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公開番号2024149022
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023062665
出願日2023-04-07
発明の名称4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール高含有清酒
出願人月桂冠株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12G 3/06 20060101AFI20241010BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】従来の清酒にはない爽やかな香味であって、木樽に由来しない香味を有する清酒を提供する。
【解決手段】4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度が200ng/L以上である清酒。4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度は1000μg/L以下であることが好ましい。この清酒は日本の酒税法が定める清酒とすることができる。また、この清酒は醸造により製造することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度が200ng/L以上である、清酒。
続きを表示(約 270 文字)【請求項2】
4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度が1000μg/L以下である、請求項1に記載の清酒。
【請求項3】
清酒が日本の酒税法が定める清酒である、請求項1又は2に記載の清酒。
【請求項4】
清酒の4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度を200ng/L以上にする工程を含む、清酒の製造方法。
【請求項5】
醸造により、清酒の4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度を200ng/L以上にする、請求項4に記載の清酒の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オールを高濃度で含有する清酒とその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
清酒は多種の香気成分を含み、その大部分は発酵中に酵母により生産される。確認されている香気成分は、主に、アルコール、エステル、有機酸、カルボニル化合物、アミン、硫黄化合物である。
この中で、清酒中に含まれる量で単独で感知できる成分、即ち、清酒中の濃度を弁別閾値で割った値(オーダーユニット)が1以上である成分は、わずか十数種類である。その他の大部分の成分は単独では感知できない量で存在している。オーダーユニットが1以上である香気成分は、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、乳酸エチル、カプロン酸エチル、4-ヒドロキシ酪酸エチル、カプリル酸エチル、ペラルゴン酸エチル、フェニル酢酸エチル、酢酸フェネチル、カプリン酸エチルといったエステルと、イソアミルアルコール、β-フェネチルアルコール、フェニルエタノール、ラウリン酸エチルといったアルコールである。これらのエステルやアルコールは果実様ないしは花様の香りを有する。
一方、清酒において爽やかな香味といわれるものは、有機酸などの酸味によるものが多く、いわゆる香気成分としての爽やかな香り成分は、樽酒以外に報告されていない。樽酒の爽やかさに関与する成分は、杉樽から清酒に溶出したセスキテルペン類、ジテルペン類、ノルリグナン類であることが知られている(非特許文献1)。日本国酒税法・関連法令ならびに「清酒の製法品質表示基準を定める件」(平成元年11月22日国税庁告示第8号、改正 令和4年7月 国税庁告示第30号、以下「清酒の製法品質表示基準を定める件」という)には、木製の樽で貯蔵し、木香の付いた清酒である場合に「樽酒」と表示できることが定められている。
しかし、樽酒は別途木樽を用意し、その木樽に清酒を貯蔵しなければならず、手間とコストがかかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
菊正宗酒造社ウェブサイト内検索https://www.kikumasamune.co.jp/rd/theme/taru/1_seibun/seibun.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の清酒にはない爽やかな香味であって、木樽に由来しない香味を有する清酒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度が200ng/L以上である清酒は、爽やかで、かつ森林、草、又は新鮮な木材のような植物系の香りが感じられる、従来にない香味の清酒であることを見出した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記〔1〕~〔7〕を提供する。
〔1〕 4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度が200ng/L以上である、清酒。
〔2〕 4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度が1000μg/L以下である、〔1〕に記載の清酒。
〔3〕 清酒が日本の酒税法が定める清酒である、〔1〕又は〔2〕に記載の清酒。
〔4〕 清酒の4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度を200ng/L以上にする工程を含む、清酒の製造方法。
〔5〕 醸造により、清酒の4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール濃度を200ng/L以上にする、〔4〕に記載の清酒の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の清酒は、4-メチル-4-スルファニルペンタン-2-オール(以下、「4MSPol」と略称することがある)を200ng/L以上含むため、爽やかな香りと、ボタニカルな植物を想起するような香りがミックスされた、従来にない新たな香味を有する。前述した通り、樽酒の杉の木の香りは、セスキテルペン類、ジテルペン類、ノルリグナン類に由来するもので、本発明の清酒は、これより複雑な植物系の香りを有する。また、一般に清酒は他の酒類に比べて重厚感があるが、爽やかな香味を有する本発明の清酒は重厚感が少なくなり、幅広い消費者に受け入れ易いものとなる。
米・米麹を原料として、天然酵母が4MSPolを生産することは知られていない。
本発明では、清酒醸造用酵母と、醸造、特に清酒醸造には通常用いない酵母を併用することにより、4MSPolを200ng/L以上という高濃度で含む清酒を、醸造により製造することに成功した。
香料を添加した清酒は消費者に好まれないため、醸造により4MSPol濃度を高めて、従来にない植物系の爽やかな香りを有する清酒を製造できたことの意義は大きい。また、本発明の清酒は、コスト高な樽酒にしなくても植物系の爽やかな香りを有する点でも商品価値が高い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、特に指定がない場合、各種化学物質の名称、法令、測定・分析法、表示基準、ウェブサイトのURLは、本出願の出願日前日の時点のものを指す。
(1)4MSPol高含有清酒
清酒
本発明の清酒は、4MSPol濃度が200ng/L以上である清酒である。
【0009】
本発明の清酒は、米、米麹、及び水を主な原料として酵母により発酵したものであればよいが、中でも、酒税法(特に、日本国の酒税法)で定める清酒であることが好ましい。清酒は、酒税法や酒税法に関わる各種法令(例えば、酒税法施行令など)や通達などにおいて、使用できる原料が、米、米麹、水の他、酒粕、醸造アルコール、焼酎、特定の有機酸などに限定されており、一般に食品添加物として認められている香料などを添加することは認められていない。また、酵素剤の使用量や使用用途についても限定されている。
【0010】
また、本発明の清酒は、普通酒であってもよく、或いは国税したものであれば庁告示で定められた「清酒の製法品質表示基準」(「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」などで定められる酒類の表示の基準)を満たす特定名称酒、例えば、吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、本醸造酒、及び特別本醸造酒などであってもよい。これらの特定名称にあたらない清酒を、本明細書では「普通酒」とする。
また、本発明の清酒は、容器詰め清酒とすることができ、その容器には、「清酒」、または国税庁長官が指定した酒類の地理的表示(基準)である「日本酒」など、清酒を意味する文言が表示されていることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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