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公開番号
2024135023
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023045511
出願日
2023-03-22
発明の名称
多孔性膜及びその製造方法、並びに、ガス分離システム
出願人
国立大学法人京都大学
代理人
個人
主分類
B01D
71/06 20060101AFI20240927BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】優れたガス透過性と機械的強度とを併せ持つ新しいタイプの多孔性膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る多孔性膜は、分子内に空孔を有する多孔性高分子と、上記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有するサイズ排除ポリマーと、を含んでいる。上記多孔性高分子は、複数の粒子を形成しており、これら複数の粒子は、化学的な結合又は物理的な凝集力によって互いに結合してネットワーク構造を形成している。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
分子内に空孔を有する多孔性高分子と、
前記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有するサイズ排除ポリマーと、
を含み、
前記多孔性高分子は、複数の粒子を形成しており、前記複数の粒子は、化学的な結合又は物理的な凝集力によって互いに結合してネットワーク構造を形成している、
多孔性膜。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記多孔性高分子は、金属有機構造体(MOF)、多孔性有機高分子(POP)、及び、リンカー分子によって互いに連結された金属有機多面体(MOP)からなる群より選択される少なくとも1つの多孔性高分子である、請求項1に記載の多孔性膜。
【請求項3】
前記サイズ排除ポリマーは、熱可塑性樹脂、固有微細孔性高分子(PIM)、及びシリコンからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーである、請求項1又は2に記載の多孔性膜。
【請求項4】
前記多孔性膜に占める前記多孔性高分子の含有量は、10質量%以上である、請求項1又は2に記載の多孔性膜。
【請求項5】
少なくとも1種類のガス分子に対する透過度が、前記サイズ排除ポリマーのみからなる膜における前記透過度の1.2倍以上である、請求項1又は2に記載の多孔性膜。
【請求項6】
1rad/sでの貯蔵弾性率が、前記サイズ排除ポリマーのみからなる膜における前記貯蔵弾性率の2倍以上である、請求項1又は2に記載の多孔性膜。
【請求項7】
前記多孔性高分子を含んだ前駆体ゲルを用いて調製される、請求項1又は2に記載の多孔性膜。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の多孔性膜を含んだガス分離システム。
【請求項9】
分子内に空孔を有する金属有機構造体(MOF)又は多孔性有機高分子(POP)を含んだ前駆体ゲルを形成する工程と、
前記前駆体ゲルに溶媒を加えて懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液とサイズ排除ポリマーとを混合する工程と、
前記溶媒を除去する工程と、
を含み、
前記溶媒は、前記空孔を占有できる大きさの分子サイズを有しており、
前記サイズ排除ポリマーは、前記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有している、
多孔性膜の製造方法。
【請求項10】
分子内に空孔を有し且つリンカー分子によって互いに連結された金属有機多面体(MOP)と、溶媒と、サイズ排除ポリマーと、を含んだ前駆体ゲルを形成する工程と、
前記溶媒を除去する工程と、
を含み、
前記溶媒は、前記空孔を占有できる大きさの分子サイズを有しており、
前記サイズ排除ポリマーは、前記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有している、
多孔性膜の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、多孔性膜及びその製造方法に関する。また、本開示は、多孔性膜を含んだガス分離システムにも関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、ゼオライト、活性炭、及び、多孔性高分子などの多孔性材料が広く研究されている。多孔性高分子の例としては、金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks; MOF)、多孔性有機高分子(Porous Organic Polymer; POP)、及び、リンカー分子によって互いに連結された金属有機多面体(Metal-Organic Polyhedra; MOP)が挙げられる。これらの多孔性材料は、ガス吸着及びガス分離などの分野での応用が期待されている。
【0003】
多孔性材料の応用にあたっては、その形態を制御するための研究も重要である。特に、多孔性材料を膜として利用することができれば、その応用範囲は飛躍的に広がる。
【0004】
このような観点から、結晶性の多孔性材料をフィラーとし、有機ポリマーをマトリクスとする、混合マトリクス膜(Mixed Matrix Membranes; MMM)の研究が進められている(非特許文献1)。このような混合マトリクス膜は、フィラーの多孔性とマトリクスの成形性とを併せ持つハイブリット材料として期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Dechnik, J.; Gascon, J.; Doonan, C. J.; Janiak, C.; Sumby, C. J., Mixed-Matrix Membranes. Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56 (32), 9292-9310.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らは、従来の混合マトリクス膜においては、多孔性材料の凝集によるドメイン発生によって、構造欠陥が生じ易いことを見出した。このようなドメインは、応力集中を受けやすく脆弱であり、膜の形態保持に悪影響を与え得る。特に、膜のガス選択性(即ち、特定のガスに対する透過性)を増大させるべく、膜中の多孔性材料の量を増加させると、この問題はより顕著になる。
【0007】
そこで、本発明は、優れたガス透過性と機械的強度とを併せ持つ新しいタイプの多孔性膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
[1]分子内に空孔を有する多孔性高分子と、前記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有するサイズ排除ポリマーと、を含み、前記多孔性高分子は、複数の粒子を形成しており、前記複数の粒子は、化学的な結合又は物理的な凝集力によって互いに結合してネットワーク構造を形成している、多孔性膜。
