的な生体分子であり、人為的な修飾による可視化あるいは機能制御の技術は生命現象の解明に大きく貢献する。また抗体やインスリンに代表されるように、ペプチド自体も重要な創薬モダリティである。そのため、ペプチドの位置特異的な修飾手法はこれまで精力的に研究されており(非特許文献1)、新たなペプチドの創出も試みられている。一般にペプチドは高温条件・有機溶媒に対する耐性が低く、また化学的特徴の類似した露出した反応点を多数有するため、いかに温和かつ高選択的に修飾を導入できるかが課題となる。反応条件が温和であり、高い分子認識能を示す酵素触媒は、タンパク質修飾ツールとしての応用が期待されており、これまでSortase、Butelase I、Subtilisin変異酵素等の酵素がペプチドのN末端の修飾ツールとして提案されてきた(非特許文献2)。しかしこれらは各々長所・短所(高すぎる基質特異性や基質自体の安定性)があり、標的にできる対象は限定的であるため、酵素ツールのレパートリー拡充が望まれている。
【0003】
一方、発明者らはこれまで、土壌細菌(放線菌)から新規な酵素ファミリーであるペニシリン結合タンパク質型チオエステラーゼ(PBP-type TE)を発見し、本酵素がペプチドの分子内アミド化(環化)反応を効率よく触媒することを見出した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際特許出願公開公報WO2019/216248
【非特許文献】
【0005】
Hoyt, E.A. et al., Nat. Rev. Chem. 3, 147-171 (2019).
Rosen, C. B. & Francis, M. B. Nat. Chem. Biol. 13, 697-705 (2017).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペプチド合成のための新たな酵素ツール、および新たなペプチド修飾技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、PBP-type TEが分子内のアミド化だけでなく、分子間のアミド化を触媒できることを見出した。具体的には、PBP-type TEが、アクセプターペプチド基質(アクセプター基質という)のN末端に位置選択的にドナーペプチド基質(ドナー基質という)をアミド結合を介して結合しうることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づいて本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)PBP-type TEを触媒として用いて、ドナー基質のC末端とアクセプター基質のN末端との間にアミド結合を生じさせることを特徴とする、ライゲーションされたペプチドの製造方法。
(2)PBP-type TEが、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素であるか、あるいはその変異体酵素であり、変異体酵素が、下記アミノ酸配列のいずれか:
(a)配列番号:2に示すアミノ酸配列に対して38%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
(b)配列番号:2に示すアミノ酸配列において、数個または数十個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、または
(c)配列番号:1に示す塩基配列に相補的な塩基配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によってコードされるアミノ酸配列
を有し、かつ配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素と同等またはそれ以上のペプチドライゲーション活性を有するものである、(1)記載の方法。
(3)ドナー基質のC末端側から2番目の残基およびC末端残基が、それぞれ、カチオン性アミノ酸および疎水性D-アミノ酸であり、C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基が活性化されているものである、(1)または(2)記載の方法。
(4)C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基の活性化が、チオエステル型の脱離基を付与することにより行われる、(3)記載の方法。
(5)PBP-type TEを触媒として用いて、修飾基を含むドナー基質のC末端とアクセプター基質のN末端との間にアミド結合を生じさせることを特徴とする、修飾されたペプチドの製造方法。
(6)PBP-type TEが、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素であるか、あるいはその変異体酵素であり、変異体酵素が、下記アミノ酸配列のいずれか:
(a)配列番号:2に示すアミノ酸配列に対して38%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
(b)配列番号:2に示すアミノ酸配列において、数個または数十個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、または
(c)配列番号:1に示す塩基配列に相補的な塩基配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によってコードされるアミノ酸配列
を有し、かつ配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する酵素と同等またはそれ以上のペプチドライゲーション活性を有するものである、(5)記載の方法。
(7)ドナー基質のC末端側から2番目の残基およびC末端残基が、それぞれ、カチオン性アミノ酸および疎水性D-アミノ酸であり、C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基が活性化されているものである、(5)または(6)記載の方法。
(8)C末端疎水性D-アミノ酸のカルボキシル基の活性化が、チオエステル型の脱離基を付与することにより行われる、(7)記載の方法。
(9)PBP-type TEを含む、ペプチドライゲーション用キット。
(10)PBP-type TEを含む、修飾されたペプチドを作成するためのキット。
(11)修飾基を含むドナー基質をさらに含む、(10)記載のキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ペプチド合成のための新たな酵素ツール、および新たなペプチド修飾技術を提供する。本発明により得られるライゲーションペプチドは、D-アミノ酸を含むアミド結合を有するので、L-アミノ酸のみからなるペプチドよりも分解酵素に対する耐性が向上する。本発明のペプチドライゲーションは酵素によるものなので、化学合成法のような保護基の付与および脱保護の煩雑な操作が不要である。さらに本発明は、ペプチドやタンパク質のN末端選択的な修飾手法を提供する。この修飾手法を用いて、非ペプチド性構造をペプチドやタンパク質のN末端に導入することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1の上段は、PBP-type TEによるペプチドライゲーション反応のスキームを示す。図1の下段は、図1の上段に示すドナー基質とアクセプター基質を用いたライゲーション反応生成物を分析したLC-MSのチャートを示す。+Nsm16は、酵素を含む反応系から得られた生成物のチャートを示し、substrate onlyは、酵素を含まない反応系から得られた生成物のチャートを示す。
図2は、サイズの小さな修飾ペプチドをドナー基質とした場合のライゲーション反応生成物を分析したLC-MSのチャートを示す。All inは、酵素を含む反応系から得られた生成物のチャートを示し、substrate onlyは、酵素を含まない反応系から得られた生成物のチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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