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公開番号
2024123118
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-10
出願番号
2024098474,2020548989
出願日
2024-06-19,2019-03-15
発明の名称
ジカウイルスに対して交差反応性を有する抗デングウイルス抗体および使用方法
出願人
中外製薬株式会社
,
エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
39/395 20060101AFI20240903BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】ジカウイルス(ZIKV)感染を治療または予防するための方法を提供する。
【解決手段】ジカウイルスに結合する抗体を投与する工程を含む、ジカウイルス感染を治療または予防するための方法であって、該抗体が、それぞれ特定のアミノ酸配列を含むHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3を含む、方法である。前記抗体がポリペプチドをさらに含み、該ポリペプチドが、親Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸改変を含む変異型Fc領域を含み、該変異型Fc領域が、親Fc領域と比較したとき、実質的に低下したFcγR結合活性を有し、かつ実質的に低下したC1q結合活性を有しない、前記方法である。
【選択図】図18
特許請求の範囲
【請求項1】
ジカウイルスに結合する抗体を投与する工程を含む、ジカウイルス感染を治療または予防するための方法であって、該抗体が、
(a) (i)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000054.tif
4
128
を含むHVR-H3であって、X
1
はRまたはEであり、X
2
はRまたはFであり、X
3
はG、DまたはLである(SEQ ID NO: 42)、HVR-H3、
(ii)アミノ酸配列:QQFX
1
X
2
LPITを含むHVR-L3であって、X
1
はD、SまたはEであり、X
2
はDまたはAである(SEQ ID NO: 45)、HVR-L3、および
(iii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000055.tif
4
128
を含むHVR-H2であって、X
1
はTまたはRであり、X
2
はAまたはRである(SEQ ID NO: 41)、HVR-H2;
(b) (i)アミノ酸配列:SX
1
YX
2
Hを含むHVR-H1であって、X
1
はNまたはYであり、X
2
はIまたはMである(SEQ ID NO: 40)、HVR-H1、
(ii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000056.tif
4
128
を含むHVR-H2であって、X
1
はTまたはRであり、X
2
はAまたはRである(SEQ ID NO: 41)、HVR-H2、および
(iii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000057.tif
4
128
を含むHVR-H3であって、X
1
はRまたはEであり、X
2
はRまたはFであり、X
3
はG、DまたはLである(SEQ ID NO: 42)、HVR-H3;
(c) (i)アミノ酸配列:SX
1
YX
2
Hを含むHVR-H1であって、X
1
はNまたはYであり、X
2
はIまたはMである、(SEQ ID NO: 40)、HVR-H1、
(ii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000058.tif
4
128
を含むHVR-H2であって、X
1
はTまたはRであり、X
2
はAまたはRである(SEQ ID NO: 41)、HVR-H2、
(iii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000059.tif
4
128
を含むHVR-H3であって、X
1
はRまたはEであり、X
2
はRまたはFであり、X
3
はG、DまたはLである(SEQ ID NO: 42)、HVR-H3、
(iv)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000060.tif
4
128
を含むHVR-L1であって、X
1
はDまたはEであり、X
2
はKまたはQである(SEQ ID NO: 43)、HVR-L1、
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
前記抗体が、SEQ ID NO: 31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインフレームワークFR1、SEQ ID NO: 32のアミノ酸配列を含むFR2、SEQ ID NO: 33または34のアミノ酸配列を含むFR3、SEQ ID NO: 35のアミノ酸配列を含むFR4をさらに含む、請求項1(b)に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体が、SEQ ID NO: 36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインフレームワークFR1、SEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含むFR2、SEQ ID NO: 38のアミノ酸配列を含むFR3、SEQ ID NO: 39のアミノ酸配列を含むFR4をさらに含む、請求項1(d)に記載の方法。
【請求項4】
抗体を投与する工程を含む、ジカウイルス感染を治療または予防するための方法であって、該抗体が、(a) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;または(c) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列およびSEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列を含む、方法。
【請求項5】
