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公開番号2025078389
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-20
出願番号2023190922
出願日2023-11-08
発明の名称廃水処理装置、廃水処理装置の制御方法及びプログラム
出願人国立大学法人京都大学,前澤工業株式会社
代理人弁理士法人谷川国際特許事務所
主分類C02F 1/44 20230101AFI20250513BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】本発明は、効率よく廃水FSを濃縮することができる廃水処理装置を提供する。
【解決手段】廃水処理システム10は、廃水FSを貯留する廃水貯留槽12、複数の分離濃縮区画13aを有する分離濃縮槽13及びメタン発酵設備14を備え、各分離濃縮区画13aはFO膜エレメント17を有し、FO膜エレメント17はFO膜19を有する。FO膜19が廃水FS及び駆動溶液DSの間に配設されることにより、FO膜19に浸透圧が生じ、廃水FSに含まれる水分はFO膜19を透過して駆動溶液DSに移動し、廃水FSは濃縮される。廃水FSのアンモニア濃度の測定値がアンモニア濃度の閾値を超えておらず、また、廃水FSの塩分濃度の測定値が塩分濃度の閾値を超えていないとき、濃縮倍率の目標値に達した分離濃縮区画13aにおけるすべての廃水FSがメタン発酵設備14に移送され、新たな廃水FSが廃水貯留槽12から分離濃縮区画13aに供給される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
夾雑物、溶解性有機物及び水分を含む廃水を濃縮する濃縮槽と、
前記廃水の溶質濃度よりも高い溶質濃度の駆動溶液及び前記廃水の間に配設される正浸透膜と、
前記濃縮槽から廃水を排出する排出部と、
前記濃縮槽において、前記廃水の濃縮前の溶質濃度に対する前記廃水の濃縮後の溶質濃度である濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているか否かを判別する判別手段と、を備え、
前記濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とする廃水処理装置。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記目標値が5倍濃縮以上50倍濃縮以下の範囲から選ばれる値であることを特徴とする請求項1記載の廃水処理装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記廃水のアンモニア濃度が予め設定されているアンモニア濃度の閾値を超えているか否かを判別し、
前記廃水のアンモニア濃度が予め設定されているアンモニア濃度の閾値を超えているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とする請求項1又は2記載の廃水処理装置。
【請求項4】
前記アンモニア濃度の閾値は3000~5000mg/Lの範囲から選ばれる値に設定されていることを特徴とする請求項3記載の廃水処理装置。
【請求項5】
前記判別手段は、前記廃水の塩分濃度が予め設定されている塩分濃度の閾値を超えているか否かを判別し、
前記廃水の塩分濃度が予め設定されている塩分濃度の閾値を超えているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とする請求項1又は2記載の廃水処理装置。
【請求項6】
前記塩分濃度の閾値は0.2~1.0重量%の範囲から選ばれる値に設定されていることを特徴とする請求項5記載の廃水処理装置。
【請求項7】
夾雑物、溶解性有機物及び水分を含む廃水を濃縮する濃縮槽と、前記廃水の溶質濃度よりも高い溶質濃度の駆動溶液及び前記廃水の間に配設される正浸透膜と、前記濃縮槽から廃水を排出する排出部と、を備える廃水処理装置の制御方法において、
前記濃縮槽において、前記廃水の濃縮前の溶質濃度に対する前記廃水の濃縮後の溶質濃度である濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているか否かを判別する判別ステップを有し、
前記濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とする廃水処理装置の制御方法。
【請求項8】
夾雑物、溶解性有機物及び水分を含む廃水を濃縮する濃縮槽と、前記廃水の溶質濃度よりも高い溶質濃度の駆動溶液及び前記廃水の間に配設される正浸透膜と、前記濃縮槽から廃水を排出する排出部と、を備える廃水処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記廃水処理装置の制御方法は、
前記濃縮槽において、前記廃水の濃縮前の溶質濃度に対する前記廃水の濃縮後の溶質濃度である濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているか否かを判別する判別ステップを有し、