[2]前記多孔性高分子は、金属有機構造体(MOF)、多孔性有機高分子(POP)、及び、リンカー分子によって互いに連結された金属有機多面体(MOP)からなる群より選択される少なくとも1つの多孔性高分子である、[1]に記載の多孔性膜。
[3]前記サイズ排除ポリマーは、熱可塑性樹脂、固有微細孔性高分子(PIM)、及びシリコンからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーである、[1]又は[2]に記載の多孔性膜。
[4]前記多孔性膜に占める前記多孔性高分子の含有量は、10質量%以上である、[1]乃至[3]の何れかに記載の多孔性膜。
[5]少なくとも1種類のガス分子に対する透過度が、前記サイズ排除ポリマーのみからなる膜における前記透過度の1.2倍以上である、[1]乃至[4]の何れかに記載の多孔性膜。
[6]1rad/sでの貯蔵弾性率が、前記サイズ排除ポリマーのみからなる膜における前記貯蔵弾性率の2倍以上である、[1]乃至[5]の何れかに記載の多孔性膜。
[7]前記多孔性高分子を含んだ前駆体ゲルを用いて調製される、[1]乃至[6]の何れかに記載の多孔性膜。
[8][1]乃至[7]の何れかに記載の多孔性膜を含んだガス分離システム。
[9]分子内に空孔を有する金属有機構造体(MOF)又は多孔性有機高分子(POP)を含んだ前駆体ゲルを形成する工程と、前記前駆体ゲルに溶媒を加えて懸濁液を調製する工程と、前記懸濁液とサイズ排除ポリマーとを混合する工程と、前記溶媒を除去する工程と、
を含み、前記溶媒は、前記空孔を占有できる大きさの分子サイズを有しており、前記サイズ排除ポリマーは、前記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有している、多孔性膜の製造方法。
[10]分子内に空孔を有し且つリンカー分子によって互いに連結された金属有機多面体(MOP)と、溶媒と、サイズ排除ポリマーと、を含んだ前駆体ゲルを形成する工程と、前記溶媒を除去する工程と、を含み、前記溶媒は、前記空孔を占有できる大きさの分子サイズを有しており、前記サイズ排除ポリマーは、前記空孔を占有できない大きさの分子サイズを有している、多孔性膜の製造方法。
[11]前記前駆体ゲルを形成する工程は、前記金属有機多面体と前記溶媒と前記サイズ排除ポリマーとを含んだ第1の溶液を準備する工程と、前記リンカー分子と前記溶媒と前記サイズ排除ポリマーとを含んだ第2の溶液を準備する工程と、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを混合する工程と、を含んでいる、[10]に記載の方法。
[12]前記サイズ排除ポリマーは、熱可塑性樹脂、固有微細孔性高分子(PIM)、及びシリコンからなる群より選択される少なくとも1つのポリマーである、[9]乃至[11]の何れかに記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、優れたガス透過性と機械的強度とを併せ持つ新しいタイプの多孔性膜が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、多孔性膜におけるガス分子の透過度の測定方法を概略的に示している。
図2は、本発明の一態様に係る多孔性膜の製造方法を示す概念図である。
図3は、本発明の他の態様に係る多孔性膜の製造方法を示す概念図である。
図4は、サイズ排除ポリマー中における前駆体ゲルの形成過程を示す動的光散乱測定の結果を示している。
図5は、比較例1、実施例3、及び、実施例5に係る膜の表面SEM画像を示している。
図6は、比較例1、実施例3、及び、実施例5に係る膜の断面SEM画像を示している。
図7は、比較例4及び比較例6に係るサンプルの表面SEM画像を示している。
図8は、比較例4及び比較例6に係るサンプルの断面SEM画像を示している。
図9は、実施例5及び比較例6のサンプルの光学顕微鏡画像を示している。
図10は、実施例5に係る多孔性膜から作成したエアロゲルのSEM画像を示している。
図11は、実施例1乃至5並びに比較例1及び4に係る膜サンプル(MOP/PU)の貯蔵弾性率の測定結果を示している。
図12は、実施例6乃至8及び比較例7乃至10に係る膜サンプル(MOP/PB)の貯蔵弾性率の測定結果を示している。
図13は、実施例9乃至11及び比較例11乃至14に係る膜サンプル(MOP/PES)の貯蔵弾性率の測定結果を示している。
図14は、実施例12に係る膜サンプル(MOP/AP)の引張モードにおける粘弾性測定の結果を示している。
図15は、比較例15に係る膜サンプル(AP)の引張モードにおける粘弾性測定の結果を示している。
図16は、実施例13乃至16並びに比較例1及び16乃至18に係る膜サンプル(MOF/PU)の貯蔵弾性率の測定結果を示している。
図17は、実施例17乃至19並びに比較例7及び19乃至21に係る膜サンプル(MOF/PB)の貯蔵弾性率の測定結果を示している。
図18は、実施例20乃至22並びに比較例11及び22乃至24に係る膜サンプル(MOF/PES)の貯蔵弾性率の測定結果を示している。
図19は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のCO
2
透過性の測定結果を示している。
図20は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のN
2
透過性の測定結果を示している。
図21は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のCH
4
透過性の測定結果を示している。
図22は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のH
2
透過性の測定結果を示している。
図23は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のO
2
透過性の測定結果を示している。
図24は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のCO
2
/N
2
透過選択性の測定結果を示している。
図25は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のCO
2
/H
2
透過選択性の測定結果を示している。
図26は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のCO
2
/CH
4
透過選択性の測定結果を示している。
図27は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のH
2
/N
2
透過選択性の測定結果を示している。
図28は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のH
2
/CH
4
透過選択性の測定結果を示している。
図29は、実施例1乃至5並びに比較例1乃至4に係る膜サンプル(MOP/PU)のO
2
/N
2
透過選択性の測定結果を示している。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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