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公開番号
2025013269
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2024111108
出願日
2024-07-10
発明の名称
方向性電磁鋼板の製造方法およびその圧延設備
出願人
JFEスチール株式会社
代理人
弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
主分類
C21D
8/12 20060101AFI20250117BHJP(鉄冶金)
要約
【課題】圧延中の歪時効の効果をさらに高め、きわめて低鉄損な方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼スラブに熱間圧延を施し、熱延鋼板とする熱間圧延工程と、任意に、熱延鋼板に焼鈍を施し、熱延焼鈍板とする熱延板焼鈍工程と、熱延鋼板または熱延焼鈍板に、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、最終板厚を有する冷延鋼板とする冷間圧延工程と、冷延鋼板に脱炭焼鈍を施し、脱炭焼鈍板とする脱炭焼鈍工程と、脱炭焼鈍板に二次再結晶焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を含み、冷間圧延工程の最終板厚とする冷間圧延において、少なくとも1つのパス間で、鋼板表面に振動を与える鋼板表面振動工程を実施する方向性電磁鋼板の製造方法である。鋼板表面振動工程は、鋼板表面に音波を照射し、鋼板表面での音圧が30dB以上、鋼板温度が50℃以上400℃以下であることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼スラブに熱間圧延を施し、熱延鋼板とする熱間圧延工程と、
任意に、前記熱延鋼板に焼鈍を施し、熱延焼鈍板とする熱延板焼鈍工程と、
前記熱延鋼板または前記熱延焼鈍板に、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、最終板厚を有する冷延鋼板とする冷間圧延工程と、
前記冷延鋼板に脱炭焼鈍を施し、脱炭焼鈍板とする脱炭焼鈍工程と、
前記脱炭焼鈍板に二次再結晶焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、
を含み、
前記冷間圧延工程の最終板厚とする冷間圧延において、少なくとも1つのパス間で、鋼板表面に振動を与える鋼板表面振動工程を実施する、方向性電磁鋼板の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記鋼板表面振動工程では、鋼板表面での音圧が30dB以上となるように音波を鋼板に照射する、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
前記鋼板表面振動工程では、鋼板温度を50℃以上400℃以下とする、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記鋼板表面振動工程では、鋼板温度を50℃以上400℃以下とする、請求項2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項5】
前記鋼スラブが、質量%で、
C:0.01~0.10%、
Si:2.0~4.5%および
Mn:0.01~0.5%
を含有し、
A群;
Al:0.0100~0.0400%、
N:0.0050~0.0120%ならびに
SおよびSeのうちの少なくとも1種を合計で0.01~0.05%、
B群;
Al:0.0100%未満、
S:0.0100%以下、
Se:0.0100%以下および
N:0.0050%以下、
のうちいずれか1群の成分を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記鋼スラブが、さらに、質量%で、下記C群~E群のうち少なくとも1群の成分を含有する、請求項5に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
C群;
Sb:0.005~0.50%、
Cu:0.01~1.50%、
P:0.005~0.500%、
Cr:0.01~1.50%、
Ni:0.005~1.500%、
Sn:0.01~0.50%、
Nb:0.0005~0.0100%、
Mo:0.01~0.50%、
B:0.0010~0.007%および
Bi:0.0005~0.0500%
のうちから選ばれる少なくとも1種、
D群;
Ti:0.0005~0.0400%、
V:0.001~0.020%および
W:0.001~0.020%
のうちから選ばれる少なくとも1種、
E群;
Zn:0.0005~0.020%、
Zr:0.001~0.020%、
Pb:0.0001~0.0100%、
As:0.001~0.020%、
Ag:0.001~0.050%、
Au:0.001~0.050%、
Ga:0.0001~0.0050%、
Ge:0.0001~0.0050%、
Ca:0.0005~0.020%、
Mg:0.0005~0.020%、
REM:0.0005~0.0200%および
Hf:0.001~0.020%
のうちから選ばれる少なくとも1種。
【請求項7】
鋼板表面における音圧レベルが30dB以上の音波を照射する装置を備える、方向性電磁鋼板圧延用の圧延設備。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製造に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料で、鉄の磁化容易軸である{110}<001>方位、いわゆるGoss方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有する磁気特性に優れた鋼板である。
【0003】
Goss方位への集積を高める方法としては、たとえば、特許文献1には、冷間圧延中の冷延鋼板を低温で熱処理し、時効処理を施す方法が開示されている。また、特許文献2には、熱延板焼鈍または最終冷間圧延前の中間焼鈍時の冷却速度を30℃/sec以上とし、さらに、最終冷間圧延中に、板温150~300℃で2分間以上のパス間時効を2回以上行う技術が開示されている。さらに、特許文献3~5には、圧延中の鋼板温度を高めて温間圧延することにより、圧延時に導入された転位を直ちにCやNで固着させる動的歪時効を利用する技術が開示されている。
【0004】
これら特許文献1~3の技術は、いずれも冷延前、圧延中又は圧延のパス間で鋼板温度を適正温度に保持している。それによって、固溶元素である炭素(C)や窒素(N)を低温で拡散させ、冷間圧延で導入された転位を固着して、それ以降の圧延での転位の移動を妨げ、剪断変形をより起こさせて、圧延集合組織を改善しようとするものである。これらの技術の適用によって、一次再結晶板の時点でGoss方位種結晶が数多く形成される。二次再結晶時にそれらのGoss方位種結晶が粒成長することにより、二次再結晶後のGoss方位への集積を高めることができる。
【0005】
また、上記歪時効の効果をさらに高める技術として、特許文献4では冷間圧延工程の最終冷間圧延の直前の焼鈍工程にて、鋼中に微細カーバイドを析出させておき、この最終圧延を前半部と後半部の二つに分けている。その最終圧延の前半部では圧下率30~75%の範囲で140℃以下の低温にて、後半部では少なくとも2回の圧下パスを150~300℃の高温にて、かつ前半部、後半部を合わせた総圧下率80~95%で圧延を行っている。そうすることで、安定してGoss方位に高度に集積した材料を得られる技術が開示されている。また、特許文献5にはタンデムで行う冷間圧延の前に0.5kg/mm
2
以上の張力付与下において50~150℃、30秒~30分間の熱処理を施すことで鋼中に微細カーバイドを析出させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開昭50-016610号公報
特開平08-253816号公報
特開平01-215925号公報
特開平09-157745号公報
特開平04-120216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年では、社会の省エネルギーに対する要請から、低鉄損な方向性電磁鋼板の需要は高まる一方であり、低鉄損な方向性電磁鋼板を製造する技術の開発が求められている。そのためには圧延中の歪時効の効果を高める必要がある。
しかし、上記特許文献に開示された従来技術には、以下のような問題がある。
【0008】
特許文献1~3のように圧延中に鋼板を加熱する技術では、鋼板温度の上昇により圧延潤滑の不足がおこり、鋼板形状悪化による歩留まり低下を招くことから、時効中の鋼板温度には上限がある。そのため磁性改善効果にも上限がある。また、特許文献4、5のように最終冷延前の焼鈍工程でカーバイド析出処理を行う技術は歪時効の効果を高めるものの、さらに歪時効の効果を高める技術が必要となっている。
【0009】
本発明は、圧延中の歪時効の効果をさらに高め、きわめて低鉄損な方向性電磁鋼板の製造方法、および、その方法に用いる方向性電磁鋼板圧延用の圧延設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記課題を解決するために、圧延中の歪時効の効果を高める手法について鋭意検討を重ねた。以下、この発明に至った実験について説明する。
(【0011】以降は省略されています)
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