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公開番号
2024112725
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-21
出願番号
2023017973
出願日
2023-02-08
発明の名称
光触媒を用いた水素ガス製造装置
出願人
トヨタ自動車株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C01B
3/04 20060101AFI20240814BHJP(無機化学)
要約
【課題】 光触媒系を用いた水の分解反応により水素ガスを製造する装置に於いて、水素ガスと酸素ガスとが別々の水槽にて生成されるよう構成し、水槽の配置場所の制限を少なくし、高いエネルギー効率にて、時間当たりの水素ガスの生成量を多くする。
【解決手段】 水素ガス製造装置1は、メディエータが分散された水w中に水素側光触媒4Hが浸漬され光の照射により水素ガスが生成されメディエータが酸化される水槽3Hと、水素側光触媒へ光を照射する光照射手段5Hと、メディエータが分散された水中に酸素側光触媒4Oが浸漬され光の照射により酸素ガスが生成されメディエータが還元される水槽3Oと、酸素側光触媒へ光を照射する光照射手段5Oと、水素側と酸素側の水槽間にメディエータが分散されたて水を循環させる水循環手段10H、10Oとを有し、光照射手段の光源が、発光ダイオード6H、6Oである。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
水素ガス製造装置であって、
水素ガス発生手段にして、
メディエータ物質が分散された水中に水素側光触媒を担持した水素側光触媒部材が浸漬されている水素側水槽と、
前記水素側光触媒が吸収してその価電子帯の電子を伝導帯へ励起する波長の光を前記水素側光触媒部材へ照射する水素側光照射手段と、
前記水素側水槽にて発生した水素ガスを回収する水素ガス回収手段とを含み、
前記水素側光触媒に前記水素側光照射手段からの光が照射されると、前記水素側水槽にて前記水中のプロトンが還元されて前記水素ガスが生成されると共に、還元されている前記メディエータ物質が酸化されるよう構成された水素ガス発生手段と、
酸素ガス発生手段にして、
前記メディエータ物質が分散された水中に酸素側光触媒を担持した酸素側光触媒部材が浸漬されている酸素側水槽と、
前記酸素側光触媒が吸収してその価電子帯の電子を伝導帯へ励起する波長の光を前記酸素側光触媒部材へ照射する酸素側光照射手段とを含み、
前記酸素側光触媒に前記酸素側光照射手段からの光が照射されると、前記酸素側水槽にて前記水中の水分子が酸化されて酸素ガスが生成されると共に、酸化されている前記メディエータ物質が還元されるよう構成された酸素ガス発生手段と、
前記水素側水槽と酸素側水槽との間にて前記メディエータ物質が分散された水を循環させる水循環手段と
を含み、
前記水素側光照射手段の発光装置の光源と、前記酸素側光照射手段の発光装置の光源とが、発光ダイオードである装置。
続きを表示(約 510 文字)
【請求項2】
請求項1の装置であって、前記水素側光照射手段からの照射光と、前記酸素側光照射手段の照射光とが、それぞれ、直接に、前記水素側光触媒と、前記酸素側光触媒とへ照射されるよう構成されている装置。
【請求項3】
請求項2の装置であって、前記水素側光照射手段の発光装置の光源と前記酸素側光照射手段の発光装置の光源とが同一である装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの装置であって、前記水素側光触媒のバンドギャップがプロトンの還元電位と水分子の酸化電位とのエネルギー幅よりも狭く、前記水素側光照射手段の発光ダイオードの発光波長が前記水素側光触媒のバンドギャップのエネルギー幅に対応する光波長以下であり、プロトンの還元電位と水分子の酸化電位とのエネルギー幅に対応する光波長より長波長である装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかの装置であって、前記水素側光触媒の価電子帯とバンドギャップとの境界の電位が水分子の酸化電位よりもマイナス側であり、前記酸素側光触媒の伝導帯とバンドギャップとの境界の電位がプロトンの還元電位よりもプラス側である装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガス製造装置に係り、より詳細には、光触媒を用いた水の分解反応により水素ガスを製造する装置に係る。
続きを表示(約 4,400 文字)
【背景技術】
【0002】
