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公開番号2025004811
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-16
出願番号2023104648
出願日2023-06-27
発明の名称接着剤およびそれを用いた電子デバイス
出願人JNC株式会社
代理人
主分類C09J 171/12 20060101AFI20250108BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】 低誘電電子基板の原料である低誘電率樹脂シートと接着性が良好で、低粗度銅箔や低誘電率レジスト層とも接着性が良好である、耐熱性に優れた低誘電率な接着剤を、これまで低粗度銅箔と接着性が低いグラファイトシートを積層することに使用してきたポリビニルアセタール樹脂を応用することにより開発することである。
【手段】 ポリビニルアセタール樹脂、2官能以上の重合性化合物、および硬化成分を含む接着剤であり、低誘電電子基板と金属箔またはレジスト層とを貼り合わせるための接着剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリビニルアセタール樹脂、2官能以上の重合性化合物、および硬化成分を含む接着剤であり、低誘電電子基板と金属箔またはレジスト層とを貼り合わせるための接着剤。
続きを表示(約 3,400 文字)【請求項2】
前記ポリビニルアセタール樹脂が、構成単位A、BおよびCを含む、請求項1に記載の接着剤。
TIFF
2025004811000018.tif
45
76
構成単位A中、Rは水素または炭素数1~5のアルキルである。
TIFF
2025004811000019.tif
28
71
TIFF
2025004811000020.tif
26
68
【請求項3】
前記ポリビニルアセタール樹脂が、さらに、構成単位Dを含む、請求項2に記載の接着剤。
TIFF
2025004811000021.tif
30
70
構成単位D中、R

は水素または炭素数1~5のアルキルである。
【請求項4】
前記構成単位AにおけるRが、水素または炭素数1~3のアルキルである、請求項2に記載の接着剤。
【請求項5】
前記2官能以上の重合性化合物が、両末端に式(1-1)または(1-2)で表される重合性基を有する重合性化合物である、請求項1に記載の接着剤。
TIFF
2025004811000022.tif
28
64
式(1-1)および(1-2)中、R

は、水素、ハロゲン、-CF

、または炭素数1~5のアルキルであり、qは0または1であり、式中に複数あるR

は、それらが同一であっても異なっていてもよい。
【請求項6】
前記2官能以上の重合性化合物が、式(2)で表される重合性液晶性化合物である、請求項5に記載の接着剤。

1a
-Z

-A

-Z

-A

-(Z

-A


m1
-Z

-R
1b
(2)
式(2)中、


、A

、およびA

は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、ビシクロ[2.2.2]オクト-1,4-ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス-3,6-ジイル、またはフルオレン-2,7-ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの-CH

-は-O-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH=は-N=で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1~12のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH

-は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、または-C=C-で置き換えられてもよく;


、Z

、Z

、およびZ

は独立して、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH

-は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO

-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=N-、-N=CH-、または-N=N-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
m1は、0、1、または2であり、
式中に、Z

またはA

が複数ある場合は、それらが同一であっても異なっていてもよく、

1a
およびR
1b
は独立して、前記式(1-1)または(1-2)で表される重合性基であり;


およびA

が1,4-フェニレンであり、Z

が単結合であり、m1が0であり、かつ、R
1a
およびR
1b
が式(1-1)または(1-2)で表される重合性基の場合は、Z

およびZ

は炭素数が3~20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH

-は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO

-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=N-、-N=CH-、または-N=N-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【請求項7】
前記2官能以上の重合性液晶性化合物のA

から右末端のA

までのメソゲン部分が、ビフェニル構造であり、ビフェニル構造とR
1a
およびR
1b
のエポキシ基の間に炭素数が3以上の直鎖状のZ

およびZ

が介在する、請求項6に記載の接着剤。
【請求項8】
前記2官能以上の重合性液晶性化合物のメソゲン部分が、ビシクロヘキシル構造である、請求項6に記載の接着剤。
【請求項9】
前記硬化成分が、硬化剤、重合開始剤、硬化促進剤、および架橋剤からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項10】
前記硬化剤が、少なくとも2つの水酸基を有するポリフェニレンエーテルオリゴマー、活性エステル硬化剤、少なくとも2つの水酸基を有するアルキル・エーテル、および式(3―1)で表される重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の接着剤。
HO-Z
10
-A
10
-Z
20
-A
20
-(Z
30
-A
30

m10
-Z
40
-OH (3-1)
式(3-1)中、

10
、A
20
、およびA
30
は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、ビシクロ[2.2.2]オクト-1,4-ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキス-3,6-ジイル、またはフルオレン-2,7-ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの-CH

-は-O-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH=は-N=で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1~12のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH

-は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、または-C=C-で置き換えられてもよく;

10
、Z
20
、Z
30
、およびZ
40
は独立して、単結合または炭素数1~20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH

-は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO

-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=N-、-N=CH-、または-N=N-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
m10は、0、1、または2であり、
式中に、Z
30
またはA
30
が複数ある場合は、それらが同一であっても異なっていてもよい。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、5Gや6G用の高周波数領域で使用される電子基板に用いられる低誘電電子基板に金属箔や低誘電率レジスト層を、従来の生産設備およびプロセスで積層可能にするために、低誘電率樹脂シートと接着性が良好で、平滑な銅箔などの金属箔や低誘電率レジスト層などのレジスト層との接着性も良好である、接着層の誘電特性に優れた、ポリビニルアセタール樹脂を用いた低誘電電子基板の接着剤およびこの接着剤を用いた電子デバイスに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、通信機器の5G化さらにはbeyond5Gや6G化に伴い、電子基板上での電気信号の高周波化や、アンテナが送受信する電波も高周波化しており、信号処理回路基板やアンテナ基板による信号の損失が問題になっている。そのため、プリント配線基板や、2D、2.5Dでくみ上げられた半導体モジュール用基板に用いられる樹脂材料の低誘電率化、低誘電正接が求められており、従来のポリイミドやエポキシ樹脂に代わり、液晶ポリマー(LCP),ポリフェニレンエーテル(PPE)、シクロオレフィンポリマー(COP)、フッ素樹脂(PTFE)などの樹脂が基板原料として使用され始めている(非特許文献1)。
これらの基板原料の低誘電率樹脂シートやレジスト層は、誘電率を低く抑えるために、樹脂の極性を減らしているので従来のエポキシ接着剤との接着性が悪く、300℃近い高温でラミネートする熱可塑性接着剤を用いたり、低誘電率樹脂シートやレジスト層の表面に接着しやすくする処理を行ったりする必要がある。高温で低誘電率樹脂シートと銅箔またはレジスト層とをラミネートするためには、従来の200℃で設計された生産装置を使用することはできず、高温に対応した貼り合わせ装置が新たに必要になる。また、その高温により低誘電電子基板またはレジスト層を構成している樹脂や銅箔が熱による酸化や熱膨張率の差によるダメージを大きく受けてしまう難しさがあるので、200℃以下で強力に接着できる接着剤の開発が望まれている。
【0003】
また、電極や配線となる銅箔は、銅箔表面に凹凸があると表皮効果により高周波特性が悪化するために、可能な限り平坦な物を使用する必要がある。一方、銅は接着しにくい金属であり、接着性を向上させるために電解時の成長面の凹凸を利用したり、その凹凸面をさらに酸化処理したり、他の金属粒子を表面に析出させたりして、ガラスエポキシ基板やポリイミドフレキシブル基板に接着されている。以上の理由により、高周波用銅箔は接着性が低いため、その接着剤には、この平滑な銅箔との接着性も併せて求められる(非特許文献1)。
【0004】
さらに、低誘電電子基板用の接着剤には、低誘電率樹脂シートと平滑な銅箔または低誘電率レジスト層との接着性が求められるだけでなく、接着剤が硬化した接着層そのものも誘電体層としての特性が現れてしまうため、その誘電特性も重要である。そのため、誘電特性に優れたポリオレフィン系の熱圧着式の接着シートや低誘電フィラーを含む複合接着剤等が使用される場合が多い(特許文献1-4)。ただし、リフローはんだによる電子部品の固定にも耐え得るために、圧着温度はかなり高めに設計されている。一方、エポキシ樹脂を使用した熱硬化型の接着剤も開発されているが、誘電特性、耐熱性や接着性の調整のため様々なポリマーや添加剤と混合されている(特許文献5、6)。
【0005】
プリント配線基板では、最表層にレジストフィルムやカバーレイフィルムを付与したり、基板となるフィルムやプリプレグを積層する場合も多いので(非特許文献2)、レジストフィルムや、基板同士の接着性が求められる場合も多い。
【0006】
一般的には、強い接着性を実現させるために、エポキシ基を多く含む接着剤が使用されるが、誘電特性を向上させるためにエポキシ基を有する重合性化合物は減らす方向にあり、誘電特性を悪化させずに接着強度を高くする添加成分が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-89090号公報
特表2019-506488号公報
特開2013-206892号公報
特開2015-074089号公報
国際公開第2019/235439号
国際公開第2017/029917号
【非特許文献】
【0008】
「次世代通信・ミリ波技術の最新技術動向・今後の展望」、AndTech、2021、p.p.28-34。
「-5G/Beyond5Gにむけた-高速・高周波対応部材の最新開発動向」、技術情報協会、2021、p.p.84-90。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、従来の低誘電電子基板用の接着剤が有する問題点を解決するために、低誘電電子基板の原料である低誘電率樹脂シートと接着性が良好で、低粗度銅箔や低誘電率レジスト層とも接着性が良好である、耐熱性に優れた低誘電率な接着剤を、これまで低粗度銅箔と接着性が低いグラファイトシートを積層することに使用してきたポリビニルアセタール樹脂を応用することにより開発することである。
本発明の接着剤を用いることで、高周波数領域における次世代通信機器およびレーダーなどの基板作製に好適な接着剤を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エナメル線の絶縁被覆剤、または銅箔とグラファイトシートの接着剤などとして用いられているポリビニルアセタール樹脂、2官能以上の重合性化合物および硬化成分のこれら3成分を、接着成分として用いることにより、優れた誘電特性と接着性を併せ持つ接着剤を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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