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公開番号
2024124450
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-12
出願番号
2024103888,2020559315
出願日
2024-06-27,2019-12-12
発明の名称
分子内水素結合可能な官能基を有するアミノ酸とそれらのアミノ酸を含むペプチド化合物、およびそれらの製造方法
出願人
中外製薬株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07C
229/22 20060101AFI20240905BHJP(有機化学)
要約
【課題】 ペプチド化合物の膜透過性を改善するアミノ酸、および該アミノ酸を含むペプチド化合物を提供することを課題とする。
【解決手段】
少なくとも1つを分子内水素結合を形成し得る側鎖を有するアミノ酸。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記式Aで表される、アミノ酸:
JPEG
2024124450000409.jpg
20
149
式中、
R
1
は、水素、もしくはC
1
-C
6
アルキルであるか、または式1もしくは式2で表される基であり、この場合、R
2A
およびR
2B
は、R
2A
が水素、もしくはC
1
-C
6
アルキルであるか、または式1もしくは式2で表される基であり、かつR
2B
は、水素またはC
1
-C
6
アルキルであるか、あるいは、R
2A
およびR
2B
は、それらが結合している炭素原子と一緒になって4~6員の環を形成し、あるいは
R
1
は、R
1
が結合する窒素原子、R
2A
、およびR
2A
が結合する炭素原子と一緒になって4~6員の複素環を形成し、該複素環は、式1もしくは式2で表される基、-OH、およびアルコキシ基からなる群より選択される、1つまたは複数の置換基を有していてもよく、この場合、R
2B
は、水素またはC
1
-C
6
アルキルであり、
R
3
は、単結合、または-CHR
4
-であり、
R
4
は、水素、もしくはC
1
-C
4
アルキルであるか、または式1もしくは式2で表される基であり、
式1および式2は、それぞれ下記式:
JPEG
2024124450000410.jpg
22
149
で表され、式中、
*は、結合点を示し、
Q
1
およびQ
2
は、独立して、単結合、C
1
-C
4
アルキレン、または酸素原子を1つ含むC
2
-C
4
ヘテロアルキレンであり、
A
1
は、-O-、または-S-であり、
L
1
は、フッ素、C
1
-C
2
アルキル基、C
1
-C
2
続きを表示(約 2,000 文字)
【請求項2】
以下からなる群:
JPEG
2024124450000411.jpg
212
149
JPEG
2024124450000412.jpg
136
149
JPEG
2024124450000413.jpg
174
149
より選択される、請求項1に記載のアミノ酸。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアミノ酸に含まれるアミノ基、および/またはカルボキシル基が保護基で保護されている、保護アミノ酸。
【請求項4】
アミノ基の保護基が、Fmoc基、Boc基、Cbz基、Alloc基、ノシル基、ジニトロノシル基、t-Bu基、トリチル基、およびクミル基からなる群より選択される、および/または
カルボキシル基の保護基が、メチル基、アリル基、t-Bu基、トリチル基、クミル基、メトキシトリチル基、およびベンジル基からなる群より選択される、請求項3に記載の保護アミノ酸。
【請求項5】
2以上のアミノ酸が連結されたペプチド化合物であって、アミノ酸の少なくとも1つがその側鎖内で水素結合を形成し得る、ペプチド化合物。
【請求項6】
側鎖内で水素結合を形成し得るアミノ酸が、側鎖内で擬似4~7員環を形成し得る、請求項5に記載のペプチド化合物。
【請求項7】
側鎖内で水素結合を形成し得るアミノ酸が、下記式Aで表される、請求項5または6に記載のペプチド化合物:
JPEG
2024124450000414.jpg
20
149
式中、
R
1
は、水素、もしくはC
1
-C
6
アルキルであるか、または式1もしくは式2で表される基であり、この場合、R
2A
およびR
2B
は、R
2A
が水素、もしくはC
1
-C
6
アルキルであるか、または式1もしくは式2で表される基であり、かつR
2B
は、水素またはC
1
-C
6
アルキルであるか、あるいは、R
2A
およびR
2B
は、それらが結合している炭素原子と一緒になって4~6員の環を形成し、あるいは
R
1
は、R
1
が結合する窒素原子、R
2A
、およびR
2A
が結合する炭素原子と一緒になって4~6員の複素環を形成し、該複素環は、式1もしくは式2で表される基、-OH、およびアルコキシ基からなる群より選択される、1つまたは複数の置換基を有していてもよく、この場合、R
2B
は、水素またはC
1
-C
6
アルキルであり、
R
3
は、単結合、または-CHR
4
-であり、
R
4
は、水素、もしくはC
1
-C
4
アルキルであるか、または式1もしくは式2で表される基であり、
式1および式2は、それぞれ下記式:
JPEG
2024124450000415.jpg
22
149
で表され、式中、
*は、結合点を示し、
Q
1
およびQ
2
は、独立して、単結合、C
1
-C
4
アルキレン、または酸素原子を1つ含むC
2
-C
4
ヘテロアルキレンであり、
A
1
は、-O-、または-S-であり、
L
1
は、フッ素、C
1
-C
2
アルキル基、C
1
-C
2
【請求項8】
式Aで表されるアミノ酸が以下からなる群:
JPEG
2024124450000416.jpg
122
149
JPEG
2024124450000417.jpg
204
149
JPEG
2024124450000418.jpg
174
149
より選択される、請求項7に記載のペプチド化合物。
【請求項9】
5~30のアミノ酸から構成される、請求項5~8のいずれか1項に記載のペプチド化合物。