燃焼しても二酸化炭素を生じないクリーンな次世代の燃料としての利用が期待されている水素ガスは、光触媒を用いた光エネルギーによる水の分解反応により生成できるので、光触媒を用いた水素ガスの製造技術が種々提案されている。例えば、特許文献1は、光触媒粒子が分散された水を、受光窓を有する筐体内に循環させて、光による水の分解反応を起こし、酸素ガスと共に水素ガスを発生させる水素発生装置の構造を提案している。本願出願人による特許文献2は、光が照射されると、励起電子と正孔を発生し、水を水素と酸素とに分解する水の分解反応を起こし水素ガスを発生する光触媒を担持する光触媒部材を容器部内の水に浸漬されるように配置し、電力で駆動される光源から光触媒部材へ光を照射する装置に於いて、光触媒部材に於いて分解されることとなる容器内の水を光源の排熱により加温して、水温を高めることで、水素ガスの製造効率を向上させることを提案している。
【0003】
また、上記の如き光が照射されて水の分解反応を惹起する光触媒に関して、専ら水素イオン(プロトン)を還元して水素ガスを生成する光触媒(水素側光触媒)と、専ら水分子を酸化して酸素ガスとプロトンを生成する光触媒(酸素側光触媒)と、酸素側光触媒から水素側光触媒への電子の受け渡しをする酸化還元物質(メディエータ物質)とを用いた光触媒系(Zスキーム)の構成が種々提案されている(特許文献3、非特許文献1)。非特許文献2に於いては、水素側光触媒の貼着された基板(水素側光触媒板)と酸素側光触媒の貼着された基板(酸素側光触媒板)とをメディエータ物質の分散された水溶液で満たされた別々の水槽内に配置し、太陽光が酸素側光触媒板と水素側光触媒板とを順に透過するように二つの水槽を並置すると共に二つの水槽内の水溶液を循環させ、これにより、酸素側光触媒板の水槽では、酸素ガスが発生し、水素側光触媒板の水槽では、水素ガスが発生する構成の装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015-218103
特開2022-63186
国際公開2022/045283
【非特許文献】
【0005】
“Prospects and challenges in designing photocatalytic particle suspension reactors for solar fuel processing”, Swarnava Nandy, Sangram Ashok Savant and Sophia Haussener, Chem. Sci., 2021, 12, 9866-9884
“Designing a Z-scheme system based on photocatalyst panels towards separated hydrogen and oxygen production from overall water splitting”, Chaoyi Dong, Yue Zhao, Yanpei Luo, Hong Wang, Hefeng Zhang, Xu Zong, Zhaochi Feng and Can Li, Catal. Sci. Technol., 2022, 12, 572-578
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一つの光触媒でプロトンの還元と水分子の酸化を触媒する場合(1段階光触媒系)、光触媒の価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップがプロトンの還元電位(プロトンと水素分子との間の酸化還元反応系に於ける酸化還元電位)と水分子の酸化電位(水と酸素分子との間の酸化還元反応系に於ける酸化還元電位)とを跨ぐほど大きいことが必要となる。一方、上記の如きZスキームの光触媒系の場合は、水素側光触媒は、その価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップがプロトンの還元電位とメディエータ物質の酸化還元電位とを跨いでいればよく、酸素側光触媒は、その価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップがメディエータ物質の酸化還元電位と水分子の酸化電位とを跨いでいればよい。従って、Zスキームの光触媒系は、光触媒として、より多くの種類の物質が利用可能となる点で有利である(ただし、水素側光触媒に於いて、プロトンの還元反応を選択的に促進する助触媒が存在し、酸素側光触媒に於いて、水の酸化反応を選択的に促進する助触媒が存在していれば、それぞれの光触媒の価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップがプロトンの還元電位と水分子の酸化電位とを跨いでいてもよい。)。また、水素側光触媒と酸素側光触媒とを別々の水槽内に配置した構成の場合、それぞれの水槽に於いて実質的に水素ガスのみ又は実質的に酸素ガスのみが生成されるようになっていれば、生成された水素ガスと酸素ガスとが別々に回収されるので、水素ガスを酸素ガスから分離するための分離器が不要となる点でも有利である(なお、生成ガスに於ける水素ガスの純度を上げるために、分離器が使用されてもよい。)。
【0007】
