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公開番号2024104731
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-05
出願番号2023213801
出願日2023-12-19
発明の名称多環芳香族化合物を配位子として含む金属錯体
出願人国立大学法人京都大学,エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C07F 15/00 20060101AFI20240729BHJP(有機化学)
要約【課題】有機電界発光素子用材料として有用な新規化合物を提供する。
【解決手段】多環芳香族化合物を配位子として含むIr等の金属錯体であって、上記多環芳香族化合物が式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなり、かつXとして式(XL)で表される基を少なくとも1つ含む構造を含む、金属錯体;
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A~C環は置換もしくは無置換のアリール環またはヘテロアリール環であり、D環は置換もしくは無置換の含窒素ヘテロアリール環であり、D環の窒素と式(XL)で表される基が結合するA環、B環またはC環において金属に直接結合しており、式(XL)で表される基以外のXは>N-RNX(RNXはアリール等)である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
多環芳香族化合物を配位子として含む金属錯体であって、
遷移金属を中心金属として含み、
前記多環芳香族化合物は、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなり、かつXとして式(XL)で表される基を少なくとも1つ含む構造を含む、金属錯体;
TIFF
2024104731000145.tif
44
170
式(1)中、
A環、B環およびC環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、D環は置換もしくは無置換の含窒素ヘテロアリール環であり、
式(XL)で表される基以外のXは>N-R
NX
、>O、>C(-R
CX

2
、>Si(-R
IX

2
、>S、または>Seであり、R
NX
は水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、R
CX
およびR
IX
はそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのR
CX
は互いに結合して環を形成していてもよく、2つのR
IX
は互いに結合して環を形成していてもよく、R
NX
、R
CX
およびR
IX
はそれぞれ連結基または単結合により、当該R
NX
、R
CX
またはR
IX
を含むXが結合する環の1つまたは2つと結合していてもよく、
前記金属錯体中のアリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンは少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH
2
-は-O-で置き換えられていてもよく、
前記金属錯体中、少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの窒素は窒素-15(
15
N)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの硫黄は硫黄-33(
33
S)、硫黄-34(
34
S)または硫黄-36(
36
S)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの酸素は酸素-17(
17
O)または酸素-18(
18
O)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの炭素は炭素-13(
13
C)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つのホウ素はホウ素-11(
11
B)で置き換えられていてもよく、
前記多環芳香族化合物において、少なくともD環の窒素と式(XL)で表される基が結合するA環、B環またはC環において式(XL)で表される基が結合する原子に隣接する原子とが前記金属への配位原子である。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
D環がピリジン環である請求項1に記載の金属錯体。
【請求項3】
A環、B環およびC環がそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のベンゼン環である請求項1に記載の金属錯体。
【請求項4】
前記多環芳香族化合物が2座配位子である請求項1に記載の金属錯体。
【請求項5】
前記多環芳香族化合物が下記いずれかの式で表される請求項1に記載の金属錯体;
TIFF
2024104731000146.tif
121
170
式中、tBuはt-ブチルである。
【請求項6】
前記金属がIr、Rh、Re、Ru、Os、PtまたはAuである、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項7】
前記金属が3価のIrである、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項8】
下記いずれかの式で表される請求項1に記載の金属錯体;
TIFF
2024104731000147.tif
140
170
式中、tBuはt-ブチルである。
【請求項9】
請求項1に記載の金属錯体に反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた数平均分子量2000~1.0×10
8
の高分子化合物。
【請求項10】
陽極および陰極からなる一対の電極と該一対の電極間に配置される有機層とを有し、前記有機層が請求項1~8のいずれか一項に記載の金属錯体または請求項9に記載の高分子化合物を含有する、有機電界発光素子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多環芳香族化合物を配位子として含む金属錯体に関する。本発明はまた、上記金属錯体を用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池などの有機デバイス、並びに、表示装置および照明装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
【0003】
有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
【0004】
その中で、特許文献1、2では、ホウ素を含有する多環芳香族化合物が、有機電界発光素子等の材料として有用であることが開示されている。特許文献2には、多環構造中に>NHを有する多環芳香族化合物が開示されており、この多環芳香族化合物を様々なアリールやヘテロアリールを有する化合物を製造するための合成中間体として使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2015/102118号
特開2021-095341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。
本発明は有機電界発光素子用材料として有用な新規化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、特許文献2に記載の構造を有する化合物を出発物質として、多環構造中のNに2-ピリジルが置換した多環芳香族化合物を製造し、さらに、この多環芳香族化合物を金属錯体の配位子として有する金属錯体を製造した。そして得られた金属錯体がスペクトル半値幅の狭い青色発光を示すことを見出した。この知見に基づき、さらに検討を重ねて、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような金属錯体、さらには以下のような金属錯体を含む有機電界発光素子等を提供する。
【0008】
<1> 多環芳香族化合物を配位子として含む金属錯体であって、
遷移金属を中心金属として含み、
上記多環芳香族化合物は、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなり、かつXとして式(XL)で表される基を少なくとも1つ含む構造を含む、金属錯体;
TIFF
2024104731000001.tif
44
170
【0009】
式(1)中、
A環、B環およびC環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、D環は置換もしくは無置換の含窒素ヘテロアリール環であり、
式(XL)で表される基以外のXは>N-R
NX
、>O、>C(-R
CX

2
、>Si(-R
IX

2
、>S、または>Seであり、R
NX
は水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、R
CX
およびR
IX
はそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのR
CX
は互いに結合して環を形成していてもよく、2つのR
IX
は互いに結合して環を形成していてもよく、R
NX
、R
CX
およびR
IX
はそれぞれ連結基または単結合により、当該R
NX
、R
CX
またはR
IX
を含むXが結合する環の1つまたは2つと結合していてもよく、
上記金属錯体中のアリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンは少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH
2
-は-O-で置き換えられていてもよく、
上記金属錯体中、少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの窒素は窒素-15(
15
N)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの硫黄は硫黄-33(
33
S)、硫黄-34(
34
S)または硫黄-36(
36
S)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの酸素は酸素-17(
17
O)または酸素-18(
18
O)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つの炭素は炭素-13(
13
C)で置き換えられていてもよく、少なくとも1つのホウ素はホウ素-11(
11
B)で置き換えられていてもよく、
上記多環芳香族化合物において、少なくともD環の窒素と式(XL)で表される基が結合するA環、B環またはC環において式(XL)で表される基が結合する原子に隣接する原子とが上記金属への配位原子である。
【0010】
<2> D環がピリジン環である<1>に記載の金属錯体。
<3> A環、B環およびC環がそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のベンゼン環である<1>または<2>に記載の金属錯体。
<4> 上記多環芳香族化合物が2座配位子である<1>~<3>のいずれかに記載の金属錯体。
(【0011】以降は省略されています)

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