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公開番号2025035129
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023141963
出願日2023-09-01
発明の名称高炉の還元粉化量の推定方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C21B 5/00 20060101AFI20250306BHJP(鉄冶金)
要約【課題】高炉の炉内位置毎に還元粉化量を推定する。
【解決手段】高炉に装入される鉄原料の還元粉化量を所定の炉内位置毎に推定する還元粉化量推定方法であって、還元粉化前の鉄原料の粒度区間毎の重量割合を粉化前粒度分布ベクトル、還元粉化後の鉄原料の粒度区間毎の重量割合を粉化後粒度分布ベクトルと定義したとき、マグネタイト変化量及び鉄原料に働く衝撃エネルギーに基づき、炉内位置毎に還元粉化指数を求め、前記還元粉化指数及びGaudin-Meloy分布式を用いて、所定の粒度区間毎に還元粉化による鉄原料の重量割合の変化の度合いを表した粉化マトリックスを、炉内位置毎に作成し、炉内位置毎に前記粉化マトリックス及び粉化前粒度分布ベクトルの行列の積から粉化後粒度分布ベクトルを求め、粉化後粒度分布ベクトル算出ステップの算出結果に基づき、炉内位置毎の還元粉化量を求める。
【選択図】図11
特許請求の範囲【請求項1】
高炉に装入される鉄原料の還元粉化量を所定の炉内位置毎に推定する還元粉化量推定方法であって、
還元粉化前の鉄原料の粒度区間毎の重量割合を粉化前粒度分布ベクトル、還元粉化後の鉄原料の粒度区間毎の重量割合を粉化後粒度分布ベクトルと定義したとき、
マグネタイトの還元前後の重量割合の変化量であるマグネタイト変化量及び鉄原料に働く衝撃エネルギーに基づき、炉内位置毎に還元粉化指数を求める還元粉化指数算出ステップと、
前記還元粉化指数及びGaudin-Meloy分布式を用いて、所定の粒度区間毎に還元粉化による鉄原料の重量割合の変化の度合いを表した粉化マトリックスを、炉内位置毎に作成する粉化マトリックス作成ステップと、
炉内位置毎に前記粉化マトリックス及び粉化前粒度分布ベクトルの行列の積から粉化後粒度分布ベクトルを求める粉化後粒度分布ベクトル算出ステップと、
前記粉化後粒度分布ベクトル算出ステップの算出結果に基づき、炉内位置毎の還元粉化量を求める還元粉化量算出ステップと、
を有することを特徴とする高炉の還元粉化量の推定方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記還元粉化指数算出ステップは、炉内位置毎のマグネタイト変化量及び衝撃エネルギーを、以下の式(A)に代入することにより、還元粉化指数を求めるステップであることを特徴とする請求項1に記載の高炉の還元粉化量の推定方法。
JPEG
2025035129000021.jpg
71
170
ただし、eは衝撃エネルギー、deは衝撃エネルギーの微小変化量、△Fe
3
O
4
はマグネタイト変化量、d(△Fe
3
O
4
)はマグネタイトの微小変化量である。また、x

