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公開番号2024117955
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-30
出願番号2023024071
出願日2023-02-20
発明の名称病床局所排気システム
出願人国立大学法人山口大学,ゼク・テック株式会社
代理人個人,個人
主分類A61G 10/00 20060101AFI20240823BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】病床の患者から発生する飛散物や臭気を除去して院内感染のリスクを低下させることができ、しかも、病床の患者が病室内にて騒音による不快を感じること無く過ごすことができる病床局所排気システムを提供する。
【解決手段】病床局所排気システム1は、一端側にベッド10の患者Hに接近配置可能な吸込ツール2が接続される一方、他端側に病室Rの外側に位置する第2蛇腹管4bを有する配管ユニット4と、配管ユニット4に接続され、患者Hから飛散する飛散物や臭気を吸込ツール2の吸込口5aから第1蛇腹管4a内に吸い込むとともに当該第1蛇腹管4a内を移送させて第2蛇腹管4bから排出させる送風ファン3とを備える。送風ファン3は、病室Rの外側に配置される。
【選択図】図1



特許請求の範囲【請求項1】
病床の患者から空気中に飛散する飛散物か、或いは、前記患者から発生する臭気を病室から排気する病床局所排気システムであって、
一端側に前記病床の患者に接近配置可能な吸込部が少なくとも1つ接続される一方、他端側に前記病室の外側に位置する排出部を有する配管部と、
前記配管部に接続され、前記飛散物や前記臭気を前記吸込部の吸込口から前記配管部内に吸い込むとともに当該配管部内を移送させて前記排出部から排出させる送風機と、を備え、
前記送風機は、前記病室の室内の壁際か、或いは、当該病室の外側に配置されていることを特徴とする病床局所排気システム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
請求項1に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記吸込部は、外周壁が前記吸込口から吸込方向に進むにつれて次第に縮径する漏斗形状部を有しており、
前記吸込口には、流体以外の通過を阻止するフィルタ部材が取り付けられていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項3】
請求項2に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記漏斗形状部の内面には、1つか、或いは、前記漏斗形状部の中心線を中心とした周方向に等間隔に位置し、且つ、前記吸込口の周縁部分から吸込方向に進むにつれて次第に前記中心線を中心とした周方向一側に移動するように延びる形状をなし、吸い込む前記飛散物や前記臭気を案内する1つ以上の吸込ガイド部が設けられていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記吸込部は、前記漏斗形状部に接続され、使用者が把持して操作可能な把持操作部と、該把持操作部の下端に取り付けられた複数のキャスターと、を備えていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項5】
請求項1に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記吸込部は、前記吸込口が前記病床の患者に接近配置されるように前記病床のフレーム部分に着脱可能になっていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項6】
請求項1に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記吸込部は、前記病床の周囲に位置する支持体と、上下にスライド可能に、或いは、上下に回動可能に前記支持体に支持された可動体と、を備え、
前記吸込口は、上方にスライド、又は、回動した状態の前記可動体における前記病床の患者に対応する位置に設けられ、
前記可動体及び前記支持体の内部には、前記吸込口と前記配管部の内部とを繋ぐ排出通路が設けられていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項7】
請求項6に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記可動体は、下方にスライド、又は、回動した際、前記支持体内部に収容されるように構成されていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記支持体は、前記病床の側部フレーム部分に一体に固定されていることを特徴とする病床局所排気システム。
【請求項9】
請求項1に記載の病床局所排気システムにおいて、
前記配管部の少なくとも中途部は、前記病室の床下空間か、或いは、天井裏空間に配索されていることを特徴とする病床局所排気システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、病床の周囲の空気を局所的に吸い込んで患者から飛散するウイルスや臭気等を排気する病床局所排気システムに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、病院では、感染症に罹患した病床の患者から飛散する微細な飛沫によって院内感染のリスクが高まるのを防ぐために、或いは、病床の患者から発せられる臭気を抑えるために、病床における患者の周囲の空気を局所的に吸い込んで排気することが行われている。
例えば、特許文献1に開示されている病床局所排気システムは、一端側に病床の患者に接近配置可能な吸込部が接続される一方、他端に排出部を有する配管部と、当該配管部の中途部に介設されたシステム本体と、を備えている。このシステム本体は、その内部に、送風機と、脱臭及び除塵用の2種類のフィルタと、を収容していて、送風機は、患者周辺の空気を吸込部から吸い込むとともに配管部の内側を移送させて両フィルタを通過させた後、排出部から排出させるようになっている。
【0003】
