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公開番号2024141369
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023052973
出願日2023-03-29
発明の名称チョコレート類用油脂
出願人不二製油株式会社
代理人
主分類A23D 9/00 20060101AFI20241003BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】
チョコレート類におけるブルーム及び/又はグレーニングを低減させる低トランス脂肪酸の油脂を提供すること。
【解決手段】
ラウリン酸含有量を比較的少量となる特定範囲に調整し、かつ炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸を高含有させ、かつCN38~CN46のトリグリセリド含有量、SO2トリグリセリド含有量、及びS2Oトリグリセリド含有量をそれぞれ特定の範囲とするチョコレート類用油脂を用いることにより、解決できる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記(a)~(f)を全て満たす、チョコレート類用油脂。
(a) 全構成脂肪酸に占める、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下
(b) 全構成脂肪酸に占める、ラウリン酸含有量が1~13重量%
(c) 全構成脂肪酸に占める、炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸含有量が20~60重量%
(d) 全トリグリセリドに占める、CN38~CN46のトリグリセリド含有量が10~35重量%
(e) 全トリグリセリドに占める、SO2トリグリセリド含有量が30重量%以下
(f) 全トリグリセリドに占める、S2Oトリグリセリド含有量が10~40重量%
ただし、「CN38~CN46のトリグリセリド」とは、油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が38~46のトリグリセリドを示し、SO2トリグリセリドとは、S(炭素数16~20の飽和脂肪酸を示す。以下同じ。)が1分子、O(オレイン酸を示す。以下同じ。)が2分子結合しているトリグリセリドを示し、S2Oトリグリセリドとは、Sが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリドを示す。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が35~58重量%である、請求項1記載のチョコレート類用油脂。
【請求項3】
下記SFC%を全て満たす、請求項1記載のチョコレート類用油脂。
・0℃のSFCが、10~60%
・5℃のSFCが、5~50%
・10℃のSFCが、40%以下
・20℃のSFCが、9%以下
【請求項4】
下記SFC%を全て満たす、請求項2記載のチョコレート類用油脂。
・0℃のSFCが、10~60%
・5℃のSFCが、5~50%
・10℃のSFCが、40%以下
・20℃のSFCが、9%以下
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載のチョコレート類用油脂を5~65重量%使用してなるチョコレート類。
【請求項6】
構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が1~25重量%で、かつパルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量の比が1.5~5となるエステル交換油を、分別により高融点部を除去することを特徴とする、下記(a)~(f)を全て満たす、チョコレート類用油脂の製造方法。
(a) 全構成脂肪酸に占める、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下
(b) 全構成脂肪酸に占める、ラウリン酸含有量が1~13重量%
(c) 全構成脂肪酸に占める、炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸含有量が20~60重量%
(d) 全トリグリセリドに占める、CN38~CN46のトリグリセリド含有量が10~35重量%
(e) 全トリグリセリドに占める、SO2トリグリセリド含有量が30重量%以下
(f) 全トリグリセリドに占める、S2Oトリグリセリド含有量が10~40重量%
ただし、「CN38~CN46のトリグリセリド」とは、油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が38~46のトリグリセリドを示し、SO2トリグリセリドとは、S(炭素数16~20の飽和脂肪酸を示す。以下同じ。)が1分子、O(オレイン酸を示す。以下同じ。)が2分子結合しているトリグリセリドを示し、S2Oトリグリセリドとは、Sが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリドを示す。
【請求項7】
下記(a)~(f)を全て満たすチョコレート類用油脂を配合することによる、ソフトチョコレート類のブルーム及び/又はグレーニングを抑制する方法。
