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公開番号
2025026409
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-21
出願番号
2024131226
出願日
2024-08-07
発明の名称
ホウ素薬剤用ホウ素粒子、その製造方法及びホウ素薬剤用ホウ素粒子を含む中性子捕捉療法用薬剤
出願人
株式会社プロテリアル
,
国立大学法人京都大学
,
国立大学法人京都工芸繊維大学
代理人
個人
主分類
A61K
33/00 20060101AFI20250214BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】
ホウ素をホウ素薬剤中に含有して治療効率を向上できるとともに、製造コストの大幅な低減が可能であるホウ素中性子捕捉療法に用いられるホウ素薬剤用ホウ素粒子等を提供する。
【解決手段】
ホウ素中性子捕捉療法に用いられるホウ素薬剤用ホウ素粒子であって、このホウ素薬剤用ホウ素粒子は、ホウ素粒子の表面が窒化ホウ素層で覆われており、平均粒子径が10~300nmである。また、窒化ホウ素層の表面に生体親和性ポリマーである有機分子または高分子が修飾されているホウ素薬剤用ホウ素粒子である。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ホウ素中性子捕捉療法に用いられるホウ素薬剤用ホウ素粒子であって、
前記ホウ素薬剤用ホウ素粒子は、ホウ素粒子の表面が窒化ホウ素層で覆われており、平均粒子径が10~300nmであることを特徴とするホウ素薬剤用ホウ素粒子。
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【請求項2】
前記ホウ素薬剤用ホウ素粒子の平均粒子径が50~100nmであることを特徴とする請求項1に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子。
【請求項3】
前記窒化ホウ素層の表面に生体親和性ポリマーが修飾されていることを特徴とする請求項1記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子。
【請求項4】
前記生体親和性ポリマーが、ポリグリセロールであることを特徴とする請求項3に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子。
【請求項5】
前記窒化ホウ素層は2層以上であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子。
【請求項6】
請求項1に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子の製造方法であって、
ホウ素粒子の表面が窒化ホウ素で被覆された窒化ホウ素被覆ホウ素粒子を含む原料を水に溶解し、混合液を得、前記混合液を超音波分散処理した後、遠心分離を行うことにより、平均粒子径が10~300nmの窒化ホウ素被覆ホウ素粒子を抽出する工程を有することを特徴とするホウ素薬剤用ホウ素粒子の製造方法。
【請求項7】
窒化ホウ素被覆ホウ素粒子を含む原料と、生体親和性ポリマーとなる化学修飾用原料とを混合し、超音波分散後、撹拌しながら加熱保持してゲル状混合物を得る工程と、該ゲル状混合物を水で希釈した修飾混合液を超音波分散後、遠心分離することにより、未反応の前記化学修飾用原料および余剰な生体親和性ポリマーを除去する除去工程と、前記除去工程で残留した生体親和性ポリマーが表面に修飾された窒化ホウ素被覆ホウ素粒子を含む沈殿物を得る沈殿工程を前記平均粒子径が10~300nmの窒化ホウ素被覆ホウ素粒子を抽出する工程の前に有することを特徴とする請求項6に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子の製造方法。
【請求項8】
前記化学修飾用原料がグリシドールであり、前記生体親和性ポリマーがポリグリセロールであることを特徴とする請求項7に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子の製造方法。
【請求項9】
前記沈殿物を回収し、回収した沈殿物を水で希釈して修飾混合液を得、前記修飾混合液に対して遠心分離を行う工程を繰り返して行うことを特徴とする請求項7または8に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のホウ素薬剤用ホウ素粒子を含む中性子捕捉療法用薬剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素中性子捕捉療法に用いられる、ホウ素薬剤用ホウ素粒子、その製造方法及びホウ素薬剤用ホウ素粒子を含む中性子捕捉療法用薬剤に関する。
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【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法(以下、BNCT:Boron Neutron Capture Therapyと称することがある。)は、脳腫瘍の治療法として臨床的に応用されている手法である。本手法は、腫瘍部位に中性子捕捉能が高いホウ素(主として
10
B)を集積させ、そこに中性子を照射することにより起こる核反応が腫瘍細胞の大きさ程度しか到達しないことを利用したものであり、腫瘍細胞のみを選択的に死滅させることが可能な手法である。また本手法は、脳腫瘍のように染み込むように大きくなる腫瘍部位に特に有効であり、予後が良好な手法として知られている。また、本手法は、脳腫瘍以外にも手術が難しい部位(例えば頭頸部、脾臓、膵臓)に発生した腫瘍にも適用が検討され、予後が悪いと言われる膀胱上皮ガンなどにも適用が検討されている。
【0003】
このBNCTに用いられるホウ素薬剤には、(1)ホウ素原子(中性捕捉能をもつ同位体
10
B)を多く含有すること、(2)腫瘍細胞に選択的に集積すること、(3)低毒性であること、等が必要とされており、現在臨床で使われているホウ素薬剤としては、アミノ酸のフェニルアラニンにホウ素原子が結合した分子中に1個のホウ素原子を含有するBPA(boron-phenylalanine)と、ホウ素原子がカゴ型に配列した分子中に12個のホウ素原子を含有するBSH(mercaptoundecahydrododecaborate)の2種類の化合物が知られている。
【0004】
また、BNCTに用いられるホウ素薬剤は、性能向上を目指して多くの研究が進められており、炭化ホウ素ナノ粒子(特許文献1)、ホウ素同位体を含有するナノシリカ粒子(特許文献2)、ホウ素化合物を内包するカーボンナノホーン(特許文献3)等、
10
Bを含有する粒子をホウ素薬剤にする例が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2008-266126号公報
特開2019-163229号公報
国際公開第2015/156385号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
BNCTの治療効率向上のためには、腫瘍細胞中のホウ素濃度をより高める必要があり、より高濃度のホウ素を含有するホウ素薬剤が求められている。
【0007】
しかし、アミノ酸輸送体を介して細胞内に取り込まれるBPAは、腫瘍細胞内に大量に滞留させることが難しく、1分子当りに1個のホウ素原子しか有していないことから、腫瘍細胞内に必要なホウ素を送達、滞留させるには大量の投与が必要になり、患者の負担が大きくなるという課題があった。
一方、BSHは1分子当り12個のホウ素原子を含有しているが、細胞膜を透過して細胞内に入ることができない。その為、BSHが腫瘍組織の脆弱な血管から漏れ出して間質液に入り、細胞周囲に貯留される結果となり、中性子照射して発生する2次粒子が細胞核まで届くことが難しく、十分な殺傷効果が得られないという課題があった。
【0008】
また、
10
Bの天然同位体存在比は約20%であるが、現在使用されているホウ素薬剤は
10
Bの存在比を100%に濃縮した物質を用いており、それだけホウ素薬剤の製造に大きなコストがかかるという課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、ホウ素中性子捕捉療法に用いて治療効率を向上できるホウ素薬剤用ホウ素粒子、製造コストの大幅な低減が可能であるホウ素薬剤用ホウ素粒子の製造方法、及びホウ素薬剤用ホウ素粒子を含む中性子捕捉療法用薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、ホウ素中性子捕捉療法に用いられるホウ素薬剤用ホウ素粒子であって、前記ホウ素薬剤用ホウ素粒子は、ホウ素粒子の表面が窒化ホウ素層で覆われており、平均粒子径が10~300nmである。
(【0011】以降は省略されています)
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