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公開番号
2025128856
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-03
出願番号
2024025818
出願日
2024-02-22
発明の名称
バイオマス長尺体、複合長尺体、長尺状成形品およびバイオマス長尺体の製造方法
出願人
国立大学法人京都大学
,
国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
弁理士法人みのり特許事務所
主分類
B27K
5/00 20060101AFI20250827BHJP(木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステープル打ち機一般)
要約
【課題】繊維配向度の高いバイオマス長尺体を提供する。
【解決手段】植物系材料に圧力を加えて繊維細胞間の相互の位置変化を生じせしめて変形加工したバイオマス長尺体であって、顕微鏡像の高速フーリエ変換(FFT)解析で得られる繊維配向度が60%以上、100%未満であり、長手方向に対する繊維配向角が10度以下である。このバイオマス長尺体に樹脂を含浸させた複合長尺体を圧縮変形することによって、機械的強度の高い長尺状成形品を得ることができる。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
植物系材料に圧力を加えて繊維細胞間の相互の位置変化を生じせしめて変形加工したバイオマス長尺体であって、
顕微鏡像の高速フーリエ変換(FFT)解析で得られる繊維配向度が60%以上、100%未満である、
バイオマス長尺体。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
長手方向に対する繊維配向角が10度以下である、
請求項1に記載のバイオマス長尺体。
【請求項3】
密度が0.2g/cm
3
以上であり、0.6g/cm
3
以下である、
請求項1に記載のバイオマス長尺体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のバイオマス長尺体に樹脂を含浸させた、
複合長尺体。
【請求項5】
請求項4に記載の複合長尺体を圧縮変形した長尺状成形品。
【請求項6】
押圧部と、型成形空間とを備えた金型を用いてバイオマス長尺体を製造するバイオマス長尺体の製造方法であって、
植物体に脱リグニン処理を施し、かつ、潤滑剤を含浸させた植物系材料を生成する工程と、
前記押圧部で前記植物系材料に圧力を加え、流動性を発現させた前記植物系材料を押圧部の流入口を介して前記型成形空間に送り込んで長尺体を成形する工程とを含む、
バイオマス長尺体の製造方法。
【請求項7】
前記植物系材料には、前記植物系材料の繊維方向(L方向)に対して45度以内の方向で圧力が加えられる、
請求項6に記載のバイオマス長尺体の製造方法。
【請求項8】
前記長尺体を軟質パイプに封入する工程と、
前記長尺体の長手方向に対して直角となる断面において、治具で前記長尺体が封入された軟質パイプを一方向に圧縮しながら、前記治具を前記一方向と直角となる他方向に動かす工程を含む、
請求項6または7に記載のバイオマス長尺体の製造方法。
【請求項9】
押圧部と、型成形空間とを備えた金型を用いてバイオマス長尺体を製造するバイオマス長尺体の製造方法であって、
植物体に脱リグニン処理を施した植物系材料を生成する工程と、
前記押圧部で前記植物系材料に圧力を加え、流動性を発現させた前記植物系材料を押圧部の流入口を介して前記型成形空間に送り込んで長尺体を成形する工程とを含み、
前記植物系材料には、前記植物系材料の繊維方向(L方向)に対して45度以内の方向で圧力が加えられる、
バイオマス長尺体の製造方法。
【請求項10】
前記長尺体を軟質パイプに封入する工程と、
前記長尺体の長手方向に対して直角となる断面において、治具で前記長尺体が封入された軟質パイプを一方向に圧縮しながら、前記治具を前記一方向と直角となる他方向に動かす工程を含む、
請求項9に記載のバイオマス長尺体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物系材料に圧力を加えて繊維細胞間の相互の位置変化を生じせしめて変形加工したバイオマス長尺体、複合長尺体、長尺状成形品およびバイオマス長尺体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、環境の観点から化石燃料の利用を減らすことが求められており、各種成形体の素材であるプラスチックの代替として植物系材料が注目されている。例えば、特許文献1には、植物系材料に圧力を加え、細胞間層にせん断力を作用させ、細胞の相互位置関係を変化させるすべり変形を利用した成形体が知られている。しかし、特許文献1の方法では、成形体全体において繊維方向を揃えることが困難であった。
【0003】
