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公開番号2024097263
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-18
出願番号2023000718
出願日2023-01-05
発明の名称固体電解質、及びフッ化物イオン電池
出願人国立大学法人京都大学,トヨタ自動車株式会社
代理人個人
主分類H01B 1/06 20060101AFI20240710BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】フッ化物イオン電池のフッ化物イオン伝導性を向上させる。
【解決手段】固体電解質は、構成元素として、少なくとも鉛、フッ素、及びヨウ素を含む複合アニオン化合物の結晶相を含み、結晶相は、蛍石層(12、22、24)とヨウ素層(11、21、23)が交互に層状に積層されており、蛍石層(12、22、24)は、構成元素として、少なくとも鉛、及びフッ素の2種の元素を含み、2つのヨウ素層(11、21、23)間の1の蛍石層は、n層のカチオンサブレイヤーを含み、nの値は、4、又は、3と4の組み合わせ、であり、蛍石層内における八面体間隙(103、203)の占有率が0%より大きく、100%未満である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質であって、
構成元素として、少なくとも鉛、フッ素、及びヨウ素を含む複合アニオン化合物の結晶相を含み、
前記結晶相は、蛍石層とヨウ素層が交互に層状に積層されており、
前記蛍石層は、構成元素として、少なくとも鉛、及びフッ素の2種の元素を含み、
2つのヨウ素層間の1の蛍石層は、n層のカチオンサブレイヤーを含み、nの値は、4、又は、3と4の組み合わせ、であり、
前記蛍石層内における八面体間隙の占有率が0%より大きく、100%未満である、
固体電解質。
続きを表示(約 280 文字)【請求項2】
Pb



I、又は、Sn

Pb


12


の組成を有する、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質。
【請求項3】
正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の間に配置された電解質層と、を有するフッ化物イオン電池であって、
前記正極活物質層、前記負極活物質層、及び前記電解質層の少なくとも1つが、請求項1又は請求項2に記載の固体電解質を含有する、フッ化物イオン電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ化物イオン電池に用いる固体電解質に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、次世代の電池として、フッ化物イオン電池が注目されている。フッ化物イオン電池は、高容量・高電圧、及び資源の豊富さの観点から、従来のリチウムイオン電池を上回る可能性があると期待されている。フッ化物イオン電池の中では安定性の観点から、電解質に固体材料を用いた全固体フッ化物イオン電池が、特に重要である。既存のフッ化物イオン電池の固体電解質としては、アニオンとしてF

(フッ化物イオン)のみを含むものが一般的であるが、もし、F

以外のアニオンを利用することができれば、組成の自由度が格段に広がるという利点がある。例えば、特許文献1には、複数種類のアニオンを含む複合アニオン化合物のフッ化物イオン伝導性固体電解質として、F

とS
2-
(硫化物イオン)を含むM





結晶相(Mは1種、又は2種以上の金属である)を備える固体電解質が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-068664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のM





結晶相は、イオン伝導性が低い(特許文献1によれば、60℃において3×10
-7
S/cm)ことが課題である。M





結晶相では、蛍石層の八面体間隙の占有率は0%である。蛍石構造の固体電解質においては、八面体間隙の占有率が0%であると、F

イオン伝導に寄与するF

が乏しくなり、八面体間隙がイオン伝導経路として利用され難くなり、イオン伝導性が低くなると考えられる。一方で、八面体間隙の占有率が100%の場合においても、F

イオン伝導を阻害するため、固体電解質のイオン伝導性が低くなることが予想される。
【0005】
本開示は、蛍石層を有する複合アニオン型の固体電解質において、八面体間隙の占有率を制御することにより、高いフッ化物イオン伝導性を有する固体電解質を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の固体電解質は、フッ化物イオン伝導性を有し、
構成元素として、少なくとも鉛、フッ素、及びヨウ素を含む複合アニオン化合物の結晶相を含み、
前記結晶相は、蛍石層とヨウ素層が交互に層状に積層されており、
前記蛍石層は、構成元素として、少なくとも鉛、及びフッ素の2種の元素を含み、
2つのヨウ素層間の1の蛍石層は、n層のカチオンサブレイヤーを含み、nの値は、4、又は、3と4の組み合わせ、であり、
前記蛍石層内における八面体間隙の占有率が0%より大きく、100%未満である。
【0007】
本開示の第2態様の固体電解質は、Pb



I、又は、Sn

Pb


12


の組成を有し、フッ化物イオン伝導性を有する。
【0008】
本開示のフッ化物イオン電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の間に配置された電解質層と、を有し、
前記正極活物質層、前記負極活物質層、及び前記電解質層の少なくとも1つが、第1態様又は第2態様の固体電解質を含有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の固体電解質は、蛍石層を有し、蛍石構造の八面体間隙の占有率が0%を超え、100%未満であり、高いフッ化物イオン伝導性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
Pb



Iの結晶構造を示す図である。簡単のため、歪の無い理想構造で示している。右側の1,2,3,4の数字は、蛍石層のカチオンサブレイヤーの層数を表している。2価カチオン(Pb
2+
)101、F

(フッ化物イオン)102、八面体間隙103のF

イオン、I

(ヨウ素イオン)104の各原子を異なる模様で表している。
Sn

Pb


12


の結晶構造を示す図である。簡単のため、歪の無い理想構造で示している。右側の1,2,3,4の数字は、蛍石層のカチオンサブレイヤーの層数を表している。2価カチオン(Sn
2+
、Pb
2+
)201、F

(フッ化物イオン)202、八面体間隙203のF

(フッ化物イオン)、I

(ヨウ素イオン)204の各原子を異なる模様で表している。
Pb

BaF

Iの結晶構造を示す図である。簡単のため、歪の無い理想構造で示している。右側の1,2,3の数字は、蛍石層のカチオンサブレイヤーの層数を表している。2価カチオン(Pb
2+
、Ba
2+
)301、F

(フッ化物イオン)302、八面体間隙303のF

(フッ化物イオン)、I

(ヨウ素イオン)304の各原子を異なる模様で表している。
複合アニオン化合物のXRDパターン。上から順に実施例1のPb



Iの測定結果、シミュレーションパターン、比較例1のPb

BaF

Iの測定結果、シミュレーションパターン。
実施例2の複合アニオン化合物Sn

Pb


12


のXRDパターン。
実施例2の複合アニオン化合物Sn

Pb


12


のRietveld解析パターン。
実施例2の複合アニオン化合物Sn

Pb


12


の中性子回折パターンと、Rietveld解析パターン。
フッ化物イオン電池400の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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