ジカウイルスに結合する抗体を投与する工程を含む、ジカウイルス感染を治療または予防するための方法であって、該抗体が、(a) SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b) SEQ ID NO: 15のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c) SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d) SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e) SEQ ID NO: 24のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(f) SEQ ID NO: 27のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、方法。
【請求項6】
前記抗体がポリペプチドをさらに含み、
該ポリペプチドが、親Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸改変を含む変異型Fc領域を含み、
該変異型Fc領域が、親Fc領域と比較したとき、実質的に低下したFcγR結合活性を有し、かつ実質的に低下したC1q結合活性を有しない、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
変異型Fc領域が、EUナンバリングに従って、234位のAla、235位のAla、および以下の(a)~(c)のいずれか1つのさらなるアミノ酸改変:
(a) 267、268、および324位;
(b) 236、267、268、324、および332位;ならびに
(c) 326および333位
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
変異型Fc領域が、EUナンバリングに従って、
(a) 267位のGlu;
(b) 268位のPhe;
(c) 324位のThr;
(d) 236位のAla;
(e) 332位のGlu;
(f) 326位のAla、Asp、Glu、Met、またはTrp;および
(g) 333位のSer
からなる群より選択されるアミノ酸を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変異型Fc領域が、EUナンバリングに従って、
(a) 434位のAla;
(b) 434位のAla、436位のThr、438位のArg、および440位のGlu;
(c) 428位のLeu、434位のAla、436位のThr、438位のArg、および440位のGlu;ならびに
(d) 428位のLeu、434位のAla、438位のArg、および440位のGlu
からなる群より選択されるアミノ酸をさらに含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO: 51~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗ジカウイルス抗体およびその使用方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【背景技術】
【0002】
背景
デング熱は、世界中で最も一般的な節足動物媒介性のウイルス疾患である。デング熱を引き起こすウイルス(本明細書ではDENVと呼ばれる)は、DENV-1、DENV-2、DENV-3、およびDENV-4などの4つの異なる感染性の血清型に分類することができる。デング熱感染症の症状には、発熱、筋肉痛、頭痛、血小板数の減少、白血球数の減少、血液凝固障害、出血、血管漏出などがあり、これらはデングショック症候群を引き起こす可能性がある。人が以前にデング熱に感染した後でデングウイルスにさらされると、抗ウイルス抗体が宿主細胞へのウイルスの取り込みを促進することがあり、その患者は重症型のデング熱を発症する危険性が高くなる。しかし、重症型のデング熱は最初の感染の際にも起こり得る。
【0003】
最も一般的な節足動物媒介性のウイルス疾患であるのに、今日まで、デング熱を治療するために利用可能な薬物は存在しない。疾患としてのデング熱に関するアプローチは、主に感染の予防および/または症状を緩和するための治療に向けられてきた。
【0004】
ワクチンおよび抗体治療薬がウイルス感染を予防および治療するために現在開発中である。しかしながら、抗体ベースの治療はリスクがないわけではない。そのようなリスクの1つは抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement: ADE)であり、これは非中和抗ウイルス抗体が宿主細胞へのウイルス侵入を促進して、細胞内での感染力の増加をもたらす場合に起こる(Expert Rev Anti Infect Ther (2013) 11, 1147-1157(非特許文献1))。ADEの最も一般的なメカニズムは、抗体のFc部分を介したウイルス-抗体複合体と細胞表面のFc受容体(FcR)との相互作用である。通常は軽いウイルス感染がADEによって増強されて、命を脅かす疾患になる。FcγRへの結合を妨げる突然変異をFc領域に有する抗DENV抗体は、DENV感染を増強しなかったことが報告されている(WO2010/043977(特許文献1))。しかし、抗体依存性感染増強のリスクを高めることのない抗体治療薬の必要性が依然として存在している。
【0005】
ジカウイルスに対するDENV特異的抗体の交差反応性は、文献[JCI Insight. 2017;2(8). doi: 10.1172/jci.insight.92428(非特許文献2)]に報告されている。DENV特異的抗体がジカ感染症を増強し得ることもまた、実証されている[Nature. 2016;536(7614):48-53. doi: 10.1038/nature18938(非特許文献3)、Nat Immunol. 2016;17(9):1102-8(非特許文献4)]。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO2010/043977
【非特許文献】
【0007】
Expert Rev Anti Infect Ther (2013) 11, 1147-1157
JCI Insight. 2017;2(8). doi: 10.1172/jci.insight.92428
Nature. 2016;536(7614):48-53. doi: 10.1038/nature18938
Nat Immunol. 2016;17(9):1102-8
【発明の概要】
【0008】
概要
本発明は、抗DENV抗体、変異型Fc領域を含むポリペプチド、およびそれらの使用方法を提供する。
【0009】