(a) 全構成脂肪酸に占める、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下
(b) 全構成脂肪酸に占める、ラウリン酸含有量が1~13重量%
(c) 全構成脂肪酸に占める、炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸含有量が20~60重量%
(d) 全トリグリセリドに占める、CN38~CN46のトリグリセリド含有量が10~35重量%
(e) 全トリグリセリドに占める、SO2トリグリセリド含有量が30重量%以下
(f) 全トリグリセリドに占める、S2Oトリグリセリド含有量が10~40重量%
ただし、「CN38~CN46のトリグリセリド」とは、油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が38~46のトリグリセリドを示し、SO2トリグリセリドとは、S(炭素数16~20の飽和脂肪酸を示す。以下同じ。)が1分子、O(オレイン酸を示す。以下同じ。)が2分子結合しているトリグリセリドを示し、S2Oトリグリセリドとは、Sが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリドを示す。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート類用油脂に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
チョコレート類は、チョコレート類単独で使用される他に、菓子類・パン類と組み合わせて使用される食品も多く、多種多様な形態の食品に利用されている。かかる利用形態に応じて、チョコレート類に求められる機能も様々である。
【0003】
様々な種類のチョコレート類の中で、滑らかで軟らかい食感のソフトチョコレート類が存在する。従来、かかるソフトチョコレート類には、大豆油や菜種油などの液状油、及びかかる液状油を原材料として水素添加して得られる、上昇融点10℃~20℃程度の微水添硬化油が広く利用されてきた。微水添硬化油は、ココアバターとの相溶性や、チョコレートに配合した際の結晶性状にも優れ、ブルーム耐性が良好で、ソフトチョコレート類に適した機能を有していたが、トランス脂肪酸が健康に及ぼすリスクが報告された状況から、構成脂肪酸組成中のトランス脂肪酸含有量を低減した、低トランス脂肪酸の油脂が望まれるようになった。
【0004】
低トランス脂肪酸の油脂が望まれる状況で、既存の低融点油脂に、シード剤や乳化剤を配合する方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、いずれも油脂を改良するものではなく、添加物を加えてチョコレートに配合した際の結晶性状を改良するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-153438号公報
国際公開第2019/194081号
特開2018-171001号公報
特開2018-171002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3、特許文献4には、エステル交換により結晶性状を改善した、低トランス脂肪酸の油脂が開示されている。口中でココアバターに類似したシャープな融解性状を有しているが、ソフトチョコレート類に使用するには、開示された油脂単独では若干硬い油脂であった。
【0007】
本発明者らは、低トランス脂肪酸の油脂を使用した、ソフトチョコレート類に発生する課題を考察した。
ソフトチョコレート類用に低トランス脂肪酸の油脂を用いると、チョコレート類の表面の油脂結晶が粗大化することにより、ブルームと呼ばれる現象が発生する場合がある。またココアバターなど比較的融点の高い油脂がチョコレート類内部で結晶化し、ざらざらとした粒状の油脂結晶や、粗い組織に起因する、グレーニングと呼ばれる現象が発生する場合がある。
さらに、チョコレート類に少量の低トランス脂肪酸の油脂を配合し、チョコレート類のソフト化(低融点化)を目指す場合においても、同様のブルーム及び/又はグレーニング現象が発生する場合がある。
かかる従来技術の課題を認識した上で、本発明の目的は、チョコレート類におけるブルーム及び/又はグレーニングを低減させる低トランス脂肪酸の油脂を提供することである。特に、ソフトチョコレート類におけるブルーム及び/又はグレーニングを低減させる低トランス脂肪酸の油脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、当初の想定に反し、ラウリン酸含有量を比較的少量となる特定範囲に調整し、かつ炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸を高含有させ、かつCN38~CN46のトリグリセリド含有量、SO2トリグリセリド含有量、及びS2Oトリグリセリド含有量をそれぞれ特定の範囲とするチョコレート類用油脂を用いることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の発明を含有するものである。
(1) 下記(a)~(f)を全て満たす、チョコレート類用油脂。
(a) 全構成脂肪酸に占める、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下
(b) 全構成脂肪酸に占める、ラウリン酸含有量が1~13重量%