、y

、x

、y

、α

、α

、α

、βはいずれも定数である。
【請求項3】
前記粉化マトリックス作成ステップで作成される粉化マトリックスの行列は、DEG
ij
(ただし、添え字のi、jは1~rいずれかの整数であり、rは粒度区間の個数に対応する)を用いた以下の行列(B)によって表現されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉の還元粉化量の推定方法。
JPEG
2025035129000022.jpg
71
170
添え字i、jが互いに同一のDEG
ij
は、還元粉化後に粒度区間iからシフトせずに残る鉄原料に対応しており、添え字i、jが互いに異なるDEG
ij
は、還元粉化後に粒度区間iから粒度区間jにシフトする鉄原料に対応する。
【請求項4】
各DEG
ij
(ただし、DEG
rr
を除く)は、Gaudin-Meloy分布式に基づき求められ、DEG
rr
は1である、
ことを特徴とする請求項3に記載の高炉の還元粉化量の推定方法。
【請求項5】
同一の行に含まれるDEG
ij
は、Gaudin-Meloy分布式における初期粒径が同一値に設定され、
この初期粒径は、行によって異なり、行の番号が増えるほど小さくなることを特徴とする請求項4に記載の高炉の還元粉化量の推定方法。
【請求項6】
請求項1に記載の高炉の還元粉化量の推定方法の推定結果に基づき、高炉を操業する高炉の操業方法であって、
前記還元粉化量算出ステップで求めた炉内位置毎の還元粉化量に基づき、還元粉化量が所定値以上となる炉内異常領域を特定し、
前記炉内異常領域における還元粉化量を低下させる改善アクションを実施することを特徴とする高炉の操業方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉の還元粉化量を炉内位置毎に推定する方法に関するものである。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
高炉法では、炉内で鉱石層及びコークス層が交互に形成されるように原料を装入するとともに、炉下部より熱風を送風することで、還元・溶融プロセスを同時に進行させ、溶銑を効率的に生産している。高炉法の優位点は熱効率の高さであり、この熱効率を維持するためには、高炉内の通気性(以下、「炉内通気性」ともいう)確保が重要な操業指標の一つとされている。炉内通気性の確保が重視される理由は、炉内通気性が損なわれることにより、熱交換が十分行われずに、高炉の安定操業に悪影響を及ぼすからである。
【0003】
炉内通気性の悪化要因として、鉱石の還元粉化が知られている。還元粉化により鉱石の顕著な粒度低下を引き起こし、炉内における鉱石間の空隙が小さくなるため、炉内通気性が悪化する。炉内通気性の悪化が深刻化すれば荷下がりの不調、棚吊りを引き起こし、高炉内部の物流安定性及び熱伝導性が著しく損なわれる。還元粉化のメカニズムについては現在までに詳細な調査が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
高炉の安定操業を実現するためには鉱石の還元粉化が深刻化する前に適切なアクションを行い、事前に対処することが重要である。そのため、高炉内部での鉱石の還元粉化による鉱石粒径の低下量を予測する手法が開発・報告されている。
【0005】
非特許文献2には、還元後の鉱石の調和平均径及び還元率が二次関数の相関を持つことを明らかにし、粉化後の鉱石の調和平均径を推定する推定式が提案されている。
非特許文献3には、Rittingerの式を基にした田中の式を参考に鉱石の還元粉化後の焼結鉱の比表面積を考慮して高炉内部での鉱石の還元粉化後の鉱石の調和平均径を予測する方法が提案されている。
【0006】
特許文献1には、高炉無次元半径0.7以上1以下の領域に還元粉化指数(RDI)の高い鉄原料を装入することによって、コークス比率を高める高炉の操業方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2012-112032号公報
【非特許文献】
【0008】
稲角ら:鉄と鋼, 68(1982), 2207.
岩永:鉄と鋼, 68(1982), 740.
中島ら:鉄と鋼, 73(1987), 1964.
A. M. Gaudin and T. M. Meloy: Trans AIME, 223(1962), 40.
鉄と鋼 Vol.83(1997)No.2
Tetsu-to-Hagane Vol. 100 (2014) No. 11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献2及び3はいずれも鉱石の調和平均径を推定していたにすぎず、炉内位置毎に還元粉化量を推定することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
還元粉化を引き起こす主な要因として、以下の(1)及び(2)が考えられる。
(1)高炉塊状帯の比較的上部の低温部(400℃~800℃)において、ヘマタイトがマグネタイトに還元されるときに生じるマグネタイトの体積膨張によって還元粉化が発生する。
(2)未還元のマグネタイトが、衝撃エネルギーの比較的大きいシャフト下部まで残存することによって還元粉化が発生する。
かかる観点に基づき、本発明者は、以下の発明を創作するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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