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公開番号2024131845
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023042323
出願日2023-03-16
発明の名称SCFAまたは乳酸の産生方法
出願人国立大学法人千葉大学,日環科学株式会社
代理人個人,個人
主分類C12P 7/6409 20220101AFI20240920BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】乳酸代謝による乳酸またはSCFAの産生を促す方法を提供すること。
【解決手段】一段階目として、乳酸資化菌Megasphaeraelsdenii Y2株を培養し、二段階目として、前記一段階目の培養で得られた培養上清を用いて乳酸菌を培養することを特徴としたこと。
【選択図】図16
特許請求の範囲【請求項1】
一段階目として、乳酸資化菌Megasphaeraelsdenii Y2株を培養し、
二段階目として、前記一段階目の培養で得られた培養上清を用いて乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸またはSCFAの産生方法。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
前記乳酸菌Lactobacillus属の菌種は、Lactobacillusamylovorus4-4株またはL.johnsonii株であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸またはSCFAの産生方法。
【請求項3】
一段階目として、乳酸資化菌Megasphaeraelsdenii Y2株を培養し、
前記一段階目の培養で得られた培養上清を熱処理し、
二段階目として、前記熱処理後の培養上清を用いて乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸またはSCFAの産生方法。
【請求項4】
前記乳酸菌Lactobacillus属の菌種は、Lactobacillusamylovorus4-4株であることを特徴とする請求項3に記載の乳酸またはSCFAの産生方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、SCFAまたは乳酸の産生方法に関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
腸内細菌叢は、人間や動物の消化管に生息する複雑な微生物群であり、ヒトの腸内細菌叢は体の他の部分と比較して微生物の量、種類が最も多く、1500種、50を超える異なる門に分布している。これらの細菌は細菌同士あるいは宿主との相互作用を介して、複雑な生態系を構成し、宿主の恒常性維持に大きく関わっている。例えば、腸において粘膜表面にコロニーを形成し、様々な抗菌物質を生成することで病原体感染防御を行うこと、上皮細胞の増殖と分化を制御し、恒常性を維持することが示されている。さらに近年では腸だけではなく、宿主の健康維持に大きな役割を果たすことが明らかとなっており、炎症性疾患、肥満、糖尿病、アレルギー、自己免疫疾患、心疾患および鬱病と言った多くの疾患において腸内細菌叢とその代謝産物との関連が示唆されている。これらのことから腸内細菌叢のバランスを整えることは、宿主の健康に様々な効果をもたらすと考えられるようになっている。
【0003】
腸内細菌叢のバランスを変え、宿主の健康に有益な効果をもたらす生きた微生物、またはそれらを含む食品をプロバイオティクスといい、FAO/WHOは「適切な量を投与されると宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物」と定義している。乳酸菌は代表的なプロバイオティクスであり、糖質を代謝して乳酸を産生する代謝特徴を持つ。乳酸菌のプロバイオティクス効果としては、腸内細菌叢のバランスと回復、病原体に対する保護、免疫調節、および腸バリアの完全性の維持などがあり、産生された乳酸によって消化管内のpHが低下し、病原体コロニー形成を抑制することができる。その一方で、健康な家畜や人の排泄糞中から乳酸が検出されることは少なく、むしろ血中乳酸濃度が上昇すると乳酸アシドーシスを引き起こす可能性がある。血中乳酸濃度の上昇および乳酸アシドーシスは重度の敗血症と関連し、重大な罹患率および死亡率と関連することが知られている。通常、消化管内で生成された乳酸は乳酸資化菌によって急速に代謝され、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸 (Short-chain fatty acid : SCFA) に変換されるが、乳酸産生菌と乳酸資化菌の間で非同期発酵が起こると、乳酸アシドーシスが誘発される可能性がある。
【0004】
一方、好熱菌発酵産物は未利用の海産資源を70~80℃の高温好気下で発酵させた飼料であり、すでに幅広い農業分野で利用され、有益な効果が確認されている。中でも好熱菌発酵産物を給与したブタにおいては、死産率の低下や仔豚の成長促進 、肉質の向上といった効果が認められている。この好熱菌発酵産物を給与したブタ排泄糞中では有意な乳酸含量の低下が見られることから乳酸代謝に関わる腸内細菌叢の変化が示唆された。そこで、ノンメタポークを飼育している農場においてブタの腸内細菌叢の変化を調べたところ、優占乳酸菌種がStreptococcuS.alactolyticusからLactobacillus amylovorusへと変化すると同時に乳酸資化菌であるMegasphaera elsdeniiが増えていることが確認された。
【0005】
Lactobacillus属細菌は様々な動物種に対するプロバイオティクスとして広く利用されている乳酸菌で、これまでに200菌種以上が分類されてきた。Lactobacillus属細菌は系統的に多様であり、グルコースの代謝方法、運動性など生理・生化学的特徴も菌種間で大きく異なることが報告されている。中でも、今回優先乳酸菌種となったL.amylovorusはブタの腸内細菌叢を代表する菌種であり、腸管上皮細胞に付着し病原体を抑制する効果があること、肥満を改善するといったプロバイオティクス効果を持つことが示されている。また、乳酸資化菌はヒト糞便中から単離されたものとして、Anaerostipes caccaeやEubacterium halliiが挙げられ、乳酸を酪酸に変換することが知られている。一方で、M.elsdeniiはブタ排泄糞中から主要な乳酸資化菌として単離されており、グルコースよりも乳酸を優先的に代謝することが知られている。
【0006】
先行研究では、ブタの盲腸in vitroモデルにおいて乳酸菌によって生成された乳酸が、M.elsdeniiによってn-酪酸に変換されること、M.elsdenii と乳酸産生菌と共培養するとルーメンアシドーシスモデルにおける有機酸蓄積が乳酸から酪酸に移行し、ルーメンのpH が回復することが報告されている。この事から、好熱菌発酵産物給与による糞便中乳酸含量の低下はM.elsdeniiの関与が考えられる。また、M.elsdeniiは乳酸から酢酸・プロピオン酸・酪酸・吉草酸といったSCFAを産生することが知られている。SCFAは宿主に良い生理作用を示すことが知られており、酢酸は体脂肪蓄積の抑制、肝脂肪症の抑制、プロピオン酸は動脈硬化の抑制、酪酸は高血糖の正常化、急性膵炎とそれに伴う腸管障害の改善、腸管マクロファージの制御、吉草酸は神経炎症の抑制といった効果を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2020―191793
特表2022―553017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、乳酸菌と乳酸資化菌の相互作用によりSCFAまたは乳酸の産生方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、一段階目として、乳酸資化菌MegasphaeraelsdeniiY2株を培養し、二段階目として、前記一段階目の培養で得られた培養上清を用いて乳酸菌Lactobacillus属を培養することを特徴としたことにある。
【0010】
前記乳酸菌Lactobacillus属の菌種は、Lactobacillusamylovorus4-4株またはL.johnsoniiであることを特徴としたことにある。
(【0011】以降は省略されています)

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