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公開番号2024121146
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028086
出願日2023-02-27
発明の名称排水処理装置、排水処理方法及びプログラム
出願人国立大学法人京都大学,前澤工業株式会社
代理人弁理士法人谷川国際特許事務所
主分類C02F 1/44 20230101AFI20240830BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】エネルギーを効率的に回収することができる排水処理装置10を提供する。
【解決手段】排水処理装置10は、排水を貯留する分離濃縮槽12、分離濃縮槽12に貯留される排水に酸素/窒素を供給する酸素/窒素注入部16a、酸素/窒素注入部16aを制御するORP制御装置16、分離濃縮槽12に貯留される排水に酸又はアルカリを供給する酸/アルカリ注入部17a、酸/アルカリ注入部17aを制御するpH制御装置17を備え、分離濃縮槽12はFO膜ユニット18を有し、FO膜ユニット18が有するFO膜の一方側に夾雑物、溶解性有機物及び水分を含む排水が存在し、FO膜の他方側に駆動溶液DSが存在し、ORP制御装置16は排水の酸化還元電位に応じて分離濃縮槽12に酸素及び/又は窒素を供給し、pH制御装置17は排水のpHに応じて分離濃縮槽12にpH調整剤としての酸又はアルカリを供給する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から受ける圧力が前記駆動溶液から受ける圧力よりも高い場合、前記排水に含まれる水分を透過するとともに、前記夾雑物及び溶解性物質を捕捉して前記排水を濃縮する濃縮手段と、
前記排水を貯留する貯留手段と、
前記貯留手段に窒素及び/又は酸素を供給する供給手段と、を備えることを特徴とする排水処理装置。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記貯留手段は密閉されていることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記供給手段は前記排水の酸化還元電位に基づいて窒素及び/又は酸素を供給することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記排水の酸化還元電位は-350mV~-50mVに制御され、前記供給手段は酸化還元電位が-50mVよりも高い場合、前記貯留手段に窒素を供給し、酸化還元電位が-350mVよりも低い場合、酸素及び窒素、又は、酸素のみを供給することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項5】
酸又はアルカリを供給する他の供給手段を備え、
前記他の供給手段は前記排水のpHに基づいて酸又はアルカリを供給することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記排水のpHは5.0~7.0に制御され、前記他の供給手段はpHが7.0よりも高い場合、前記貯留手段に酸を供給し、pHが5.0よりも低い場合、前記貯留手段にアルカリを供給することを特徴とする請求項5記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記貯留手段に供給された窒素及び/又は酸素は前記貯留手段を循環することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項8】
前記駆動溶液を水、酸、アルカリ、又は次亜塩素酸ナトリウム水溶液に代えて前記濃縮手段を洗浄することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項9】
夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から受ける圧力が前記駆動溶液から受ける圧力よりも高い場合、前記排水に含まれる水分を透過するとともに、前記夾雑物及び溶解性物質を捕捉して前記排水を濃縮する濃縮ステップと、
前記排水を貯留する貯留ステップと、
前記排水を貯留する貯留手段に窒素及び/又は酸素を供給する供給ステップと、を有することを特徴とする排水処理方法。
【請求項10】
夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から受ける圧力が前記駆動溶液から受ける圧力よりも高い場合、前記排水に含まれる水分を透過するとともに、前記夾雑物及び溶解性物質を捕捉して前記排水を濃縮する濃縮ステップと、
前記排水を貯留する貯留ステップと、
前記排水を貯留する貯留手段に窒素及び/又は酸素を供給する供給ステップと、を有する排水処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は排水処理装置、排水処理方法及びプログラムに関し、特に、FO膜が用いられる排水処理装置、排水処理方法及びプログラムに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来より、FO(Forward Osmosis)膜を用いて夾雑物、溶解性物質及び水分を含む下水等の排水を処理する排水処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。FO膜は下水等の排水及び海水等の駆動溶液DS(Draw Solution)の間に位置し、駆動溶液DSの溶質濃度が排水の溶質濃度よりも高いとき、FO膜が排水から受ける圧力が駆動溶液DSから受ける圧力よりも高いため、排水に含まれる水分のみがFO膜を透過して駆動溶液DSに移動し、排水に含まれる夾雑物及び溶解性物質はFO膜に捕捉される。その結果、排水は濃縮される。
【0003】
図3は従来の排水処理装置30の構成を示す概略図であり、図3の排水処理装置30は、排水貯留槽31、分離濃縮槽32及びDS貯留槽33を備え、分離濃縮槽32はFO膜ユニット34を有する。排水貯留槽31は排水中の夾雑物を除去するスクリーンや沈殿池を通過した排水を貯留する。分離濃縮槽32は排水貯留槽31から供給される排水を貯留する。FO膜ユニット34は分離濃縮槽32に貯留される排水に浸漬されている。FO膜ユニット34はFO膜を支持する支持材及びFO膜からなり、FO膜は支持材を包含し、これにより、FO膜ユニット34は内部空間を有する。DS貯留槽33は駆動溶液DSである海水を貯留し、駆動溶液DSはFO膜ユニット34の内部空間及びDS貯留槽33を循環する。
【0004】
分離濃縮槽32における排水に含まれる水分はFO膜を介して駆動溶液DSに移動し、分離濃縮槽32における排水に含まれる夾雑物はFO膜に捕捉されて駆動溶液DSに移動しない。したがって、分離濃縮槽32に貯留される排水は濃縮される。濃縮された分離濃縮槽32の排水(以下、「濃縮排水」という。)は溶解性有機物を含むため、メタン発酵槽(不図示)に移送され有機物をメタン及び炭酸ガスに分解するメタン発酵に用いられるとともに、メタン発酵によって生成されたメタンはエネルギーとして利用される。ところで、分離濃縮槽32に貯留される排水は濃縮排水をメタン発酵に用いるために20~50倍濃縮する必要がある。また、分離濃縮槽32における排水には、通常、夾雑物や有機物とともに酸素を必要とする好気性微生物及び酸素を必要としない嫌気性微生物が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-15684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単位時間あたりにFO膜を透過する水分が少なく、分離濃縮槽32の排水を濃縮するために長時間を要する場合がある。分離濃縮槽32の排水を濃縮する時間が長いと、分離濃縮槽32の排水における好気性微生物及び嫌気性微生物が排水を濃縮している間も排水に含まれる有機物を分解する。これにより、メタン発酵槽におけるメタン発酵に必要な有機物が不足し、エネルギーを効率的に回収することができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、エネルギーを効率的に回収することができる排水処理装置、排水処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理装置は、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から受ける圧力が前記駆動溶液から受ける圧力よりも高い場合、前記排水に含まれる水分を透過するとともに、前記夾雑物及び溶解性物質を捕捉して前記排水を濃縮する濃縮手段と、前記排水を貯留する貯留手段と、前記貯留手段に窒素及び/又は酸素を供給する供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理方法は、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から受ける圧力が前記駆動溶液から受ける圧力よりも高い場合、前記排水に含まれる水分を透過するとともに、前記夾雑物及び溶解性物質を捕捉して前記排水を濃縮する濃縮ステップと、前記排水を貯留する貯留ステップと、前記排水を貯留する貯留手段に窒素及び/又は酸素を供給する供給ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から受ける圧力が前記駆動溶液から受ける圧力よりも高い場合、前記排水に含まれる水分を透過するとともに、前記夾雑物及び溶解性物質を捕捉して前記排水を濃縮する濃縮ステップと、前記排水を貯留する貯留ステップと、前記排水を貯留する貯留手段に窒素及び/又は酸素を供給する供給ステップと、を有する排水処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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