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公開番号2024158978
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023074666
出願日2023-04-28
発明の名称金属異物の評価方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人
主分類G01N 31/00 20060101AFI20241031BHJP(測定;試験)
要約【課題】 粉体材料の製造における、設備などからの金属異物の混入リスクを想定した、試料に含まれる金属異物の種類や量を、安全に、クリーンに、迅速・簡便に、かつ、超微量オーダーまで評価出来る技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 試料とエッチング液を混合し、前記試料に含まれる金属異物を溶解して、前記試料の溶解残渣を含む固相と前記金属異物が溶解されて形成した前記金属異物の構成元素のイオンを含む溶液試料からなる液相とで構成されるスラリー試料を得る溶解工程と、前記スラリー試料を固液分離し、前記溶液試料を得る分離工程と、前記溶液試料に含まれる前記金属異物の構成元素のイオンを、機器分析法によって分析し、前記試料に含まれる金属異物の定性分析結果、及び/又は、定量分析結果を得る分析工程とを有することを特徴とする金属異物の評価方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
試料とエッチング液を混合し、前記試料に含まれる金属異物を溶解して、前記試料の溶解残渣を含む固相と前記金属異物が溶解されて形成した前記金属異物の構成元素のイオンを含む溶液試料からなる液相とで構成されるスラリー試料を得る溶解工程と、
前記スラリー試料を固液分離し、前記溶液試料を得る分離工程と、
前記溶液試料に含まれる前記金属異物の構成元素のイオンを、機器分析法によって分析し、前記試料に含まれる金属異物の定性分析結果、及び/又は、定量分析結果を得る分析工程と
を有することを特徴とする金属異物の評価方法。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記エッチング液のpHが、2~12であることを特徴とする請求項1に記載の金属異物の評価方法。
【請求項3】
前記スラリー試料のpHが、4~10であることを特徴とする請求項1に記載の金属異物の評価方法。
【請求項4】
前記エッチング液が、酸化剤、錯化剤、及び、pH緩衝剤から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属異物の評価方法。
【請求項5】
前記酸化剤が、過酸化水素を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属異物の評価方法。
【請求項6】
前記錯化剤が、カルボン酸、ヒドロキシ酸、アミノ酸、及び、キレート試薬から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属異物の評価方法。
【請求項7】
前記錯化剤が、酢酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、ガラクタル酸、キシラル酸、酒石酸、タルトロン酸、グルコン酸、キシロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、グリシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、EDTA、NTA、DTPA、GLDA、HEDTA、GEDTA、TTHA、HIDA、及び、DHEGから選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属異物の評価方法。
【請求項8】
前記pH緩衝剤が、リン酸塩、ホウ酸塩、及び、炭酸塩から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属異物の評価方法。
【請求項9】
前記pH緩衝剤が、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、四ホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び、炭酸ナトリウムから選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属異物の評価方法。
【請求項10】
前記金属異物が単体金属、及び/又は、合金を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属異物の評価方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属異物の評価方法に関する。より詳しくは、粉体材料に混入した金属異物の評価方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
金属水酸化物や金属酸化物をはじめ、粉体材料は、現在、電子機器関係や電池関係など、様々な分野で幅広く利用されている。ところが、これらの粉体材料の製造工程では、設備などから異物が混入するリスクが常に付き纏い、特に、潤滑油、パッキン片、接着剤カス、銅線片、及び、はんだクズなどは、混入するリスクが高い。その中でも、銅線片、はんだクズなどの金属(単体金属、合金)については、たとえ混入した量が僅かでも、最終製品の性能に大きな悪影響を及ぼす恐れがあり、製造途中の中間品や、完成品である製品に混入した金属異物を、安全に、クリーンに、迅速・簡便に、かつ、超微量オーダーまで評価することは、品質管理上、極めて重要である。
【0003】
これに対し、従来行われてきた、各種材料における金属異物の評価方法としては、既に、以下の様な先行技術が知られている。
特許文献1には、金属酸化物の粉体中から不純物金属粒子を探索し、その観察像を得ると共に、化学形態を分析する方法として、全自動鉱物分析装置(MLA)を用いて、金属酸化物の粉体の試料の反射電子(BSE)像を取得する工程と、反射電子像を画像解析して、金属酸化物の粒子と、異物の粒子とを判別し、判別された異物の粒子の位置情報を取得する工程と、異物の粒子の位置情報に対応する位置における、エネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する工程と、取得したエネルギー分散X線スペクトルから、異物を分析する工程とを有することを特徴とする、金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、10ppm以下の金属単体を含有する金属酸化物中において、当該金属単体を選択的に高感度で検出でき、かつ、精度良く定量出来る方法として、前記金属酸化物中における、前記金属単体を臭素-メタノール溶解法によって溶解し、前記金属単体を溶液へ抽出する工程と、前記金属単体を抽出した溶液と、未溶解物とを分離する工程と、前記金属単体を抽出した溶液を蒸発乾固する工程と、前記蒸発乾固により生成した乾固物に酸を加えて溶液化する工程と、前記乾固物を溶液化した溶液中の金属単体を定量する工程とを有することを特徴とする、金属酸化物中における金属単体の定量方法が開示されている。
【0005】
非特許文献1には、酸化ニッケルに含まれる金属ニッケルの定量に関して、試料の前処理、測定操作が比較的容易であり、古くから結晶構造の解析のほか、化合物の同定・定量などに広く用いられている手段として、X線回折(XRD)法が挙げられ、従来の臭素メタノール法よりも、更なる簡易迅速操作を行うため、分離操作が不要な、X線回折計による定量方法を検討した結果、有効な簡便法となり得ることが記載されている。
【0006】
非特許文献2には、樹脂表面の異物の検査・分析について、まず、蛍光X線分析装置(ED-XRF)でスクリーニングを行い、元素分析の結果からSnとCuの存在を確認し、かつ、ファンダメンタル・パラメータ法(FP法)による異物の簡易定量分析結果を算出しつつ、次に、異物の詳細な分析のため、SEM-EDSによるEDS元素マッピングを行い、反射電子像から2つの異なった粒子の存在を確認し、マッピング像から大粒子がSn、小粒子がCuであることが判明した、との結果が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2017-173301号公報
特開2019-090786号公報
【非特許文献】
【0008】
BUNSEKI_KAGAKU_Vol.22,No.13,pp171-175(1973)_『X線回折計による酸化ニッケル中の金属ニッケルの定量』
日本電子株式会社_アプリケーションノート_『蛍光X線分析による樹脂表面の異物の検査・分析-XRFとSEM-EDSによる異物分析』_XRF.PDF、inSpirAtion:XRF-14-002j-01、装置;JSX-1000S
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、非特許文献1、2の技術では、低ppbオーダーの超微量の定量分析に対応するのは、かなり困難であり、特許文献2の技術では、毒性が非常に強い臭素やメタノールが用いられており、安全でクリーンな評価方法とは、とても言い難い。
【0010】
この様に、これまでは、粉体材料の製造における、設備などからの金属異物の混入リスクを想定した、試料に含まれる金属異物の種類や量を、安全に、クリーンに、迅速・簡便に、かつ、超微量オーダーまで評価出来る方法は、未開発のままであった。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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