発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、電気伝導体及びその設計方法に関するものである。 続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】 【0002】 複数の異なる材料が組み合わさってできた複合材料であるコンポジット材料が知られている。従来のコンポジット材料は、絶縁体に導電性又は絶縁性フィラーを混ぜ込んで、熱伝導率や熱膨張等の物性制御を行うものや、導電性材料にさらに別の導電性材料を追加することで、導電性能を向上させるものがある。 【0003】 コンポジット材料としては、電子伝導性とイオン伝導性の両方を導電機構として備えるものも知られている。例えば非特許文献1には、臭化タリウムに超原子価のイオン(Se、Pb)をドーピングすることで、電子伝導性に影響を与えることなくイオン伝導性を制限する技術が記載されている。また非特許文献2には、PEDOT/PSSにエチレングリコールを添加することで、PEDOTのπ共役結合による正孔伝導性を向上させるとともに、PEDOT/PSSの水和によるイオン伝導性を制限することが記載されている。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0004】 Cedric R. Leao et al., “Simultaneous Control of Ionic and Electronic Conductivity in Materials: Thallium Bromide Case Study”,2012 Jonathan Rivnay et al., “Structural control of mixed ionic and electronic transport in conducting polymers”,2016 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記した非特許文献1、2のものはいずれも、電子伝導性とイオン伝導性の2つの導電機構を有する材料ではあるが、その導電性を調整するには、元の材料に対して異なる別の材料を添加する必要があり、その調整が困難である。 【0006】 本発明は上記した問題に解決すべくなされたものであり、電気伝導特性を簡単に調整可能な新規な電気伝導体及びその設計方法を提供することをその主たる課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記課題を解決すべく本願発明者らが鋭意検討した結果、電子伝導性又は正孔伝導性を有する第1材料とイオン伝導性を有する第2材料とを混合させて、パーコレーション理論に基づく導電経路(すなわち、第1材料と第2材料とが互いに絡み合うことにより出来上がる導電経路)を形成することで、第1材料と第2材料の混合比率を変更することで簡単に電気伝導特性を調整できる、しかも導電率のみならず導電機構までを簡単に調整できる電気伝導体を得られることを見出し本願発明に至った。 【0008】 すなわち本発明の電気伝導体は、電子伝導性又は正孔伝導性を有する第1材料と、イオン伝導性を有する第2材料とを含み、前記第1材料と前記第2材料とが絡み合うことで形成された複合導電経路を有することを特徴とする。 このような電気伝導体であれば、第1材料と第2材料の混合比率を単に変えることで、異なる材料を添加することなく、その電気伝導特性を簡単に調整することができる。例えば第1材料の質量の割合を高めると、その導電機構としてキャリア伝導を支配的にすることができ、一方で第2材料の質量の割合を高めると、その導電機構としてイオン伝導を支配的にすることができる。また混合比率を変えることで、導電率を変えることも簡単にできる。 【0009】 また前記電気伝導体の具体的態様としては、前記第1材料のみで形成される第1導電経路と、前記第2材料のみで形成される第2導電経路とをさらに備えるものが挙げられる。 【0010】 前記電気伝導体の具体的態様としては、前記第1材料と前記第2材料がいずれも原子層材料であるものが挙げられる。具体的には、前記第1材料がマキシン、グラフェン、二硫化モリブデン及びセレン化タングステン(IV)から選択される1種又は複数種であり、前記第2材料がベントナイト、モンモリロナイト及び層状複水酸化物から選択される1種又は複数種であるものが挙げられる。また前記第1材料と前記第2材料がいずれも鱗片状をなし、ランダム積層されてなるものが挙げられる。 これらの特性を持つ第1材料と第2材料であれば、混合することによりパーコレーション理論に基づく複合導電経路を形成しやすい。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する