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公開番号
2024097103
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-18
出願番号
2021083340
出願日
2021-05-17
発明の名称
過酸化水素の製造方法
出願人
国立大学法人京都大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C01B
15/03 20060101AFI20240710BHJP(無機化学)
要約
【課題】本発明は、新規な過酸化水素の製造方法の提供を課題とし、好ましくは、製造コストや製造効率、環境負荷の点においても良好である、過酸化水素の製造方法の提供を課題とする。加えて、本発明は、これにより製造可能な、過酸化水素製品の提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、水とラジカル安定化剤とを含む水系混合液と、非水系媒体とを接触させて過酸化水素を生成する、過酸化水素の製造方法に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
水とラジカル安定化剤とを含む水系混合液と、非水系媒体とを接触させて過酸化水素を生成する、過酸化水素の製造方法。
続きを表示(約 690 文字)
【請求項2】
前記接触が、前記水系混合液と前記非水系媒体との界面の界面積を一定に保つこと又は増大させることによって実施される、請求項1に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項3】
前記非水系媒体が気体である、請求項1又は2に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項4】
前記接触が、前記気体の存在下にて、前記水系混合液の液滴を形成することによって実施される、請求項3に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項5】
前記液滴が、10pL以上の体積を有する、請求項4に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項6】
前記非水系媒体が疎水性液状物質である、請求項1又は2に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項7】
前記接触が、機械的及び/又は物理的操作によって前記水系混合液と前記疎水性液状物質との界面積を増大させることを含む、請求項6に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項8】
前記疎水性液状物質は、疎水性基としてアルカジエニル基を有する化合物又は疎水性基と親水性基とを有する化合物である、請求項6又は7に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項9】
前記疎水性液状物質は、芳香族アルコール化合物である、請求項8に記載の過酸化水素の製造方法。
【請求項10】
前記接触前における、前記水系混合液に対する前記疎水性液状物質の体積比が、0.001以上100以下である、請求項6~9のいずれか1項に記載の過酸化水素の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素の製造方法に関する。また、本発明は、過酸化水素製品にも関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
過酸化水素は、酸化力を有することから殺菌剤、漂白剤、食品添加剤、化学合成等に用いられており、さらに、半導体基板等の洗浄、銅/銅合金表面の化学的研磨、電子回路のエッチング等、電子工業においても需要が増加している。さらに、近年では、ロケットや人工衛星の燃料に使われるなど、様々な分野において用いられている。過酸化水素の重要な特徴として、その分解物が水と酸素であり、環境負荷が低い酸化剤である点が挙げられる。環境への配慮の意識が高まるなか、過酸化水素の使用量は、年々増加する傾向にある。
【0003】
過酸化水素は、主に、水素と酸素とを原料として用い、アントラセン誘導体の自動酸化反応を利用するアントラキノン法により製造されてきた。しかし、ベンゼンなど大量の有機溶媒の添加を必要とし、また多くの副生成物や触媒の劣化が生じるので、環境負荷が大きく、また、様々な分離工程や再生工程を必要とするなどの不利な点がある。さらに、原料として水素を用いるため、製造コストが高い点で問題である。
【0004】
過酸化水素の製造方法としては、例えば、アントラセン誘導体の自動酸化を利用する、いわゆるアントラキノン法において、2-(1-エチルプロピル)アントラキノンを用いることが提案されている(特許文献1)。また、水素と酸素とを直接反応させて過酸化水素を得る方法において、パラジウムと金と酸素原子と臭素原子とを含み、前記酸素原子及び臭素原子が最表面に存在する貴金属触媒を用いることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2019-156661号公報
再表2018/016359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討によれば、従来から知られる過酸化水素の合成法では、多段プロセスであること、製造工程において排出される有機溶剤の処理が必要であること、特にアントラキノン法では、副反応により生じたアントラキノンの再生が必要であることなど、製造コストや製造効率、環境負荷の点から問題があり、新規な過酸化水素の製造方法が求められている。
【0007】
本発明は、新規な過酸化水素の製造方法の提供を課題とし、好ましくは、製造コストや製造効率、環境負荷の点においても良好である、過酸化水素の製造方法の提供を課題とする。加えて、本発明は、これにより製造可能な、過酸化水素製品の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]
水とラジカル安定化剤とを含む水系混合液と、非水系媒体とを接触させて過酸化水素を生成する、過酸化水素の製造方法。
[2]
前記接触が、前記水系混合液と前記非水系媒体との界面の界面積を一定に保つこと又は増大させることによって実施される、[1]に記載の過酸化水素の製造方法。
[3]
前記非水系媒体が気体である、[1]又は[2]に記載の過酸化水素の製造方法。
[4]
前記接触が、前記気体の存在下にて、前記水系混合液の液滴を形成することによって実施される、[3]に記載の過酸化水素の製造方法。
[5]
前記液滴が、10pL以上の体積を有する、[4]に記載の過酸化水素の製造方法。
[6]
前記非水系媒体が疎水性液状物質である、[1]又は[2]に記載の過酸化水素の製造方法。
[7]
前記接触が、機械的及び/又は物理的操作によって前記水系混合液と前記疎水性液状物質との界面積を増大させることを含む、[6]に記載の過酸化水素の製造方法。
[8]
前記疎水性液状物質は、疎水性基としてアルカジエニル基を有する化合物又は疎水性基と親水性基とを有する化合物である、[6]又は[7]に記載の過酸化水素の製造方法。
[9]
前記疎水性液状物質は、芳香族アルコール化合物である、[8]に記載の過酸化水素の製造方法。
[10]
前記接触前における、前記水系混合液に対する前記疎水性液状物質の体積比が、0.001以上100以下である、[6]~[9]のいずれか1つに記載の過酸化水素の製造方法。
[11]
80℃以下の温度で、前記接触を行う、[1]~[10]のいずれか1つに記載の過酸化水素の製造方法。
[12]
前記ラジカル安定化剤は、水に由来するラジカルとの反応を経由して、活性種を生成しうるものであり、
前記活性種は、水を酸化して過酸化水素を生成する作用を有するものである、[1]~[11]のいずれか1つに記載の過酸化水素の製造方法。
[13]
前記ラジカル安定化剤が、炭酸水素イオンであり、前記活性種が、過炭酸水素イオンである、[1]~[12]のいずれか1つに記載の過酸化水素の製造方法。
[14]
前記水系混合液におけるラジカル安定化剤の濃度が、0.3mmol/L以上である、[1]~[13]のいずれか1つに記載の過酸化水素の製造方法。
[15]
過酸化水素とともに、水素を生成する、[1]~[14]のいずれか1つに記載の過酸化水素の製造方法。
[16]
水とラジカル安定化剤と過酸化水素とを含み、
前記ラジカル安定化剤の濃度が、0.3mmol/L以上である、過酸化水素製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規な過酸化水素の製造方法を提供することが可能である。好ましくは、電圧の印加や多段プロセス、有機溶剤の排出等を伴うことなく過酸化水素を製造できるため、製造コストや製造効率、環境負荷の点においても良好である、過酸化水素の製造方法を提供することが可能である。加えて、本発明によれば、これにより製造可能な、過酸化水素製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、実施例2-1において測定した、気相部分のガスクロマトグラフィスペクトルを表す。
図2は、参考例1において測定した、99%
13
C含有炭酸水素ナトリウム水溶液の
13
C NMRスペクトルを表す。
図3は、参考例2において測定した、各炭酸水素ナトリウム水溶液の電子スピン共鳴(EPR)スペクトルを表す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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