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公開番号2024131775
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023042233
出願日2023-03-16
発明の名称細胞群の被験物質に対する免疫応答の評価方法
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20240920BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞群の被験物質への免疫応答を評価するための従来の、方法は、T細胞の膜タンパク質を介してT細胞を固定化する必要があり、その検査や評価の結果への影響を排除できないという課題があった。
【解決手段】被験物質に対する細胞群の免疫応答の評価方法であって、疎水性鎖と親水性鎖をもつ高分子から構成される細胞膜修飾剤を基板上に固定化する工程、前記細胞群にカルシウム蛍光指示薬を導入する工程、前記細胞膜修飾剤を介して前記基板上に前記細胞群を固定化する工程、前記細胞群に前記被験物質を添加する工程、及び前記細胞群の前記カルシウム蛍光指示薬由来の蛍光を検出器で検出する工程、を有する方法を提供する。また本発明では、広視野に撮像できる装置を用いて、同時に多くの細胞を一括で撮影することもできる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被験物質に対する細胞群の免疫応答の評価方法であって、
疎水性鎖と親水性鎖をもつ高分子から構成される細胞膜修飾剤を基板上に固定化する工程、
前記細胞群にカルシウム蛍光指示薬を導入する工程、
前記細胞膜修飾剤を介して前記基板上に前記細胞群を固定化する工程、
前記細胞群に前記被験物質を添加する工程、及び
前記細胞群の前記カルシウム蛍光指示薬由来の蛍光を検出器で検出する工程、
を有する方法。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記細胞膜修飾剤は前記疎水性鎖として、炭素数6以上22以下の飽和あるいは不飽和の炭化水素鎖を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞膜修飾剤は前記親水性鎖として、ポリエチレングリコールを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞膜修飾剤が式(1)で示される、請求項1に記載の方法。
JPEG
2024131775000009.jpg
45
144
式(1)において、Xは反応性基であり、nは20以上200以下の整数である。
【請求項5】
前記式(1)中の-Xが式(2)で示される基である、請求項4に記載の方法。
JPEG
2024131775000010.jpg
25
33
【請求項6】
前記細胞群がPBMC(末梢血単核球)である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞群がPBMC(末梢血単核球)中の浮遊性リンパ球である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記被験物質が抗原、抗原タンパク質、抗原ペプチド、ワクチン、病原体である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記被験物質がMHCクラス1分子に結合しうる抗原ペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出器が1~220mm

の面積を1ショットで撮影可能なカメラである請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞群の被験物質に対す免疫応答の評価方法及び検査キットに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
ヒトを含む動物には、体内に侵入する病原体や毒素、がん細胞などの異物を不活化することで防御する仕組み、すなわち免疫系が備わっている。免疫系には、異物を非特異的に認識して迅速に反応する初期応答、すなわち自然免疫と、異物又はその一部を「抗原」として特異的に認識して反応する「抗原特異的免疫応答」(獲得免疫、適応免疫ともいう)とがある。
【0003】
抗原特異的免疫応答には、T細胞やB細胞といった免疫細胞が関わっており、過去に遭遇した抗原の情報を記憶し、同じ抗原に再度遭遇した際に迅速に応答する仕組みが備わっている。よって、免疫細胞の抗原特異的免疫応答を評価することは、感染症、がん、アレルギー、自己免疫疾患などの疾病の検査や研究、ワクチンなど抗原として免疫系に作用する薬剤の評価などで有用である。
【0004】
細胞の抗原特異的免疫応答を評価する代表的な方法としては、T細胞又はその他の免疫細胞を抗原により刺激し、該抗原に対する免疫細胞の応答の結果として分泌される免疫エフェクター分子(例えばIFN-γなどのサイトカイン)を検出する方法が知られている。
