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公開番号2024134335
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-03
出願番号2023044578
出願日2023-03-20
発明の名称配管詰まり診断方法
出願人原子燃料工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 29/04 20060101AFI20240926BHJP(測定;試験)
要約【課題】専門技術や経験のない検査員であっても、配管詰まりの状況を、非破壊で、かつ高い精度で診断することが可能な配管詰まり診断方法を提供する。
【解決手段】流体が流通する配管内において発生した詰まりの状況を診断する配管詰まり診断方法であって、詰まりの発生していない健全状態(基準状態)にあることが分かっている配管に与えられた振動より得られる振動信号の周波数分布に基づいて基準状態における評価指標(基準状態評価指標)を取得する基準状態評価指標取得工程と、診断対象の配管に与えられた振動より得られる振動信号の周波数分布に基づいて診断時における評価指標(診断対象評価指標)を取得する診断対象評価指標取得工程と、取得された基準状態評価指標に対する診断対象評価指標の変化量に基づいて、診断対象の配管内における詰まりの状況を診断する詰まり診断工程とを備えている配管詰まり診断方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
流体が流通する配管内において発生した詰まりの状況を診断する配管詰まり診断方法であって、
詰まりの発生していない健全状態(基準状態)にあることが分かっている配管に与えられた振動より得られる振動信号の周波数分布に基づいて、基準状態における評価指標(基準状態評価指標)を取得する基準状態評価指標取得工程と、
診断対象の配管に与えられた振動より得られる振動信号の周波数分布に基づいて、診断時における評価指標(診断対象評価指標)を取得する診断対象評価指標取得工程と、
前記基準状態評価指標取得工程において取得された基準状態評価指標と、前記診断対象評価指標取得工程において取得された診断対象評価指標とを比較して、前記基準状態評価指標に対する前記診断対象評価指標の変化量に基づいて、前記診断対象の配管内における詰まりの状況を診断する詰まり診断工程とを備えていることを特徴とする配管詰まり診断方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記評価指標が、ピーク周波数、ピーク強度、ピーク半値幅、ピーク面積、ピーク重心のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項3】
前記基準状態評価指標取得工程において、前記基準状態評価指標の取得を、新設時あるいは修繕時における現場測定、モックアップ試験体を用いた測定、既存の設備で相対的に最も新設に近い部位の測定、数値解析シミュレーションによる理論値の測定のいずれかにより行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項4】
前記診断対象評価指標取得工程において、前記振動信号を、打撃により生じる振動、または、プラントの稼働により生じる振動から得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項5】
前記診断対象評価指標取得工程において、
前記診断対象の配管が気中に敷設されている場合には、直接、配管を測定して、前記診断対象評価指標を取得し、
前記診断対象の配管が埋設されて敷設されている場合には、埋設個所の直上の部位を測定して、前記診断対象評価指標を取得することを特徴とする請求項4に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項6】
前記詰まり診断工程が、前記診断対象の配管内における詰まり発生位置を特定するステップを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項7】
前記診断対象の配管内における詰まり発生位置を特定するステップが、
前記診断対象評価指標が、前記基準状態評価指標から予め定められた閾値を超えて変化している位置を、詰まり発生位置と特定するステップであることを特徴とする請求項6に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項8】
前記診断対象の配管内における詰まり発生位置の特定に際して、
計測点および診断対象となる振動箇所の一方を固定、他方を移動させて、前記診断対象評価指標を取得することを特徴とする請求項6に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項9】
前記診断対象の配管内における詰まり発生位置の特定に際して、
計測点および診断対象となる振動箇所の双方を移動させて、前記診断対象評価指標を取得することを特徴とする請求項6に記載の配管詰まり診断方法。
【請求項10】
前記詰まり診断工程が、さらに、前記診断対象の配管内における詰まり発生位置における詰まり状態の定量評価を行うステップを有していることを特徴とする請求項6に記載の配管詰まり診断方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内部に発生するさびや付着物の堆積などに起因する配管詰まりの状況を非破壊で診断する配管詰まり診断方法に関する。
続きを表示(約 1,400 文字)【背景技術】
【0002】
一般的に、プラント内には各種配管が敷設されているが、これらの配管の内部にさびや付着物などが発生して堆積する場合がある。そして、この堆積を放置したままにしておくと、配管に詰まりを生じ、配管内部において流体の流量の減少を招いて、設備の機能、効率を低下させる要因となる。なかでも、安全性に関わる詰まりが発生した場合には、重大な事故の発生に繋がる恐れがある。
【0003】
このため、配管内部における詰まりの発生状況を適切に診断することが重要な課題となっている。
【0004】
このような配管詰まりを診断する具体的な方法としては、まず、配管を外して内部を目視により確認する方法が考えられるが、配管を取り外すのに要するコストや時問が膨大なうえ、検査期間中、設備全体の運転を停止する必要があるという問題がある。
【0005】
そこで、超音波やX線を用いた計測機器による非破壊検査手法が考えられるが、超音波検査には、検査対象の表面状態によっては前処理が必要であり、局所的な範囲しか評価できないという問題があり、X線検査には、放射線を取り扱うことによる制約という問題がある。また、どちらの非破壊検査手法にも、取扱いや診断のためには、高度な専門技術や経験を必要とするという問題がある。
【0006】
そこで、上記の方法に替わる方法として、打撃によって発生させた弾性波を用いた検査方法(打音検査)として、手動ハンマーなどによる打音の振動を加速度センサや集音センサなどを用いて検出して、振動波形の平均値に対する振動のピーク値の比率を算出することにより配管の詰まりを診断する方法(特許文献1)や、叩打具による打音をマイクロフォンに入力して得られる周波数分布の特徴的周波数に基づいて管路の閉塞率を推定する管路診断方法(特許文献2)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平6-258296号公報
特開2020-165849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの技術にも、種々の問題点がり、さらなる改善が求められている。
【0009】
例えば、特許文献1の技術は振動波形の大きさに着目した技術であり、打撃強さや測定対象の振動し易さ、また、外部環境に大きく依存しており、周囲の雑音、機械振動も信号として拾ってしまう可能性があるため、一定の評価をすることが難しい。
【0010】
また、特許文献2の技術は、そもそも、ガス埋設管内での差し水の侵入、滞留箇所を特定する技術であり、スケール等の固形物や汚泥・ゲル状の物質等が固着するような状態の診断に適用することは難しい。そして、マイクロフォンへの入力は、外乱の影響を受けやすく、騒音環境の中での利用が難しい。また、一般的に、配管の肉厚、径、形状(直管、エルボー等)、支持構造物などの形状や、詰まりの内容物の物性・形状と振動の測定位置、加振位置によって得られる周波数分布は異なることを考えると、この技術では「詰まりの位置や量、成分・形態を評価」することが難しい。
(【0011】以降は省略されています)

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