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公開番号
2025010772
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-23
出願番号
2023112974
出願日
2023-07-10
発明の名称
非線形光学測定システム、それを備えた内視鏡システム、光源装置および非線形光学測定方法
出願人
国立大学法人京都大学
,
国立大学法人九州大学
,
個人
代理人
弁理士法人深見特許事務所
主分類
G01N
21/65 20060101AFI20250116BHJP(測定;試験)
要約
【課題】シンプルな光学系によって非線形光学測定法を実現する。
【解決手段】非線形ラマン分光システム100は、パルスレーザ光源11と、QPMデバイス12と、対物レンズ2と、光検出器4とを備える。パルスレーザ光源11は、シード光を用いずにQPMデバイス12におけるパラメトリック下方変換(PDC)を誘起する励起光としてのパルスレーザ光を発する。対物レンズ2は、QPMデバイス12における励起光のPDCにより互いに同軸に生成されたシグナル光およびアイドラー光を集光して試料に照射する。光検出器4は、試料の非線形光学現象により発生した光を検出する。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
非線形光学結晶と、
シード光を用いずに前記非線形光学結晶におけるパラメトリック下方変換を誘起する励起光としてのパルスレーザ光を発する光源と、
前記非線形光学結晶における前記励起光のパラメトリック下方変換により互いに同軸に生成されたシグナル光およびアイドラー光を集光して試料に照射するレンズと、
前記試料の非線形光学現象により発生した光を検出する光検出器とを備える、非線形光学測定システム。
続きを表示(約 1,700 文字)
【請求項2】
前記励起光のパルス幅は、サブナノ秒オーダーまたはナノ秒オーダーであり、
前記励起光のピーク強度は、3桁ワットオーダーから5桁ワットオーダーまでの範囲内である、請求項1に記載の非線形光学測定システム。
【請求項3】
前記シグナル光と前記アイドラー光との周波数差を変更する周波数差変更部と、
前記光検出器による検出結果に対する演算処理を行うプロセッサとをさらに備え、
前記プロセッサは、前記周波数差が所定範囲内を走査または所定値に設定された場合の前記光検出器による検出結果に基づいて、前記試料のデータを算出し、
前記データは、ラマンデータと、和周波発生(SFG:Sum Frequency Generation)データと、第二次高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)データと、多光子励起データとのうちの少なくとも1つであり、
前記ラマンデータは、ラマンスペクトルまたはラマンイメージであり、
前記SFGデータは、SFGスペクトルまたはSFGイメージであり、
前記SHGデータは、SHGスペクトルまたはSHGイメージであり、
前記多光子励起データは、多光子励起スペクトルまたは多光子励起イメージである、請求項1または2に記載の非線形光学測定システム。
【請求項4】
前記シグナル光および前記アイドラー光のうちの一方に対する他方の遅延時間を変更するように構成された遅延時間変更部をさらに備え、
前記プロセッサは、前記遅延時間がゼロに設定されて前記シグナル光と前記アイドラー光との間で強度ゆらぎが同期した条件下における前記光検出器による検出結果に基づいて、前記データを算出する、請求項3に記載の非線形光学測定システム。
【請求項5】
前記データは、前記ラマンデータであり、
前記試料の非線形光学現象により発生した光は、コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS:Coherent Anti-Stokes Raman Scattering)光であり、
前記プロセッサは、
前記遅延時間がゼロである条件下での前記光検出器による検出結果に基づく第1CARSデータと、前記遅延時間が非ゼロである条件下での前記光検出器による検出結果に基づく第2CARSデータとを算出し、
前記第1CARSデータと前記第2CARSデータとの差分により得られる差分データを算出する、請求項4に記載の非線形光学測定システム。
【請求項6】
請求項3に記載の非線形光学測定システムと、
前記シグナル光、前記アイドラー光および前記非線形光学現象により発生した光のうちの少なくとも1つが各々を伝搬する1以上の光ファイバとを備える、内視鏡システム。
【請求項7】
非線形光学結晶と、
シード光を用いずに前記非線形光学結晶におけるパラメトリック下方変換を誘起する励起光としてのパルスレーザ光を発する光源とを備え、
前記非線形光学結晶における前記励起光のパラメトリック下方変換により生成されたシグナル光およびアイドラー光は、試料に照射されて前記試料の非線形光学現象による光を発生させる、光源装置。
【請求項8】
試料の非線形光学現象による光を発生させるための光を準備するステップを含み、
前記準備するステップは、
シード光を用いることなく励起光としてのパルスレーザ光を非線形光学結晶に入射するステップと、
前記非線形光学結晶における前記励起光のパラメトリック下方変換によりシグナル光およびアイドラー光を互いに同軸に生成するステップと、
前記非線形光学結晶から同軸に伝搬するシグナル光およびアイドラー光をレンズを用いて集光するステップとを含み、さらに、
前記レンズにより集光されたシグナル光およびアイドラー光を前記試料に照射するステップと、
