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公開番号2024137753
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-07
出願番号2024027533
出願日2024-02-27
発明の名称少なくとも1つのSiCバルク単結晶の熱的後処理のための方法及び装置
出願人エスアイクリスタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
代理人弁理士法人山口・竹本知的財産事務所,個人,個人,個人
主分類C30B 29/36 20060101AFI20240927BHJP(結晶成長)
要約【課題】SiCバルク単結晶の熱的後処理のための改善された方法及び装置を提供する。
【解決手段】方法は、軸方向に測定された結晶長を有し、半径方向に測定された結晶直径を有し、軸方向に延在する結晶中心縦軸10を有し、且つ3つの境界面、即ち、底面11、上面12及び外周端面13を備えた、実質的に円筒形の基本形状を有する少なくとも1つのSiCバルク単結晶2の熱的後処理を目的とする。SiCバルク単結晶は、事前の結晶育成の完了後にSiCバルク単結晶に存在する機械的応力を低減するために、後処理温度にされる。ここで、結晶中心立軸から外周端面まで連続的に上昇する半径方向の熱勾配を有する不均質温度プロフィールが、SiCバルク単結晶内に設定され、SiCバルク単結晶の、それを取り囲む自由空間4との間の、熱交換が、3つの境界面(11,12,13)のうちの少なくとも2つで自由熱放射によって行なわれる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
軸方向に測定された結晶長を有し、半径方向に測定された結晶直径を有し、軸方向に延在する結晶中心縦軸(10)を有し、且つ3つの境界面、即ち、底面(11)、上面(12)及び外周端面(13)を備えた、実質的に円筒形の基本形状を有する少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2)の熱的後処理方法であって、
a) SiCバルク単結晶(2)が後処理温度にされて、事前の結晶育成の完了後に前記SiCバルク単結晶(2)中に存在する機械的応力を低減し、ここで、
b) 前記結晶中心縦軸(10)から外周端面(13)まで連続的に増加する半径方向温度勾配を有する不均質温度プロフィールが前記SiCバルク単結晶(2)内に設定され、そして、
c) 前記SiCバルク単結晶(2)と、これを取り囲む自由空間(4)との、熱交換が前記3つの境界面(11,12,13)のうちの少なくとも2つの上で自由熱放射により行なわれる
熱的後処理方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記SiCバルク単結晶(2)と前記周囲の自由空間(4)との熱交換が、3つの境界面(11,12,13)全てにおける自由熱放射によって行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SiCバルク単結晶(2)とこれを取り囲む前記自由空間(4)との熱交換が、前記SiCバルク単結晶(2)の全表面の半径方向表面部分における自由熱放射によって起こり、ここで、前記全表面積が前記3つの境界面(11,12,13)の合計から構成され、前記半径方向表面部分が前記全表面積の63%~83%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記半径方向温度勾配が、前記結晶中心縦軸(10)から前記結晶直径の半分まで半径方向に延在する前記SiCバルク単結晶(2)の中心領域において0.1K/cmから0.3K/cmの間の値をとるように設定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記半径方向温度勾配が、前記結晶直径の半分から外周端面にまで延在する前記SiCバルク単結晶(2)の端部領域において0.25K/cmから0.8K/cmの間の値をとるように設定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記SiCバルク単結晶(2)の周囲にガス雰囲気を設定し、その目的のために、少なくとも1つのケイ素不含有プロセスガス、特にアルゴン、ヘリウム、他の希ガス及び窒素からなる群から選ばれるガス又はこの群からのガスの混合物、を供給することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶長が50mm以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記結晶直径が少なくとも150mmであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶長を前記結晶直径で割ることによって形成されるアスペクト比が、0.05~0.35の範囲内にあることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2)の熱的後処理のための装置であって、軸方向に測定された結晶長を有し、半径方向に測定された結晶直径を有し、軸方向に延在する結晶中心縦軸(10)を有し、且つ3つの境界面、即ち、底面(11)、上面(12)及び外周端面(13)を備えた、本質的に円筒状の基本形状を有する装置において、
a)熱的に後処理される前記少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2)のための受容空間(4)を備えた熱的後処理用坩堝(3)、
b)前記後処理用坩堝(3)及びその中に載置される前記SiCバルク単結晶(2)を、後処理温度まで加熱して、事前の結晶育成の完了後に前記SiCバルク単結晶(2)内に存在する機械的応力を軽減するための加熱装置(7;21;23,24,25;28)、及び