(c) 全構成脂肪酸に占める、炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸含有量が20~60重量%
(d) 全トリグリセリドに占める、CN38~CN46のトリグリセリド含有量が10~35重量%
(e) 全トリグリセリドに占める、SO2トリグリセリド含有量が30重量%以下
(f) 全トリグリセリドに占める、S2Oトリグリセリド含有量が10~40重量%
ただし、「CN38~CN46のトリグリセリド」とは、油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が38~46のトリグリセリドを示し、SO2トリグリセリドとは、S(炭素数16~20の飽和脂肪酸を示す。以下同じ。)が1分子、O(オレイン酸を示す。以下同じ。)が2分子結合しているトリグリセリドを示し、S2Oトリグリセリドとは、Sが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリドを示す。
(2) 全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が35~58重量%である、(1)のチョコレート類用油脂。
(3) 下記SFC%を全て満たす、(1)のチョコレート類用油脂。
・0℃のSFCが、10~60%
・5℃のSFCが、5~50%
・10℃のSFCが、40%以下
・20℃のSFCが、9%以下
(4) 下記SFC%を全て満たす、(2)のチョコレート類用油脂。
・0℃のSFCが、10~60%
・5℃のSFCが、5~50%
・10℃のSFCが、40%以下
・20℃のSFCが、9%以下
(5) (1)~(4)いずれか1項に記載のチョコレート類用油脂を5~65重量%使用してなるチョコレート類。
(6) 構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が1~25重量%で、かつパルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量の比が1.5~5となるエステル交換油を、分別により高融点部を除去することを特徴とする、下記(a)~(f)を全て満たす、チョコレート類用油脂の製造方法。
(a) 全構成脂肪酸に占める、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下
(b) 全構成脂肪酸に占める、ラウリン酸含有量が1~13重量%
(c) 全構成脂肪酸に占める、炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸含有量が20~60重量%
(d) 全トリグリセリドに占める、CN38~CN46のトリグリセリド含有量が10~35重量%
(e) 全トリグリセリドに占める、SO2トリグリセリド含有量が30重量%以下
(f) 全トリグリセリドに占める、S2Oトリグリセリド含有量が10~40重量%
ただし、「CN38~CN46のトリグリセリド」とは、油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が38~46のトリグリセリドを示し、SO2トリグリセリドとは、S(炭素数16~20の飽和脂肪酸を示す。以下同じ。)が1分子、O(オレイン酸を示す。以下同じ。)が2分子結合しているトリグリセリドを示し、S2Oトリグリセリドとは、Sが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリドを示す。
(7) 下記(a)~(f)を全て満たすチョコレート類用油脂を配合することによる、ソフトチョコレート類のブルーム及び/又はグレーニングを抑制する方法。
(a) 全構成脂肪酸に占める、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下
(b) 全構成脂肪酸に占める、ラウリン酸含有量が1~13重量%
(c) 全構成脂肪酸に占める、炭素数16以上の鎖長を有する飽和脂肪酸含有量が20~60重量%
(d) 全トリグリセリドに占める、CN38~CN46のトリグリセリド含有量が10~35重量%
(e) 全トリグリセリドに占める、SO2トリグリセリド含有量が30重量%以下
(f) 全トリグリセリドに占める、S2Oトリグリセリド含有量が10~40重量%
ただし、「CN38~CN46のトリグリセリド」とは、油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が38~46のトリグリセリドを示し、SO2トリグリセリドとは、S(炭素数16~20の飽和脂肪酸を示す。以下同じ。)が1分子、O(オレイン酸を示す。以下同じ。)が2分子結合しているトリグリセリドを示し、S2Oトリグリセリドとは、Sが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリドを示す。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、チョコレート類において、ブルーム及び/又はグレーニングの発生を抑制する油脂を提供することができる。特にソフトチョコレート類において、ブルーム及び/又はグレーニングの発生を抑制する油脂を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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