また、特許文献2に開示されている病床局所排気システムは、ベッドの左右両側のフレーム部分に固定された一対の空気洗浄ユニットと、病室の天井に設けられた当該病室内の空気を病室の外側へと排気する換気ユニットと、を備えている。空気洗浄ユニットは、厚みを有する矩形板状をなす本体ケースを備え、この本体ケースにおける病床の患者側の側面には、当該本体ケースの内部に連通する吸込口が設けられる一方、本体ケースの上面には、当該本体ケースの内部に連通する排出口が設けられている。本体ケースの内部には、送風機、フィルタ、及び、紫外線光発生部が収容されていて、送風機は、患者の周囲の空気を吸込口から本体ケースの内部に吸い込むとともに本体ケースの内部を移送させてフィルタと紫外線光発生部とを順に通過させた後、排出口から上方に向かって排出させるようになっている。その後、空気洗浄ユニットの排出口から排出された空気は、病室の天井まで上昇した後、換気ユニットにより病室の外側へと排気されるようになっている。
【0004】
さらに、特許文献3に開示されている病床局所排気システムは、病床の側方に配置可能な空気洗浄ユニットを備えている。この空気洗浄ユニットは、厚みを有する矩形板状をなす本体ケースを備え、本体ケースにおける水平方向一側面には、当該本体ケースの内部に連通する吸込口が形成されている。本体ケースの水平方向他側には、一端が当該本体ケースに接続される配管部が配設され、該配管部の他端には、病室の外側に臨む排出口が設けられている。本体ケースの下方には、上下に延びる棒状をなす把持操作部が設けられ、この把持操作部の下端には、複数のキャスターが取り付けられている。そして、使用者は、把持操作部を操作して各キャスターを転動させることにより、本体ケースを病床に接近させて患者の傍に本体ケースの吸込口を配置できるようになっている。この本体ケースの内部には、送風機とフィルタとが収容されていて、送風機は、患者の周囲の空気を吸込口から本体ケースの内部に吸い込むとともに本体ケースの内部を移送させてフィルタを通過させた後、配管部を介して排出口から病室の外側へと排出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-204901号公報(段落0016~0026欄、図1)
特表2012-533720号公報(段落0154~0157、図17~20)
特開2021-191984号公報(段落0020~0024、0044欄、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の場合、配管部の排出部が病室内に位置するので、例えば、システム本体の内部に収容されているフィルタが使用期限を大きく超過して機能が低下していた等の理由によりウイルスや臭気を除去できていなかったとすると、システム本体を通過したがウイルスや臭気を除去しきれなかった空気が病室内に留まってしまい、医者や看護師等の感染のリスクを高めたり、臭気により病室内に居る人の不快感を高めてしまうという課題がある。
また、特許文献2のように、空気洗浄ユニットの本体ケース上面の排出口から排出される空気に関しても、特許文献1と同様に、フィルタ機能が低下していた等の理由により洗浄しきれなかったとすると、その空気が上昇して換気ユニットに届くまでの間に医者や看護師等に触れてしまうおそれがある。
さらに、特許文献3では、患者の周囲の空気を病室の外側に配管部を介して排出しているので、医者や看護師等の感染のリスクや臭気による不快感を低下させることが可能である一方、送風機を収容する本体ケースが病床の傍に位置するので、病床の患者に送風機の動作音が大きく聞こえて患者が大きな不快を感じてしまうおそれがある。
それに加えて、近年、病院等において空気を介したウイルス等の感染が急拡大するような不測の事態が発生した場合、これらの感染が施設内で拡大するのを防止または阻止のために、病棟のベッドを他の部屋に移動させたり、或いは、これらのベッドを隔離するといった作業負荷が増えたり、状況によっては、隔離用の病室を新設するといった緊急の対応を迫られる場合がある。これに対応するために、上述の如き病棟のベッド周りにおいて空気を局所的に排気する局所排気システムについて、安全面だけでなく、効率面やコスト面をも考慮した将来を見据えたシステム開発を一刻の猶予もなく緊急に行っていかなければならない。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、病床の患者から発生する飛散物や臭気を効率良く除去して院内感染のリスクや臭気による不快感を低下させることができ、しかも、病床の患者が病室内にて騒音による不快を感じること無く過ごすことができる低コストな病床局所排気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、送風機の配置とウイルスや臭気を含んだ空気の排出位置とにそれぞれ工夫を凝らしたことを特徴とする。
具体的には、病床の患者から空気中に飛散する飛散物か、或いは、前記患者から発生する臭気を病室から排気する病床局所排気システムを対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明に係る病床局所排気システムは、一端側に前記病床の患者に接近配置可能な吸込部が少なくとも1つ接続される一方、他端側に前記病室の外側に位置する排出部を有する配管部と、前記配管部に接続され、前記飛散物や前記臭気を前記吸込部の吸込口から前記配管部内に吸い込むとともに当該配管部内を移送させて前記排出部から排出させる送風機と、を備え、前記送風機は、前記病室の室内の壁際か、或いは、当該病室の外側に配置されていることを特徴とする。
このように構成される病床局所排気システムでは、病床の周囲の空気を効率良く吸い込んで病室の外側へと排気されるように作用する。また、送風機が病床から遠く離れた位置となるように作用する。
【0009】
第2の発明に係る病床局所排気システムは、第1の発明において、前記吸込部は、外周壁が前記吸込口から吸込方向に進むにつれて次第に縮径する漏斗形状部を有しており、前記吸込口には、流体以外の通過を阻止するフィルタ部材が取り付けられていることを特徴とする。
このように構成される病床局所排気システムでは、吸込口に対応する領域の空気が当該吸込口から吸い込まれて配管部まで流れる際にスムーズに流れるように作用する。また、吸込部を患者の周辺に接近させて吸込動作を行ったとしても、患者の服や髪の毛が配管部へと流れ込むのをフィルタ部材が防ぐように作用する。
【0010】
第3の発明に係る病床局所排気システムは、第2の発明において、前記漏斗形状部の内面には、1つか、或いは、前記漏斗形状部の中心線を中心とした周方向に等間隔に位置し、且つ、前記吸込口の周縁部分から吸込方向に進むにつれて次第に前記中心線を中心とした周方向一側に移動するように延びる形状をなし、吸い込む前記飛散物や前記臭気を案内する1つ以上の吸込ガイド部が設けられていることを特徴とする。
このように構成される病床局所排気システムでは、吸込部の内側において吸込口から配管部まで流れる空気の流れがスムーズになるように作用する。
(【0011】以降は省略されています)

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