前記濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とするプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は廃水処理装置、廃水処理装置の制御方法及びプログラムに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来より、廃水処理に用いられるFO(Forward Osmosis)膜が知られている(例えば、特許文献1参照。)。FO膜は、廃水FS(Feed Solution)及び廃水FSの溶質濃度よりも高い溶質濃度を有する海水等の駆動溶液DS(Draw Solution)の間に配設される。したがって、FO膜には廃水FS及び駆動溶液DSの濃度差に基づく浸透圧が発生し、これにより、FO膜は廃水FSに含まれる夾雑物、リン及び溶解性有機物を捕捉するとともに、廃水FSに含まれる水分はFO膜を透過して駆動溶液DSに移動する。その結果、廃水FSは濃縮される。濃縮された廃水FSはメタン発酵設備に移送され、廃水FSに含まれる溶解性有機物はメタン発酵設備においてメタンガスの生成に利用される。
【0003】
図7は、従来のFO膜を用いた廃水FSの濃縮を説明するために用いられる廃水処理装置70の概略図である。
【0004】
図7の廃水処理装置70は、駆動溶液DSを貯留する駆動溶液貯留槽71、廃水FSを貯留する廃水貯留槽72、廃水FSを分離濃縮する分離濃縮槽73及びメタン発酵処理を実行するメタン発酵設備74を備える。駆動溶液貯留槽71は不図示の駆動溶液供給設備に接続され、駆動溶液DSとして用いられる海水が駆動溶液供給設備から駆動溶液貯留槽71に供給される。廃水貯留槽72は廃水、例えば、夾雑物が除去された下水を貯留し、廃水貯留槽72に貯留されている廃水は分離濃縮槽73に供給される。分離濃縮槽73は散気装置75及びFO膜ユニット76を有する。散気装置75は分離濃縮槽73の槽外に設置されている不図示のブロワに接続されている。散気装置75はFO膜ユニット76に大量の気泡を曝気する。
【0005】
FO膜ユニット76は内部空間及び内部空間を囲む本体部を有し、本体部の少なくとも一部はFO膜77によって構成されている。内部空間は駆動溶液DSの流路であり、駆動溶液貯留槽71からFO膜ユニット76に駆動溶液DSが供給されたとき、駆動溶液DSは内部空間に流入して本体部を構成するFO膜77に接触し、その後、内部空間から駆動溶液貯留槽71に戻る。したがって、駆動溶液DSは駆動溶液貯留槽71及びFO膜ユニット76を循環する。FO膜77は駆動溶液DS及び廃水FSの間に配設されるとともに、駆動溶液DS及び廃水FSのいずれにも接触している。駆動溶液DSの溶質濃度は廃水FSの溶質濃度よりも高く、これにより、FO膜77には浸透圧が生じ、廃水FSに含まれる水分はFO膜77を透過して駆動溶液DSに移動し、廃水FSは濃縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-185522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、廃水FSに含まれる水分はFO膜77を透過して駆動溶液DSに移動するため、駆動溶液DSの溶質濃度は低下するとともに、廃水FSの溶質濃度は上昇する。したがって、廃水FSが一定の時間連続して濃縮される場合、FO膜77に接触している駆動溶液DS及び廃水FSの溶質濃度の差は縮小し、FO膜77に生じる浸透圧が低下するので、単位時間、単位面積当たりにおける廃水FSに含まれる水分の透過量(以下、「透過水フラックス」という。)が時間の経過とともに低下して下げ止まる。換言すれば、FO膜77に生じる浸透圧が低下しなければ透過水フラックスが時間の経過とともに低下して下げ止まることはなく、したがって、効率よく廃水FSを濃縮することができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、効率よく廃水FSを濃縮することができる廃水処理装置、廃水処理装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の廃水処理装置は、夾雑物、溶解性有機物及び水分を含む廃水を濃縮する濃縮槽と、前記廃水の溶質濃度よりも高い溶質濃度の駆動溶液及び前記廃水の間に配設される正浸透膜と、前記濃縮槽から廃水を排出する排出部と、前記濃縮槽において、前記廃水の濃縮前の溶質濃度に対する前記廃水の濃縮後の溶質濃度である濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているか否かを判別する判別手段と、を備え、前記濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の廃水処理装置の制御方法は、夾雑物、溶解性有機物及び水分を含む廃水を濃縮する濃縮槽と、前記廃水の溶質濃度よりも高い溶質濃度の駆動溶液及び前記廃水の間に配設される正浸透膜と、前記濃縮槽から廃水を排出する排出部と、を備える廃水処理装置の制御方法において、前記濃縮槽において、前記廃水の濃縮前の溶質濃度に対する前記廃水の濃縮後の溶質濃度である濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているか否かを判別する判別ステップを有し、前記濃縮倍率が予め設定されている目標値を達成しているとき、前記濃縮槽における略すべての廃水は前記排出部から排出されることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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