発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、磁気共鳴装置内に配置された試料管内の試料に剪断流を発生させる器具に関する。 続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】 【0002】 Rheo-NMR(以下、レオNMRと記載する)は、測定対象を含む試料に剪断流を発生させながら核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)を行う測定手法である。 【0003】 レオNMR測定によると、剪断流下にある試料の調査が可能となり、例えば、試料のずり速度(shear rate)やずり粘度(shear viscosity)、ずり流動化(shear-thinning)等といった、動的現象の特定および分析が可能となる。従来の多くのレオNMR測定では、例えばポリマーや食品を測定対象の試料としていた。近年では、例えば生体の機能や形状を、変形や流動性といった力学的側面から研究する学問分野であるバイオレオロジーの分野において、レオNMR測定により、例えば血管内の血液の流動性に関する分析がなされている。 【0004】 下記特許文献1には、レオNMR測定にて用いられるレオロジーユニットが記載されている。下記非特許文献1および非特許文献2には、レオNMR測定にて用いられるレオメータまたはクエットセル(Couette cell)が記載されている。 【0005】 また、非特許文献3に示されているように、レオNMR測定は既存のNMR装置を用いて行うことができる。測定対象の試料は、NMRチューブと呼ばれる試料管内に入れられる。試料管は、スピナーと呼ばれる回転部材に取り付けられ、NMR装置の所定の測定位置に配置される。NMR装置内に鉛直方向に設けられている試料導入孔の上部の開口端から、試料管より細い撹拌棒を試料導入孔内に挿入し、撹拌棒の先端を試料管内の試料に挿入する。多くの既存のNMR装置には、スピナーとスピナーを回転させる機構である駆動機構とが設けられている。NMR装置側に設けられたこの駆動機構を用いて、スピナーおよび試料管を撹拌棒に対して回転させることにより、試料に剪断流が発生する。このような環境下においてNMR測定を行うことにより、試料に対するレオNMR測定が行われる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 特表2016-529517号公報 【非特許文献】 【0007】 Paul T. Callaghan and Elmar Fischer, “Rheo-NMR: a New Application for NMR Microscopy and NMR Spectroscopy”, [online], 2001年, Bruker Corporation, [2019 年3 月29 日検索],インターネット<URL:https://www.bruker.com/fileadmin/user_upload/8-PDF-Docs/MagneticResonance/NMR/Rheo-NMR_Report2001.pdf> Patrick J. B. Edwards, Motoko Kakubayashi, Robin Dykstra, Steven M. Pascal, and Martin A. K. Williams, “Rheo-NMR Studies of an Enzymatic Reaction: Evidence of a Shear-Stable Macromolecular System”, Biophysical Journal, Volume 98, Issue 9, 5 May 2010, Pages 1986-1994. Daichi Morimoto, Erik Walinda, Naoto Iwakawa, Mayu Nishizawa, Yasushi Kawata, Akihiko Yamamoto, Masahiro Shirakawa, Ulrich Scheler, and Kenji Sugase, “High-Sensitivity Rheo-NMR Spectroscopy for Protein Studies”, Analytical Chemistry, Volume 89, Issue 14, June 30, 2017, Pages 7286-7290. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 試料分析用の高分解NMR装置には、測定感度を向上させるために超伝導磁石が用いられている。数10テスラ以上の高磁場を発生させるために、超伝導磁石の周囲には液体ヘリウムや液体窒素等の冷媒が配設されている。その結果、超伝導磁石を用いるNMR装置は、全高が2メートルを超える大型の装置となっている。試料管の位置もNMR装置の外部からは見ることはできない。 【0009】 一方、試料が入れられてスピナーと共に回転される試料管は、外径が約5mm程度の筒状であり、撹拌棒の先端が挿入される内径も約4mm程度である。撹拌棒は、試料管よりもさらに細く、外径は約3mm程度である。 【0010】 このように、試料管の内径と撹拌棒の外径との隙間は約0.5mm程度と非常に狭い。試料管が配置されるNMR装置内の鉛直方向の位置と、鉛直方向に延伸する試料導入孔の開口端との間も数メートル程度離れている。数メートル離れた位置から約0.5mm以内の誤差で、NMR装置内の測定位置に配置された試料管内に、NMR装置の外部から試料導入孔の開口端を介して撹拌棒の先端を挿入することは困難であった。この際、撹拌棒の先端を試料管内に挿入するだけではなく、試料管の径の中心と撹拌棒の径の中心とを正確に合わせる必要があり、難易度はさらに増大する。レオNMR測定において、試料管と撹拌棒との正確な位置合わせを確実に行うことが求められている。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する