前記試料の非線形光学現象により発生した光を検出するステップとを含む、非線形光学測定方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、非線形光学測定システム、それを備えた内視鏡システム、光源装置および非線形光学測定方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、種々の非線形光学測定法が実用化されている。たとえば非線形ラマン分光法は、様々な技術分野に応用され、特に生命科学・医療計測などの分野での生体試料の計測において著しい発展を見せている。特開2009-222531号公報(特許文献1)、特開2011-191496号公報(特許文献2)、特開2022-153601号公報(特許文献3)および特開2022-29970号公報(特許文献4)は、複数のパルス光を試料に照射した場合に試料から発せられる非線形ラマン散乱光(より具体的にはコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS:Coherent Anti-Stokes Raman Scattering)光)を検出することにより試料を分析する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-222531号公報
特開2011-191496号公報
特開2022-153601号公報
特開2022-29970号公報
国際公開第2007/084112号
特開2017-203646号公報
国際公開第2020/195674号
【非特許文献】
【0004】
Yujiro Eto, Enhanced two-photon excited fluorescence by ultrafast intensity fluctuations from an optical parametric generator, Applied Physics Express 14, 012011 (2021).
Yujiro Eto, Locally controlled two-photon excited fluorescence by correlated ultrafast intensity fluctuations, Applied Physics Express 14, 022003 (2021).
Yujiro Eto and Mutsuo Nuriya, Enhanced two-photon excited fluorescence from green fluorescent proteins by ultrafast fluctuations in intense light pulse, Vol. 1, No. 12 / 15 Dec 2022 / Optics Continuum 2539.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非線形光学測定法、より具体的には、非線形ラマン法、和周波発生法(SFG:Sum Frequency Generation)、第二高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)、多光子励起法などでは、複雑な光学系がしばしば採用される。たとえば非線形ラマン分光法では、試料の非線形応答を引き起こすために2本の高強度のレーザ光が試料に照射される。そのような2本の高強度のレーザ光を準備して試料へと導くためには複雑な光学系を要し得る。社会実装を進める上で、できるだけシンプルな光学系によって非線形光学測定法を実現したい、という要望が常に存在する。本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的の1つは、シンプルな光学系によって非線形光学測定法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に係る非線形光学測定システムは、非線形光学結晶と、光源と、レンズと、光検出器とを備える。光源は、シード光を用いずに非線形光学結晶におけるパラメトリック下方変換を誘起する励起光としてのパルスレーザ光を発する。レンズは、非線形光学結晶における励起光のパラメトリック下方変換により互いに同軸に生成されたシグナル光およびアイドラー光を集光して試料に照射する。光検出器は、試料の非線形光学現象により発生した光を検出する。
【0007】
本開示の他の局面に係る内視鏡システムは、非線形光学測定システムと、シグナル光、アイドラー光および上記非線形光学現象により発生した光のうちの少なくとも1つが各々を伝搬する複数の光ファイバとを備える。
【0008】
本開示のさらに他の局面に係る光源装置は、非線形光学結晶と、シード光を用いずに非線形光学結晶におけるパラメトリック下方変換を誘起する励起光としてのパルスレーザ光を発する光源とを備える。非線形光学結晶における励起光のパラメトリック下方変換により生成されたシグナル光およびアイドラー光は、試料に照射されて試料の非線形光学現象による光を発生させる。
【0009】
本開示のさらに他の局面に係る非線形光学測定方法は、試料の非線形光学現象による光を発生させるための光を準備するステップを含む。準備するステップは、シード光を用いることなく励起光としてのパルスレーザ光を非線形光学結晶に入射するステップと、非線形光学結晶における励起光のパラメトリック下方変換によりシグナル光およびアイドラー光を互いに同軸に生成するステップと、非線形光学結晶から同軸に伝搬するシグナル光およびアイドラー光をレンズを用いて集光するステップとを含む。非線形ラマン分光方法は、さらに、レンズにより集光されたシグナル光およびアイドラー光を試料に照射するステップと、試料の非線形光学現象により発生した光を検出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、シンプルな光学系によって非線形光学測定法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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