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公開番号2024132595
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2023043430
出願日2023-03-17
発明の名称摺動部材
出願人サンデン株式会社
代理人弁理士法人平和国際特許事務所
主分類C23C 18/52 20060101AFI20240920BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】めっきによる耐摩耗性向上効果を保持しつつ、さらに自己潤滑性をも付与した、摺動部材を提供する。
【解決手段】第一の摺動体と、第一の摺動体表面と摺動する第二の摺動体と、を有し、第二の摺動体は、基材と、第一の被覆層と、第二の被覆層とを、この順に積層した構造を有し、第一の摺動体表面と第二の被覆層が摺動し、第一の被覆層が、第一の摺動体表面及び第二の被覆層よりも硬いことを特徴とする摺動部材。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第一の摺動体と、
前記第一の摺動体表面と摺動する第二の摺動体と、を有し、
前記第二の摺動体は、基材と、第一の被覆層と、第二の被覆層とを、この順に積層した構造を有し、
前記第一の摺動体表面と前記第二の被覆層が摺動し、
前記第一の被覆層が、前記第一の摺動体表面及び前記第二の被覆層よりも硬いことを特徴とする摺動部材。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
前記第一の被覆層の表面粗さRzが0.1μm以上7.0μm以下であり、
前記第二の被覆層の厚さが15μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
【請求項3】
前記第一の摺動体表面の表面粗さRzが0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部材。
【請求項4】
前記第一の被覆層及び前記第二の被覆層が、ともに無電解ニッケル-リン(Ni-P)めっきであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部材。
【請求項5】
前記第一の被覆層のビッカース硬さが600HV以上であり、
前記第二の被覆層のビッカース硬さが150HV以上600HV以下であり、
前記第一の摺動体表面のビッカース硬さが150HV以上500HV以下であることを特徴とする請求項4に記載の摺動部材。
【請求項6】
前記第一の被覆層のリン濃度が1質量%以上4質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の摺動部材。
【請求項7】
前記第二の被覆層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)含有の無電解Ni-Pめっきであることを特徴とする請求項4に記載の摺動部材。
【請求項8】
前記第二の被覆層のリン濃度が、前記第一の被覆層よりも高いことを特徴とする請求項4に記載の摺動部材。
【請求項9】
前記第一の摺動体及び前記第二の摺動体の基材のうち、少なくとも一方がアルミニウム、アルミニウム合金又は鉄であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部材。
【請求項10】
圧縮機用であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動部材に関する。さらに詳しくは、スクロール圧縮機等に使用され、初動時等の貧潤滑環境下における焼付き及びかじりの発生を抑制できる摺動部材に関する。
続きを表示(約 1,200 文字)【背景技術】
【0002】
スクロール圧縮機は、冷媒を圧縮するスクロールユニットを備えており、固定された渦巻体と可動する渦巻体が対面して設置されている。可動渦巻体が公転旋回運動することにより、冷媒は渦巻体の中心に向けて圧縮されながら移動する。
【0003】
可動渦巻体の動作による摩耗を防止する観点から、2つの渦巻体の一方又は両方の表面に無電解ニッケル-リン(Ni-P)めっき等のめっき層を形成することが検討されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
摺動面にめっき層を設けることは、耐摩耗性が要求される摺動部材において、アルミニウム合金のような母材同士が摺動することを回避する上で有効である。耐摩耗性を向上させるため、硬度や衝撃に対する靭性も要求されるため、一般的に、上述したようなNi-P系の硬質めっきが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-304151号公報
特開2019-60259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無電解Ni-Pめっきは比較的硬質であるため、摺動面の耐摩耗性の向上には有効であるものの、無電解Snめっき等とは異なり自己潤滑性を有していないため、例えば、初動時の貧潤滑環境下において、焼付きやかじりが発生するおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、めっきによる耐摩耗性向上効果を保持しつつ、さらに自己潤滑性をも付与した、摺動部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る摺動部材は、第一の摺動体と、前記第一の摺動体表面と摺動する第二の摺動体と、を有し、前記第二の摺動体は、基材と、第一の被覆層と、第二の被覆層とを、この順に積層した構造を有し、前記第一の摺動体表面と前記第二の被覆層が摺動し、前記第一の被覆層が、前記第一の摺動体表面及び前記第二の被覆層よりも硬いことを特徴とする。
【0009】
第一の被覆層、第一の摺動体表面及び第二の被覆層の硬さを上述のように調整することにより、摺動時に第二の被覆層や第一の摺動体表面から構成成分の一部が他方の表面に移着しやすくなる。これにより、摺動面に潤滑性が発現し、なじみ性及び耐焼付き性が向上する。
【0010】
より好ましくは、前記第一の被覆層の表面粗さRzが0.1μm以上7.0μm以下であり、前記第二の被覆層の厚さが15μm以下である。これにより、第二の被覆層から第一の摺動体表面への摺動による移着の進行が容易となり、第二の被覆層の成分が両摺動体表面に存在することで、潤滑性能がより一層向上する。また、第二の被覆層の移着により、第一の被覆層の一部が露出した場合であっても、潤滑性能が維持される。
(【0011】以降は省略されています)

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