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公開番号
2024128377
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-24
出願番号
2023037320
出願日
2023-03-10
発明の名称
二成分現像剤
出願人
キヤノン株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
G03G
9/08 20060101AFI20240913BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約
【課題】トナーの帯電性と飛翔性が高いレベルで両立した二成分現像剤を提供する。
【解決手段】トナー粒子を含有するトナーと磁性キャリアとを有する二成分現像剤であって、
該トナー粒子は結着樹脂Aを含み、
該磁性キャリアは、磁性コア粒子と、該磁性コア粒子の表面を被覆し、微粒子Cを含有する樹脂被覆層とを有し、該樹脂被覆層を構成する樹脂を樹脂Bとし、
光電子分光装置で測定される、該結着樹脂A、該樹脂B、該微粒子Cの仕事関数をそれぞれW
A
[eV]、W
B
[eV]、W
C
[eV]としたとき、該W
A
[eV]、該W
B
[eV]、該W
C
[eV]が、下記の式(1)及び式(2)を満たし、
|W
A
-W
B
|≦0.15 (1)
0.30≦W
A
-W
C
≦2.50 (2)
走査型電子顕微鏡により測定される、該磁性キャリアにおける該微粒子Cの露出率が、2.0%以上12.0%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
トナー粒子を含有するトナーと磁性キャリアとを有する二成分現像剤であって、
該トナー粒子は結着樹脂Aを含み、
該磁性キャリアは磁性コア粒子と、該磁性コア粒子の表面を被覆し、微粒子Cを含有する樹脂被覆層とを有し、該樹脂被覆層を構成する樹脂を樹脂Bとし、
光電子分光装置で測定される、該結着樹脂A、該樹脂B、該微粒子Cの仕事関数(eV)をそれぞれW
A
、W
B
、W
C
としたとき、該W
A
、該W
B
、該W
C
が、下記の式(1)及び式(2)を満たし、
|W
A
-W
B
|≦0.15 (1)
0.30≦W
A
-W
C
≦2.50 (2)
走査型電子顕微鏡により測定される、該磁性キャリアにおける該微粒子Cの露出率が、2.0%以上12.0%以下であることを特徴とする二成分現像剤。
続きを表示(約 270 文字)
【請求項2】
前記微粒子Cの仕事関数W
C
(eV)の範囲が、5.00以上5.90以下である請求項1に記載の二成分現像剤。
【請求項3】
前記微粒子Cの一次粒子の個数平均粒径が、7nm以上150nm以下の範囲にある請求項1または2に記載の二成分現像剤。
【請求項4】
前記微粒子Cは、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデンから選ばれる微粒子である請求項1または2に記載の二成分現像剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を用いて静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用される磁性キャリア、及び二成分現像剤に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真に対する要望は常に高まり続けており、高画質化が求められている。高画質化を達成するためには、現像・転写・定着といったプロセスにおいて、高い画像再現性を達成することが不可欠である。特に現像プロセスにおいてはトナーが潜像に対して忠実に飛翔し現像されることで、高い画像再現性を獲得することが可能となる。
従来、電子写真方式の画像形成方法は、静電潜像担持体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて、静電潜像を現像する方法が一般的に使用されている。この現像に際しては、磁性キャリアと呼ばれる担体粒子をトナーと混合し、摩擦帯電させて、トナーに適当量の正または負の電荷を付与し、その電荷をドライビングフォースとして現像させる二成分現像方式が広く採用されている。二成分現像方式は、磁性キャリアに対して現像剤の撹拌、搬送、帯電などの機能を付与できるため、トナーとの機能分担が明確であり、このため現像剤性能の制御性が良いなどの利点がある。ここで磁性キャリアは、磁気を持たせて搬送性を獲得するためのコアと、トナーへの帯電付与能を獲得させるための被覆樹脂がコアに被覆された構成であることが多い(例えば特許文献1、2)。
上述の高い画像再現性を発現するためには、二成分現像剤において、トナーの帯電性と飛翔性が高いレベルで両立することが必要である。
このような要望に対し、トナーの外添剤量を増やすことで飛翔性を向上することができる。一方で、キャリアへ移行する外添剤量が増えた結果、キャリアの帯電能が低下し、トナーの帯電性が不十分となることがあった。
特許文献3に記載のキャリアは、キャリア被覆樹脂中にカーボンブラック粒子が添加されていることから、電荷の局在化を抑えることができるため、トナーとキャリアの静電付着力を抑制し、優れたトナーの飛翔性を発揮する。また、特許文献4に記載のキャリアは、キャリア被覆樹脂中に帯電付与能の高いメラミン樹脂が添加されていることから、トナーの帯電性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2006-47697号公報