いくつかの態様において、本発明の単離された抗DENV抗体はDENV Eタンパク質に結合する。いくつかの態様では、本発明の抗DENV抗体は、以下を含む:
(a) (i)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000002.tif
4
128
(ここでX
1
はRまたはEであり、X
2
はRまたはFであり、X
3
はG、DまたはLである)(SEQ ID NO: 42)を含む、HVR-H3、
(ii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000003.tif
4
128
(ここでX
1
はD、SまたはEであり、X
2
はDまたはAである)(SEQ ID NO: 45)を含む、HVR-L3、および
(iii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000004.tif
4
128
(ここでX
1
はTまたはRであり、X
2
はAまたはRである)(SEQ ID NO: 41)を含む、HVR-H2;
(b) (i)アミノ酸配列:SX
1
YX
2
H(ここでX
1
はNまたはYであり、X
2
はIまたはMである)(SEQ ID NO: 40)を含む、HVR-H1、
(ii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000005.tif
4
128
(ここでX
1
はTまたはRであり、X
2
はAまたはRである)(SEQ ID NO: 41)を含む、HVR-H2、および
(iii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000006.tif
4
128
(ここでX
1
はRまたはEであり、X
2
はRまたはFであり、X
3
はG、DまたはLである)(SEQ ID NO: 42)を含む、HVR-H3;
(c) (i)アミノ酸配列:SX
1
YX
2
H(ここでX
1
はNまたはYであり、X
2
はIまたはMである)(SEQ ID NO: 40)を含む、HVR-H1、
(ii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000007.tif
4
128
(ここでX
1
はTまたはRであり、X
2
はAまたはRである)(SEQ ID NO: 41)を含む、HVR-H2、
(iii)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000008.tif
4
128
(ここでX
1
はRまたはEであり、X
2
はRまたはFであり、X
3
はG、DまたはLである)(SEQ ID NO: 42)を含む、HVR-H3、
(iv)アミノ酸配列:
TIFF
2024123118000009.tif
4
128
(ここでX
1
はDまたはEであり、X
2
はKまたはQである)(SEQ ID NO: 43)を含む、HVR-L1、
【0010】
いくつかの態様では、本発明の単離された抗DENV抗体は、以下を含む:
(a) (i) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H3、(ii) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L3、および(iii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H2;
(b) (i) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H1、(ii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H2、および(iii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H3;
(c) (i) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H1、(ii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H2、(iii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H3、(iv) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L1、(v) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L2、および(vi) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L3;
(d) (i) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L1、(ii) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L2、および(iii) SEQ ID NO: 8~10のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L3;または
(e) (i) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H1、(ii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H2、(iii) SEQ ID NO: 2~6のいずれか1つのVH配列由来のHVR-H3、(iv) SEQ ID NO: 7のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L1、(v) SEQ ID NO: 7のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L2、および(vi) SEQ ID NO: 7のいずれか1つのVL配列由来のHVR-L3。
いくつかの態様では、本発明の抗体は、(i) SEQ ID NO: 1のVH配列由来のHVR-H1、(ii) SEQ ID NO: 1のVH配列由来のHVR-H2、(iii) SEQ ID NO: 1のVH配列由来のHVR-H3、(iv) SEQ ID NO: 7のVL配列由来のHVR-L1、(v) SEQ ID NO: 7のVL配列由来のHVR-L2、および(vi) SEQ ID NO: 7のVL配列由来のHVR-L3を含む抗体ではない。
(【0011】以降は省略されています)
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