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公開番号
2025014678
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-30
出願番号
2023117439
出願日
2023-07-19
発明の名称
表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人大谷特許事務所
主分類
C01B
33/18 20060101AFI20250123BHJP(無機化学)
要約
【課題】比誘電率及び誘電正接が低く、樹脂モノマーと混合して樹脂組成物前駆体とした場合に樹脂組成物前駆体の粘度の増加を抑制し、樹脂組成物の製造を容易にする、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】以下の工程を含む、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法。
工程A:カチオン界面活性剤Aを用いて疎水性液体の水性エマルションを作成する工程
工程B:工程Aで得られた水性エマルションに、シラノール前駆体、アルカリ性物質、及びカチオン界面活性剤Bを添加し、中空シリカ粒子前駆体を生成する工程
工程C:工程Bで得られた中空シリカ粒子前駆体を1000℃を超え1200℃以下で1時間以上熱処理する工程
工程D:工程Cで得られた中空シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理する工程
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の工程を含む、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法。
工程A:カチオン界面活性剤Aを用いて疎水性液体の水性エマルションを作成する工程
工程B:工程Aで得られた水性エマルションに、シラノール前駆体、アルカリ性物質、及びカチオン界面活性剤Bを添加し、中空シリカ粒子前駆体を生成する工程
工程C:工程Bで得られた中空シリカ粒子前駆体を1000℃を超え1200℃以下で1時間以上熱処理する工程
工程D:工程Cで得られた中空シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理する工程
続きを表示(約 890 文字)
【請求項2】
工程Bにおける添加を、工程Aで得られた水性エマルションにシラノール前駆体を添加し、その後、アルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bとを添加することにより行う、請求項1に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項3】
工程Bにおける添加を、シラノール前駆体を含む水性エマルションに、アルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bの混合物を接触させることにより行う、請求項2に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項4】
工程Bにおける添加を、工程Aで得られた水性エマルションにシラノール前駆体及びカチオン界面活性剤Bを添加し、その後、アルカリ性物質を添加することにより行う、請求項1に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項5】
アルカリ性物質が、第四級アンモニウムの水酸化物塩である、請求項1~4のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項6】
カチオン界面活性剤Aとカチオン界面活性剤Bが、いずれも第四級アンモニウムの塩である、請求項1~5のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項7】
シラノール前駆体が、オルトケイ酸アルキルエステル及びピロケイ酸アルキルエステルから選ばれる、請求項1~6のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項8】
シランカップリング剤が、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシランから選ばれる、請求項1~7のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【請求項9】
粒子中のシリカの含有量に対するアルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が50質量ppm以下であり、測定周波数10GHzにおける、比誘電率が2.5以下、かつ、誘電正接が0.0050以下であり、表面に有機基を有する中空シリカ粒子。
【請求項10】
空孔率が50体積%以上80体積%以下である、請求項9に記載の中空シリカ粒子。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法、表面に有機基を有する中空シリカ粒子及びこれを配合した樹脂組成物に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
5Gに代表される高速通信技術や自動運転等に用いられるレーダー等では数十GHzの高周波の使用が検討されている。このような、高周波の電波に対応する高周波回路においては、伝送損失や伝送遅延の低減のために、低誘電率、低誘電正接の絶縁材料が必要とされており、現在、熱特性改善のために絶縁材料に配合されているシリカ粒子に対しても、低誘電率、低誘電正接が求められている。また、高周波回路は微細化が望まれており、絶縁材料に配合されるシリカ粒子の小粒子径化も求められている。
現在、シリカ粒子の低誘電化として中空シリカ粒子を用いることが検討されている。
【0003】
例えば、中空シリカの製造方法としては、様々な製造方法が開発され、例えば、特許文献1には、アルカリ金属含有量が低減された中空シリカ粒子を簡便に得ることが出来る中空シリカ粒子の製造方法として、(1)シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程、及び(2)前記中空シリカ前駆体を焼成し、中空シリカ粒子を得る工程を含む中空シリカ粒子の製造方法が記載されている。
特許文献2には、(a)珪酸アルカリ水溶液を熱風気流中に噴霧乾燥してシリカ系粒子前駆体粒子を調製する工程、(b)シリカ系粒子前駆体粒子を酸水溶液に浸漬し、アルカリを除去する工程、及び(c)乾燥・加熱処理する工程、からなることを特徴とするシリカ系粒子の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-193462号公報
