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公開番号2024111836
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-19
出願番号2024015945
出願日2024-02-05
発明の名称ガラスクロス及びその製造方法、並びにプリプレグ及びプリント配線板
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類D03D 15/267 20210101AFI20240809BHJP(織成)
要約【課題】良好な絶縁信頼性を有する低誘電ガラスクロス及びその製造方法等を提供すること。
【解決手段】複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を、経糸及び緯糸として構成され、表面処理剤で表面処理された、ガラスクロス。上記ガラスクロスは、380℃、2時間の加熱処理におけるガラス成分由来の重量減少割合(%)と、上記ガラスフィラメントの平均半径(μm)との積として求められる重量減少係数が、0.45超0.90以下である。また、上記ガラスクロスを特定の含浸評価用試験液に3分間浸漬した際の未含浸部位数が、1.8×e(α×0.58){式中、eは、ネイピア数であり、αは、ガラスクロス表面の面積に対する、経糸と緯糸が重なっている部位の面積の割合である。}で求められる値以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を、経糸及び緯糸として構成され、表面処理剤で表面処理された、ガラスクロスであって、
前記ガラスクロスは、380℃、2時間の加熱処理におけるガラス成分由来の重量減少割合(%)と、前記ガラスフィラメントの平均半径(μm)との積として求められる重量減少係数が、0.45超0.90以下であり、
前記ガラスクロスを粘度680mPa・sのビスフェノールA型エポキシ樹脂含有ベンジルアルコール溶液に温度25℃で3分間浸漬した際の未含浸部位数が、下記式(1):
1.8×e(α×0.58) ・・・式(1)
{式(1)中、eは、ネイピア数であり、αは、ガラスクロス表面の面積に対する、経糸と緯糸が重なっている部位の面積の割合である。}で求められる値以下である、ガラスクロス。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記ガラスクロスを粘度650mPa・sのひまし油に温度25℃で3分間浸漬した際の未含浸部位数が、前記式(1)で求められる値以下である、請求項1に記載のガラスクロス。
【請求項3】
前記ガラスクロス中の、B



で換算したホウ素(B)含有量とP



で換算したリン(P)含有量との和が、25質量%以上40質量%以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項4】
厚さが、5μm以上100μm以下である、請求項1または2に記載のガラスクロス。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有する、プリプレグ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有する、プリント配線板。
【請求項7】
ガラスクロスの製造方法であって、前記方法は、以下:
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を経糸及び緯糸として製織して、ガラスクロス生機を得る工程と;
製織された前記ガラスクロス生機を加熱して脱糊処理する工程と;
脱糊処理された前記ガラスクロス生機を、液体中で水平方向に対して0.3°以上の傾斜をつけて走行させながら、周波数20GHz以上70GHz以下の超音波で洗浄する工程と;
超音波で洗浄された前記ガラスクロス生機を表面処理して、表面処理されたガラスクロスを得る工程と;
を含む、ガラスクロスの製造方法。
【請求項8】
ガラスクロスの製造方法であって、前記方法は、以下:
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を経糸及び緯糸として製織して、ガラスクロス生機を得る工程と;
製織された前記ガラスクロス生機を加熱して脱糊処理する工程と;
脱糊処理された前記ガラスクロス生機を液体で濡らす工程と、
濡れた状態の前記ガラスクロス生機を、周波数20GHz以上70GHz以下の超音波が照射されている前記液体中に浸入させ、超音波で洗浄する工程と;
超音波で洗浄された前記ガラスクロス生機を表面処理して、表面処理されたガラスクロスを得る工程と;
を含む、ガラスクロスの製造方法。
【請求項9】
ガラスクロスの製造方法であって、前記方法は、以下:
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を経糸及び緯糸として製織して、ガラスクロス生機を得る工程と;
製織された前記ガラスクロス生機を加熱して脱糊処理する工程と;
脱糊処理された前記ガラスクロス生機を液体で濡らす工程と、
濡れた状態の前記ガラスクロス生機を、周波数20GHz以上70GHz以下の超音波が照射されている前記液体中に浸入させ、前記液体中で水平方向に対して0.3°以上の傾斜をつけて走行させながら、超音波で洗浄する工程と;
超音波で洗浄された前記ガラスクロス生機を表面処理して、表面処理されたガラスクロスを得る工程と;
を含む、ガラスクロスの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラスクロス及びその製造方法、並びにプリプレグ及びプリント配線板等に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年の情報通信社会の発達とともに、データ通信及び/又は信号処理が大容量で高速に行われるようになり、電子機器に用いられるプリント配線板の低誘電率化が著しく進行している。そのため、プリント配線板を構成するガラスクロスにおいても、低誘電ガラスクロスが多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている低誘電ガラスクロスは、従来から一般に使用されているEガラスクロスに対して、ガラス組成中にB