例えば、ELISpot(Enzyme-Linked ImmunoSpot)アッセイは、固相表面に結合した、免疫エフェクター分子に対する抗体を使用し、該固相上で培養した細胞から分泌される免疫エフェクター分子を捕捉し、細胞を除いて固相表面を洗浄したのち、標識抗体を使用して該分子を可視化することで、該分子を分泌した細胞を計数する方法である。また、FluoroSpotアッセイは、蛍光標識抗体を免疫エフェクター分子の可視化に用いること以外は、ELISpotと同様の仕組みで抗原特異的免疫応答を評価する方法であるが、蛍光波長の異なる複数の標識抗体を用いることで、複数種類の免疫エフェクター分子を同時に検出することができる。ELISpotアッセイやFluoroSpotアッセイは、高感度であり、1細胞レベルでの評価が可能であることから、医療検査や医薬品開発で広く使用されている。例えば、結核感染の有無の検査や、ワクチンの候補材料の効果の確認などで使用されている。
【0005】
一方、ELISpotアッセイやFluoroSpotアッセイは、操作が煩雑であり、作業の習熟が必要である。さらに、可視化するために十分な量の免疫エフェクター分子が分泌されるまで細胞を培養する必要があり、通常、1~2日あるいはそれ以上の検査時間を要する。よって、感染症などで迅速な検査が必要な場合や、医薬品開発で多数の候補物質又は検体を評価する必要がある場合、などでは、ELISpotアッセイやFluoroSpotアッセイに代わる、より簡便かつ迅速な評価方法が求められていた。
【0006】
抗原-MHC複合体により刺激をされたT細胞レセプター(TCR)はT細胞内のカルシウム濃度を直ちに上昇させることが知られている(非特許文献1)。被験者のT細胞を含む末梢血単核球(PBMC)に被験物質を添加し、細胞内カルシウム濃度が増加する変化を検出すれば、被験物質刺激後の数分以内の短時間において、被験物質に応答性があるT細胞数を計測できる。さらに測定精度を高めるために1細胞ごとにカルシウム濃度変化を検出するには、観察中に細胞の位置が動かないように施し、抗原刺激前後あるいは経時的に観察するとよい。細胞を固定化して測定する方法は非特許文献2にも報告されている。非特許文献2によると、観察基板上にPoly-L-Lysine(PLL)を固相し、このPLLを介して抗Leucocyte Function Associated Antigen-1 (LFA-1)モノクローナル抗体を固相し、この固相された抗体によりT細胞表面に存在するLFA-1分子を介して基板にT細胞を固定化するものである。ただしLFA-1分子はTCRと抗原MHC複合体の結合により形成される免疫シナプスに関与する分子であり、このT細胞上のLFA-1分子に抗体を結合させることはT細胞機能への影響が懸念される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Gillian Grafton,Leanne Thwaite, Calcium channels in lymphocytes. Immunology. 2001 Oct; 104(2): 119-126.
Nadia Anikeeva et. Al., Evaluating frequency and quality of pathogen-specific T cells. Nat. Commun. 2016 Oct 27;7:13264.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、細胞内のカルシウム濃度変化は、該細胞の被験物質への応答を迅速に反映し得る有望な指標ではあるが、従来はその観察を、細胞の表面のタンパク質分子を介して細胞固定化して行っており、それが医療検査や医薬品開発での評価結果に影響する可能性を排除できなかった。本発明の目的は、前記の課題を解決した、細胞群の抗原特異的免疫応答の簡便かつ迅速な評価方法及び検査キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
被験物質に対する細胞群の免疫応答の評価方法であって、前記細胞群に前記被験物質を添加した第一の試料の自家蛍光情報である第一の自家蛍光情報と、前記第一の試料の対照となる第二の試料の自家蛍光情報である第二の自家蛍光情報の比較に基づき前記細胞群の前記被験物質に対する免疫応答を評価する方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
疎水性鎖と親水性鎖をもつ高分子から構成される細胞膜修飾剤を適度な密度に固相化修飾することで、基板上に、細胞群を速やかに固定化でき、細胞位置が変化することなく経時観察が可能となる。また、この固定化は細胞の機能に与える影響が低い。固定化された細胞群は細胞内カルシウム蛍光指示薬を使用し、蛍光顕微鏡を用いて、被験物質に反応する細胞群の免疫応答の評価行うことができた。
高画素な広視野撮像を用いることにより、同時に多くの細胞を一括で撮影する測定系も利用できる。
それぞれの細胞により発現量が異なり得る細胞膜タンパク質を介して細胞固定化するといった、先行技術で見られたような抗体を利用した細胞固定化方法に比較して、細胞膜修飾剤は細胞膜に直接結合するため、細胞の種類を選ばず、T細胞以外の抗原提示細胞やB細胞などもT細胞と同様に固定化できるため、様々な細胞の相互作用を伴う評価を行うための、より適切な方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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