【請求項10】
環状である、請求項5~9のいずれか1項に記載のペプチド化合物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド化合物の膜透過性を向上させることのできるアミノ酸、および該アミノ酸を含むペプチド化合物、およびそれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
タンパク―タンパク相互作用の阻害に代表される、tough targetへのアクセスは低分子化合物と比較して、中分子化合物(分子量:500~2000)が優れている可能性がある。また、抗体と比較して、中分子化合物は細胞内に移行できる点でも優れている可能性がある。生理活性を有する中分子化合物の中でもペプチド医薬品はすでに40種類以上が上市されている価値の高い分子種である(非特許文献1)。
【0003】
ペプチド医薬品の代表例として、シクロスポリンAやポリミキシンBが挙げられる。これらの構造に着目してみるとN-メチルアミノ酸に代表される、いくつかの非天然アミノ酸を含むペプチドである点、あるいは、環状ペプチドである点が特徴点として挙げられる。非天然アミノ酸とは、天然でmRNA上にコードされていないアミノ酸のことで、天然由来のシクロスポリンAやポリミキシンBに非天然アミノ酸が含まれていることに加え、これら非天然の構造部位や環状構造が生体内の作用部位と相互作用や体内動態に寄与して薬理活性を発現することは非常に興味深い。
【0004】
近年、中分子ペプチドが体内動態の改善に寄与しうる膜透過性の向上のための条件(ドラッグライクネスを満たすために必要な条件)として、例えば、環状部を有すること、N置換アミノ酸数、アミノ酸残基数の範囲、脂溶性などの条件が報告されている(特許文献1)。また、非天然アミノ酸であるN-メチルアミノ酸に着目し、翻訳合成によりN-メチルペプチドライブラリを作製したとの報告もある(特許文献2)。また、標的と薬物が複合体を形成するためには標的と薬物との相互作用が重要であり、その中で重要であるものが水素結合である(非特許文献3)。水素結合を形成するためにはプロトンドナーが必須であるが、膜透過性に対しては負の影響を与えうる。実際、膜透過性の改善方法のひとつとして、アミノ酸のN-メチル化が奏功することが知られている(特許文献1)。アミノ酸のN-メチル化以外でも、主鎖に含まれるアミド結合を利用してプロトンをマスクすることの膜透過性への影響が考察されている(非特許文献2)。
【0005】
一方で、アミノ酸の側鎖にプロトンとプロトンをマスクできるような官能基を有する非天然アミノ酸をデザインし、そのプロトンをマスクする機能によってペプチドの膜透過性が改善されたという報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2013/100132号
国際公開第2012/033154号
【非特許文献】
【0007】
Future Med. Chem. 2009, 1,1289-1310.
Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57,14414-14438.
最新創薬化学上巻, p87
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬に有用なペプチドの創生には、標的分子とペプチドとの相互作用の向上が必須といえる。標的分子とペプチドとの相互作用の向上には、アミノ酸の主鎖だけでなく、側鎖の構造が標的分子と相互作用することがさらに重要といえる。標的分子との相互作用を改善するためには、20種類の天然アミノ酸からなるペプチドだけでなく、標的分子との相互作用がより強固になるようにデザインされた非天然アミノ酸をペプチドに組み込むことがより有利である。特許文献1、および特許文献2に記載の方法では、ペプチドの構成単位であるアミノ酸のアミド結合部位のN-メチル化、アミノ酸残基数、脂溶性の観点からの示唆が記載されている一方で、標的分子との結合に有利であると考えられる水素結合を形成するために必要な酸素原子や窒素原子などに代表されるヘテロ原子がアミノ酸の側鎖に導入された場合の構造特性に関する考察はなされていない。非特許文献1では、ペプチド医薬品や環状ペプチドの環化方法の例示は記載されているものの、膜透過性とアミノ酸の構造との相関の示唆はない。非特許文献2では、ペプチド医薬品の例示はされているが、ペプチドを構成するアミノ酸の構造変換が、医薬への有用性に結びついているという示唆はなく、あくまでも既知化合物の考察がなされているにすぎず、医薬への汎用性は限定的である。
【0009】
本発明は、ペプチド化合物のデザイン、特に膜透過性に与える影響の研究が、アミノ酸各々の構造特性に着目されずに行われてきた状況を鑑みてなされたものであり、ペプチド化合物の膜透過性を改善するアミノ酸、および該アミノ酸を含むペプチド化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題の解決手段として、以下を見出し、発明を完成した。すなわち、標的分子との相互作用の向上に必要なヘテロ原子をアミノ酸の側鎖に持ち、さらにそのアミノ酸側鎖上のプロトンを、同一のアミノ酸側鎖内で分子内水素結合によりマスクできるようなアミノ酸側鎖をデザインし、該アミノ酸を含むペプチド化合物を製造して膜透過性を評価したところ、驚くべきことに、該アミノ酸を含むペプチド化合物は、分子内水素結合をしないアミノ酸を含むペプチド化合物と比較して、膜透過性が優れていることを見出した。また、分子内水素結合をする側鎖を有するアミノ酸のデザインは、プロトンドナーとプロトンアクセプターが疑似環状構造、好ましくは4員環、5員環、6員環、あるいは7員環を取りうるような構造が効果を発揮することを見出した。また、該アミノ酸を含むペプチド化合物の膜透過に最適なペプチドを構成するアミノ酸残基の数、N置換アミノ酸残基の数、N置換アミノ酸残基がペプチド中に含まれる割合、cLogPの範囲、芳香環の数を見出した。
(【0011】以降は省略されています)
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