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公開番号2025004094
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-14
出願番号2024173323,2020119469
出願日2024-10-02,2020-07-10
発明の名称歯の再生治療のためのUSAG-1を標的分子とした中和抗体
出願人国立大学法人京都大学,国立大学法人福井大学,愛知県,国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人,個人
主分類C07K 16/18 20060101AFI20250106BHJP(有機化学)
要約【課題】本発明は、外科的な組織移植を利用するのではなく、歯の器官に内在する分化誘導を利用した歯の無歯症の治療方法に関する技術を提供することを目的とした。
【解決手段】USAG-1に特異的に結合して中和する抗体またはその抗原結合フラグメント、および該抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
USAG-1に特異的に結合して中和する抗体またはその抗原結合フラグメント。
続きを表示(約 3,400 文字)【請求項2】
USAG-1に特異的に結合してUSAG-1のBMPシグナリング抑制活性を中和する、請求項1記載の抗体またはその抗原フラグメント。
【請求項3】
USAG-1に特異的に結合してUSAG-1のWNTシグナリング抑制活性を中和する、請求項1または2記載の抗体またはその抗原フラグメント。
【請求項4】
(a)それぞれ配列番号5、配列番号6、および配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号8、配列番号9、および配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(b)それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号18、配列番号19、および配列番号20で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(c)それぞれ配列番号25、配列番号26、および配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号28、配列番号29、および配列番号30で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(d)それぞれ配列番号42、配列番号43、および配列番号44で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号45、配列番号46、および配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
あるいは、
(e)それぞれ配列番号52、配列番号53、および配列番号54で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号55、配列番号56、および配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域
を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
(f)配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(g)配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(h)配列番号23で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(i)配列番号40で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号41で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
あるいは、
(j)配列番号50で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号51で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
(k)それぞれ配列番号5、配列番号6、および配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号8、配列番号9、および配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(l)それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号18、配列番号19、および配列番号20で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(m)それぞれ配列番号25、配列番号26、および配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号28、配列番号29、および配列番号30で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(n)それぞれ配列番号42、配列番号43、および配列番号44で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号45、配列番号46、および配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
または、
(o)それぞれ配列番号52、配列番号53、および配列番号54で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号55、配列番号56、および配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域
を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
(p)配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(q)配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(r)配列番号23で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(s)配列番号40で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号41で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
または、
(t)配列番号50で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号51で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1~3および6のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
USAG-1への結合について、請求項4~7のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
抗体がヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1~8のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、歯の再生治療のための医薬組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無歯症の治療または歯の再生のためのUSAG-1を標的とする中和抗体に関する。
続きを表示(約 6,400 文字)【背景技術】
【0002】
無歯症(歯の欠損を有する患者)の原因の多くは、う蝕や歯周病等の後天的な原因によるが、先天性のものとしては、発症率が1%と高い先天性無歯症がある。現在、欠損歯の治療法としては歯科インプラントや義歯等の補綴治療のみであり、根本的な治療法は存在しない。組織工学的なアプローチを用いた歯の再生の研究は多数報告されている。細胞ソースとして幹細胞(非特許文献1)等、種々の細胞が用いられている。また、イン・ビトロで作製した歯を口腔内で機能させるために、コラーゲンのゲルの中で、器官のもととなる歯の器官原基を再生する細胞操作技術、「器官原基法」(非特許文献2)が報告されている。しかし、組織工学的なアプローチは、いずれも細胞ソースを確保するためのコストや安全性等の問題があり、臨床応用まで至っていない。
【0003】
一方、先天性無歯症の原因遺伝子は多数同定されており、多くのものがヒトとマウスで共通する。例えば、RUNX2、MSX1、EDA、WNT10A、PAX9、AXIN2等が知られている。なかでも、WNT10Aを原因遺伝子とする先天性無歯症は、患者数が最も多い。また、EDAは、症候群性先天性無歯症の代表疾患である無汗性外胚葉異形成症の原因遺伝子である。先天性無歯症は、原因遺伝子の欠損、機能抑制により、歯の発生が途中で停止するために引き起こされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Ohazama, J Denr Res, 2004
Nakao, Nat Methods, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先天性無歯症の新たな視点からの治療では、上述のように歯の発生が途中で停止した状態から、分化誘導を促して完全な歯を形成させることが考えられる。そこで、本発明は、外科的な組織移植を利用するのではなく、歯の器官に内在する分化誘導を利用した歯の無歯症の治療方法に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、USAG-1を標的分子とした中和抗体の開発に成功した。さらに、該抗体の投与により、先天性無歯症モデルマウスの欠損歯を再生すること、および先天性無歯症モデルマウスまたは野生型マウスにおいて過剰歯を形成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]USAG-1に特異的に結合して中和する抗体またはその抗原結合フラグメント、
[2]USAG-1に特異的に結合してUSAG-1のBMPシグナリング抑制活性を中和する、[1]記載の抗体またはその抗原フラグメント、
[3]USAG-1に特異的に結合してUSAG-1のWNTシグナリング抑制活性を中和する、[1]または[2]記載の抗体またはその抗原フラグメント、
