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公開番号
2024147843
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-17
出願番号
2021141613
出願日
2021-08-31
発明の名称
接着剤組成物
出願人
住友精化株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C09J
201/00 20060101AFI20241009BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】高い接着強度と凝集破壊率の向上が両立された接着剤組成物を提供する。
【解決手段】成分(A)としての熱硬化性樹脂と、成分(B)としての熱可塑性樹脂粒子と、成分(C)としての硬化剤及び/又は成分(D)としての硬化促進剤と、を含む接着剤組成物であって、前記成分(B)は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、アミノ基、アミド基およびグリシジル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する樹脂を含み、前記接着剤組成物は、特定の条件を満たす、接着剤組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
成分(A)としての熱硬化性樹脂と、
成分(B)としての熱可塑性樹脂粒子と、
成分(C)としての硬化剤及び/又は成分(D)としての硬化促進剤と、
を含む接着剤組成物であって、
前記成分(B)は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、アミノ基、アミド基及びグリシジル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する樹脂を含み、
前記接着剤組成物は、下記(式2)で求められる、前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の単位面積当たりの破壊エネルギーG
1c
に対する、成分(A)、(B)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の単位面積当たりの破壊エネルギーG
1c
の比が、2.5~6.0倍であり、
破壊エネルギーG
1c
=(破壊靱性値K
1c
)
2
/引張弾性率E (式2)
前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)は、下記条件(I)~(III)を満たす、接着剤組成物。
条件(I):前記成分(B)の融点から、前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の発熱開始温度を引いた値が、-10℃~60℃である。
条件(II):前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の引張弾性率と、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の引張弾性率の差が、0.3GPa以上である。
条件(III):以下の方法で測定される、前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物と前記成分(B)から形成されたフィルムとの測定用積層体の引張強度が4MPa以上であり、かつ、単位体積当たりの歪みエネルギーが100kJ/m
3
以上である。
但し、上記条件(I)~(III)を測定する際の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の配合比率は、以下のとおりとする。
成分(C)は、成分(A)との官能基当量(モル)比が1:1とする。成分(D)は、成分(A)100質量部に対して、3質量部とする。成分(B)は、成分(A)と成分(C)と成分(D)の合計100質量部に対して、30質量部とする。また、接着剤組成物中に成分(C)が含まれない場合、成分(B)は、成分(A)と成分(D)の合計100質量部に対して30質量部とする。
(条件(III)の測定)
成分(B)を成形して幅1.5mm、厚み1mm、長さ3mmとしたフィルムを、幅90mm、厚さ1mm、長さ3mmの空間が設けられた型内の中央に置き、前記フィルムの両側に前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物を流し込み、60℃で60分の加熱、100℃で60分の加熱、及び150℃で120分の加熱を連続して行うことで前記混合物を前記型内で硬化させて、前記フィルムの両側に前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物が積層された測定用積層体を得る。前記測定用積層体について、掴み具間距離25mm、試験速度0.5mm/分の条件で引張試験を行い、引張強度を求める。得られた応力-歪み曲線から、単位体積当たりの歪みエネルギーを求める。
続きを表示(約 690 文字)
【請求項2】
成分(A)が、エポキシ樹脂である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
成分(A)の含有率が、7~95質量%である、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
成分(B)の体積平均粒子径が、2~30μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
構造用材料、複合材料、電気・電子材料、基板材料、積層材料、コーティング材、及び塗料のいずれかの接着用途に用いられる、請求項1~4いずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を被接着対象物の表面に塗布、又は注型する工程と、
前記接着剤組成物を硬化させる工程と、
を含む、接着層の製造方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を被接着対象物の表面に塗布し、少なくとも2つの被接着対象物の間に前記接着剤組成物を配置する工程と、
前記接着剤組成物を硬化させる工程と、
を含む、少なくとも2つの被接着対象物が接着された積層体の製造方法。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を少なくとも2つの被接着対象物の間に注型する工程と、
前記接着剤組成物を硬化させる工程と、
を含む、少なくとも2つの被接着対象物が接着された積層体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、電子材料などの各種工業分野において、各種の接着剤組成物が使用されている。工業分野で使用される接着剤組成物には、金属材料などの被接着対象物に対する高い接着力に加えて、安定した接着性能が求められる。安定した接着性能とは、具体的には、被接着対象物との接着において剥がれる外力の大きさのバラツキが小さく、接着層に加わる外力が、ある一定の大きさを超えるまでは被接着対象物が接着されており、当該大きさを超えると、接着されていた被接着対象物が剥がれる性能である。
【0003】
被接着対象物が剥がれる際の接着の破壊形態としては、界面破壊、凝集破壊、及びこれらの混合が知られており、外力による接着の破壊形態が凝集破壊であると、接着性能が安定したものになることが知られている(例えば特許文献1を参照)。一方、接着剤組成物が、被接着対象物に対する高い接着力を備えていても、接着の破壊形態が界面破壊であると、接着層と被接着対象物との界面で剥がれが生じる際の外力のバラツキが大きいため、接着性能が安定しないという問題がある。
【0004】