を多く配合し、同時にSiO

等の他の成分の配合量を調整することで、低誘電率を実現している。
【0004】
また、プリント配線板を構成する樹脂として、ポリフェニレンエーテル等の低誘電樹脂が多く提案されている。低誘電樹脂は、嵩高い官能基を有し、粘度が高い傾向があり、従来から一般に用いられているエポキシ樹脂等と比較して、ガラスクロスへの含浸性に劣ることがある。ガラスクロスへの含浸性に劣ると、基板中のガラス繊維糸束に樹脂未含浸部分(ボイド)ができ易く、CAF(Conductive Anodic Filaments)が問題になり易い。そのため、ガラスクロス側の樹脂含浸性をより一層高めることにより、耐CAF性を向上させることが好ましい。
【0005】
一方で、特許文献2には、積層板の品質が低下したり、樹脂の含浸性が悪くなったりすることを防ぐために、すなわち絶縁信頼性向上のために、例えば毛羽、焼却残渣、集束剤や過剰なカップリング剤などの無機繊維布帛に存在する不純物を、より効果的に除去することができる無機繊維布帛の洗浄方法を開示している。特許文献3には、熱硬化性樹脂の含浸性が改良されるガラスクロスの処理方法に関しての開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-503233号公報
特開2003―96659号公報
特開昭63-165441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるような、低誘電ガラスクロスの中でも、低誘電化を進めるために、ガラス糸中のB



や、P



等の成分をとりわけ多く含有するガラスクロスは、絶縁信頼性に劣る問題がある。また、特許文献2及び3は、含浸性、すなわち絶縁信頼性を課題としているものの、いまだ改良の余地がある。
【0008】
本開示は、良好な絶縁信頼性を有する低誘電ガラスクロス及びその製造方法等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態の例を以下の項目[1]~[9]に列記する。
[1]
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を、経糸及び緯糸として構成され、表面処理剤で表面処理された、ガラスクロスであって、
前記ガラスクロスは、380℃、2時間の加熱処理におけるガラス成分由来の重量減少割合(%)と、前記ガラスフィラメントの平均半径(μm)との積として求められる重量減少係数が、0.45超0.90以下であり、
前記ガラスクロスを粘度680mPa・sのビスフェノールA型エポキシ樹脂含有ベンジルアルコール溶液に温度25℃で3分間浸漬した際の未含浸部位数が、下記式(1):
1.8×e(α×0.58) ・・・式(1)
{式(1)中、eは、ネイピア数であり、αは、ガラスクロス表面の面積に対する、経糸と緯糸が重なっている部位の面積の割合である。}で求められる値以下である、ガラスクロス。
[2]
上記ガラスクロスを粘度650mPa・sのひまし油に温度25℃で3分間浸漬した際の未含浸部位数が、上記式(1)で求められる値以下である、項目1に記載のガラスクロス。
[3]
前記ガラスクロス中の、B



で換算したホウ素(B)含有量とP



で換算したリン(P)含有量との和が、25質量%以上40質量%以下である、項目1又は2に記載のガラスクロス。
[4]
厚さが、5μm以上100μm以下である、項目1~3のいずれか一項に記載のガラスクロス。
[5]
項目1~4のいずれか一項に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物と、を有する、プリプレグ。
[6]
項目1~4のいずれか一項に記載のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸したマトリックス樹脂組成物の硬化物と、を有する、プリント配線板。
[7]
ガラスクロスの製造方法であって、前記方法は、以下:
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を経糸及び緯糸として製織して、ガラスクロス生機を得る工程と;
製織された前記ガラスクロス生機を加熱して脱糊処理する工程と;
脱糊処理された前記ガラスクロス生機を、液体中で水平方向に対して0.3°以上の傾斜をつけて走行させながら、周波数20GHz以上70GHz以下の超音波で洗浄する工程と;
超音波で洗浄された前記ガラスクロス生機を表面処理して、表面処理されたガラスクロスを得る工程と;
を含む、ガラスクロスの製造方法。
[8]
ガラスクロスの製造方法であって、前記方法は、以下:
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を経糸及び緯糸として製織して、ガラスクロス生機を得る工程と;
製織された前記ガラスクロス生機を加熱して脱糊処理する工程と;
脱糊処理された前記ガラスクロス生機を液体で濡らす工程と、
濡れた状態の前記ガラスクロス生機を、周波数20GHz以上70GHz以下の超音波が照射されている前記液体中に浸入させ、超音波で洗浄する工程と;
超音波で洗浄された前記ガラスクロス生機を表面処理して、表面処理されたガラスクロスを得る工程と;
を含む、ガラスクロスの製造方法。
[9]
ガラスクロスの製造方法であって、前記方法は、以下:
複数本のガラスフィラメントを含むガラス糸を経糸及び緯糸として製織して、ガラスクロス生機を得る工程と;
製織された前記ガラスクロス生機を加熱して脱糊処理する工程と;
脱糊処理された前記ガラスクロス生機を液体で濡らす工程と、
濡れた状態の前記ガラスクロス生機を、周波数20GHz以上70GHz以下の超音波が照射されている前記液体中に浸入させ、前記液体中で水平方向に対して0.3°以上の傾斜をつけて走行させながら、超音波で洗浄する工程と;
超音波で洗浄された前記ガラスクロス生機を表面処理して、表面処理されたガラスクロスを得る工程と;
を含む、ガラスクロスの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、良好な絶縁信頼性を有する低誘電ガラスクロス及びその製造方法を提供することができる。また、本開示によれば、該低誘電ガラスクロスを用いたプリプレグ及びプリント配線板を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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