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公開番号2024156533
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-06
出願番号2023071077
出願日2023-04-24
発明の名称培地
出願人TOPPANエッジ株式会社,国立大学法人宇都宮大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 1/14 20060101AFI20241029BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】真菌を生育させることによって、真菌にラッカーゼを産生させることが可能な液状の培地であって、その製造時に銅塩の添加が不要であり、真菌の生育時には培養物の発泡を抑制できる培地の提供。
【解決手段】液状の培地であって、前記培地は、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地であり、前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーと、菌床用の栄養材と、を含有し、前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバーの含有量の割合が、0.02~1質量%であり、前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記栄養材の含有量の割合が、2.5~10質量%である、培地。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
液状の培地であって、
前記培地は、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地であり、
前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーと、菌床用の栄養材と、を含有し、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバーの含有量の割合が、0.02~1質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記栄養材の含有量の割合が、2.5~10質量%である、培地。
続きを表示(約 52 文字)【請求項2】
前記培地の銅の濃度が、0.48mg/L以下である、請求項1に記載の培地。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、培地に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
ラッカーゼは自然界に広く分布する酵素であり、主なラッカーゼ産生菌類としては、木材腐朽菌、特に担子菌類及び子嚢菌類が挙げられる。ラッカーゼは、リグニンの分解、ウルシオール等のフェノール類の酸化、重合等の作用を有しており、有用性が高い。そのため産業界では、パルプの製造時におけるリグニンの除去、色素を含む廃水の処理、漆の製造等で利用されている。さらに、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の環境汚染物質の分解に、ラッカーゼを利用することも期待されている。
【0003】
その一方で、自然界から取り出せるラッカーゼの量には限りがある。微生物培養を利用したラッカーゼの合成も検討されているが、その実用性は高いとはいえない。
このように、ラッカーゼは、産業上での利用価値が高いものの、生産量の増大を見込めず、大規模な利用には至っていない。
【0004】
これらとは異なるラッカーゼの製造方法としては、特定種のラッカーゼ生産性の糸状菌によるラッカーゼ生産のための培養過程において、特定種のカロテノイド生産性の微生物を添加することによって、前記糸状菌によるラッカーゼの生産を促進し、ラッカーゼを製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、この製造方法では、カロテノイド生産性の微生物の併用が必要であるため、この微生物の使用と管理の分だけ、工程が煩雑であるという問題点があった。
【0005】
このような問題点を解決できるラッカーゼの製造手段として、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有する培地と、前記培地を用いて、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させる工程を有する、ラッカーゼの製造方法と、が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6560301号公報
国際公開第2021/193893号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2で開示されている培地のうち、液状の培地を作製するためには、銅塩の添加が必要であった。その理由は、真菌の生育に伴うラッカーゼの産生では、銅が必要不可欠なためである。ところが、銅には環境汚染の懸念がある。そのため、特許文献2で開示されているラッカーゼの製造方法では、ラッカーゼを産生後の培養物に対して、銅の除去処理が必要であった。
【0008】
さらに、特許文献2で開示されている液状の培地を用いて、ラッカーゼを大量スケールで製造する場合には、通常、ジャーファーメンターのような大量製造用の装置を用いて、真菌を生育させる。しかし、その過程では、液状の培養物が発泡し易いという問題点があった。そして、好気性微生物である真菌を培養するときに、装置内に設けられた通気用のスパージャー等の空気供給手段から培養物に空気を供給するときに、上記の問題点は、特に顕著であった。培養物が発泡してしまうと、装置内に設けられたエアフィルターに培養物が付着して、エアフィルターが雑菌によって汚染されてしまったり、培養物が装置外に飛散してしまうことがある。そして、このような培養物の発泡による不具合を避けるためには、大量製造用の装置内には、限られた量の培地しか投入できなくなってしまうため、ラッカーゼの製造効率が低下してしまう。培養物の発泡を抑制するために、培養物に消泡剤を添加する手法が考えられるが、特許文献2で開示されている製造方法で消泡剤を用いると、たとえ、微生物の培養時に用いるのが適切とされているポリエーテル系の消泡剤であっても、真菌の生育に悪影響があることが判明した。さらに、培養物の撹拌方法を調節することも考えられるが、ラッカーゼの製造工程が煩雑になってしまう。
【0009】
本発明は、真菌を生育させることによって、真菌にラッカーゼを産生させることが可能な液状の培地であって、その製造時に銅塩の添加が不要であり、真菌の生育時には培養物の発泡を抑制できる培地を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 液状の培地であって、前記培地は、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地であり、前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーと、菌床用の栄養材と、を含有し、前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバーの含有量の割合が、0.02~1質量%であり、前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記栄養材の含有量の割合が、2.5~10質量%である、培地。
[2] 前記培地の銅の濃度が、0.48mg/L以下である、[1]に記載の培地。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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