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公開番号2025009018
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023111720
出願日2023-07-06
発明の名称中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法およびその補強構造
出願人東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社,株式会社高速道路総合技術研究所,国立大学法人京都大学
代理人個人
主分類E01D 22/00 20060101AFI20250109BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約【課題】作業者の作業負担軽減、工期の短縮、および作業コストの削減を図ることができる中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強技術を提供する。
【解決手段】まず、橋脚本体12の塑性ヒンジ領域120上方の外壁126に、躯体内部121に通じるコンクリート注入用孔125を削孔する(第1削孔工程S1)。つぎに、コンクリート注入用孔125から躯体内部121にコンクリート123を注入して塑性ヒンジ領域120の躯体内部121にコンクリート123を充填する(コンクリート充填工程S30)。そして、コンクリート123の硬化後に、橋脚本体12の塑性ヒンジ領域120の外壁126に、コンクリート123内部まで到達するずれ止め鋼材用孔128を削孔し(第2削孔工程S33)、このずれ止め鋼材用孔128にずれ止め鋼材124を打ち込んで、コンクリート123を橋脚本体12に固定する(ずれ止め鋼材施工工程S34)。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体の塑性ヒンジ領域上方の外壁に、外部から前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体内部に通じるコンクリート注入用孔を削孔する第1削孔工程と、
前記コンクリート注入用孔からコンクリートを注入して、前記塑性ヒンジ領域の前記躯体内部にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
前記塑性ヒンジ領域の前記躯体内部に充填されたコンクリートの硬化後に、前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体の前記塑性ヒンジ領域の外壁に、前記躯体内部に充填されたコンクリートまで到達するずれ止め鋼材用孔を削孔する第2削孔工程と、
前記ずれ止め鋼材用孔にずれ止め鋼材を打ち込んで、前記躯体内部に充填されたコンクリートを前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体に固定するずれ止め鋼材施工工程と、を有する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
請求項1に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記第1削孔工程において、
前記塑性ヒンジ領域上方の外壁の、配筋されていない部位に、前記コンクリート注入用孔を削孔する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項3】
請求項1に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記第2削孔工程において、
前記塑性ヒンジ領域の外壁の、配筋されていない部位に、前記ずれ止め鋼材用孔を削孔する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項4】
請求項1に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記ずれ止め鋼材施工工程において、
前記ずれ止め鋼材用孔にバインダを注入してから前記ずれ止め鋼材を当該ずれ止め鋼材用孔に打ち込む
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項5】
請求項1に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記ずれ止め鋼材は、頭部に連結されたプレートを有する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記コンクリート充填工程に先立って、前記第1削孔工程により削孔された前記コンクリート注入用孔から前記躯体内部にカメラを挿入して、前記塑性ヒンジ領域の躯体内部の状態を確認する内部状態確認工程をさらに有し、
前記内部状態確認工程により確認された状態が、前記コンクリート充填工程により充填されるコンクリートと前記塑性ヒンジ領域の躯体内部の内壁とが固着可能な所定の状態である場合、前記第2削孔工程および前記ずれ止め鋼材施工工程を省略する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記第2削孔工程に先立って、前記塑性ヒンジ領域の前記躯体内部に充填されたコンクリートの硬化後に、前記第1削孔工程により削孔された前記コンクリート注入用孔からカメラを前記躯体内部に挿入して、前記コンクリート充填工程により充填されたコンクリートと前記塑性ヒンジ領域の躯体内部の内壁との隙間の有無を確認する隙間確認工程と、
前記隙間確認工程により、硬化後の前記コンクリートと前記塑性ヒンジ領域の躯体内部の内壁との隙間が確認された場合に、前記第2削孔工程に先立って、前記コンクリート注入用孔から当該隙間にグラウトを注入するグラウト注入工程と、をさらに有し、
前記グラウト注入工程が実施された場合、前記第2削孔工程を、前記隙間に注入されたグラウトの硬化後に実施する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項8】
請求項6に記載の中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記第2削孔工程に先立って、前記コンクリート充填工程により充填されたコンクリートの硬化後に、前記第1削孔工程により削孔された前記コンクリート注入用孔から前記躯体内部にカメラを挿入して、前記コンクリートと前記塑性ヒンジ領域の躯体内部の内壁との隙間の有無を確認する隙間確認工程と、
