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公開番号2024144157
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2024025113
出願日2024-02-22
発明の名称溶銑の予備処理方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
主分類C21C 5/28 20060101AFI20241003BHJP(鉄冶金)
要約【課題】地金付きトラブルの発生を抑制し、経済的にも有利な精錬が可能な溶銑の予備処理方法を提供する。
【解決手段】転炉型精錬炉内の溶銑に上吹きランスから気体酸素源を供給して溶銑を脱珪・脱燐処理する第1吹錬工程と、該第1吹錬工程で生成したスラグの少なくとも一部を前記転炉型精錬炉から排出する排滓工程と、該排滓工程後、前記転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤を添加し、前記上吹きランスから気体酸素源を供給して残留させた溶銑を脱燐・脱炭処理する第2吹錬工程と、を含む溶銑の予備処理方法であって、前記第2吹錬工程では、上吹きランスから溶銑浴面への気体酸素源の供給に際し、所定の関係式により求められる酸素衝突圧PCを58800Pa以下となるように吹錬する方法である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
転炉型精錬炉内の溶銑に上吹きランスから気体酸素源を供給して溶銑を脱珪・脱燐処理する第1吹錬工程と、
該第1吹錬工程で生成したスラグの少なくとも一部を前記転炉型精錬炉から排出する排滓工程と、
該排滓工程後、前記転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤を添加し、前記上吹きランスから気体酸素源を供給して残留させた溶銑を脱燐・脱炭処理する第2吹錬工程と、を含む溶銑の予備処理方法であって、
前記第2吹錬工程では、上吹きランスから溶銑浴面への気体酸素源の供給に際し、下記式(1)~(3)により求められる酸素衝突圧P

を58800Pa以下となるように吹錬する、溶銑の予備処理方法。


=ρ・V

/2 (1)
V/(V

-V
loss
)=d

/(2・C・Z) (2)
C=0.016+18600/(P

-P

) (3)
ここで、P

:浴面への酸素衝突圧(Pa)、
ρ:気体酸素源のガス密度(1.43kg/m

)、
V:気体酸素源の中心流速(m/s)、


:ノズル出口噴出流速(m/s)、

loss
:不適正膨張による流速ロス(m/s)、


:ノズル出口径(m)、
C:定数、
Z:ランス高さ(m)、


:ノズル絶対圧力(Pa)、


:雰囲気圧(Pa)
を表す。
続きを表示(約 250 文字)【請求項2】
前記第2吹錬工程は、気体酸素源の供給について、吹錬開始からの累積送酸量が総送酸量の30%未満の範囲では、前記酸素衝突圧P

を10800~11800Paの範囲とし、累積送酸量が総送酸量の30%以上70%未満の範囲では、前記酸素衝突圧P

を14700~15700Paの範囲とし、その残りの累積送酸量が総送酸量の70%以上の範囲では、前記酸素衝突圧P

を49000~50000Paの範囲とする、請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、転炉または転炉形式の精錬炉を使用する製鋼法とそのための溶銑の脱珪・脱燐・脱炭処理を含む溶銑の予備処理方法に関する。以下の記載において、質量の単位である「t」は10

kgを表す。また、気体の体積の単位に付す「N」は気体の標準状態での体積を表し、標準状態を0℃、101325Paとする。本明細書中で、数値範囲をあらわす「x~y」は、x以上y以下を表し、境界値を含む。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来の脱珪・脱燐・脱炭処理工程を含む溶銑の予備処理方法では、溶銑の脱珪・脱燐・脱炭処理を行うために、上吹きランスから気体酸素源を供給している。脱珪・脱燐・脱炭処理を効率的に行うために、送酸速度、ランス高さ、底吹ガス流量の3つの数値を変化させる処理方法が行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1では、転炉型精錬炉を用いて溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを、途中の排滓工程を挟んで連続して行う溶銑の予備処理方法が開示されている。脱珪処理後の排滓工程において十分な量のスラグを迅速に炉外に排出することができ、次工程の脱燐処理では、コスト面及び品質面から十分な脱燐処理を行うことを可能とする、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2014-159632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には、以下の問題があった。
特許文献1に開示の技術は、送酸速度、ランス高さ、底吹ガス流量の具体的数値が確立していない。そのため、脱燐・脱炭処理工程において、脱燐処理の品質は改善された。一方、吹錬中に噴出・発生した地金が転炉設備のフード部分に付着・落下する場合があった。そして、その地金を除去するために操業コストが増加するのを改善する余地があった。
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであって、吹錬中に発生した地金が転炉設備のフード部分に付着・落下するトラブルの発生を抑制し、経済的にも有利な精錬が可能な溶銑の予備処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を有利に解決する本発明にかかる溶銑の予備処理方法は、転炉型精錬炉内の溶銑に上吹きランスから気体酸素源を供給して溶銑を脱珪・脱燐処理する第1吹錬工程と、該第1吹錬工程で生成したスラグの少なくとも一部を前記転炉型精錬炉から排出する排滓工程と、該排滓工程後、前記転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤を添加し、前記上吹きランスから気体酸素源を供給して残留させた溶銑を脱燐・脱炭処理する第2吹錬工程と、を含む溶銑の予備処理方法であって、前記第2吹錬工程では、上吹きランスから溶銑浴面への気体酸素源の供給に際し、下記式(1)~(3)により求められる酸素衝突圧P

を58800Pa以下となるように吹錬することを特徴とする。


=ρ・V

/2 (1)
V/(V

-V
loss
)=d

/(2・C・Z) (2)
C=0.016+18600/(P

-P

) (3)
ここで、P

:浴面への酸素衝突圧(Pa)、
ρ:気体酸素源のガス密度(1.43kg/m

)、
V:気体酸素源の中心流速(m/s)、


:ノズル出口噴出流速(m/s)、

loss
:不適正膨張による流速ロス(m/s)、


:ノズル出口径(m)、
C:定数、
Z:ランス高さ(m)、


:ノズル絶対圧力(Pa)、


:雰囲気圧(Pa)
を表す。
【0008】
なお、本発明にかかる溶銑の予備処理方法は、前記第2吹錬工程は、気体酸素源の供給について、吹錬開始からの累積送酸量が総送酸量の30%未満の範囲では、前記酸素衝突圧P

を10800~11800Paの範囲とし、累積送酸量が総送酸量の30%以上70%未満の範囲では、前記酸素衝突圧P

を14700~15700Paの範囲とし、その残りの累積送酸量が総送酸量の70%以上の範囲では、前記酸素衝突圧P

を49000~50000Paの範囲とすることがより好ましい解決手段になり得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、酸素吹錬中の酸素衝突圧を適正に管理したので、吹錬中に発生した地金が転炉設備のフード部分に付着・落下するトラブルの発生を抑制し、経済的にも有利な溶銑の予備処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(A)~(E)は、本発明の一実施形態にかかる溶銑の予備処理方法を工程順に示す概略図である。
本発明の吹錬のパターン図である。
本発明範囲外の吹錬のパターン図である。
本発明法と本発明範囲外での地金によるトラブル発生件数の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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