ところで、水の分解反応を惹起する光触媒への照射光として、太陽光が利用可能であるが、太陽光は光密度が低く、時間当たりの水素ガス生成量が比較的小さい。また、太陽光の場合、光触媒に照射された光エネルギーに於ける水の分解反応に寄与する割合があまり高くない。より詳細には、まず、照射光に於ける光子エネルギーが光触媒のバンドギャップのエネルギー幅に達していない成分は、光触媒に吸収されず、水の分解反応に寄与しない。また、照射光に於ける光子エネルギーが光触媒のバンドギャップに達している成分は、光触媒に吸収されて価電子帯の電子を伝導帯へ励起させるところ、光子エネルギーに於ける光触媒のバンドギャップのエネルギー幅を超える部分は、熱となるので(熱緩和)、水の分解反応には寄与しない。即ち、波長帯域が広範囲に及ぶ太陽光に於いて、光触媒に吸収されて水の分解反応に寄与しているエネルギーは、その一部に過ぎないということができる。更に、太陽光を光触媒への照射光として用いる場合、光触媒の置かれた水槽の配置場所が、太陽光を光触媒へ導く光路が設置可能な場所に制限され、また、水素ガス生成量が気象状況に大きく影響される。
【0008】
一方、光触媒への照射光を電力により駆動する発光装置により与える場合、太陽光の場合よりも、時間当たりの水素ガス生成量をより多くでき、気象状況に影響され難く、光触媒の浸漬されている水槽の配置場所の制限が少なくできることが期待される。また、上記の如く、照射光に於いて要求される光子エネルギーの要件は、光触媒のバンドギャップのエネルギー幅に達していればよく、それを超えるエネルギーは過剰に要求されないので、発光装置からの照射光を、その波長が光触媒のバンドギャップのエネルギー幅に相当する波長以下であって、できるだけ長波長となるように調整しておけば、照射光のエネルギーをより効率的に水の分解反応に寄与させることが可能となる。この点に関し、Zスキームの光触媒系を用いた構成では、光触媒のバンドギャップがプロトンの還元電位と水分子の酸化電位とを跨ぐほど大きくなくてもよいことから、水素側光触媒及び酸素側光触媒としてそれぞれ適当な物質を採用することにより、光触媒への照射光に於ける光子エネルギーが、1段階光触媒系の場合に比して、より低くできる可能性があり、これにより、照射光を発光する発光装置の光源選択の幅が広くなる点で有利である。具体的な光源としては、発光エネルギー効率が高く、設置等に於ける取り扱いが容易で、発光される光の単色性の高い発光ダイオード(LED)(LEDを用いた半導体レーザーも含む)が採用できる。特に、LEDの場合、後述の如く、一般に、光の波長が長いほど、消費電力当たりの発光効率が上昇するので、選択した光触媒のバンドギャップが小さいほど、発光効率のより高い、波長のより長い照射光を選択でき、その分、消費電力当たりの水素ガス生成量を増大できることとなる。
【0009】
かくして、本発明の一つの課題は、Zスキームの光触媒系を用いた水の分解反応により水素ガスを製造する装置にして、水素側光触媒と酸素側光触媒とを別々の水槽内に配置して、水素ガスと酸素ガスとが別々の水槽にて生成されるよう構成された装置に於いて、発光装置の光源としてLEDを採用して、水槽の配置場所の制限をできるだけ少なくし、また、できるだけ高いエネルギー効率にて、時間当たりの水素ガスの生成量をできるだけ多くする構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、上記の課題は、
水素ガス製造装置であって、
水素ガス発生手段にして、
メディエータ物質が分散された水中に水素側光触媒を担持した水素側光触媒部材が浸漬されている水素側水槽と、
前記水素側光触媒が吸収してその価電子帯の電子を伝導帯へ励起する波長の光を前記水素側光触媒部材へ照射する水素側光照射手段と、
前記水素側水槽にて発生した水素ガスを回収する水素ガス回収手段とを含み、
前記水素側光触媒に前記水素側光照射手段からの光が照射されると、前記水素側水槽にて前記水中のプロトンが還元されて前記水素ガスが生成されると共に、還元されている前記メディエータ物質が酸化されるよう構成された水素ガス発生手段と、
酸素ガス発生手段にして、
前記メディエータ物質が分散された水中に酸素側光触媒を担持した酸素側光触媒部材が浸漬されている酸素側水槽と、
前記酸素側光触媒が吸収してその価電子帯の電子を伝導帯へ励起する波長の光を前記酸素側光触媒部材へ照射する酸素側光照射手段とを含み、
前記酸素側光触媒に前記酸素側光照射手段からの光が照射されると、前記酸素側水槽にて前記水中の水分子が酸化されて酸素ガスが生成されると共に、酸化されている前記メディエータ物質が還元されるよう構成された酸素ガス発生手段と、
前記水素側水槽と酸素側水槽との間にて前記メディエータ物質が分散された水を循環させる水循環手段と
を含み、
前記水素側光照射手段の発光装置の光源と、前記酸素側光照射手段の発光装置の光源とが、発光ダイオードである装置
によって達成される。
(【0011】以降は省略されています)
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