c) 熱的に後処理される前記少なくとも1つのSiC体積の単結晶(2)に接触して保持する保持面(9)を備えた前記後処理用坩堝(2)に配置された結晶保持具(8)を有する装置であって、
d) ここで、前記保持面(9)は、後処理対象の前記少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2)と、前記SiCバルク単結晶(2)の半径方向端部領域においてのみ、接触し、
d1)前記後処理対象の少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2)において、結晶中心立軸(10)から外周端面(13)まで連続的に増加する半径方向の熱勾配を有する不均質な温度プロファイルが確立され、そして
d2)前記後処理対象の少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2)の、それを取り囲む自由空間との、熱交換が自由熱放射によって、前記3つの境界面(11,12,13)のうちの少なくとも2つの境界面で行なわれ、ここで、前記自由空間が前記受容空間(4)の一部である
装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本特許出願は、特許文献1の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 2,000 文字)【0002】
本発明は、軸方向に測定された結晶長を有し、半径方向に測定された結晶直径を有し、軸方向に延在する結晶中心縦軸を有し、3つの境界面、即ち、底面、頂面及び外周端面を備えた本質的に円筒状の基本形状を持つ、少なくとも1つのSiCバルク単結晶の熱的後処理のための方法に関する。本発明は、また、少なくとも1つのこのようなSiCバルク単結晶の熱的後処理のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
その優れた物理的、化学的、電気的及び光学的特性により、半導体材料炭化ケイ素(SiC)は、電力用電子半導体部品用、高周波部品用及び特殊発光半導体部品用の出発材料としても使用されている。これらの部品には、可能な限り大きな基板直径を有し可能な限り品質の高いSiC基板(=SiCウエハ)が求められている。その基本は高品位SiCバルク単結晶である。
【0004】
このようなSiCバルク単結晶は、通常、物理的蒸着(PVT)によって、例えば特許文献2に記載されている昇華方法によって、製造される。この方法では、単結晶SiCディスクを適切なソース材料と共にSiC種結晶として結晶育成坩堝に導入する。制御された温度、圧力及びガス条件下で、ソース材料は昇華され、ガス状種(=SiC成長気相)がSiC種結晶上に堆積され、SiCバルク単結晶を成長させる。
【0005】
ディスク形状の単結晶SiC基板は、これらのSiCバルク単結晶から切り出され、次いで、これに、部品製造プロセスの一部として、その表面の多段階研磨処理の後に、特にSiCから成る少なくとも1つのエピタキシャル層が、設けられる。一般に、SiC基板からの欠陥は、適用されたエピタキシャル層によって受け継がれ、従って、部品特性の劣化につながる。従って、部品の品質は、育成されたSiCバルク単結晶及びそれから得られるSiC基板の品質に大きく依存する。
【0006】
使用されるSiC基板の幾何学的形状は、構成要素のエピタキシャル層の製造にとって非常に重要である。例えば、エピタキシー反応器において、均質で高品質のエピタキシャル層成長のために非常に重要である良好な熱結合は、本質的に、顕著な湾曲のないSiC基板でのみ達成される。対照的に、幾何学的特性に劣るSiC基板、即ち、特に過度の湾曲及び/又は反りを伴うSiC基板、は、必然的に、品質低下又はエピタキシープロセスからの歩留まり低下を招く。
【0007】
特許文献3には、SiCバルク単結晶内の熱応力を低減し従って結晶品質を改善するための、SiCバルク単結晶の熱的後処理方法が記載されている。その結晶育成後、SiCバルク単結晶は、付加的な処理ステップの間、坩堝中で焼き戻され、そこで、SiC粉末中に完全に埋め込まれる。熱的後処理の間、SiCバルク単結晶中の温度場はできるだけ等温又は均質である。好ましくは、中心縦軸(=軸)の方向に測定される温度差は、軸方向の機械的応力の均一化に有利なように、可能な限り低く、最大2Kに、設定される。しかしながら、そのような等温温度場は、SiCバルク単結晶中の応力場に全体的な影響を及ぼすことができるだけであり、従って、結晶構造中に存在する機械的応力は部分的に緩和されるにすぎない。
【0008】
特許文献4には、SiCバルク単結晶の熱的後処理の更なる方法が記載されており、この方法は、そこから得られるSiC基板の幾何学的形状に好ましい影響を与えることを意図している。この後処理の間、SiCバルク単結晶は、結晶育成の間に設定された軸方向温度勾配と反対方向の軸方向温度勾配を受ける。焼き戻し対象のSiCバルク単結晶は、グラファイト中間片上に静止することができる。
【0009】
特許文献5には、SiCバルク単結晶の熱的後処理のための別の方法が記載されており、この方法では、SiCバルク単結晶は、粉末化された多結晶SiCソース材料に直接的又は間接的に完全に埋め込まれている。間接的埋め込みの場合、焼き戻し対象のSiCバルク単結晶は、低密度の多孔質グラファイトで作られた薄壁容器中に置かれ、次に、多結晶SiCソース材料の内部に置かれる。焼き戻しは、できるだけ均一な温度で行なわれるのがよい。軸方向及び半径方向の温度勾配の両方が最小化されるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
欧州特許出願公開第23163761.2号明細書
米国特許第8,865,324B2号明細書
独国特許出願公開第102009048868B4号明細書
米国特許第8,449,671B2号明細書
米国特許第7,767,022B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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