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公開番号2024106047
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-07
出願番号2023010113
出願日2023-01-26
発明の名称合成ダイヤモンドの製造方法およびセンサ素子
出願人国立大学法人京都大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C30B 29/04 20060101AFI20240731BHJP(結晶成長)
要約【課題】合成ダイヤモンドに混入する不純物を抑制する。
【解決手段】化学気相堆積法により合成ダイヤモンドを製造する方法であって、反応容器内に原料ガスを導入する導入ステップと、原料ガスを化学的に活性化する活性化ステップと、を含み、活性化ステップを行う間の反応容器内の圧力は、15kPa以上大気圧以下である。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
化学気相堆積法により合成ダイヤモンドを製造する方法であって、
反応容器内に原料ガスを導入する導入ステップと、
前記原料ガスを化学的に活性化する活性化ステップと、
を含み、
前記活性化ステップを行う間の前記反応容器内の圧力は、15kPa以上大気圧以下である、合成ダイヤモンドの製造方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
前記導入ステップでは、前記原料ガスを含む前記反応容器内に導入する総反応ガスを、100sccmより高い総流量で前記反応容器内に導入する、請求項1に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
【請求項3】
前記活性化ステップを行う間の前記反応容器内の圧力は、15kPa以上60kPa以下である、請求項1に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
【請求項4】
前記活性化ステップでは、前記原料ガスの雰囲気内にプラズマ領域を生成することを含む、請求項1に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
【請求項5】
前記反応容器内にドーパントガスを導入するドーパントガス導入ステップをさらに含み、前記ドーパントガスは成分にリンまたは窒素を含む、請求項1に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により製造され、かつ1つ以上の窒素-空孔中心を結晶構造中に含んでいる合成ダイヤモンドからなるセンサ素子。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、化学気相堆積法により合成ダイヤモンドを製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、その優れた光学的、電気的、熱的特性から、光学素子やエレクトロニクスデバイス等への応用が期待されている。特に近年、ダイヤモンド内部に存在するNV中心(Nitrogen Vacancy center)と呼ばれている窒素-空孔中心が注目を集めている。NV中心は、ダイヤモンド内部の窒素不純物とそれに隣接する空孔欠陥との対からなり、空孔に電子が捕獲された状態において、電子スピンと呼ばれる磁気的な性質を示す。NV中心中の電子スピンは、室温下でも長いコヒーレンス時間を有し、そのスピン状態は室温下で制御および検出可能であることから、量子コンピューティングへの応用や、磁場、電場等の高感度量子センサー等としての応用が期待されている。
【0003】
合成ダイヤモンドは、天然に産出されるダイヤモンドに対して、科学技術により人工的に作製されるダイヤモンドである。天然ダイヤモンドと比べて不純物や結晶欠陥が少ないことから、合成ダイヤモンドは幅広い工業用途で利用されており、NV中心を提供するためのベースとしても利用されている。合成ダイヤモンドを製造する方法としては、例えば、高温高圧法(HPHT: High Pressure and High Temperature)、化学気相堆積法(CVD: Chemical Vapor Deposition)、および爆轟(detonation)法等の種々の方法が知られている。例えば下記特許文献1には、マイクロ波プラズマCVD法により合成ダイヤモンドを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2009-196832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイヤモンドのNV中心の性能を評価する指標の一つとして、スピンコヒーレンス時間T

がある。例えば量子センサーへの応用では、スピンコヒーレンス時間T

が長いほど、量子センサーの感度は向上する。しかしながら、化学気相堆積法によりダイヤモンドを合成する間、合成ダイヤモンド内には様々な不純物が混入する。不純物が合成ダイヤモンド内に混入すると、スピンコヒーレンス時間T

が短くなり、量子センサーの感度が低下するという問題がある。合成ダイヤモンドのNV中心を、量子コンピューティングや、高感度量子センサー等に利用してそれらの応用を促進するために、合成ダイヤモンドに混入する不純物を抑制することが求められている。
【0006】
本発明は、合成ダイヤモンドに混入する不純物を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
【0008】
(項1)
化学気相堆積法により合成ダイヤモンドを製造する方法であって、
反応容器内に原料ガスを導入する導入ステップと、
前記原料ガスを化学的に活性化する活性化ステップと、
を含み、
前記活性化ステップを行う間の前記反応容器内の圧力は、15kPa以上大気圧以下である、合成ダイヤモンドの製造方法。
(項2)
前記導入ステップでは、前記原料ガスを含む前記反応容器内に導入する総反応ガスを、100sccmより高い総流量で前記反応容器内に導入する、項1に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
(項3)
前記活性化ステップを行う間の前記反応容器内の圧力は、15kPa以上60kPa以下である、項1または2に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
(項4)
前記活性化ステップでは、前記原料ガスの雰囲気内にプラズマ領域を生成することを含む、項1から3のいずれか一項に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
(項5)
前記反応容器内にドーパントガスを導入するドーパントガス導入ステップをさらに含み、前記ドーパントガスは成分にリンまたは窒素を含む、項1から4のいずれか一項に記載の合成ダイヤモンドの製造方法。
(項6)
項1から5のいずれか一項に記載の方法により製造され、かつ1つ以上の窒素-空孔中心を結晶構造中に含んでいる合成ダイヤモンドからなるセンサ素子。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、合成ダイヤモンドに混入する不純物を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
合成ダイヤモンドの製造に用いるCVD装置の概略的な構成を示す断面図である。
合成ダイヤモンドのNV中心の評価に用いる測定システムの模式的な構成を示す図である。
実施例1に係る測定結果であり、製造した合成ダイヤモンド内に生成されているNV中心のスピンコヒーレンス時間T

の測定結果を合成条件毎に示すグラフである。
実施例2において基板上に形成した合成ダイヤモンドの4つの層を示す模式的な図である。
実施例2において合成ダイヤモンドの4つの層を形成する間に撮像した反応容器内の写真である。
実施例2に係る測定結果であり、二次イオン質量分析(SIMS)法により合成ダイヤモンドの4つの層のそれぞれについて不純物濃度を定量的に測定した結果のグラフである。
実施例2に係る測定結果であり、合成ダイヤモンド内の不純物濃度の測定結果を、ダイヤモンドを合成する間の反応容器内の圧力毎に、不純物の元素毎にプロットしたグラフである。
ダイヤモンド内の窒素濃度とNV中心のスピンコヒーレンス時間T

との相関を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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