前記隙間確認工程により、硬化後の前記コンクリートと前記塑性ヒンジ領域の躯体内部の内壁との隙間が確認された場合に、前記第2削孔工程に先立って、前記コンクリート注入用孔から当該隙間にグラウトを注入するグラウト注入工程と、をさらに有し、
前記グラウト注入工程が実施された場合に、前記隙間に注入されたグラウトの硬化後に前記第2削孔工程を実施する
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法。
【請求項9】
中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強構造であって、
前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体の塑性ヒンジ領域の躯体内部に充填されたコンクリートと、
前記躯体内部に充填されたコンクリートを前記躯体の塑性ヒンジ領域の外壁に固定するずれ止め鋼材と、を備えている
ことを特徴とする中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚自重の影響を軽減する目的で躯体を中空とした中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強技術に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
山岳地帯等に建設された高速道路等には、高さ30~40m以上の高橋脚を有する橋梁が用いられることがある。一般に、このような高橋脚としては、橋脚自重の影響を軽減する目的で躯体を中空とした中空断面鉄筋コンクリート橋脚が用いられている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、地震等により水平方向の正負交番荷重が橋脚に加わると、橋脚の基部に大きな曲げモーメントが発生する可能性がある。これにより橋脚の基部に生じる可能性のある塑性化領域は、一般に塑性ヒンジ領域と呼ばれている。既設の中空断面鉄筋コンクリート橋脚のなかには、塑性ヒンジ領域の躯体も中空のものがある。このような既設の中空断面鉄筋コンクリート橋脚に対して、塑性ヒンジ領域において躯体内部に配筋してコンクリートを充填する耐震補強工事が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001-342711号公報
特開2013-2238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既設の中空断面鉄筋コンクリート橋脚に対する従来の耐震補強工事は、作業者が躯体内部で配筋作業を行う必要があるため、作業員が躯体内部に入ることができる程度の大きさの開口部を設けるために橋脚の鉄筋を切断する作業が必要となる。また、狭い躯体内部での配筋作業は、作業者に作業負担がかかる。さらに、この作業により、工期が長くなり、作業コストも増大する。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業者の作業負担の軽減、工期の短縮、および作業コストの削減を図ることができる中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、まず、中空断面鉄筋コンクリート橋脚の塑性ヒンジ領域上方の外壁に、躯体内部に通じるコンクリート注入用孔を削孔する。つぎに、このコンクリート注入用孔からコンクリートを注入して塑性ヒンジ領域の躯体内部にコンクリートを充填する。そして、充填されたコンクリートの硬化後に、塑性ヒンジ領域の外壁に、躯体内部に充填されたコンクリートまで到達するずれ止め鋼材用孔を削孔し、ずれ止め鋼材用孔に、ずれ止め鋼材を打ち込んで、躯体内部に充填されたコンクリートを躯体に固定する。
【0008】
ここで、躯体内部へのコンクリート注入に先立って、コンクリート注入用孔にカメラを挿入し、塑性ヒンジ領域の躯体内部の状態を確認してもよい。そして、躯体内部が乾燥しており、かつ内壁にざらつき(凹凸)がある場合等、塑性ヒンジ領域の躯体内部に充填するコンクリートの内壁への固着が期待できる場合には、このコンクリートの硬化後に、塑性ヒンジ領域の外壁にずれ止め鋼材用孔を削孔して、ずれ止め鋼材を打ち込む工程を省略してもよい。
【0009】
例えば、本発明は、
中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強方法であって、
前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体の塑性ヒンジ領域上方の外壁に、前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体内部に通じるコンクリート注入用孔を削孔する第1削孔工程と、
前記コンクリート注入用孔からコンクリートを注入して、前記塑性ヒンジ領域の前記躯体内部にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
前記塑性ヒンジ領域の前記躯体内部に充填されたコンクリートの硬化後に、前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体の前記塑性ヒンジ領域の外壁に、前記躯体内部に充填されたコンクリートまで到達するずれ止め鋼材用孔を削孔する第2削孔工程と、
前記ずれ止め鋼材用孔に、ずれ止め鋼材を打ち込んで、前記躯体内部に充填されたコンクリートを前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体に固定するずれ止め鋼材施工工程と、を有する。
【0010】
また、例えば、本発明は、
中空断面鉄筋コンクリート橋脚の補強構造であって、
前記中空断面鉄筋コンクリート橋脚の躯体の塑性ヒンジ領域の躯体内部に充填されたコンクリートと、
前記躯体内部に充填されたコンクリートを前記躯体の塑性ヒンジ領域の外壁に固定するずれ止め鋼材と、を備えている。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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