例えば、特許文献2には、エポキシ樹脂、硬化剤およびシリカにより被覆されているポリオレフィン系樹脂を含有する、エポキシ樹脂接着剤が開示されている。当該接着剤組成物は、低収縮性で、高い接着性を有するものの破壊形態の観点から、充分な性能が得られない。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、接着性樹脂、コアシェルポリマー粒子、ポリマー粒子を含有する接着剤組成物が開示されている。これらは、数十~数百ナノサイズという特殊なコアシェルポリマー粒子と、コアシェルポリマー粒子より大きなポリマー粒子の2種を用いることで接着性能を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平5-295340号公報
特許第6526571号
国際公開第2019/189238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い接着強度と凝集破壊率の向上が両立された接着剤組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、成分(A)としての熱硬化性樹脂と、成分(B)としての熱可塑性樹脂粒子と、成分(C)としての硬化剤及び/又は成分(D)としての硬化促進剤を含む接着剤組成物において、所定の条件(I)~(III)を満たす前記の成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含み、さらに、成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の単位面積当たりの破壊エネルギーG
1c
に対する、成分(A)、(B)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の単位面積当たりの破壊エネルギーG
1c
の比が所定範囲にあることにより、接着剤組成物が高い接着強度と凝集破壊率の向上とを発揮することを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねて完成した発明である。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の構成を備える発明を提供する。
項1. 成分(A)としての熱硬化性樹脂と、
成分(B)としての熱可塑性樹脂粒子と、
成分(C)としての硬化剤及び/又は成分(D)としての硬化促進剤と、
を含む接着剤組成物であって、
前記成分(B)は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、アミノ基、アミド基及びグリシジル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する樹脂を含み、
前記接着剤組成物は、下記(式2)で求められる、前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の単位面積当たりの破壊エネルギーG
1c
に対する、成分(A)、(B)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の単位面積当たりの破壊エネルギーG
1c
の比が、2.5~6.0倍であり、
破壊エネルギーG
1c
=(破壊靱性値K
1c
)
2
/引張弾性率E (式2)
前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)は、下記条件(I)~(III)を満たす、接着剤組成物。
条件(I):前記成分(B)の融点から、前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の発熱開始温度を引いた値が、-10℃~60℃である。
条件(II):前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の引張弾性率と、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物の引張弾性率の差が、0.3GPa以上である。
条件(III):以下の方法で測定される、前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物と前記成分(B)から形成されたフィルムとの測定用積層体の引張強度が4MPa以上であり、かつ、単位体積当たりの歪みエネルギーが100kJ/m
3
以上である。
但し、上記条件(I)~(III)を測定する際の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の配合比率は、以下のとおりとする。
成分(C)は、成分(A)との官能基当量(モル)比が1:1とする。成分(D)は、成分(A)100質量部に対して、3質量部とする。成分(B)は、成分(A)と成分(C)と成分(D)の合計100質量部に対して、30質量部とする。また、接着剤組成物中に成分(C)が含まれない場合、成分(B)は、成分(A)と成分(D)の合計100質量部に対して30質量部とする。
(条件(III)の測定)
成分(B)を成形して幅1.5mm、厚み1mm、長さ3mmとしたフィルムを、幅90mm、厚さ1mm、長さ3mmの空間が設けられた型内の中央に置き、前記フィルムの両側に前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物を流し込み、60℃で60分の加熱、100℃で60分の加熱、及び150℃で120分の加熱を連続して行うことで前記混合物を前記型内で硬化させて、前記フィルムの両側に前記成分(A)、(C)及び(D)のみからなる混合物の硬化物が積層された測定用積層体を得る。前記測定用積層体について、掴み具間距離25mm、試験速度0.5mm/分の条件で引張試験を行い、引張強度を求める。得られた応力-歪み曲線から、単位体積当たりの歪みエネルギーを求める。
項2. 成分(A)が、エポキシ樹脂である、項1に記載の接着剤組成物。
項3. 成分(A)の含有率が、7~95質量%である、項1または2に記載の接着剤組成物。
項4. 成分(B)の体積平均粒子径が、2~30μmである、項1~3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
項5. 構造用材料、複合材料、電気・電子材料、基板材料、積層材料、コーティング材、及び塗料のいずれかの接着用途に用いられる、項1~4いずれか1項に記載の接着剤組成物。
項6. 項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物の硬化物。
項7. 項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を被接着対象物の表面に塗布、又は注型する工程と、
前記接着剤組成物を硬化させる工程と、
を含む、接着層の製造方法。
項8. 項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を被接着対象物の表面に塗布し、少なくとも2つの被接着対象物の間に前記接着剤組成物を配置する工程と、
前記接着剤組成物を硬化させる工程と、
を含む、少なくとも2つの被接着対象物が接着された積層体の製造方法。
項9. 項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を少なくとも2つの被接着対象物の間に注型する工程と、
前記接着剤組成物を硬化させる工程と、
を含む、少なくとも2つの被接着対象物が接着された積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い接着強度と凝集破壊率の向上が両立された接着剤組成物を提供することができる。本発明の接着剤組成物は、例えば、構造用材料、複合材料、電気・電子材料、基板材料、積層材料、コーティング材、塗料など、各種工業分野の接着剤組成物が使用される接着用途に好適に使用することができる。特に、本発明の接着剤組成物は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金などの金属材料やエンジニアプラスチック、炭素繊維強化プラスチックのような樹脂材料を単一もしくは組合せにより構成された部材を被接着対象物とする接着剤組成物として、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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