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公開番号2025022622
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-14
出願番号2023127362
出願日2023-08-03
発明の名称AlNテンプレート基板およびその製造方法
出願人DOWAエレクトロニクス株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C30B 29/38 20060101AFI20250206BHJP(結晶成長)
要約【課題】AlNテンプレート基板の特性を改善することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るAlNテンプレート基板は、サファイア基板の主面上に形成されているAlN層を有し、サファイア基板の主面は、C面が0.02°以上0.35°未満のオフ角で傾斜した面であり、AlN層の表面のAFM像内におけるステップの稜線とAFM像の縁との一方の第1接点と、他方の第2接点とを結ぶ直線距離を、第1接点から第2接点まで延在するステップの稜線の長さで除算した、ステップ直線率が90%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
サファイア基板と、
前記サファイア基板の主面上に形成されているAlN層と、
を備え、
前記サファイア基板の主面は、C面が0.02°以上0.35°未満のオフ角で傾斜した面であり、
前記AlN層の表面のAFM像内におけるステップの稜線とAFM像の縁との一方の第1接点と、他方の第2接点とを結ぶ直線距離を、前記第1接点から前記第2接点まで延在する前記ステップの稜線の長さで除算した、ステップ直線率が90%以上であることを特徴とする、
AlNテンプレート基板。
続きを表示(約 590 文字)【請求項2】
前記AlN層の表面平坦性Raが1.1nm以下である、
請求項1に記載のAlNテンプレート基板。
【請求項3】
前記AlN層の(0002)面のX線ロッキングカーブの半値幅が100秒以下であり、かつ、(10-12)面のX線ロッキングカーブの半値幅が300秒以下である、
請求項1に記載のAlNテンプレート基板。
【請求項4】
サファイア基板の主面上に、AlN層をエピタキシャル成長させる第1工程と、
前記AlN層を熱処理する第2工程と、
を含み、
前記サファイア基板の主面は、C面が0.02°以上0.35°未満のオフ角で傾斜した面であり、
前記第1工程において用いるキャリアガスは水素ガスおよび窒素ガスの混合ガスであり、
前記第2工程において、窒素元素を含有する雰囲気下で前記熱処理を行うことを特徴とするAlNテンプレート基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程における熱処理時の炉内の温度は、前記第1工程における炉内の温度よりも高温である、
請求項4に記載のAlNテンプレート基板の製造方法。
【請求項6】
前記キャリアガスに占める窒素ガスの割合が1%以上10%以下である、
請求項4に記載のAlNテンプレート基板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、AlNテンプレート基板およびその製造方法に関し、特に、III族窒化物半導体素子の作製に供した際に、優れた発光効率を有することが可能な、AlNテンプレート基板およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、Al、Ga、In等とNとの化合物からなるIII族窒化物半導体は、発光素子または電子デバイス用素子の材料として広く用いられている。中でも、Al組成比が50%以上のAlGaNからなるIII族窒化物半導体は、発光波長300nm以下の深紫外光発光素子(DUV-LED)の活性層(「発光層」とも称される。)として用いられている。
【0003】
III族窒化物半導体は、高融点で窒素の乖離圧が高く、バルク単結晶成長が困難であり、異種のサファイア基板上にエピタキシャル成長させることによりIII族窒化物半導体層として形成することが通常である。
【0004】
一般に、III族窒化物半導体層の結晶性が優れるほど、優れた発光特性のIII族窒化物半導体発光素子を作製することができる。上記のようにサファイア基板上にIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させると、サファイア基板とIII族窒化物半導体との間に格子不整合が生じ、結晶性悪化の一因となることが知られている。こうした格子不整合に起因する格子歪みを緩和するため、サファイア基板上にAlN層をエピタキシャル成長させたAlNテンプレート基板が用いられるようになってきた。III族窒化物半導体発光素子の特性は、AlN層表面の特性に影響されるため、近年、サファイア基板上にエピタキシャル成長させるAlNテンプレート基板の特性を向上させるための様々な試みがなされている。
【0005】
例えば、特許文献1によると、III族窒化物半導体エピタキシャル基板を構成するサファイア単結晶基材の主面の結晶方位がC軸方向より0.35°~0.55°傾斜させたサファイア単結晶基材、すなわちオフ角が0.35°~0.55°のC面サファイア単結晶基材を用いたうえで、その主面側にエピタキシャル成長させたAlN層の膜厚を0.3μm~0.7μmに制御し、熱処理を行うことで、サファイア基板上にエピタキシャル成長させたAlN層の結晶性および平坦性が向上する。
【0006】
また、特許文献2には、原料のトリメチルアルミニウム(TMA)ガスのキャリアガスとして水素ガスのみを使用し、アンモニアガスのキャリアガスとして水素ガスのみを使用する方が、キャリアガスの少なくとも一方が窒素ガス、あるいは窒素ガスおよび水素ガスの混合ガスである場合と比べて、AlN結晶の横方向成長を促進させることが可能となり、AlN層の表面の平坦性の向上を図ることが可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-064928号
特開2017-139253号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術により、オフ角が0.35°~0.55°のC面サファイア基板上のAlN層の表面平坦性および結晶性は向上している。一方で、オフ角を有しながらオフ角が0.35°未満であるサファイア基板上のAlN層の特性は十分ではなかった。しかしながら、サファイア基板の裏面を光取り出し面とする場合において、オフ角が0.35°未満のサファイア基板を使用する方が望ましい場合もある。優れたAlN層を形成する最たる目的は、AlN層上に形成されるIII族窒化物半導体層の特性の向上であり、さらなる改善技術が希求されている。
【0009】
そこで本発明は、オフ角が0.02°以上0.35°未満のサファイア基板を使用する場合において、AlNテンプレート基板の特性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。特許文献1では、AlNテンプレート基板の評価パラメータとして結晶性および平坦性が使用されていたが、ステップ直線率とよぶ新たなパラメータに着目し、これを適正化することで、より特性のよいAlNテンプレート基板を完成させるに至った。特許文献2に提案されているように、従来、キャリアガスとしては水素ガスのみを使用することが好ましいと考えられていた。ところが、本発明者の詳細な検討により、オフ角が0.02°以上0.35°未満のサファイア基板を使用する場合において、むしろ水素ガスおよび窒素ガスの混合ガスを用いる方が、上記ステップ直線率を適正化することができ、AlN層上に形成されたIII族窒化物半導体層からなる発光素子の光出力が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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