特開2010-164829号公報
特開2021-148998号公報
特開2022-138658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3に記載のキャリアは、抵抗の低いカーボンブラックに由来して、キャリアの帯電能が低下し、トナーの帯電性が劣る場合があることがわかった。
また、特許文献4に記載のキャリアは、メラミンに由来して電荷が局在化するため、トナーとキャリアの静電付着力が高くなり、飛翔性が劣る場合があることがわかった。
以上のことから、二成分現像剤においてトナーの飛翔性及び帯電性を満足するには課題を有している。そこで、優れた飛翔性及び帯電性を示す二成分現像剤の開発が急務となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、トナーの飛翔性及び帯電性に優れた二成分現像剤の検討を進めた。
本発明者らが鋭意検討した結果、キャリアとトナーの仕事関数と、キャリアに含まれる帯電付与粒子の露出率を制御することで帯電性と飛翔性を両立できることを見出した。仕事関数とは、物質表面において、表面から1個の電子を無限遠まで取り出すのに必要な最小エネルギー(eV)のことである。仕事関数の値が小さいと電子が取り出しやすいため、その物質は帯電しやすいと考えられる。
本効果のメカニズムに関しては明確ではないが、以下のように考えられる。
トナーの帯電性と飛翔性を両立するためには、トナーの平均帯電量と表面における帯電均一性を両立させることが重要と考えられる。
トナー母体とキャリア被覆樹脂の仕事関数差を小さくすることで、発生する電荷が小さくなり、トナーとキャリアの静電付着力は低下し、飛翔性は向上する。しかし、トナー母体とキャリア被覆樹脂の仕事関数差を小さくすると、トナーの帯電性は低下する。帯電性を向上させるためには、帯電付与粒子をキャリア被覆樹脂に添加することが考えられる。このとき、帯電付与粒子とキャリア被覆樹脂の仕事関数差が小さいと帯電性は向上せず、仕事関数差が大きいと帯電性は高くなるものの、トナー表面における電荷の局在化が強くなる結果、トナーの帯電分布が均一化されず、飛翔性が低下すると考えられる。また、帯電付与粒子の露出率が低いと帯電性は向上せず、露出率が高いと帯電性が過剰となり、静電付着力が高くなる結果、飛翔性が低下する。
即ち、トナー母体、キャリア被覆樹脂、帯電付与粒子の仕事関数の関係、および帯電付与粒子の露出率が適度になることにより、帯電性と飛翔性を両立できると考えられる。
上記知見に基づいて導き出された本発明の二成分現像剤は、
トナー粒子を含有するトナーと磁性キャリアとを有する二成分現像剤であって、
該トナー粒子は結着樹脂Aを含み、
該磁性キャリアは磁性コア粒子と、該磁性コア粒子の表面を被覆し、微粒子Cを含有する樹脂被覆層とを有し、該樹脂被覆層を構成する樹脂を樹脂Bとし、
光電子分光装置で測定される、該結着樹脂A、該樹脂B、該微粒子Cの仕事関数をそれぞれW
A
[eV]、W
B
[eV]、W
C
[eV]としたとき、該W
A
[eV]、該W
B
[eV]、該W
C
[eV]が、下記の式(1)及び式(2)を満たし、
|W
A
-W
B
|≦0.15 (1)
0.30≦W
A
-W
C
≦2.50 (2)
走査型電子顕微鏡により測定される、該磁性キャリアにおける該微粒子Cの露出率が、2.0%以上12.0%以下であることを特徴とする二成分現像剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トナーの飛翔性及び帯電性に優れた二成分現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
帯電量の測定装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0009】
本発明の構成としては、トナー粒子を含有するトナーと磁性キャリアとを有する二成分現像剤であって、
該トナー粒子は結着樹脂Aを含み、
該磁性キャリアは、磁性コア粒子と、該磁性コア粒子の表面を被覆し、微粒子Cを含有する樹脂被覆層とを有し、該樹脂被覆層を構成する樹脂を樹脂Bとし、
光電子分光装置で測定される、該結着樹脂A、該樹脂B、該微粒子Cの仕事関数をそれぞれW
A
[eV]、W
B
[eV]、W
C
[eV]としたとき、該W
A
[eV]と該W
B
[eV]が、下記の式(1)を満たす。
|W
A
-W
B
|≦0.15 (1)
【0010】
2つの物質間の電荷の移動を考慮したとき、電荷はエネルギー準位が高いものから低いものへ移動する。仕事関数は物質から電荷を取り出すためのエネルギーであるため、2つの物質の仕事関数差が小さいほど、エネルギー準位差は小さく、帯電しにくいと考えられる。即ち、結着樹脂Aと樹脂Bの仕事関数差|W
A
-W
B
|を上記範囲にすることで、トナー粒子と磁性キャリア表面の樹脂Bとの摩擦帯電による電荷を抑え、その結果として局所帯電による静電付着力の増加を抑制させ、飛翔性が向上する。しかし、摩擦帯電による電荷発生が小さいため、平均帯電量が不十分となる。
(【0011】以降は省略されています)
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