特開2011-256098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中空シリカ粒子は、低誘電率、低誘電正接といった中空シリカ粒子の特性を生かすため、低誘電樹脂にフィラーとして配合して使用することがある。フィラーを樹脂に配合する方法として、樹脂モノマーとフィラーを混合して樹脂組成物前駆体を作成した後、樹脂組成物前駆体を硬化させて樹脂組成物を得ることが広く行われている。しかし、特許文献1及び2に開示されるような従来の中空シリカ粒子を樹脂モノマーと混合すると、中空シリカ表面が親水性のシラノール基を持つことから、中空シリカ粒子が樹脂モノマー中に十分に分散せず、中空シリカ粒子を含む樹脂組成物前駆体の溶融粘度が高くなるため、樹脂組成物前駆体のハンドリング性が悪く、樹脂組成物の製造が困難であるという課題があった。
本発明は、比誘電率及び誘電正接が低く、樹脂モノマーと混合して樹脂組成物前駆体とした場合に樹脂組成物前駆体の粘度の増加を抑制し、樹脂組成物の製造を容易にする、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の〔1〕~〔3〕に関する。
〔1〕以下の工程を含む、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法。
工程A:カチオン界面活性剤Aを用いて疎水性液体の水性エマルションを作成する工程
工程B:工程Aで得られた水性エマルションに、シラノール前駆体、アルカリ性物質、及びカチオン界面活性剤Bを添加し、中空シリカ粒子前駆体を生成する工程
工程C:工程Bで得られた中空シリカ粒子前駆体を1000℃を超え1200℃以下で1時間以上熱処理する工程
工程D:工程Cで得られた中空シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理する工程
〔2〕粒子中のシリカの含有量に対するアルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が50質量ppm以下である中空シリカ粒子であって、測定周波数10GHzにおける、比誘電率が2.5以下、かつ、誘電正接が0.0050以下であり、表面に有機基を有する中空シリカ粒子。
〔3〕前記〔2〕に記載の中空シリカ粒子を配合した樹脂組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、樹脂モノマーと混合して樹脂組成物前駆体とした場合に粘度の増加を低減する、表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[中空シリカ粒子の製造方法]
本発明の中空シリカ粒子の製造方法は、以下の工程を含む。
工程A:カチオン界面活性剤Aを用いて疎水性液体の水性エマルションを作成する工程
工程B:工程Aで得られた水性エマルションに、シラノール前駆体、アルカリ性物質、及びカチオン界面活性剤Bを添加し、中空シリカ粒子前駆体を生成する工程
工程C:工程Bで得られた中空シリカ粒子前駆体を1000℃を超え1200℃以下で1時間以上熱処理する工程
工程D:工程Cで得られた中空シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理する工程
【0009】
本発明の効果が発現するメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推定される。
本発明の製造方法で得られる中空シリカ粒子が、比誘電率及び誘電正接が低く、更に樹脂組成物前駆体を増粘させにくい理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明の表面に有機基を有する中空シリカ粒子の製造において、まず、疎水性液体の水性エマルションに、シラノール前駆体及びカチオン界面活性剤Bを添加することにより、疎水性液体の液滴の表面をシラノール前駆体で被覆する。その後、シラノール前駆体をアルカリ性物質で加水分解して得られたシラノールを縮合することにより中空シリカ粒子前駆体が得られる。疎水性液体の水性エマルションを作成する際に、疎水性液体の液滴の粒子径を十分に小さくすることができるため、中空シリカ粒子前駆体の粒子径を所望の粒子径とすることができる。また、疎水性液体の水性エマルションを作成する際にカチオン界面活性剤Aを用い、更にシラノール前駆体とアルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bを添加することで、カチオン界面活性剤ミセルと縮合したシラノールが複合体を形成し、中空シリカ粒子前駆体の外殻に取り込まれると考えられる。
中空シリカ前駆体内部に取込まれた疎水性液体は、乾燥時又は焼成の初期段階で外殻に取込まれたカチオン界面活性剤とシリカの隙間を通して揮散するため、乾燥又は焼成時に疎水性液体の揮散によって中空シリカ前駆体外殻に大きなサイズの孔が生成することはない。
次に、中空シリカ粒子前駆体を1000℃を超え1200℃以下で熱処理を行う。その際に、まず初期段階で中空シリカ粒子前駆体の外殻に取り込まれているカチオン界面活性剤が分解・揮発することで、外殻に均一な数nmサイズの細孔を形成する。細孔サイズが数nmと非常に小さいために、フラックスとなるアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有していなくても、焼成後期の高温状態で容易に該細孔が消滅することで、中空シリカ粒子の外殻は均一で緻密となり、誘電正接が低くなると考えられる。また、中空シリカ粒子前駆体の外殻に大きな孔がなく緻密であるため、熱処理時における収縮を低減することができ、中空シリカ粒子の空孔率が高くなった結果、比誘電率が低くなると考えられる。
こうして得られた中空シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理することで、表面に有機基を有する中空シリカ粒子と樹脂との親和性が高まり、樹脂組成物前駆体中での中空シリカ粒子の凝集を抑制できるとともに樹脂組成物前駆体中に中空シリカ粒子を分散でき、樹脂組成物前駆体の粘度の増加を従来のシリカ粒子よりも抑制すると考えられる。そのため、表面に有機基を有する中空シリカ粒子を配合した樹脂組成物前駆体は、優れたハンドリング性を有し、樹脂組成物の製造を容易にすると考えられる。
ただし、本発明はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0010】
〔工程A〕
工程Aでは、水を含む液Aに対して、カチオン界面活性剤A及び疎水性液体を混合・撹拌し、疎水性液体液滴が分散された、疎水性液体の水性エマルションを作成する。疎水性液体の水性エマルションの作成は、一般的な方法により行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)
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