[4](a)それぞれ配列番号5、配列番号6、および配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号8、配列番号9、および配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(b)それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号18、配列番号19、および配列番号20で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(c)それぞれ配列番号25、配列番号26、および配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号28、配列番号29、および配列番号30で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(d)それぞれ配列番号42、配列番号43、および配列番号44で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号45、配列番号46、および配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、あるいは、
(e)それぞれ配列番号52、配列番号53、および配列番号54で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、または、それぞれ配列番号55、配列番号56、および配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域
を含む、[1]~[3]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、
[5](f)配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(g)配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(h)配列番号23で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(i)配列番号40で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号41で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
あるいは、
(j)配列番号50で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、配列番号51で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、[1]~[4]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、
[6](k)それぞれ配列番号5、配列番号6、および配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号8、配列番号9、および配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(l)それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号18、配列番号19、および配列番号20で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(m)それぞれ配列番号25、配列番号26、および配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号28、配列番号29、および配列番号30で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、
(n)それぞれ配列番号42、配列番号43、および配列番号44で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号45、配列番号46、および配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域、または、
(o)それぞれ配列番号52、配列番号53、および配列番号54で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域、およびそれぞれ配列番号55、配列番号56、および配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域
を含む、[1]~[3]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、
[7](p)配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(q)配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(r)配列番号23で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(s)配列番号40で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号41で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または、
(t)配列番号50で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号51で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、[1]~[3]および[6]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、
[8]USAG-1への結合について、[4]~[7]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する抗体またはその抗原結合フラグメント、
[9]抗体がヒト化抗体またはキメラ抗体である、[1]~[8]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、および
[10][1]~[9]のいずれか1項記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、歯の再生治療のための医薬組成物
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、抗体製剤を用いることにより、イン・ビボで歯を再生することに成功した。本発明の抗体製剤による治療は、歯の再生医療として、従来の抜歯、歯科矯正、歯牙移植等の一般的な歯科口腔外科的アプローチにて臨床展開が十分可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例において抗原として用いた大腸菌由来組換えヒトUASG-1蛋白のWnt抑制活性を示す。
実施例において抗原として用いた大腸菌由来組換えヒトUASG-1蛋白のBMP抑制活性を示す。
CRISPER-CAS9を利用して新たに樹立したUSAG-1KOマウスを示す。
抗USAG-1中和抗体の1次スクリーニングの結果を示す。
抗USAG-1中和抗体の1次スクリーニングの結果を示す。
マウスN末PAタグ付きUSAG-1(WISE)の精製・濃縮の結果を示す。
マウスUSAG-1蛋白の用量依存性のWNTシグナル抑制活性を示す。
マウスUSAG-1蛋白の用量依存性のBMPシグナルの抑制活性を示す。
用量依存性にマウスUSAG-1によるWNTシグナルの抑制活性を中和する抗体を示す。
用量依存性にマウスUSAG-1によるBMPシグナルの抑制活性を中和する抗体を示す。
抗USAG-1中和抗体が無歯症モデルマウスに歯を生やすことを示す。
抗USAG-1中和抗体がUSAG-1KOと同等の効果のあることを示す。
マウス抗USAG-1抗体のマウス/ヒトUSAG-1蛋白との結合実験の結果を示す。
ヒトFLAGタグUSAG-1を一過性に強制発現させたHEK293細胞に対するマウス抗USAG-1抗体を用いた免疫染色を示す。
抗体Aおよび抗体Bの重鎖および軽鎖可変領域の配列を示す。
マウス抗USAG-1抗体のマウス/ヒトUSAG-1蛋白との結合実験の結果を示す。
得られた6種の抗体の競合結合データを示す。6種の試験抗体のそれぞれについて、6種の抗体で捕捉されたUSAG-1センサーに反応させたときのセンサーグラムを重ねた図である。
マウスUSAG-1によるWNTシグナルの抑制活性およびBMPシグナルの抑制活性に対する、本発明の抗体の中和活性を示す。
先天性無歯症イヌに対するUSAG-1中和抗体投与の効果を示す、デンタルX線写真である。
フェレットにおける、USAG-1中和抗体投与による下顎第3小臼歯部の第3生歯の誘導を示す、μCT画像とその3次元再構築像である。
スンクスにおける、USAG-1中和抗体投与による下顎第3小臼歯部の第3生歯の誘導を示す、μCT画像とその3次元再構築像である。
抗体Cの重鎖および軽鎖可変領域の配列を示す。
抗体DおよびEの重鎖および軽鎖可変領域の配列を示す。
フェレットにおける、USAG-1中和抗体投与による上顎前歯部の第3生歯の誘導を示す、μCTスライス画像とその3次元再構築像である。
フェレットにおける、USAG-1中和抗体投与による下顎小臼歯部の第3生歯の誘導を示す、μCTデータに基づき作成した3次元再構築像である。
マウスUSAG-1によるWNTシグナルの抑制活性およびBMPシグナルの抑制活性に対する、本発明の抗体の中和活性を示す。
マウス抗USAG-1抗体とマウスUSAG-1蛋白との複合体と、LRP6-E1E2ドメインの相互作用を示すプルダウンアッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
USAG-1(Uterine Sensitization Associated Gene-1)は、Sostdc-1、Ectodin、またはWiseとも呼ばれる、骨形成タンパク質(BMP)アンタゴニストおよびWntアンタゴニストである。USAG-1欠損モデルマウスでは、BMPシグナリングの増加がみられ、過剰歯の形成が導かれることが知られている。発明者らは、先天性無歯症モデルマウスであるRunx2欠損マウスと過剰歯(正常な歯数以上に存在する歯)モデルマウスであるUSAG-1の遺伝子欠損マウスを交配してダブルノックアウトマウスを作製し、解析したところ、歯の形成が回復することを見出した。したがって、USAG-1の阻害により、無歯症を治療できることが示唆された。
(【0011】以降は省略されています)

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