一方、特許文献2には、成形体全体の繊維方向を揃え力学的性質が均一である植物系材料の成形品を製造する方法が開示されている。詳しくは、押圧方向(パンチ方向)に対して側方に延びる平らな流入口を備えた押圧部と、押圧部と流入口を介して連通し、押圧方向に対して側方に延びる平らな型形成空間とを有する金型を用いた成形品の製造方法であって、植物系材料を、繊維方向が押出方向と同一平面において直交するように押圧部内に配置し、植物系材料の板目面が押圧(R方向に押圧)されるように、かつ、植物系材料の繊維方向が流れ方向と直交するように押圧部内に配置し、押圧部内の植物系材料に圧力を加えて流動性を発現させた植物系材料を型形成空間に送り込んで成形品(平板)を成形する方法が開示されている。この特許文献2の平板(成形品)は、繊維が長手方向に対して直角に配向している。
【0004】
また特許文献3には、圧縮された細胞が長手方向にそって配置した植物成形品を製造する方法が開示されている。詳しくは、押圧方向(パンチ方向)に対して側方に延びる平らな入口を備えた材料投入部と、材料投入部と入口を介して連通し、押圧方向に対して側方に延びる線状の形状固定部とを有する金型を用いた成形品の製造方法であって、植物系材料を、植物系材料の板目面を押圧(R方向に押圧)するように、かつ、植物系材料の繊維方向が入口の流れ方向と平行となるように押圧部内に配置し、押圧部内の植物系材料に圧力を加えて流動性を発現させた植物系材料を形状固定部に送り込んで線状の成形品を成形する方法が開示されている。この特許文献3の線状の成形品は、繊維が長手方向に配向している。
【0005】
さらに、特許文献4には、脱リグニン処理を施した流動成形用木質材料が開示されている。特許文献4には、植物体を脱リグニン処理(除去または分解)することにより、リグニンの縮合度が低下し、細胞壁内に弛緩状態を形成することができるとある。そして、脱リグニン処理によって植物体から一部のリグニンを除去または分解し、リグニン含有率を20質量%以上とすることにより、木質材料の流動性を高めることができると記載されている。なお、特許文献4において木質材料の流動性を生じさせるには、含水状態の木質材料中におけるリグニンを熱軟化温度(約70~90℃)以上とする必要があり、木質材料を加熱することを条件としている。そして、特許文献4には、流動成形用木質材料を用いて金型を170℃に加熱した特許文献2の押出装置で成形した平板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2008-36941号公報
特開2012-161932号公報
特開2014-15031号公報
WO2022/004796
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、植物系材料の研究の発展に伴い、成形品としてより高い強度・剛性が求められている。特許文献2~4の成形品は、繊維細胞の配向性が考慮されたものではあるが、さらなる向上が求められている。
本発明は、繊維配向度の高いバイオマス長尺体、それを用いた複合長尺体および長尺状成形品を提供することを目的としている。また本発明はそのバイオマス長尺体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したような事情において、本発明者は、植物系材料に圧力を加えて流動性を発現させた際、繊維細胞間に生じる摩擦力が繊維配向に大きく影響していると考えた。そして、繊維細胞間に生じる摩擦力を低下するべく、脱リグニン処理を施した植物系材料に潤滑剤を含浸させることにより、繊維同士の摩擦力を一層低下できることを見出した。特に、比較的低い温度でも植物系材料に流動性が発現することを見出した。また植物系材料の押圧方向にも注目した。つまり、一般的に植物系材料の木口面を押圧(繊維方向(L方向)に押圧)する場合、繊維が座屈または圧潰することが知られている。しかし、本発明者は、圧力下での流動性を向上させた植物系材料を用いることにより、植物系材料の木口面(L方向)に押圧しても繊維が座屈せず、細胞間のすべり変形を生じさせて流れ方向に繊維細胞を流動させられることを見出した。そして、これらによって植物系材料の流動性を制御することにより、繊維配向度をさらに向上できることがわかり、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明のバイオマス長尺体は、植物系材料に圧力を加えて繊維細胞間の相互の位置変化を生じせしめて変形加工したバイオマス長尺体であって、顕微鏡像の高速フーリエ変換(FFT)解析で得られる繊維配向度が60%以上、100%未満であることを特徴としている。
本発明のバイオマス長尺体であって、長手方向に対する繊維配向角が10度以下であるものが好ましい。
本発明のバイオマス長尺体であって、密度が0.2g/cm
3
以上であり、0.6g/cm
3
以下であるものが好ましい。
【0010】
本発明の複合長尺体は、本発明のいずれかのバイオマス長尺体に樹脂を含浸させたことを特徴としている。
本発明の長尺状成形品は、本発明の複合長尺体を圧縮変形したことを特徴としている。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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